未支給の給付金

教育訓練給付が支給される前に本人が死亡した場合の請求方法【未支給給付金まとめ】

雇用保険法上の保険給付が支給されるはずの受給資格者が受給する前に死亡した場合、受け取っていない給付のことを「未支給の給付」といいます。未支給の給付は遺族が請求すれば受け取ることができます。

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1.未支給の教育訓練給付

教育訓練給付の支給を受ける資格のある人(受給資格者)が、教育訓練給付の支給を受ける前に死亡した場合、死亡者本人に支給されていない給付があるときは、死亡した受給資格者の遺族がその未支給の教育訓練給付の支給を請求することができます。

参考法令
雇用保険法 第10条の3第1項

失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その者に支給されるべき失業等給付でまだ支給されていないものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の失業等給付の支給を請求することができる。

未支給の一般教育訓練給付金

一般教育訓練給付金の支給要件を満たす支給対象者が、一般教育訓練を修了したにもかかわらず給付金の支給を受けることなく死亡した場合、支給対象者の遺族は、未支給の一般教育訓練給付金の支給を請求することができます。

未支給の特定一般教育訓練給付金

特定一般教育訓練給付金の支給要件を満たす支給対象者が、特定一般教育訓練を修了したにもかかわらず給付金の支給を受けることなく死亡した場合、支給対象者の遺族は、未支給の特定一般教育訓練給付金の支給を請求することができます。

未支給の専門実践教育訓練給付金

専門実践教育訓練給付金の支給要件を満たすとして受給資格の決定を受けた受給資格者が、修了の見込みをもって専門実践教育訓練の支給単位期間(6か月)の受講を終えたにもかかわらず給付金の支給を受けることなく死亡した場合、支給対象者の遺族は、未支給の専門実践教育訓練給付金の支給を請求することができます。

追加給付についても同様です。

未支給の教育訓練支援給付金

離職後ハローワークに出頭し、教育訓練支援給付金の支給要件を満たすとして受給資格の決定を受けた受給資格者が、修了の見込みをもって専門実践教育訓練を受講したことにより教育訓練支援給付金が支給されるはずだったのに、給付金の支給を受けることなく死亡した場合、支給対象者の遺族は、未支給の給付金の支給を請求することができます。

すでに失業認定を受けた後に死亡した場合に給付金の支給を請求できるのはもちろんのこと、本人が死亡したために失業の認定を受けることができなかった期間がある場合は、その期間についてあらためて失業認定その他支給要件の確認を受けたうえで給付金の支給を請求することができます。

ただし、本人が修了の見込みをもって専門実践教育訓練を受講した場合に支給されるのであって、死亡の日を含む支給単位期間については、当該専門実践教育訓練を修了する見込みがなくなっていますので支給されません。

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2.相続ではない

教育訓練給付を請求する権利はいわゆる一身専属権であり、他の人に権利が移転しないので相続もできませんし差し押さえもできません。

参考法令
雇用保険法 第11条

失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。

遺族が未支給の給付を受けられる権利は死亡によって相続されたのではなく、雇用保険法が特別に認めた遺族の権利です。遺族が未支給の給付金を請求できる権利は相続財産ではありません。所得税も贈与税も相続税もかかりません

遺産分割の対象でもありませんし、生前贈与もできませんし、遺言で受け取る人を定めることもできません。また、遺産ではないので請求者以外に相続人がいても渡す必要はありません。相続放棄した者であっても請求することができます。

未支給の給付金は相続財産ではない

  • 相続できない
  • 遺産分割できないし、遺産分割の対象でもない
  • 生前に贈与することはできない
  • 遺言の対象ではないし、遺言の中に何らかの記載があっても無効
  • 相続人が複数いても無視してよい
  • 相続放棄したものも請求できるし、受給した後に相続放棄しても返還不要
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3.未支給の給付金を請求できる遺族

支給されるべき教育訓練給付がまだ支給されていないときは、本人の遺族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者が、自己の名でその未支給の給付金の支給を請求することができます。

遺族の範囲

未支給の給付金を請求できる遺族は、死亡者本人の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものです。

自己の名

相続ではないので本人の法定代理人ではなく、「自己の名」つまり遺族自身の名義で請求します。給付金も遺族自身が所有する遺族名義の口座に振り込まれますから、その振込口座を届け出る必要があります。

4.未支給の給付金の請求方法

未支給教育訓練給付金または未支給教育訓練支援給付金を受けようとする遺族は、死亡した日の翌日から起算して6か月以内に、死亡者本人の死亡当時の住居所管轄ハローワークに出頭して未支給失業等給付請求書を提出します。

5.未支給の教育訓練給付が支給される日

未支給の教育訓練給付は支給決定をした日の翌日から起算して7日以内に支給されます。当該未支給給付請求者の普通預(貯)金口座へ振り込まれます。

また、代理人に対する支払や隔地払も認められます。代理人に対して支払うときは、代理権を有することについての委任状を提出します。

参考法令
雇用保険法施行規則 第17条の3

死亡者に係る公共職業安定所の長は、未支給給付請求者に対する失業等給付の支給を決定したときは、その日の翌日から起算して七日以内に当該失業等給付を支給するものとする。

6.失踪宣告を受けた場合

民法の規定に基づき家庭裁判所から失踪宣告を受け、死亡したものとみなされた場合も同様です。

7.申請期限と時効について

申請期限6か月以内、消滅時効2年

上記のとおり、未支給の教育訓練給付の申請期限は、死亡者本人が死亡した日の翌日から起算して6か月以内です。

参考法令
雇用保険法施行規則 第17条の2第1項前段

法第十条の三第一項の規定による失業等給付の支給を請求しようとする者(以下「未支給給付請求者」という。)は、死亡した受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者、日雇受給資格者又は就職促進給付、教育訓練給付金若しくは雇用継続給付の支給を受けることができる者(以下この節において「受給資格者等」という。)が死亡した日の翌日から起算して六箇月以内に、未支給失業等給付請求書(様式第十号の四)に当該受給資格者等の死亡の事実及び死亡の年月日を証明することができる書類、未支給給付請求者と死亡した受給資格者等との続柄を証明することができる書類並びに未支給給付請求者が死亡した受給資格者等と生計を同じくしていたことを証明することができる書類を添えて死亡者に係る公共職業安定所の長に提出しなければならない。

未支給給付金の支給を受ける権利は、その権利を行使することができる時から2年経過すると消滅します(雇用保険法第74条第1項)。そのため、申請期限を過ぎた場合であっても、死亡した日の翌日から起算して2年以内であれば申請することができます。

申請期限の改正

未支給の給付の申請期限について、以前は、死亡を知った日の翌日から1か月以内、天災等やむを得ない理由があることを証明できる書類を添付することができる場合は当該理由がやんだ日の翌日から7日以内、正当な理由があるときは6か月以内などの規定がありましたが、2015年(平成27年)4月1日にすべて廃止されました。

現在は上記のとおり、理由の有無にかかわらず申請期限6か月以内、消滅時効2年となっています。

参考法令
雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(平成27年3月31日厚生労働省令第60号)(抜粋)

第十七条の二第一項中「未支給失業等給付請求書(様式第十号の四)に」を削り、「受給資格者等」という。 ) 」の下に「が死亡した日の翌日から起算して六箇月以内に、未支給失業等給付請求書(様式第十号の四)に当該受給資格者等」を加え、同条中第三項から第五項までを削り、第六項を第三項とし、同条第七項中「、第五項」を削り、同項を同条第四項とする。

注:改正前の古い規則が掲載されているサイトや書籍がありますのでご注意ください。

8.補足説明

不正受給処分

政府は、偽りその他不正の行為により未支給の給付の支給を受けた者に対して、返還命令、納付命令等を行うことができます(雇用保険法第10条の4)。

受給権の保護と非課税

未支給の給付は課税されません。

つまり、未支給の給付の支給を受けたとしても、所得税、相続税、住民税等の税金は非課税となりますから、確定申告をする必要はありません。また、扶養に入る際の配偶者控除や扶養控除の所得金額に含める必要もありません。

社会保険(健康保険)においても、未支給の給付は一時的な収入(一時金)に該当するため、被扶養者の「年間収入」には含まれません。

参考法令
雇用保険法 第12条

租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。

未支給の給付の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、差し押さえることができません。

参考法令
雇用保険法 第11条

失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。

社労士過去問

未支給失業等給付の請求に関する社労士試験の過去問について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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