教育訓練の指定基準

通信制の指定教育訓練を受講する際の注意事項と指定基準【通信講座まとめ】

厚生労働大臣指定の教育訓練給付金対象講座のうち通信制の講座を受講する際の注意事項と、通信制講座が指定される基準に関する説明です。

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1.通信制講座とe-ラーニング

通学制と通信制

教育訓練の実施方法(訓練内容)の区分には、通学制と通信制があります。

通学制は教育訓練施設が対面かつ一斉授業を実施し、受講者本人が教室などの教育訓練実施場所に出席して学習する方法です。通信制は教材を受講者宛てに送付して主に自宅等で学習する方法です。

一つの教育訓練のカリキュラムのなかで通学制と通信制の両方を組み合わせて実施する場合もあります。

通学制はもちろんのこと、通信制講座についてもハローワークで閲覧できるほか、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で探すこともできます。

e-ラーニング

通信制の講座には、テキスト、印刷された教材、電子データを保存したCD、DVD等を受講者あてに送付する従来の通信教育のほかに、教材を送付せずパソコンやタブレット、スマートフォン等の情報端末を使ってインターネットなどのコンピュータネットワーク(情報通信技術)を利用して学ぶ「e-ラーニングe-learning)」があります。

e-ラーニングではデジタル教材を配信するだけでなく、LMS(学習管理システム=Learning Management System)により受講者の学習状況、習熟度を把握して従来の通信教育と同等の指導を実施します。e-ラーニングの教育を受ける場合、受講者は、学習に使用する情報端末の操作やシステムへのログイン・ログアウトの操作を理解していなければなりません。

一つの通信制教育訓練のカリキュラムのなかで従来の通信教育とe-ラーニングの両方を組み合わせて実施する場合もあります。

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2.通信制に該当しないもの

通学制教育訓練で、宿題や提出物等を提出するときにのみインターネット環境を利用する場合は通信制には該当しません

また、対面授業の様子を別の会場にライブ配信して授業補助者が質問対応をする授業(サテライト授業)などのように、通学制教育訓練と同様の教育効果を有すると認められるものは通信制には該当しません。

通信制に該当しない

  • 電子メールやWebサイトを使って宿題や提出物等を提出するときにのみインターネット環境を補充的に利用する場合
  • 同時かつ双方向に行われるものであって、講座を行う教室等以外の教室、研究室またはこれらに準ずる場所において教育訓練を実施する場合
  • 毎回の講座の実施にあたって、指導補助者が教室等以外の場所において受講者に対面することにより、または当該授業を行う教員や指導補助者が当該授業の終了後速やかにインターネットその他の適切な方法を利用することにより、設問解答、添削指導、質疑応答等による十分な指導をあわせて行うものであって、かつ、当該授業に関する受講者との意見交換の機会が確保されている場合
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3.通信制講座の指定基準の追加条件

通信制講座を受講して教育訓練給付金を受給するには、その講座が厚生労働大臣指定の教育訓練給付金対象講座でなければなりません。通信制の教育訓練が厚生労働大臣の指定を受けるためには、通学制と同様に厚生労働省の指定基準を満たしている必要があります。

さらに、通信制講座は、通学制講座と比べて教育訓練の質を的確に把握することが容易でないため、通常の指定基準に加えて、適切な本人確認の手段、学習進捗状況を把握する仕組み、訓練目標達成のための指導体制の整備などが求められます。通学制と併存させて一部通信制を実施している場合は、通信制の部分についてこれらの追加要件を満たしていなければなりません。

通信制講座の指定基準追加要件

  • 厳格な方法による本人確認
  • 学習進捗状況の把握
  • 訓練目標達成のための指導体制の充実

厳格な方法による本人確認

通信制講座の場合、受講者に直接対面しないので適切な方法により受講者の本人確認を行うことが必要です。具体的には、身分証明証の定期的な提示(またはコピーの送付)や提出物に本人にのみ交付するIDを記載させるなどの方法が考えられます。

また、e-ラーニングで教育訓練を実施する場合は、本人のみに交付するIDとパスワードによりログインさせることに加え、動画配信・メール・電話等により、本人とチューター間の直接のコミュニケーションを組み込むなど、複数の方法を組合せて本人であることをより確実に確認します。

学習進捗状況の把握

通信制講座の場合、標準学習期間の設定、受講者の受講状況の確認、学習到達度の把握が必要です。特に、e-ラーニングで教育訓練を実施する場合は、LMSにより学習進捗状況をきめ細かに管理し、学習のつまずき・停滞をリアルタイムで検知するなど、的確なフォローアップが必要です。

通信制講座のカリキュラムに、必ずしもスクーリング(学校に登校して指導を受ける対面授業)を設定する必要はありませんが、その場合であっても、適正な本人確認及び学習進行管理を行う必要があります。

訓練目標達成のための指導体制の充実

訓練目標を達成するために必要な数の添削指導員を配置し、受講者に対し到達度のフィードバックをする等の体制を整えることが必要です。ただし、添削指導員が常勤でなく非常勤である場合も、理由が適切と判断される場合は差し支えありません。

受講者からの問合せや添削指導などを外部委託するなど、主体的な教育訓練実施者とみなせない場合は指定されません。ただし、主体的な教育訓練実施者とみなせる範囲での外部委託は可能です。

「主体的な教育訓練実施者とみなせる範囲での外部委託」とは、例えば、教育訓練実施者が行う場合と同程度の質の確保をすることを条件に外部委託する場合、具体的には、問合せ対応の内容のうち定型的なものについて回答マニュアル等を作成し、その内容を回答することを外部委託する、または添削のうちマニュアルの作成で一義的に対応が可能な部分について外部委託する等をいいます。

特に、試験対策の通信講座の場合、例えば質問の機会を十分に設けた上で迅速かつ適切な指導を行い、添削指導においても十分な解説を行うなど、単なる教材販売と比べてメリットが十分認められるものであることが必要です。

4.訓練期間、訓練時間

一般教育訓練、特定一般教育訓練の場合、訓練期間が3か月以上1年以内となります。また、専門実践教育訓練の場合は訓練期間1年以上3年以内(4年課程の場合は4年以内)です。

通信制は、通学制とは異なり、訓練時間(受講時間=出席すべき時間数)の制限はありません。

5.住所の変更の注意点

教育訓練給付金の支給申請を行う際には、受講者本人の住居所(身分証明書等で証明できる住居所)を管轄するハローワークに支給申請書を提出します。このとき、支給申請書にその住居所を記入しなければなりません。勤務先等の住所は不可です。

また、教育訓練施設が発行する教育訓練修了証明書や受講証明書、領収書等の書類には受講者本人の住居所が記載されていなければなりません。

そのため、教育訓練施設に受講の申し込みをする際には必ず受講者本人の現在の住居所を正確に記入します。受講申し込み後に転居した場合は、教育訓練施設に新しい住所をすみやかに届け出なければなりません。

通信制講座の場合、教材等の受け取りの便宜上、勤務先等の住所を教材等の送付先に指定してもかまいませんが、その場合であってもあわせて本人の住所も届け出なければなりません。

なお、特定一般教育訓練と専門実践教育訓練の場合、受講開始前にハローワークから交付されている受給資格確認通知書または受給資格者証に受講者本人の住所が記載されているため、教育訓練施設だけでなくハローワークにも変更の届け出をしなければなりませんが、ハローワークへの届け出については急ぐ必要はなく、支給申請等でハローワークに出頭したときのついでに届け出をすればよいです。

6.受講開始日の注意点

受講開始日

受講開始日とは、受講者が教育訓練の受講を開始した日で、教育訓練実施者が証明する日です。この受講開始日は支給要件期間や適用対象期間等の計算の基準日であり、受講者の受給資格の可否を決定する重要な日付です。

受講開始日が当初の予定から変更されると受講者によっては受給資格を失ったり、逆に、受給資格が無いとされていた者が受給資格を得たりする可能性があります。教育訓練ごとに「受講開始日」の定義が異なると、受講者間で不公平となるとともにトラブルが発生する原因となります。

開講日が決まっている場合

通信制の教育訓練給付金対象講座における受講開始日は、通学制と同じく教育訓練の所定の開講日です。初回の教材等を発送する日が決まっている場合はその発送日を受講開始日とします。e-ラーニングについては、IDやパスワードを発送(発信)した日でもよいです。

ただし、初回の教材等を発送する前に「入学式の日」「受講者が出席すべきオリエンテーションの日」等、通信制の受講生が最初に出席しなければならない特定の開講日がある場合は、その日を受講開始日とすることも可能です。

また、インターネット等により講義内容を配信する期間が決まっている通信制の場合は、教材も任意教材である場合があること等から、最初に配信する日を受講開始日とすることも可能です。この場合、インターネットによる配信期間のうち受講生が受講を開始した任意の日(第1回受講日)を受講開始日とするのではなく、配信開始日など明確に受講開始日を特定することが必要です。

教材等をはじめて発送した日

あらかじめ受講開始日を定めていない場合は、受講希望者が受講を申し込んだ後または入金確認後、「教育訓練施設が受講者宛てに教材等をはじめて発送した日」が受講開始日となります。

教育訓練施設が事務処理の便宜等から設定した任意の日ではありません。また、受講者が申し込みや入金をした日ではなく、教材等が到着した日でもありません。

また、受講申し込みまたは入金確認次第、初回の教材等を発送することとなっている場合は、トラブル防止のため、すみやかに教材等を発送するとともに、教育訓練施設が受講者に対して「教材等をはじめて発送した日(受講開始日)」を文書で通知することになっています。

いずれの場合も初回の教材等を受け取ったら必ず「受講開始日」と受給資格の有無を確認しましょう。

受講開始日に変更があった場合

受講開始日が変更になった場合や、ハローワークから交付されている受給資格確認通知書または受給資格者証に記載されている受講開始予定日と実際の受講開始日が異なる場合は、受講者がハローワークへ届け出なければなりません

なお、「厚生労働大臣指定教育訓練講座一覧」に記載された「開講月」は開講予定時期を記載しているにすぎないので、受講開始日が「開講月」と異なっているだけであれば届け出不要です。

厚生労働大臣の指定期間内にあること

教育訓練給付金対象講座は厚生労働大臣の指定を受けると無期限に開講できるものではなく、3年間の期間を設けて指定します。この3年間を「指定期間」といいます。3年を超えて開講したい場合は教育訓練実施者が指定期間更新の申請をしなければなりません。

教育訓練給付金の支給を受けるためには、受講した講座が厚生労働大臣指定講座であり、かつ、受講開始日がその指定期間内にあることが必要となります。指定期間外に受講を開始した場合は給付金の対象となりません。

指定期間は、厚生労働省の教育訓練講座検索サイトで確認することができます。

7.教育訓練経費等確認書

通信制の対象教育訓練について給付金の支給申請をする場合、添付書類として教育訓練経費等確認書を提出します。教育訓練経費等確認書は必ず申請者本人(受講者本人)が記入します。これにより講座の修了にあたって修了試験を適切に受けたか否か、講座の目標とする資格試験等の受験日または受験予定日(受験していないまたは受験する予定がない場合はその理由)を確認します。

8.教育訓練支援給付金の対象外であること

教育訓練支援給付金は、受給資格を有する者が労働の意思及び能力を有するにもかかわらず職業に就くことのできない状態にある日について支給を受けることができます。専門実践教育訓練を受講するために就業することができない場合に支給されます。

いっぱんに通信制の専門実践教育訓練の場合は就業を継続しながら教育訓練を受講することが可能なので、原則として、教育訓練支援給付金の支給対象とはなりません(専門実践教育訓練給付金の支給のみとなる)。

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教育訓練給付金.JP