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厚生労働省の教育訓練給付金対象講座の指定基準、どういう講座が指定されるか _ pr
教育訓練の指定基準

厚生労働省の教育訓練給付金対象講座の指定基準、どういう講座が指定されるか

教育訓練給付金の対象となる講座はあらかじめ厚生労働大臣の指定を受けなければなりません。教育訓練の指定基準は厚生労働省告示により定められています。

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1.厚生労働省の指定基準

指定基準

雇用保険の教育訓練給付金は、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受けなければ支給されません。

そして、厚生労働省告示「雇用保険法第六十条の二第一項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練の指定基準」により、教育訓練の指定基準が定められています。厚生労働大臣の指定を受けるには少なくともこの指定基準をすべて満たしている必要があります。

参考リンク

雇用保険法第六十条の二第一項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練の指定基準
(平成26年厚生労働省告示第237号)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00009100&dataType=0&pageNo=1

指定期間

教育訓練の指定期間は原則として、指定適用日から3年間であり、自動的に更新されるものではありません。指定有効期間の終了後も引き続き厚生労働大臣の指定を希望する場合は、別途、指定有効期間終了日の半年前に更新の手続き(再指定手続き)が必要です。

指定有効期間内に受講を開始した受講者が、教育訓練給付金の支給対象となります。例えば令和4年10月1日から指定を受けた場合、令和4年10月1日から令和7年9月30日までに受講を開始した受講者が教育訓練給付制度を利用できます。受講の終了が指定期間外になっても構いません。

参考リンク

教育訓練給付の講座指定について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku_00001.html

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2.教育訓練実施者の基準

教育訓練を適正に実施すること

厚生労働大臣が指定する教育訓練を実施する教育訓練実施者は、次のいずれにも該当しなければなりません。

教育訓練実施者の基準

  • 当該教育訓練を継続的に安定して遂行する能力を有する
  • 当該教育訓練を適切に実施するための組織及び設備を有する
  • 厚生労働省が行う調査等に協力し、かつ、その指導及び助言に従う
  • 教育訓練給付制度に係る事務等を適正に実施する

破産、民事再生法に基づく再生手続開始、会社更生法に基づく更生手続開始、金融機関との取引停止がなされる原因となる不渡り手形の発生等、倒産のおそれがないものであることが必要であり、当該事実が生じた場合は、指定の取消し等となります。

厚生労働省が行う調査等に対し、虚偽の記載をした場合や報告を怠った場合等には、指定の取消し等となります。

取り消しから5年経過

教育訓練の運営における不適正な行為等により指定を取り消された場合は、その取消しの日から5年を経過しなければ再度申請することはできません。

また、教育訓練を実施する者が法人または団体である場合においては役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権または支配力を有する者を含む。)のなかに、教育訓練を実施する者として著しく不適当であると認められる者が含まれていてはいけません。

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3.教育訓練講座の基準

受講者

受講者は広く社会人一般を対象としたものとし、教育訓練給付金制度を利用しない人も平等に受講できなければなりません(定員は設定できる)。教育訓練給付金の支給対象者とそれ以外の受講者を区別してはいけません。年齢、性別等不合理な制限を設定した講座は指定の対象とはなりません。

また、企業内の社員のみを対象とする研修や、特定の会員のみに受講を限定する講座は指定の対象となりません。

ただし、教育訓練給付金制度の目的外利用(趣味的・教養的受講者)を防ぐため、次のような受講者要件を設定することが望ましいとされています。

受講者要件の例

  • 講座内容に関連する業務に係る実務経験を有するまたは現に従事している
  • 講座による習得知識・技能が必要となる職業に就くことを希望している
  • 一定程度以上の知識・技能を有し、訓練目標の受験資格等に照らして受講修了により資格取得が見込まれる

教育訓練のレベル

雇用の安定及び就職の促進を図るために必要と認められる、真に職業に役立つ教育訓練でなければなりません。

職業との関連が希薄なもの、職業に生かすことが困難なものは指定されません。また、高等学校の課程で修得できる水準や、一般ビジネス社会において通常の事務処理として行われているパソコン操作技能程度の水準の講座は指定の対象となりません。

指定教育訓練にはならない

  • 趣味的または教養的な教育訓練
  • 入門的または基礎的な水準の教育訓練

教育訓練の内容について

当該教育訓練の受講開始時にあらかじめ目標資格等(当該教育訓練がその取得を目標とする公的職業資格又は学位等)、受講認定基準、修了認定基準が明確に設定され、適切に受講されたことを確認し、修了させるものであることが必要です。

また、当該教育訓練について、適切に指導することができる指導者を有し、当該教育訓練の内容、受講に要する費用等に照らし、適正な教材でなければなりません。

教育訓練経費について

教育訓練経費は、教育訓練の受講のために支払った費用のうち入学料及び受講料の合計額のことです。

厚生労働大臣の指定を受けるには必ず、教育訓練経費が20,005円以上でなければなりません。

なお、教育訓練経費は、当該教育訓練を運営するため必要な範囲内で合理的に算定された額であって、かつ、他の同様の教育訓練に係る受講費用の水準等からみて当該額が適正であると認められるものでなければなりません。

また、教育訓練給付金の支給対象者とそれ以外の受講者との間で、教育訓練経費について異なる取り扱いをしてはいけません。

責任者、担当者

特定一般教育訓練と専門実践教育訓練については特に、当該教育訓練が行われる施設ごとに次の担当者を置かなければなりません。

  • 当該施設において行われる当該教育訓練の適正な実施の管理に関する専任の責任者
  • 苦情の処理に関する業務を公正かつ的確に遂行する担当者
  • 受講者からの手続に関する問合せ等に常時対応する担当者

4.一般、特定一般、専門実践教育訓練の指定基準

各教育訓練の指定基準

教育訓練の課程が適切に編成され、教育訓練を適正に実施するために訓練期間及び時間が通常必要なものと認められるものでなければなりません。一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練について、それぞれ教育訓練講座の基準があります。

なお、公務員試験対策講座や教員採用試験対策講座等、採用試験を目標とする教育訓練は、訓練効果が明確に測定できないため、指定の対象とはなりません。

複数の種類の指定を受けることはできない

一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練は、それぞれ一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の指定基準を満たす必要があります。

教育訓練施設は、1つの講座について教育訓練給付対象講座の指定の申請をする際、一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練のうちいずれか1つを選択して申請しなければなりません。一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練のうち2つ以上の指定基準を満たしている場合であっても、同じ講座について、2種類以上の指定を受けることはできません。

そのため、1つの講座を受講するだけで、一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金のうち2種類以上の給付金を受給することもできません(教育訓練支援給付金は併用できます)。

5.その他の指定基準

通信制講座については追加の指定基準があります。

その他の指定基準は厚生労働省告示「雇用保険法第六十条の二第一項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練の指定基準」をご覧ください。

参考リンク

雇用保険法第六十条の二第一項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練の指定基準
(平成26年厚生労働省告示第237号)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00009100&dataType=0&pageNo=1

6.指定された教育訓練の検索

厚生労働大臣指定の教育訓練は上記の基準を満たしています。指定された教育訓練は厚生労働省の検索システムで検索することができます。

7.指定の取り消しと廃止

厚生労働大臣指定の対象講座または指定教育訓練を実施している教育訓練施設が、指定基準を満たしていないことが判明した場合、指定期間(3年間)の途中であっても取り消しとなります。取り消された場合は教育訓練給付金の対象外となります。

指定期間(3年間)を更新することなく終了した場合や教育訓練施設が講座の廃止を届け出た場合も教育訓練給付金の対象外となります。

また、指定教育訓練を実施している教育訓練施設が不当な広告や勧誘を行っていることが判明した場合も指定の取り消しとなります。

8.補足説明

社労士過去問

教育訓練の指定基準に関する社労士試験の過去問について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。