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一般教育訓練給付金の制度をわかりやすく解説します【一般教育訓練給付制度】 _ pr
一般教育訓練給付金教育訓練給付金の概要

一般教育訓練給付金の制度をわかりやすく解説します【一般教育訓練給付制度】

一般教育訓練給付金は、1年以内の短期の一般教育訓練を受講し、修了するとハローワークから教育訓練経費の20%が支給される制度です。在職者と1年以内の離職者が対象となります。

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1.一般教育訓練給付金の概要

一般教育訓練給付金とは

一般教育訓練給付金は雇用保険の教育訓練給付の一つであり、1998年(平成10年)12月1日に創設された制度です。

まず、厚生労働大臣が指定した一般教育訓練を申し込み、最初に入学料と受講料を支払います(いったん全額支払う)。その後、講座を修了してハローワークに申請すると、支払った費用の20%が一括で支給されます。

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一般教育訓練給付金は、国(ハローワーク)が雇用保険の失業等給付として実施する教育訓練給付です。正式名称は「一般教育訓練に係る教育訓練給付金」です(雇用保険法施行規則第101条の2の11)。

ハローワークの教育訓練給付について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

年齢制限、回数制限など

一般教育訓練給付金の年齢制限、回数制限はありません(給付金額の上限はあります)。ただし、2回目以降の受給の場合は、前回の受給から3年超経過している必要があります。

他の教育訓練給付金との違い

他の給付金との違いについて、詳しくはこちらをご覧ください。

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2.一般教育訓練給付金の手続きの流れ

講座を申し込んだだけでは支給されません。一般教育訓練給付金を申請するには修了証明書の提出が必要となります。

一般教育訓練給付金の手続き
  • Step
    支給要件照会

    ・ハローワークで支給要件を満たしていることを確認する。
    ・支給要件回答書をもらう

  • Step
    一般教育訓練の受講と修了

    ・一般教育訓練の申込をする(いったん全額支払う)。
    ・一般教育訓練の受講
    ・修了(修了条件をクリアすること)

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  • Step
    申請手続き

    ・講習修了日の翌日から1か月以内に、ハローワークで支給申請を行う。
    ・支給決定後7日以内に口座振り込み(20%給付)

    一般教育訓練給付金の制度をわかりやすく解説します【一般教育訓練給付制度】 _ 211-1d
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3.一般教育訓練とは

一般教育訓練とは、民間事業者の行う講座のうち、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定したものをいいます。一般教育訓練は、原則として1か月以上1年以内の短期の講座を想定したものです。

  • 資格取得:英語検定、簿記検定、ITパスポートなど
  • 大学院など:修士、博士の学位などの取得

一般教育訓練指定講座についてはハローワークで閲覧できるほか、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で探すこともできます。

4.一般教育訓練給付金の支給条件

一般教育訓練給付金の支給を受けるためには、雇用保険に加入し、過去3年間給付を受けていないこと等が条件となります。

一般教育訓練給付金の支給条件

  • 在職者または1年以内の離職者
  • 雇用保険に原則として3年以上加入している(初回の場合は1年以上)
  • 3年以内に給付を受けていないこと
  • 一般教育訓練を修了したこと
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在職者または1年以内の離職者

一般教育訓練の受講開始日に、雇用保険の被保険者である人(在職者)または被保険者であった人(離職者)に限られます。離職者だけでなく、現在在職している人も対象となります。受講開始日までに雇用保険に加入したことが無い人は対象とはなりません。

なお、離職者については、離職の翌日から1年以内(最大20年以内)に限ります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

雇用保険に原則として3年以上加入している

教育訓練の受講開始日までの間に雇用保険に加入していた期間を「支給要件期間」といいますが、支給要件期間が3年以上であることが条件となっています。ただし、初めて一般教育訓練給付金を受給する場合、支給要件期間は3年ではなく、1年でよいです。

この支給要件期間は、同一の事業主である必要はなく、転職しても通算されます。しかし、雇用保険の被保険者になっていた期間が全て通算されるのではなく、1年以上雇用保険に加入していない未加入期間があると、それ以前の期間は通算されません。

3年以内に給付を受けていないこと

2014年(平成26年)10月1日以降、教育訓練給付金を受給したことがある場合は、前回の教育訓練給付金の支給決定日から今回受講開始日前までに3年以上経過していることが必要です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

一般教育訓練を修了したこと

一般教育訓練が始まる前に教育訓練施設に対して受講申し込みをしますが、このとき、教育訓練施設に対して入学料、受講料をいったん全額支払います。講座を申し込んだだけでは支給されません。

一般教育訓練給付金を申請するには、各講座で定められた修了認定基準(出席率、確認テスト、レポート、修了試験など)をクリアし、教育訓練施設に「修了」を認定してもらわなければなりません。一般教育訓練の修了後にハローワークで支給申請をすると支給されます。

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一般教育訓練給付金の支給申請には、教育訓練施設が発行する「教育訓練修了証明書」の提出が必要となります。

5.一般教育訓練給付金の計算方法

一般教育訓練給付金の支給額は、教育訓練経費の20%となります。ただし、支給額の上限は10万円とし、4,000円を超えない場合は支給されません。

なお、一般教育訓練給付金の計算の基礎となる「教育訓練経費」は、本人が教育訓練施設に対して支払ったすべての経費ではありません。教育訓練経費の対象とならない経費を含めて給付金の支給申請をしてはいけません。

注:教育訓練経費の対象外の経費を含めて支給申請をすると不正受給となります。

6.一般教育訓練給付金の申請手続き

支給要件照会、支給要件回答書の取得

一般教育訓練給付金の受給資格があるかどうかをハローワークで調べてもらうこと(支給要件照会)ができますので、あらかじめ確認しておいたほうが良いです。

さらに、受講を希望する教育訓練講座が厚生労働大臣の指定を受けているかどうかについても、ハローワークに照会することができます。

受講申し込みの際に教育訓練給付金支給要件回答書(支給要件照会に対する回答書)の提出を求められることがあります。この場合は、ハローワークに行って支給要件照会を行い、「教育訓練給付金支給要件照会票」に、受講する講座の「指定番号」を記入して、教育訓練給付金支給要件回答書を取得します。

一般教育訓練の申し込み

一般教育訓練を申し込む際には事前の手続きは不要です。一般教育訓練の申込をするときには受講費用(入学金、教材費、授業料など)を全額支払います。

注:申し込みの際には必ず、教育訓練施設に、「一般教育訓練給付金の制度を利用し、修了後に一般教育訓練給付金の支給申請を行う」ことを伝えてください。

一般教育訓練給付金の支給申請

一般教育訓練給付金の申請は、原則として受講修了日の翌日から起算して1か月以内に、住居所を管轄するハローワークに行って「教育訓練給付金支給申請書」を提出します。このとき教育訓練施設が発行する「教育訓練修了証明書」を添付します。

やむを得ない理由によりハローワークへの出頭が困難な場合は、代理人または郵送により手続きを行うことができます。

いつもらえるのか

ハローワークで支給が決定されたら、決定から7日以内に支給されます。一般教育訓練給付金は、支給決定を受けた本人の普通預(貯)金口座への口座振込みによって支給します。

7.補足説明

未支給の一般教育訓練給付金の請求

一般教育訓練給付金の支給を受けることができる者が支給されることなく死亡した場合、その遺族が一般教育訓練給付金の支給を請求することができます。

未支給の一般教育訓練給付金の請求について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

不正受給処分

偽りその他不正の行為により一般教育訓練給付金の支給を受けた場合、不正受給処分(返還命令、納付命令等)を受けます。不正受給処分について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

受給権の保護、非課税

一般教育訓練給付金の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、差し押さえることができません。

また、一般教育訓練給付金は課税されません。つまり、一般教育訓練給付金の支給を受けたとしても、所得税、相続税、住民税等の税金は非課税となりますから、確定申告をする必要はありません。また、扶養に入る際の配偶者控除や扶養控除の所得金額に含める必要もありません。

社会保険(健康保険)においても、一般教育訓練給付金は一時的な収入(一時金)に該当するため、被扶養者の「年間収入」には含まれません。

デメリットと注意点

教育訓練給付制度のデメリットと教育訓練を受ける前の注意点について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

社労士過去問

教育訓練給付金の概要、支給日、支給方法に関する社労士試験の過去問について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。