求職者支援制度(求職者支援法に基づく特定求職者支援制度)は、雇用保険を受給できない求職者に対し、無料の職業訓練(求職者支援訓練)を提供し、一定の要件を満たす場合に月額10万円の「職業訓練受講手当」や交通費を支給しながら、早期の就職を支援する国のセーフティネット制度です。
- 特定求職者、求職者支援制度の概要(特定求職者支援制度)
- 求職者支援訓練(求職者支援法に基づく認定職業訓練)
- 職業訓練受講給付金
1.求職者支援制度とは
概要
求職者支援制度は、2011年(平成23年)10月1日に施行された「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の促進に関する法律(求職者支援法)」に基づいて創設され、それまでの緊急人材育成支援事業(基金訓練)を引き継ぐ形で発足しました。
主な目的は、雇用保険の基本手当(失業給付)を受給できない求職者に対して、スキルアップの機会と生活保障を同時に提供し、当該求職者の早期の就職を支援することで、生活保護への移行を防ぐことにあります。
社会的な位置づけとして、雇用保険(第一のセーフティネット)と生活保護(第三のセーフティネット)の間に位置する「第二のセーフティネット」として機能しています。
3つの柱による支援
求職者支援制度は、ハローワークが中心となって主に以下の3つの支援を行います。
- 求職者支援訓練(無料の職業訓練):当該求職者の就職に必要な基礎的及び実践的な職業能力を高めるための訓練を受講する機会を確保する
- 職業訓練受講給付金:当該求職者が一定の要件を満たす場合には、その訓練期間中の生活を支援するための給付を支給する
- 就職支援:訓練中から修了後まで、担当者によるマンツーマンの個別指導や面接対策、求人紹介を実施する
2.特定求職者
特定求職者とは
求職者支援制度の対象となる「特定求職者」とは、とは、ハローワークに求職の申込みをしている者のうち、労働の意思及び能力を有しているものであって、ハローワークが職業訓練その他の支援措置を行う必要があると認めたものをいいます。
ただし、雇用保険の被保険者または基本手当の受給資格者を除きます。
- ハローワークに求職の申込みをしていること
- 雇用保険の被保険者でないこと、雇用保険の受給資格者でないこと
- 労働の意思及び能力があること
- 就職のために職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
具体的には次のような人が「特定求職者」となります。
- 雇用保険に加入できなかった人(雇用保険の適用対象ではなかった離職者)
- 雇用保険に加入していたが加入期間が足りず雇用保険の給付を受けられない人(受給資格を得られなかった人)
- 雇用保険の受給を終了した人(受給期間が満了した人)
- 学校卒業後に未就職の人(新卒未就職者など)
- 自営業を廃業した人
- 主婦・主夫、育児など長期間のブランクを経て再就職を目指す人
職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律 第2条
この法律において「特定求職者」とは、公共職業安定所に求職の申込みをしている者(雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第四条第一項に規定する被保険者である者及び同法第十五条第一項に規定する受給資格者である者を除く。)のうち、労働の意思及び能力を有しているものであって、職業訓練その他の支援措置を行う必要があるものと公共職業安定所長が認めたものをいう。
在職者も対象となることがある
「求職者」というと失業している人のイメージがありますが、離職者だけでなく、現在在職中(パート・アルバイト・派遣労働者等)であっても雇用保険の適用対象外(週の所定労働時間が20時間未満で一定の条件を満たす求職者)であれば対象となる場合もあります。

3.求職者支援訓練
求職者支援訓練は特定求職者を対象に実施され、就職に必要な職業スキルや知識を習得するための受講料無料の職業訓練です(ただし、テキスト代と資格試験受験料は自己負担)。また、訓練実施施設において、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングなどの就職支援を行います。
求職者支援訓練について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
4.国からの給付金・助成金
職業訓練受講給付金
特定求職者が、本人や世帯の収入・資産が一定基準以下である場合、求職者支援訓練等の訓練期間中に職業訓練受講給付金(月10万円)の支給を受けることができます。
職業訓練受講給付金について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
認定職業訓練実施奨励金
求職者支援訓練が円滑かつ効果的に行われることを奨励するために、求職者支援訓練を行う訓練実施機関に対する助成として、認定職業訓練実施奨励金が国から支給されます。この助成は雇用保険の能力開発事業(就職支援法事業)として実施されます。
奨励金の支給を受けるには、職業訓練の講師は実務等の経験を5年以上有するなどの認定基準に適合していること、訓練実施機関は職業訓練の認定の申請に当たり「講師の経歴等確認書」を高齢・障害・求職者雇用支援機構に提出することなどが必要です。
5.職業訓練受講給付金の有無を選択できる
特定求職者であれば無料で受講することができるので、職業訓練受講給付金の対象者でなくても求職者支援訓練の受講は可能です。職業訓練受講給付金の支給を受けずに受講することも可能です。
また、収入が少なく生活支援を必要とする人は職業訓練受講給付金の支給を受けながら受講することも可能です。

給付金を受給せずに求職者支援訓練を受ける
一定の収入や資産のある人は職業訓練受講給付金の支給を受けることはできませんが、特定求職者に該当する人は、職業訓練受講給付金の支給を受けずに無料の職業訓練だけを受講することができます。
例えば、親や配偶者と同居し収入がある人、実家で生活していて就職が決まらないまま学校を卒業した人、フリーターとして働きながら正社員への転職を目指す人などで、雇用保険の対象外となっている人が対象となります。
- 離職者・・・収入がある人と同居している人、実家で生活している無職の人
- 在職者・・・一定の収入のある非正規雇用労働者
給付金を受給しながら求職者支援訓練を受ける
無職の人や、在職者であっても収入が少ない人が職業訓練を受けるには生活支援が必要です。正社員への就職を目指すために、職業訓練受講給付金の支給を受けながら無料の職業訓練を受講することができます。
- 離職者・・・雇用保険の適用がなかった離職者、フリーランス、自営業を廃業した人、雇用保険の受給が終了した人
- 在職者・・・一定額以下の収入のパート労働者
6.就職支援
ハローワークの担当者が特定求職者一人ひとりに合わせた「就職支援計画」を作成し、就職支援措置を受けることを指示します。
就職支援計画は、当該特定求職者に関し、就職支援措置(職業指導、職業紹介、求職者支援訓練等)が効果的に関連して実施されるための計画です。就職支援計画を作成した場合には、特定求職者に対し、「就職支援計画書」を交付します。
- 求職申込み・相談:ハローワークで「特定求職者」に該当するか確認し、受講相談を行う。
- 就職支援計画の作成:ハローワーク所長から支援措置を受けるための指示・計画作成を受ける。
- 訓練受講+就職活動:訓練校で技術を学びつつ、毎月ハローワークでの職業指導を受ける。
- 早期就職:習得したスキルを活かして正社員等の安定した雇用を目指す。
青少年雇用対策基本方針(令和3年厚生労働省告示第114号)では、離職後、相当な期間が経過した青少年(35歳未満の若年者のこと)や一度も就労したことのない青少年等雇用保険を受給できない青少年に対しては、早期の就業に向け求職者支援訓練により支援することとされています。
7.融資制度
特定求職者は労働金庫の融資制度を利用することができます。国は、融資制度の経費の一部補助を行い、実際には債務保証と債務免除に要する費用を国が負担します。
特定求職者に対する融資制度として、求職者支援資金融資、リ・スキリング等教育訓練支援融資があります。
求職者支援資金融資
職業訓練受講給付金を受給しても、訓練期間中の生活費が不足する場合に資金を融資する「求職者支援資金融資制度」があります。
求職者支援資金融資について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
リ・スキリング等教育訓練支援融資
リ・スキリング等教育訓練支援融資は、特定求職者が生活面の不安無く訓練を受けることができるよう、教育訓練費用と訓練期間中の生活費を融資する制度です。求職者支援資金融資・職業訓練受講給付金との併用はできません。
リ・スキリング等教育訓練支援融資について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
8.補足
国庫負担
職業訓練受講給付金の支給に要する費用については、2分の1を国庫負担し、残りの2分の1を雇用保険料(労働保険特別会計雇用勘定。事業主と労働者が折半で負担)による負担とされています。ただし、当分の間、国庫の負担については、原則の割合の100分の55に相当する額(27.5%)とし、残りの72.5%を雇用保険料による負担とされています。
また、特定求職者に対する融資制度における債務保証と債務免除に要する費用についても、求職者支援制度に基づく事業として職業訓練受講給付金と同様の取り扱いとされています。
| 用語 | 特定求職者 |
| 読み | とくていきゅうしょくしゃ |
| 正式名称 | 特定求職者(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律第2条) |
| 英語 | Specific job seeker |
- 特定求職者、求職者支援制度の概要(特定求職者支援制度)
- 求職者支援訓練(求職者支援法に基づく認定職業訓練)
- 職業訓練受講給付金






