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教育訓練給付は「受講開始日」が大事、受講開始日が有効であれば最後まで必ず支給される _ pr
給付金の受給資格

教育訓練給付は「受講開始日」が大事、受講開始日が有効であれば最後まで必ず支給される

教育訓練給付の受給資格を決める基準日はその教育訓練の「受講開始日」です。受講開始の時点で条件を満たしていれば、原則として教育訓練の修了まで受給資格が認められます。

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1.受講開始日が大事である理由

受給資格を決定する基準日

雇用保険給付の支給を受ける権利は、生まれながらにして有する権利ではなく、受給資格となる条件を満たしたときにはじめて権利が生じるものです。受給資格は状況の変化により得たり失ったりするため、一定の基準日を設ける必要があります。そうしなければ、政府も本人も受給できるかどうかを判断することができません。

教育訓練給付は、雇用保険法第60条の2第1項第1号において当該教育訓練を開始した日を「基準日」と定義しています。当該教育訓練を開始した日のことを「受講開始日」といいます。

参考法令
雇用保険法 第60条の2第1項第1号  一 当該教育訓練を開始した日(以下この条において「基準日」という。)に一般被保険者(被保険者のうち、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の者をいう。次号において同じ。)又は高年齢被保険者である者

公共職業訓練の基準も受講開始日

教育訓練給付制度が創設される前に公共職業訓練の制度がありましたが、公共職業訓練は訓練を受ける資格のある者だけが受講できます。その基準は受講開始日であり、受講開始日の前日にハローワークで受講指示が行われます。

また、自己都合退職による基本手当の受給制限期間中であっても公共職業安定所長の指示した公共職業訓練を受講する場合は、受講開始日以降、受給制限が解除され基本手当が支給されます。それは、公共職業訓練の受講を開始したことによって基本手当の支給に必要な「積極的な求職活動」を行っているものとみなされるからです。

このように、受講開始日を基準として受講資格を判断することは教育訓練給付制度が創設される前から行われており、教育訓練給付制度でもその基準日の考え方が引き継がれたものと考えられます。

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2.受講開始日の定義

受講開始日は、教育訓練給付の受給資格の可否を決定する重要な日付であるため、受講者ごと、対象教育訓練ごとに定義が異なると、受講者間の不公平となるとともにトラブルの原因となります。そのため、必ず統一的な開講日の特定が必要であり、統一ルールが定められています。

受講開始日とは

受講開始日は、通学制の場合は対象教育訓練の所定の開講日、通信制の場合は受講申込み後初めて教育訓練施設が教材等を発送した日であって、いずれも指定教育訓練実施者が受講開始日として証明する日です。

教育訓練施設が授業を開始した日(教育訓練開始第1日目)として証明した日であり、教育訓練施設が発行する受講証明書や修了証明書に記載される日です。あらかじめ訓練期間が定められていたとしても、災害や事故等によって教育訓練を開始できない場合もあるため、教育訓練施設が実際に授業を開始した日を「証明」することを条件としています。

受講開始日

  • 通学制:対象教育訓練の所定の開講日
  • 通信制:対象教育訓練の所定の開講日または受講申込み後初めて教育訓練施設が教材等を発送した日

所定の開講日

所定の開講日」とは、教育訓練施設の長が各講座ごとにあらかじめ定めた講座の開始日です。

教育訓練施設が講座を実質的に開始する日であるとして判断した「受講者が出席すべき講義等の第1日目」「入学式の日」「受講者が出席すべきオリエンテーションの日」等の特定の日であって、教育訓練施設の事務処理の便宜等から設定した任意の日ではありません。

通信制の場合も通学制と同じく、「入学式の日」「受講者が出席すべきオリエンテーションの日」等の特定の日が決まっている場合はそれを受講開始日とすることができます。所定の開講日を定めていない場合は受講希望者が受講を申し込んだ後、教育訓練施設が受講者宛てに教材等(e-ラーニングであればIDやパスワードでも可。)を初めて発送した日であって、教育訓練施設の事務処理の便宜等から設定した任意の日ではありません。

出席第1日目ではない

受講開始日は、本人が受講を開始した日(個別の受講者ごとの講義等への出席第1日目)ではありませんし、本人が勝手に決められるものでもありません。本人が欠席しても、教育訓練施設が教育訓練を開始した場合はその日が受講開始日です。

次のような日は受講開始日ではありません。

受講開始日ではない

  • 出席第1日目、初回ログイン日、初回配信日(教育訓練施設が指定した開講日であって、本人が出席した日ではない)
  • 申込みをした日
  • ハローワークで受給資格確認を受けた日
  • 第1回の教材が到着した日(発送した日であって、到着した日ではない)
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3.受講開始日と受給資格

受講開始日に受給資格があればよい

受講開始日の時点での教育訓練給付対象者が支給要件期間等の要件を満たし、受講開始日の時点で有効な対象教育訓練を受講した場合に、教育訓練給付の対象となります。教育訓練給付の受給資格は受講開始日現在で決定されます。そのため、受講開始前に要件を満たしていなくても、受講開始日当日に要件を満たした場合は対象となります。

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逆に、いったん受講開始前に要件を満たしていても、受講開始日の時点で要件を満たさない場合は対象外です。

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受講修了日と受給資格

受講修了日は、受講者の受講実績等を修了認定基準に照らすことによって、当該受講者の受講が修了したことを確認し、教育訓練施設が受講修了日として証明する日です。受講開始日現在で受給資格があれば、支給停止の要件に該当しない限り、教育訓練の修了後に給付金は支給されます。

また、専門実践教育訓練給付金や教育訓練支援給付金のように継続的に支給される給付金についても、受講認定基準を満たすことができなくなった場合などの支給停止の要件に該当しない限り、修了まで支給されます。支給単位期間ごとではなく受講開始日現在で受給資格があればよいです。

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4.最後まで必ず給付金が支給される

受講開始日に受給資格があれば、教育訓練期間中に変動があっても最後まで必ず給付金は支給されます。ただし、支給停止の要件に該当すれば支給されなくなりますが、それは別の問題です。

厚生労働大臣の指定期間

各教育訓練を実施する教育機関は、訓練を始める前に厚生労働省に指定の申請を行います。厚生労働大臣はその申請を受けて原則として3年間の指定期間を設けて指定します(申請すれば更新可能)。

対象教育訓練は、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練講座を指定期間内に開始したものであることが必要であり、受講開始日が当該指定期間外である場合は支給の対象外です。なお、受講修了日が厚生労働大臣の指定期間経過後であっても教育訓練給付金の支給には影響しません。修了まで支給されます。

また、対象教育訓練が受講開始後に指定取消となった場合であっても、取消の前に受講を開始すれば有効なので、当初の指定内容に沿った教育訓練が実施され、それを修了した場合には支給の対象となります。

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逆に、受講開始の時点で指定されていない講座を受講し、教育訓練期間中に指定された場合であっても教育訓練給付金の対象外です。

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支給申請書

教育訓練給付の支給を受けようとするときに提出する支給申請書には「受講開始日」を記入します。ハローワークでは、支給申請書に記載された受講開始日が、教育訓練実施者の発行した教育訓練修了証明書に記載されている受講開始日と同一であることを確認した上で、教育訓練が有効な指定期間内に開始されたことが認められた場合に、受講開始日を基準として給付金を支給します。

支給要件期間

教育訓練給付金に係る支給要件期間は、対象教育訓練の受講開始日において判断されるので、教育訓練期間中に被保険者資格を取得または喪失した場合であっても支給要件期間の計算には全く関係なく、受講開始日において支給要件期間が3年以上(初回のみ1年以上または2年以上)ある場合は支給の対象となります。

教育訓練期間中に被保険者資格を取得または喪失した場合は、次回の教育訓練に影響がありますが、今回の教育訓練については全く関係ありません。

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受講開始の時点で支給要件期間を満たさず、教育訓練期間中に満たした場合、教育訓練給付金の対象外です。

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教育訓練給付金を受給したことがある場合の解釈

過去に教育訓練給付金を受給したことがある者については、前回の教育訓練の受講開始前の被保険者であった期間は、今回の対象教育訓練に係る支給要件期間の算定の対象となりません。また、支給された日から3年間は新たに教育訓練給付金を受給することができません。このことから、同時に複数の教育訓練講座について支給申請を行うことはできません。

しかし、今回の教育訓練期間中に専門実践教育訓練給付金や教育訓練支援給付金を受給したとしても、次回の教育訓練に影響がありますが、今回の教育訓練については全く関係ありません(6か月ごと、2か月ごとに受給できる)。

教育訓練支援給付金の受給資格

教育訓練支援給付金は、一般被保険者が離職し、専門実践教育訓練給付金の受給資格者として当該教育訓練を45歳に達する前に受講を開始した場合に支給対象となります。この受給資格の基準も受講開始日です。

  • 受講開始日に45歳に達していないこと
  • 受講開始日より前に資格を喪失して、失業の状態になっていること

受講開始日に45歳に達していなければ、教育訓練期間中に45歳に達したとしても、教育訓練支援給付金の対象となります。

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教育訓練期間中に就職すると教育訓練支援給付金が支給されませんが、受給資格を完全に失うのではなく支給されないだけ(支給額が0円になるだけ)です。受給資格はあるので教育訓練期間中に再度離職すれば支給が再開されます。

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受講開始予定日において一般被保険者である場合や受講開始日に45歳になる場合は教育訓練支援給付金の受給資格がありません。教育訓練期間中に失業の状態になったとしても、教育訓練支援給付金の対象外です。教育訓練期間中に離職と就職を繰り返したとしても教育訓練支援給付金の対象外です。

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5.法令の改正がある場合

雇用保険法や雇用保険法施行規則などの法令が改正された場合であっても、経過措置の規定により改正前の法令が適用されます。この基準も「受講開始日」です。

教育訓練支援給付金の時限措置

教育訓練支援給付金は2025年(令和7年)3月31日までの制度であるとされていますが、正確には、2025年(令和7年)3月31日までに当該専門実践教育訓練の受講を開始すればよいです(雇用保険法附則第11条の2第1項)。

受講開始日が基準であるため、仮にこの時限措置が延長されなくても、受講開始日が2025年(令和7年)3月31日までであれば支給対象となります。途中で終わるわけではありません。受講開始日が2025年(令和7年)4月1日以降の場合に対象外となるだけです。

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給付率、給付金額の改正

教育訓練給付金の給付率や給付金額の計算方法に改正があった場合も、改正前に受講を開始した場合は従前の計算方法により給付されます。

例えば、以前は専門実践教育訓練給付金の給付率は40%、追加給付込みで60%、教育訓練支援給付金は基本手当の50%でしたが、2018年(平成30年)の改正によりそれぞれ、50%、70%、80%に引き上げられました。この改正は2018年(平成30年)移行に受講を開始した場合に限られ、受講開始日が2017年(平成29年)12月31日までの場合は適用されません。

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6.受講開始日と申請手続きとの関係

基準日が「受講開始日」であるもの

教育訓練給付の支給申請手続きにかかわる基準日は原則として「受講開始日」です。

基準日が「支給決定日」であるもの

例外的に、3年間の受給制限についてはその基準日は受講開始日ではなく「支給決定日」です。

教育訓練給付対象者が、今回の受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金の支給を受けたことがあるときは教育訓練給付金は支給されません(雇用保険法60条の2第5項)。支給を受けたことがあるかは支給決定日で判断します。

7.受講開始日に変更があった場合

事前に明示する義務がある

受講開始日は教育訓練施設が修了後に発行する証明書に記載されていますが、修了するまで受講開始日が分からないのは受講者にとっては不都合です。

そのため、教育訓練施設はできるだけ受講申込みの時点で受講開始日を受講者に対して文書により明示することが義務付けられています。少なくとも開始した直後に受講者に対して文書により通知し、トラブルを未然に防止する義務があります。

教育訓練施設が教育訓練の指定を受ける際に届け出た「開講月」は、指定時における講座の開講予定時期に過ぎないものであるので、実際の受講開始日がこれと異なっていても差し支えありませんが、受講開始予定日と実際の受講開始日が異なる場合には、教育訓練施設は受講者に対して速やかに任意の証明書にて受講開始日の変更について通知しなければなりません。

直ちにハローワークに連絡すること

教育訓練施設の都合で受講開始日に変更があった場合、支給単位期間に変更があり、その後の支給申請期間も変わります。また、受講開始日が早まった場合、受給資格確認申請等の所要の手続が開始日の1か月前までに行えないことも考えられます。

受講開始日に変更がないか、訓練開始直前または直後に教育訓練施設に必ず確認してください。

注:受講開始日に変更があった場合や、受給資格者証に記載された受講開始日と異なる場合はすぐにハローワークへ連絡してください。

ハローワークは、受講開始日に変更があったことの申し出があったときは、教育訓練施設に対して変更された理由を確認するとともに、その他の変更点がないか、受給資格決定を行った同一の訓練であるか否かについて確認を行い、同一の教育訓練であることが確認できた場合に受給資格者証の受講開始日を修正します。

転校、統合があった場合

教育訓練施設の転校、統合があった場合は、受講開始日は転校・統合前の対象教育訓練に係るもの、受講修了日は転校・統合後の対象教育訓練に係るものとなります。したがって、転校、統合があったとしても受講開始日の変更はありません。