社労士試験対策

【社労士過去問】未支給失業等給付の遺族の順位

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【社労士過去問】未支給失業等給付の遺族の順位 2060a

社会保険労務士試験・雇用保険法の過去問の解説です。テーマは「未支給失業等給付の遺族の順位」です。この分野からは過去に令和3年択一問2選択肢A、平成29年択一問1選択肢D、平成27年選択式C、平成23年択一問7選択肢A、平成16年択一問7選択肢Eで出題されています。

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1.未支給の失業等給付を請求できる遺族の範囲

例題(平成27年選択式C)

平成27年(2015年実施、第47回)社労士試験、選択式試験・雇用保険法Cです。

問題

選択式試験・雇用保険法(Cのみ抜粋)
次の文中の[   ]の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

雇用保険法第10条の3第1項は、「失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その者に支給されるべき失業等給付でまだ支給されていないものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)、 [ C ] は、自己の名で、その未支給の失業等給付の支給を請求することができる。」と規定している。

空欄 [ C ] の選択肢

(17) 子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹
(18) 子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの
(19) 子、父母、孫若しくは祖父母又はその者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた兄弟姉妹
(20) 子、父母又はその者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた孫、祖父母若しくは兄弟姉妹

正解

空欄Cは、「(19) 子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの」が正解です。

解説

空欄[ C ]は、未支給の失業等給付を定めた雇用保険法第10条の3第1項の条文の穴埋めです。未支給の失業等給付の支給を受ける遺族は、死亡者本人の配偶者(事実婚も含む)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であって、死亡当時、本人と生計を同じくしていた者です。

参考法令
雇用保険法 第10条の3第1項

失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その者に支給されるべき失業等給付でまだ支給されていないものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の失業等給付の支給を請求することができる。

2.未支給の失業等給付を請求できる遺族の順位

例題(平成29年択一問1選択肢D)

平成29年(2017年実施、第49回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問1の選択肢Dです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Dのみ抜粋)

〔問 1〕失業等給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その未支給の失業等給付の支給を受けるべき者(その死亡した者と死亡の当時生計を同じくしていた者に限る。)の順位は、その死亡した者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹の順序による。

正解

選択肢Dの記述は正しいです。
下記の解説において「失業等給付」には教育訓練給付も含まれます。

解説

未支給の失業等給付

未支給の失業等給付」とは、失業等給付を受給するはずだった受給資格者が支給される前に死亡したか、または失踪宣告を受けて死亡の認定を受けた場合に、死亡した前日までで未支給となっている失業等給付の支給を遺族が受けることができることをいいます。

雇用保険法の失業等給付は第三者に譲渡することのできない一身専属権であるため、相続をすることができません。しかし、生計を同じくしていた遺族が生活の支援のために受けることができたはずの失業等給付が支給されないことになってしまいますので、雇用保険法上特別に遺族の権利として認めたものです。

未支給の失業等給付は死亡当時本人と生計を同じくしていた遺族に特別に認められた権利であり、民法の相続や遺産分割の考え方とは無関係です。配偶者(事実婚を含む)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹のうちの一人だけが請求できます。

遺族の順位

支給を受ける権利のある遺族は、自己の名でハローワークに対して未支給の失業等給付の支給を請求することができます(未支給失業等給付請求書を提出する)。未支給の失業等給付の支給を請求することができるのは、生計を同じくしていた遺族のうちの一人だけです。

そして、遺族の順位は第10条の3第1項に規定する順序にしたがいます。

死亡当時本人と生計を同じくしていた遺族のうち、最上位の者が未支給の失業等給付の支給を請求できます。ただし、いずれも死亡の当時受給資格者本人と生計を同じくしていたことが必要です。生計を同じくしていなかった場合は対象外となります。したがって、選択肢Dの記述は正しいと言えます。

参考法令
雇用保険法 第10条の3第2項

前項の規定による未支給の失業等給付の支給を受けるべき者の順位は、同項に規定する順序による。

3.類題

類題1(令和3年択一問2選択肢A)

令和3年(2021年実施、第53回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問2の選択肢Aです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Aのみ抜粋)

〔問 2〕未支給の失業等給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 死亡した受給資格者に配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)及び子がいないとき、死亡した受給資格者と死亡の当時生計を同じくしていた父母は未支給の失業等給付を請求することができる。

正解

選択肢Aの記述は正しいです。また、以下の説明において、教育訓練給付の場合は「受給資格者」を「教育訓練給付の支給を受けることができる者」と読み替えるものとします(読み替えても同じ)。

解説

未支給の失業等給付の支給を受けるべき者の順位は、その死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹の順序によります。

  1. 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
【社労士過去問】未支給失業等給付の遺族の順位 664 1

したがって、「配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)及び子がいない」場合、第3位である父母のうち死亡当時本人と生計を同じくしていた者が請求することができるので、選択肢Aの記述は正しいと言えます。

類題2(平成23年択一問7選択肢A)

平成23年(2011年実施、第43回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問7の選択肢Aです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Aのみ抜粋)

〔問 7〕雇用保険制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 失業等給付の支給を受けることができる者が死亡し、その者に支給されるべき失業等給付でまだ支給されていないものがある場合において、その者と事実上の婚姻関係にあったXと、両者の子Yが、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたとき、Xは自己の名でその未支給の失業等給付の支給を請求することができない。

正解

選択肢Aの記述は誤りです。
下記の解説において「失業等給付」には教育訓練給付も含まれます。

解説

まだ支給されていない失業等給付(教育訓練給付も含まれる)があるのに本人が死亡した場合、失業等給付の支給を受ける権利は消滅しますが、本人と生計を同じくしていた遺族が自己の名で支給を請求することができます。

配偶者には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者も含まれます。なお、本人と死亡当時生計を同じくしていた遺族に限られます。

選択肢Aのように、本人と死亡当時生計を同じくしていて事実上の婚姻関係にあったXと、その子Yがいる場合、事実上の婚姻関係にあるXが、未支給の失業等給付の請求ができる最上位者となります。

したがって、Xだけが自己の名でその未支給の失業等給付の支給を請求することができます。このことは雇用保険法第10条の3に規定されており、「Xは自己の名でその未支給の失業等給付の支給を請求することができない」とする選択肢Aの記述は誤りです。

類題3(平成16年択一問7選択肢E)

平成16年(2004年実施、第36回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問7の選択肢Eです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Eのみ抜粋)

〔問 7〕雇用保険制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 失業等給付の支給を受けることができる者が死亡したときに、その者に支給されるべき失業等給付で未支給のものがある場合、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた配偶者は、自己の名でその未支給の失業等給付の支給を請求することはできない。

正解

選択肢Eの記述は誤りです。

解説

死亡当時、生計を同じくしていた配偶者がいれば最上位の遺族なので、自己の名でその未支給の失業等給付の支給を請求することができます。したがって選択肢Eの記述は誤りです。

4.その他の論点

同順位者が2人以上ある場合

同順位者が2人以上あるときはそのうちの1人が請求します。その1人に対して全額支給し、この請求が不正な請求でない限り、他の同順位者は請求権を失います(雇用保険法第10条の3第3項)。この規定は「同順位者」の場合だけです。

参考法令
雇用保険法 第10条の3第3項

第一項の規定による未支給の失業等給付の支給を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

下位の遺族が支給を受けた場合

上位者が請求権を放棄していないにもかかわらず下位者が未支給の失業等給付を請求して支給してしまった場合であっても、最上位者が請求すれば(下位の遺族とは関係なく)直ちに支給を受けることができます。それは、下位者の請求が上位者のためにした請求とはみなされず、請求権を失わないからです。

このとき下位の遺族は請求権が無いにもかかわらず請求したのですから不正受給に該当し、返還を求められるだけでなく、納付命令等の処分を受け、詐欺罪で処罰されることもあります。

遺族の相続人

未支給の失業等給付を請求できる遺族(最上位者)が未支給の失業等給付を請求せずに死亡した場合、他の同順位者がいれば同順位者の1人、いなければ次順位者が請求できます。最上位者の相続人が請求できるわけではありません。

ただし、未支給の失業等給付を請求できる遺族(最上位者)が請求した直後に死亡した場合、その相続人は支給を受けることができます。未支給の失業等給付を請求できるのは「請求の時点で」生存している遺族に限られます。つまり、最上位者が生存している時にした請求は有効であり、死亡した後に支給の決定があったときは、最上位者の相続人がその支給を受けることができます。

  • 最上位者が請求せずに死亡:相続できない
  • 最上位者が請求した後に死亡:相続できる

未支給失業等給付の請求の過去問

未支給失業等給付の遺族の順位以外の、未支給失業等給付の請求の過去問についてはこちらの記事をご覧ください。

5.社労士試験について

社会保険労務士試験について詳しくはこちらの記事をご覧ください。