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専門実践教育訓練給付金が70%となる条件、デメリット、追加給付を受けられない例【追加給付まとめ】 _ pr
専門実践教育訓練給付金申請手続き

専門実践教育訓練給付金が70%となる条件、デメリット、追加給付を受けられない例【追加給付まとめ】

専門実践教育訓練給付金は教育訓練経費の50%ですが、専門実践教育訓練を修了し、資格を取得するとともに一般被保険者等として就職することができた場合、教育訓練経費の70%の支給を受けることができます。

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1.専門実践教育訓練給付金の「追加給付」とは

専門実践教育訓練給付金は通常、教育訓練経費の50%が支給されます。

さらに、専門実践教育訓練給付金(50%)を受給していた人が専門実践教育訓練を修了し、資格取得等し、修了後1年以内に一般被保険者等として雇用された場合、専門実践教育訓練給付金は教育訓練経費の70%となります。

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なお、70%のうち、50%については教育訓練の受講中に「専門実践教育訓練給付金」として支給されているため、追加で支給されるのは20%相当額(50%相当額としてすでに支給している額との差額)となります。

これを、「専門実践教育訓練給付金の追加給付(追加支給)」といいます。

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2.追加給付の3つの条件

追加給付の条件は次の3つの条件をすべて満たすことです。これら3つの条件の順序は問いませんが、3つの条件を同時に満たしている状態で給付金の支給を申請しなければなりません。なお、年齢制限はありません。

追加給付の条件

  • 専門実践教育訓練を修了したこと
  • 当該専門実践教育訓練修了前または修了から1年以内にあらかじめ当該専門実践教育訓練で定められた資格の取得等をしたこと
  • 当該専門実践教育訓練を修了した日の翌日から起算して1年以内に一般被保険者等として雇用された、または雇用されていること
参考法令
雇用保険法施行規則 第101条の2の7第3号  三 支給要件期間が三年以上である者であつて、専門実践教育訓練を受け、修了し、当該専門実践教育訓練に係る資格の取得等をし、かつ、一般被保険者又は高年齢被保険者(特例高年齢被保険者を除く。以下この号及び第百一条の二の十二第六項において同じ。)として雇用された者(当該専門実践教育訓練を受け、修了した日の翌日から起算して一年以内に雇用された者(当該専門実践教育訓練を受け、修了した日の翌日から起算して一年以内に雇用されることが困難な者として職業安定局長の定める者を含む。)に限る。)又は雇用されている者(当該専門実践教育訓練を受け、修了した日において一般被保険者又は高年齢被保険者として雇用されている者であつて、当該修了した日の翌日から起算して一年以内に資格の取得等をしたものに限る。) 百分の七十

専門実践教育訓練を修了したこと

専門実践教育訓練給付金の受給資格者として資格決定を受け、当該専門実践教育訓練を修了することが必要です。修了と認定された場合、教育訓練施設から修了証明書が交付されます。

資格の取得等をしたこと

専門実践教育訓練は、あらかじめ資格の取得等の目標とそれを取得すべき時期が設定されており、教育訓練受講開始日までに明示されています。

当該専門実践教育訓練の受講開始日において予定されている最初の試験で資格の取得等をしていることが必要です。資格の取得等は訓練修了前または修了から1年以内になされていなければなりません(後述)。

一般被保険者等として雇用されていること

当該専門実践教育訓練を修了した日において就職していない場合、当該専門実践教育訓練を修了した日の翌日から起算して1年以内に一般被保険者等として雇用されていることが必要です。当該専門実践教育訓練を修了する時点において、すでに一般被保険者等として就職している場合(就労しながら教育訓練を受けている場合も含まれます)はこの条件を満たしています。

なお、一般被保険者等とは、雇用保険の一般被保険者と高年齢被保険者のことですが、2022年(令和4年)以降の特例高年齢被保険者(マルチジョブホルダー)は含まれません。

注:雇用保険の被保険者資格を取得できない公務員等として就職した場合は支給対象とはなりません。

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3.事業主の証明が必要(デメリット)

通常の専門実践教育訓練給付金(50%)は、勤務先の事業主とは関係なく、本人の意思だけで支給を受けることができます。会社に連絡されることもなく、バレる心配もありません。

しかし、専門実践教育訓練給付金の追加給付(70%)は、上記のとおり「一般被保険者又は高年齢被保険者として雇用されている」ことが条件となっています。そのため、追加給付の支給申請の際に、「就職年月日」と「就職先事業所名」を記入しなければなりません。

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さらに、雇用保険の被保険者に該当すること(労働条件等)について事業主の証明を必要とするため、就職した先の事業主の協力を得る必要があります。すでに一般被保険者等として就職している場合や就労しながら教育訓練を受けている場合は、現在の事業主の証明が必要です。支給申請の際に会社にバレることになります。

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ハローワークが事業主に連絡して確認することもあるため、事業主の協力を得られない場合、追加給付は支給されません。この場合は、専門実践教育訓練給付金(50%)のみの支給となります。

注:追加給付の条件を満たしたとしても(雇用されていることが事実であったとしても)、就職先の事業主(勤務先)の協力を得られない場合は支給申請をすることができません。
また、事業主が支給申請に協力する義務はありません。

4.追加給付の支給申請手続

追加支給の申請期間、申請方法

専門実践教育訓練給付金の追加給付については、追加給付の条件を満たした日の翌日から起算して1か月以内に申請をしなければなりません(支給申請期間)。「追加給付の条件を満たした日」とは、上記の3つの条件をすべて満たした日であり、3つの順番を問いません。

追加給付の支給を受けるには、住居所管轄ハローワークに、追加給付用の「教育訓練給付金支給申請書」と証明書類を提出します。

支給決定の通知、給付金の振込

ハローワークが給付金の支給決定または不支給決定を行ったときは、申請のときに提出した教育訓練給付金受給資格者証の裏面にその決定内容を印字出力し、返却します。郵送及び電子申請の場合は、後日郵送によって返却されます。

支給決定を行ったときは20%相当額が一括で支給されます。支給決定日の7日以内に指定の口座に振り込まれます。教育訓練給付金の口座振込の手続については、専門実践教育訓練給付金(50%)と同じです。

5.資格の取得等の注意点

資格の取得等については次の点に注意します。

修了後最初の試験に合格すること

「訓練受講開始日に予定された時期」とは、当該専門実践教育訓練のカリキュラム上、受講開始日の時点で目標とする資格取得等をする時期のことです。

このため、1年に複数回資格取得等に必要な試験等が実施される場合であっても、訓練受講開始日に予定されていた最初の試験に限られます。当該専門実践教育訓練修了後に試験等を受けることとされている場合、修了後最初の試験等がこれに該当します。

登録が必要な資格は登録もすること

業務独占資格の場合、資格試験の合格後、資格の登録や免許の取得等の手続きを要することがあります。

この場合は、資格試験の合格だけではなく、資格の登録手続や免許の取得等も完了しなければなりません。つまり、試験合格者ではなく「資格者」にならなければなりません。

取得すべき目標資格が無い場合

資格の取得ではなく、修了や学位取得が目標とされている講座の場合は、その修了や学位取得をもって、「資格の取得等」と同等であるとみなされます。この場合、修了や学位取得を証明できる書類を提出すればよいです。

6.追加給付の支給を受けられない例

例えば、試験の準備が足りなかったため受験等をしなかった場合、受験等の時期をずらした場合、受験等したものの資格取得等ができなかった場合は受給できません。

一発合格ではない場合

「受講した専門実践教育訓練が目標としている資格取得等」とは、訓練受講開始日に予定されていた最初の試験で資格取得等することをいいます。

資格取得に必要な試験が1年間に複数回実施されるときに、受講開始時に受験が予定されていた最初の試験で資格取得等をしなかった場合は、支給対象となりません。仮に、不合格となった試験の次の試験に合格して資格取得等をしたとしても支給対象とはなりません。また、訓練修了前または訓練修了の翌日から起算して1年以内に就職したとしても支給対象とはなりません。

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修了年度の翌年度の試験等を受験できなかった場合

当該専門実践教育訓練であらかじめ定められた資格の取得等に必要な試験が、当初から修了年度の翌年度に予定されている場合、その試験をインフルエンザ等感染症や法令の定めによる事由で受験できなかった場合は支給対象とはなりません。

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インフルエンザ等感染症や法令の定めによる事由で受験できなかった場合に支給対象となるのは、資格の取得等に必要な試験が修了年度にある教育訓練に限られます。

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訓練修了前に就職したが、訓練修了前に離職した場合

訓練修了日の当日または訓練修了日の翌日から1年以内に就職していなければ支給対象となりません。したがって、訓練修了前に就職したとしても、訓練修了前に離職した場合は支給対象とはなりません。

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ただし、離職した後、訓練修了前に再就職をすれば(再離職しなければ)支給対象となります。また、訓練修了の翌日から1年以内に再就職した場合も支給対象となります。

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資格取得等の前に離職した場合

当該専門実践教育訓練を修了し、就職したとしても、資格取得等の前に離職した場合は支給対象とはなりません。

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ただし、資格取得等の後であっても、訓練修了の翌日から起算して1年以内に再就職した場合は支給対象となります。

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7.1年以内に就職することが困難な場合

追加給付の条件のうち「専門実践教育訓練を修了した日の翌日から起算して1年以内に就職すること」が困難な事情がある場合、次の年度で就職すれば追加給付の支給を受けられます。

なお、この場合であっても、専門実践教育訓練の修了と資格の取得等の条件を満たしている必要があります。

追加給付の条件

  • 専門実践教育訓練を修了したこと
  • 当該専門実践教育訓練修了前または修了から1年以内にあらかじめ当該専門実践教育訓練で定められた資格の取得等をしたこと
  • 当該専門実践教育訓練を修了した日の翌日から起算して1年以内に一般被保険者等として雇用された、または雇用されていること【困難な場合】

1年以内に雇用されることが困難な場合に、追加給付の支給を申請できる期間は、次の年度で就職したことにより追加給付の条件を満たした日の翌日から起算して1か月以内です。

感染症に感染した場合

当該専門実践教育訓練の受講開始の際に、訓練の修了年度に実施される資格の取得等に必要な試験を受けることが予定されていたにもかかわらず、本人がインフルエンザ等の感染症に感染し、修了年度に実施される資格の取得等に必要な試験を受けることができなかった場合、翌年度の試験を受験すればよいです。

支給申請の際に医師の証明により感染の事実を確認することとなるため、支給申請の時まで証明書類を保管しておかなければなりません。

この場合、翌年度の試験に合格するとともに、資格を取得した年度の次の年度当初(訓練修了年度の翌々年度当初)までに一般被保険者等として就職すれば支給申請が可能です。

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この措置は、訓練の修了年度に試験を受けることが予定されている場合に限られます。当該専門実践教育訓練の受講開始の際に、専門実践教育訓練の修了年度の翌年度に資格の取得等に必要な試験を受けることが予定されている場合はこれに該当しません。雇用保険の一般被保険者等として雇用されたとしても、追加給付の条件を満たしません。

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法令により受験できなかった場合

当該専門実践教育訓練の受講開始の際に、訓練の修了年度に実施される資格の取得等に必要な試験を受けることが予定されていたにもかかわらず、国会や裁判所等官公署への出頭など法令の定めがある事由により、資格の取得等に必要な試験を受けることが出来なかった場合は、受講修了年度の次年度の資格試験等を受けて資格取得等し、受講修了年度の翌々年度当初までに一般被保険者等として就職すれば支給申請が可能です。

この措置は、国会の参考人や裁判員等として出頭する場合にはやむを得ないものとして緩和するものであり、逮捕勾留されている場合や裁判の当事者などは含まれません。

この場合も、訓練の修了年度に試験を受けることが予定されている場合に限られます。当該専門実践教育訓練の受講開始の際に、専門実践教育訓練の修了年度の翌年度に資格の取得等に必要な試験を受けることが予定されている場合はこれに該当しません。雇用保険の一般被保険者等として雇用されたとしても、追加給付の条件を満たしません。

法科大学院を修了し、試験等を経て法曹資格を得る場合

専門実践教育訓練として受講した法科大学院を3月末に修了し、その翌年度の5月に司法試験を受験して合格し(合格発表は9月)、最高裁判所司法研修所に採用されて司法修習(1年間)を開始すると、司法修習の修了試験である司法修習生考試は、専門実践教育訓練の修了年度の翌々年度の秋以降になります。

この場合、追加給付の条件である法曹資格を得るのが翌々年度なので、翌翌々年度当初までに一般被保険者等として就職すれば支給申請が可能です。

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専門実践教育訓練の修了が年度末間近の場合

専門実践教育訓練を年度末間近に修了し、訓練開始当初に受験を予定された試験等が当該教育訓練修了の翌年度にあるため、翌々年度当初に就職することになる場合も支給申請が可能です。

8.法令改正について

支給額が70%となったのは、2018年(平成30年)1月1日の雇用保険法と雇用保険法施行規則の改正によるものであり、2018年(平成30年)1月1日以降に専門実践教育訓練の受講を開始した場合に適用されます。

2017年(平成29年)までに開始した場合、改正前のとおり、追加給付を含む支給額は教育訓練経費の60%となります。そのうち40%については当該専門実践教育訓練受講中に支給されているため、追加で支給されるのは20%相当額(40%相当額としてすでに支給している額との差額)となります。