未支給の教育訓練給付を請求するには、死亡者の死亡当時の住居所管轄ハローワークに出頭して未支給失業等給付請求書(様式第10号の4)を提出します。
1.未支給の教育訓練給付の請求
教育訓練給付金(一般、特定一般、専門実践教育訓練給付金)の支給を受ける資格のある人(受給資格者)が死亡した場合において、死亡者本人に支給されていない給付があるときは、死亡者本人の遺族がその未支給の教育訓練給付金を請求することができます。
また、教育訓練支援給付金の支給を受ける資格のある人が死亡した場合において、死亡者本人に支給されていない給付があるときは、死亡者本人の遺族がその未支給の教育訓練支援給付金を請求することができます。
2.死亡者本人の住居所管轄ハローワーク
未支給の教育訓練給付に関する事務は原則として、死亡者本人の死亡の当時における住居所を管轄するハローワークが行います。
3.未支給の教育訓練給付の請求手続
未支給失業等給付請求書の提出
未支給教育訓練給付金または未支給教育訓練支援給付金を受けようとする遺族は、死亡した日の翌日から起算して6か月以内に、死亡者の死亡当時の住居所管轄ハローワークに出頭して未支給失業等給付請求書(様式第10号の4)を提出します。
郵送の場合は、発信日を請求のあった日とします。
死亡者が支給要件の確認を受けていない場合は、未支給失業等給付請求書を提出したうえで、当該死亡者について支給要件に該当しているか否かの確認を受けることが必要です。
支給申請書または受講証明書
死亡者本人が教育訓練給付の支給申請をする場合に提出する書類(支給申請書または受講証明書)を添付します。ただし、死亡者本人が死亡する前に提出している場合は添付不要です。
教育訓練給付金支給申請書
未支給教育訓練給付金を請求するときは教育訓練給付金支給申請書を添付します。
- 教育訓練給付金支給申請書の書き方【一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金】
- 教育訓練給付金支給申請書の書き方【専門実践教育訓練給付金の6か月ごとの支給】
- 追加支給用の「教育訓練給付金支給申請書」の書き方
教育訓練支援給付金受講証明書
未支給教育訓練支援給付金を請求するときは失業認定を受けるため教育訓練支援給付金受講証明書を添付します(後述)。
なお、未支給給付請求者が別居していたこと等により死亡者の日常生活を把握していない場合には、失業認定申告書の他当該死亡者の近隣者2人の、当該死亡者が失業していたことを証明する「教育訓練支援給付金受講証明書」を提出します。
この場合、教育訓練支援給付金受講証明書の欄外余白に近隣者2人が氏名を記載することによって、6欄、7欄に代えることとして差し支えありません。4欄、5欄は教育訓練施設の証明が必要です。
事実関係を証明する書類一式
未支給失業等給付請求書には、事実関係を証明する書類を添付します。
未支給失業等給付請求書の添付書類
- 死亡の事実及び死亡の年月日を証明することができる書類
- 未支給給付請求者(遺族)と死亡者本人との続柄を証明することができる書類
- 未支給給付請求者(遺族)が死亡者本人と生計を同じくしていたことを証明することができる書類
- 未支給給付請求者(遺族)の個人番号(マイナンバー)が確認できる書類
死亡を証明する書類
死亡者の死亡の事実と死亡の年月日を証明することができる書類を提出します。
死亡を証明する書類の例
- 死亡診断書の写し
- 死体検案書の写し
- 検視調書の写し
- 住民票謄本等官公署または医師の証明書
続柄を証明することができる書類
遺族と死亡者との続柄(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹)を証明することができる書類を提出します。
続柄を証明することができる書類の例
- 住民票の謄(抄)本
- 戸籍謄(抄)本
- 戸籍記載事項証明書
- 住民票記載事項証明書
なお、死亡者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者であるときは、住民票の謄(抄)本、民生委員の証明書等、その事実を証明することができる書類を提出します。
生計を同じくしていたことを証明することができる書類
遺族が死亡者と生計を同じくしていたことを証明することができる書類を提出します。
生計を同じくしていたことを証明することができる書類の例
- 住民票の謄(抄)本
- 民生委員の証明書
別居していた者にあっては送金を受けていたことを証明する現金書留の封書等を提出します。
遺族の個人番号(マイナンバー)が確認できる書類
「未支給失業等給付請求書」には、遺族の個人番号(マイナンバー)を記入するので、マイナンバーカードや住民票の写しなどの本人確認書類(支給を受ける遺族のもの)を提示します。
なお、死亡者本人の個人番号を確認する書類は不要です。
払渡希望金融機関指定届
未支給給付を請求する遺族が希望する場合には普通預(貯)金口座へ振り込むことによって支給することができます。このとき、払渡希望金融機関指定届(様式第18号)によって普通預(貯)金口座を届け出ます。
必要な届け出が未完の場合
死亡者本人が死亡する前に、当該教育訓練給付の支給を受ける場合に必要とする届出または書類の提出(住所変更など)を行っていない場合は、未支給給付請求者が代わりに必要とする届出等を行わなければなりません。
このとき、届出等の書類の氏名欄には死亡者本人の氏名を記載します。
4.代理人による請求
原則として未支給の給付金は、未支給給付請求者である遺族がハローワークに出頭して請求しなければなりません。しかし、ハローワークがやむを得ない理由があると認めるときは、遺族の代理人がハローワークに出頭して、その資格を証明することができる書類を提出した上、支給申請を行うことができます。
この場合の「やむを得ない理由」とは、請求しようとする遺族が幼児である場合、または長期の傷病、重度の障害等にある状態である場合をいいます。特に、遺族が幼児である場合には後見人を代理人とするものとし、後見人であることを証明する書類(家庭裁判所で発行する証明書)を提出します。
それ以外の代理の場合は委任状の添付が必要です。
5.死亡者の失業認定
未支給教育訓練支援給付金を請求するときは、死亡者本人について失業認定を受けなければなりません。
死亡前に失業認定を受けていた場合
受給資格者が失業の認定を受けた後に死亡した場合には、遺族がその認定に係る教育訓練支援給付金の支給を請求することができます。
失業認定を受ける前に死亡した場合
死亡のため失業の認定を受けることができなかった期間の教育訓練支援給付金については、当該未認定の日について失業の認定をした上で支給を請求することができます。
この場合、遺族がハローワークに出頭して死亡者が失業していたか否かについての失業の認定その他支給要件の確認を受けなければなりません。したがって、受給資格者が死亡していなくても失業の認定を受けることができない場合については支給されません。
教育訓練支援給付金が支給されない
- 基本手当が支給される期間
- 基本手当の待期期間(求職申込後7日間)
- 懲戒解雇や自己都合退職で基本手当の給付が制限されている期間(1か月~3か月)
- ハローワークの職業指導を正当な理由なく拒んだために基本手当の支給が制限されている期間
- 教育訓練支援給付金の待期期間(失業通算7日間)
- 支給単位期間について、出席率が不足する場合
また、教育訓練支援給付金は専門実践教育訓練を修了する見込みがなくなった時点で給付されなくなります。死亡の日を含む支給単位期間については、専門実践教育訓練を修了する見込みがなくなりますので支給を受けることができません。
6.失踪宣告の場合
民法の規定に基づき家庭裁判所から失踪宣告を受け、死亡したものとみなされた場合も同様です。