教育訓練給付金の概要

雇用保険(ハローワーク)の教育訓練給付の種類と違い、失業等給付とは何か

日本の教育訓練給付制度のうち、厚生労働省・ハローワークが実施する教育訓練給付には、一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金、教育訓練支援給付金の4種類があります。

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1.雇用保険法と教育訓練給付との関係

厚生労働省・ハローワークが実施する教育訓練給付は、雇用保険法で定められています。

教育訓練給付は、労働者が失業に備えて加入する「雇用保険」の保険給付の一つであり、原則として雇用保険に加入しているかまたは加入していた人が支給を受けることができます。

参考法令
雇用保険法 第10条第1項

失業等給付は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付とする。

教育訓練給付の相談窓口は、厚生労働省・ハローワークです。給付金の支給申請も、本人の住居所を管轄するハローワークで行います。

なお、教育訓練や職業訓練を受講したときの給付や助成金は、厚生労働省・ハローワークが実施する教育訓練給付以外にもいくつかあります。

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2.教育訓練の種類

教育訓練給付金は、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講した場合に、その教育訓練の受講のために支払った費用(教育訓練経費)の一部を支給します。

参考法令
雇用保険法 第60条の2第1項本文

教育訓練給付金は、次の各号のいずれかに該当する者(以下「教育訓練給付対象者」という。)が、厚生労働省令で定めるところにより、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(当該教育訓練を受けている場合であつて厚生労働省令で定める場合を含み、当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により厚生労働省令で定める証明がされた場合に限る。)において、支給要件期間が三年以上であるときに、支給する。

現在、教育訓練給付金の対象となる教育訓練(教育訓練給付金対象講座)は、「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」の3種類があります。

教育訓練給付金の対象となる教育訓練は、厚生労働省の指定基準を満たしている必要があります。教育訓練は、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で検索することができます。

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3.3種類の教育訓練と3種類の教育訓練給付金

現在、教育訓練給付金は、「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」の3種類があります。

一般教育訓練と一般教育訓練給付金

厚生労働大臣が指定する教育訓練のうち、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を「一般教育訓練」といいます。

一般教育訓練を修了した後、ハローワークに支給申請すると教育訓練経費の20%が支給されます。これを「一般教育訓練給付金」といいます。なお、法令上の正式名称は「一般教育訓練に係る教育訓練給付金」です。

一般教育訓練と一般教育訓練給付金について、詳しくは次の記事をご覧ください。

参考法令
雇用保険法施行規則 第101条の2の7第1号

一 法第六十条の二第一項に規定する支給要件期間(以下この条において「支給要件期間」という。)が三年以上である者であつて、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練(次号及び第二号に規定する教育訓練を除く。以下「一般教育訓練」という。)を受け、修了した者 百分の二十

特定一般教育訓練と特定一般教育訓練給付金

厚生労働大臣が指定する教育訓練のうち、速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練を「特定一般教育訓練」といいます。

特定一般教育訓練を修了した後、ハローワークに支給申請すると教育訓練経費の40%が支給されます。これを「特定一般教育訓練給付金」といいます。なお、法令上の正式名称は「特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金」です。

特定一般教育訓練と特定一般教育訓練給付金について、詳しくは次の記事をご覧ください。

参考法令
雇用保険法施行規則 第101条の2の7第1号の2

一の二 支給要件期間が三年以上である者であつて、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練のうち速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練(次号に規定する教育訓練を除く。以下「特定一般教育訓練」という。)を受け、修了した者 百分の四十

専門実践教育訓練と専門実践教育訓練給付金

厚生労働大臣が指定する教育訓練のうち、中長期的なキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練を「専門実践教育訓練」といいます。

専門実践教育訓練を修了の見込みをもって受講すると、6か月ごとに教育訓練経費の50%が支給されます。これを「専門実践教育訓練給付金」といいます。なお、法令上の正式名称は「専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金」です。

専門実践教育訓練と専門実践教育訓練給付金について、詳しくは次の記事をご覧ください。

参考法令
雇用保険法施行規則 第101条の2の7第2号

二 支給要件期間が三年以上である者であつて、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練のうち中長期的なキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練(以下「専門実践教育訓練」という。)を受け、修了した者(当該専門実践教育訓練を受けている者を含む。)(次号に掲げる者を除く。) 百分の五十

専門実践教育訓練給付金の追加給付について

なお、専門実践教育訓練については特定の条件を満たした場合、教育訓練経費の70%が支給されます。これを特に、専門実践教育訓練給付金の「追加給付」または追加支給ということがあります。

しかし、これは、資格取得と就職につながったことを条件として給付金額が変わる(すでに教育訓練経費の50%が支給されている人に対してさらに20%分を追加で支給して70%にする)だけであって、専門実践教育訓練給付金であることに変わりはありません。

専門実践教育訓練給付金の追加給付について、詳しくは次の記事をご覧ください。

4.各教育訓練給付金の共通点と違い

受給資格、支給要件

教育訓練給付金はいずれも、雇用保険の被保険者として加入しているかまたは加入したことのある人に対して支給されます。在職者も働きながら教育訓練を受講することができます。

教育訓練給付金の受給資格(支給条件)は、年齢制限や回数制限は無く、教育訓練の受講開始予定日までの「雇用保険の加入実績」のみで決まります。このことは、3種類の教育訓練給付金において共通です。

教育訓練給付金の受給資格、支給要件について、詳しくは次の記事をご覧ください。

各教育訓練給付金の違い

雇用保険の教育訓練給付が始まった当初は「教育訓練給付金(現在の一般教育訓練給付金に相当する)」の1種類しかありませんでした。

その後、数回の法改正により専門実践教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金が創設されました。
3種類の教育訓練給付金は給付金の給付率、事前の手続き、支給申請手続きなどが異なります。

5.教育訓練支援給付金

失業者の生活費を支援

教育訓練支援給付金は、上記の専門実践教育訓練給付金の受給資格者のうち、受講開始時年齢が45歳未満の失業者について、受講中かつ失業中の生活を支援するために支給する給付金です。2か月ごとにハローワークで失業認定が行われ、2か月ごとに基本手当日額の80%が支給されます。

参考法令
雇用保険法 附則第11条の2第1項前段

教育訓練支援給付金は、教育訓練給付対象者(前条に規定する者のうち、第六十条の二第一項第二号に該当する者であつて、厚生労働省令で定めるものに限る。)であつて、厚生労働省令で定めるところにより、令和七年三月三十一日以前に同項に規定する教育訓練であつて厚生労働省令で定めるものを開始したもの(当該教育訓練を開始した日における年齢が四十五歳未満であるものに限る。)が、当該教育訓練を受けている日(当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者によりその旨の証明がされた日に限る。)のうち失業している日(失業していることについての認定を受けた日に限る。)について支給する。

なお、法令上の正式名称も「教育訓練支援給付金」です。

専門実践教育訓練給付金は授業料の一部を支援するものであり、教育訓練支援給付金は生活費を支援するものです。教育訓練支援給付金を受給する場合、6か月ごとに専門実践教育訓練給付金を受給するのと同時に、2か月ごとに教育訓練支援給付金を受給することになります。

教育訓練支援給付金を受給せずに専門実践教育訓練給付金だけを受給することも可能です。

教育訓練給付金と教育訓練支援給付金

教育訓練支援給付金の制度は、2014年(平成26年)に創設されました。これに伴い、雇用保険法第10条第5項の規定は、「教育訓練給付は、教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金とする。」と読み替えられることとなりました。

参考法令
雇用保険法 第10条第5項(雇用保険法附則第11条の2第1項後段による読み替え)

教育訓練給付は、教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金とする。

教育訓練支援給付金は「教育訓練給付」の一つではありますが、上記3種類の「教育訓練給付金」とは異なるものとして制定されました。

3種類の教育訓練給付金と教育訓練支援給付金では制度上も大きく異なります。

6.失業等給付と教育訓練給付

雇用保険事業には失業等給付、育児休業給付、雇用保険二事業(雇用安定事業、能力開発事業)があります。教育訓練給付はこのなかの「失業等給付」の一つです。

教育訓練給付は失業等給付の一つなので、雇用保険法上、「失業等給付」のすべてに適用される規定は当然、すべての教育訓練給付(3種類の教育訓練給付金と教育訓練支援給付金)に適用されます。

未支給の教育訓練給付の請求

教育訓練給付の支給を受けることができる者が支給されることなく死亡した場合、その遺族が未支給の教育訓練給付の支給を請求することができます。

参考法令
雇用保険法 第10条の3第1項

失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その者に支給されるべき失業等給付でまだ支給されていないものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の失業等給付の支給を請求することができる。

未支給の教育訓練給付の請求について、詳しくは次の記事をご覧ください。

不正受給処分

偽りその他不正の行為により教育訓練給付の支給を受けた場合は不正受給処分を受けます。返還命令、納付命令等のほか、特に悪質の場合は詐欺罪として処罰されることもあります。

参考法令
雇用保険法 第10条の4

偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。

不正受給処分について、詳しくは次の記事をご覧ください。

受給権の保護

教育訓練給付の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、差し押さえることができません。

参考法令
雇用保険法 第11条

失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。

非課税

教育訓練給付は課税されません。

つまり、教育訓練給付の支給を受けたとしても、所得税、相続税、住民税等の税金は非課税となりますから、確定申告をする必要はありません。また、税法上、扶養に入る際の配偶者控除や扶養控除の「所得金額」に含める必要もありません。

参考法令
雇用保険法 第12条

租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。

社会保険(健康保険)においても、一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金については一時的な収入(一時金)に該当するため、被扶養者の「年間収入」には含まれません。しかし、専門実践教育訓練給付金と教育訓練支援給付金は継続的収入なので、非課税であっても被扶養者の「年間収入」に含まれます。

その他の共通点

すべての教育訓練給付(3種類の教育訓練給付金と教育訓練支援給付金)に適用されるものとして、時効や不服申し立て手続きなどがあります。

7.補足説明

デメリットと注意点

教育訓練給付制度のデメリットと教育訓練を受ける前の注意点について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

原則として会社にはバレない

教育訓練は本人の意思のみで受講することができます。教育訓練給付は本人の意思のみで受給することができ、事業主の証明を必要としません。支給申請も本人がハローワークに対して行い、本人の銀行口座に振り込まれます。過去に受給したかどうかも本人にしか分かりません。教育訓練給付を受給したとしても雇用保険料に影響はありません。

したがって、事業主(勤務先の会社)や同僚などに一切知られることなく受給することができます。もちろんハローワークから事業主へ連絡されることもありません。

ただし、専門実践教育訓練給付金の追加給付は、支給申請の際に「事業主の証明」を必要としますので注意が必要です。

社労士過去問

失業等給付の定義、通則に関する社労士試験の過去問について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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