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未支給の教育訓練給付を請求できる遺族の範囲と順位、遺族の相続人 _ pr
未支給の給付金

未支給の教育訓練給付を請求できる遺族の範囲と順位、遺族の相続人

教育訓練給付の支給を受ける権利は相続することができません。しかし、雇用保険法では、遺族のうちの一人に対して未支給の教育訓練給付を支給することが認められています(相続ではない)。

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1.未支給の教育訓練給付を請求できる遺族

未支給の教育訓練給付(未支給教育訓練給付金、未支給教育訓練支援給付金)を受け取らずに本人が死亡した場合は、その遺族が自己の名で請求することができます。

未支給の教育訓練給付の支給対象となる遺族とは、死亡者本人の配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者です。配偶者は戸籍上の配偶者のほか、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者(事実婚)も含まれます。

なお、遺族の年齢制限はありません。

未支給の教育訓練給付を請求できる遺族の範囲と順位、遺族の相続人 _ 664-1
参考法令
雇用保険法 第10条の3第1項  失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その者に支給されるべき失業等給付でまだ支給されていないものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の失業等給付の支給を請求することができる。
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2.「生計を同じくしていた」とは

未支給の教育訓練給付を請求できる遺族は、死亡者本人の死亡の当時、死亡者本人と生計を同じくしていた者に限られます。

「生計を同じくしていた」とは、生計の全部または一部を共同計算することによって日常生活を営むグループの構成員であったという意味です。

同居していた場合(二世帯住宅等も含む)は、同居していたことを証明すればよいです。未支給の失業等給付の支給を請求する際には、住民票の謄(抄)本または民生委員の証明書など、遺族が死亡者と生計を同じくしていたことを証明することができる書類を提出します。

ただし、次の例のように、日常生活をする上での収入または支出の一部を共有していればよく、必ずしも同居している必要はありません。別居していた場合は、送金を受けていたことを証明することができる書類(現金書留の封書等)を提出します。

  • 単身赴任で、扶養している家族と別居している
  • 修学、療養などのために別居している親族へ、生活費などを常に送金(仕送り)している
  • 平日は別居しているが、休みの日だけ帰省して同居する
  • 共働き夫婦で収入は別だが、生活費などの支出を分担している

また、生計を維持されている必要もありませんが、生計を維持させていた場合には「生計を同じくしていた」ものと推定されます。

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3.遺族の順位

最上位順位者のみ

未支給の教育訓練給付の支給を受けるべき遺族の順位は、死亡者本人の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順です。このなかで、請求時点で生存している最上位者(死亡者本人と生計を同じくしていた者に限る)だけが受け取ることができます。

最上位者のみ請求することができ、次順位者には請求権がありません。相続のような分割でもありません。

未支給の教育訓練給付を請求できる遺族の範囲と順位、遺族の相続人 _ 664-1
参考法令
雇用保険法 第10条の3第2項  前項の規定による未支給の失業等給付の支給を受けるべき者の順位は、同項に規定する順序による。

請求できるのは1人だけ

同順位者が2人以上あったとしても支給されるのは、最初に支給決定を受けた1人だけです。

支給を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなされ、その1人に対してした支給は全員に対してしたものとみなされます。つまり、1人の者から請求があれば請求の効果は他の親族にも及び、支給決定があれば他の同順位者は請求できなくなります。

そのため、同順位者が2人以上あっても請求人の1人に全額が支給されます(その後のことは親族内で話し合ってください)。

参考法令
雇用保険法 第10条の3第3項  第一項の規定による未支給の失業等給付の支給を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

4.下位の順位者に支給してしまった場合

未支給の教育訓練給付を請求する際に、死亡者本人との続柄を証明する書類を提出しなければなりませんが、自分が最上位者であることを証明する必要はありません。

そのため、死亡者本人と生計を同じくしていた上位の順位者が請求権を放棄していないにもかかわらず、下位の順位者が請求し、その下位の順位者に対して誤って支給されることも考えられます。

上位の順位者が請求しない場合

上位の順位者が請求しなければ返還を求められることはありません(バレないとは思いますが本当は不正受給です)。

上位の順位者が請求した場合

下位の順位者に対して誤って支給されたとしても、あらためて上位の順位者が時効消滅前に請求すれば未支給の教育訓練給付の支給を受けることができます。この場合、下位の順位者に支給された給付は不正受給として返還を求められます。

5.遺族の相続人

未支給の教育訓練給付を請求できる遺族は、請求時点で生存している最上位者であって、本人が死亡した時点で生存していた最上位者ではないことに注意します。

注:死亡時点で本人と生計を同じくしていた遺族であって、死亡時点で生存していた遺族ではありません。

つまり、死亡者本人が死亡した時点でその遺族が生存していたとしても、その後、未支給の教育訓練給付を請求しないままその遺族が死亡した場合はその時点で請求権を失い、その請求権が同順位者または次順位者に移るということです。

支給決定前に死亡した場合

最上位者である遺族が、未支給の教育訓練給付を請求しないで死亡した場合(正確には支給決定を受ける前に死亡した場合)は、その遺族の相続人は請求することができません。請求する前に死亡した遺族は請求権を失っているので、相続も発生しないからです。

この場合、本人死亡時点で本人と生計を同じくしていた同順位者がいれば、そのうちの一人が請求できます。他の同順位者がいないときは、次順位者が請求できます。

支給決定後に死亡した場合

最上位者である遺族が、未支給の教育訓練給付を請求して給付の決定を受けた後、その給付金を受け取る前に死亡した場合は、その遺族の相続人がその支給を請求することができます。

請求時点で生存している最上位者が請求をした場合、全員のためその全額につき請求したものとみなされ、他の同順位者や次順位者へ請求権が移ることはありません。その後、最上位者が死亡しているので相続が発生するのです。

実際には、死亡した遺族の口座は銀行によって止められ、給付金の振り込みができなくなるのでハローワークに相談したほうが良いと思われます。

6.補足説明

請求できる遺族がいない場合

未支給の教育訓練給付を請求できる遺族がいない場合は、未支給の教育訓練給付は支給されることなく消滅します。

年金との違い

国民年金、厚生年金保険の場合は、支給対象となる遺族の範囲は、死亡者本人の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族です。

雇用保険(教育訓練給付も含む)と労災の場合は、「又はこれらの者以外の三親等内の親族」がありません。