一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金の支給要件期間は3年以上ですが、過去に教育訓練給付の支給を受けたことが無く、初めて受給する場合、支給要件期間は1年以上で良いです。
1.支給要件期間は原則3年以上
一般教育訓練給付金は、国(ハローワーク)が雇用保険の失業等給付として実施する教育訓練給付であり、一般教育訓練を修了してハローワークに申請すると、支払った費用の20%が一括で支給されます。
また、特定一般教育訓練給付金は、特定一般教育訓練を修了してハローワークに申請すると、支払った費用の40%が一括で支給されます。
教育訓練の受講開始日までに雇用保険に加入していた期間のことを「支給要件期間」と言います。一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金の支給を受けるには、原則として支給要件期間が3年以上必要です。
2.初めての人は1年以上で良い
2007年(平成19年)10月1日の雇用保険法改正により、当分の間、教育訓練給付金の支給を受けたことがない者に限り、教育訓練を開始した日までの間に被保険者として雇用された期間が1年以上あれば、特例として教育訓練給付金の支給を受けることができるようになりました。
正確には、過去に教育訓練給付金(一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金または専門実践教育訓練給付金)の支給を受けたことがなく、初めて一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金の支給を受けようとする場合は、支給要件期間が3年ではなく1年以上あればよいことになっています(雇用保険法附則第11条)。
過去に教育訓練給付金(一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金または専門実践教育訓練給付金)の支給を受けたことがある場合は、原則通り3年以上の支給要件期間が必要です。
3.支給要件期間1年の計算方法の原則
受講開始日までに1年以上加入していればOK
現在、雇用保険に加入している一般被保険者(在職中)が、いままで教育訓練給付金の支給を受けたことが無く、受講開始日からさかのぼって継続して1年以上勤務している場合は教育訓練給付の対象となります。
例えば、新卒で労働保険完備の会社に就職し、1年間勤務して受講を開始すれば一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金の支給を受けることができます。支給要件期間を計算するときの被保険者は、一般被保険者だけでなく、高年齢被保険者または高年齢雇用継続被保険者、短期雇用特例被保険者であった期間も通算することができます。
ただし、一度、教育訓練給付を受けると3年間教育訓練給付の支給を受けることができません。
開始日までに1年経過していないといけない
受講開始日が基準なので、受講開始日の時点で被保険者期間が1年未満の場合は教育訓練給付の対象となりません。教育訓練を受けている途中や教育訓練修了時に1年に達する場合であってもダメです。
離職1年以内でもOK
1年以上雇用保険の一般被保険者であった人が、離職後1年以内に教育訓練を開始する場合、それまで教育訓練給付の支給を受けたことが無ければ、一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金の対象となります。
ただし、やむを得ない事情により離職後1年以内に受講開始することができない場合は延長措置を申請することができます。この場合、離職後最大20年以内までに受講開始すればOKです。延長措置についてはこちらの記事をご覧ください。
1年以上被保険者であったとしても、離職して1年超が経過している場合は教育訓練給付の対象となりません。
4.転職した場合
空白期間が1年以内なら通算できる
同一事業主の元で1年間継続して雇用されているのが原則ですが、転職した人についてはその間の空白期間が1年以内であれば通算することができます。
例えば、現在、受講開始日からさかのぼって6か月勤務している一般被保険者(在職者)が、転職する前の職場で6か月以上一般被保険者であり、その間の離職期間が1年以内であれば、合計することができて1年以上の支給要件を満たします。したがって、それまで教育訓練給付を受けたことが無ければ一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金の対象となります。
この場合も、直近の仕事を離職して1年以内であれば教育訓練給付の支給を受けることができ、2つの仕事の間の空白期間が1年以内であれば通算することができます。通算して1年以上であれば一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金の対象となります。
この場合も、前述の延長措置が取られている場合は、離職後最大で20年以内までOKです。
3つ以上の仕事も通算できる
3つ以上の仕事を転々とし、いずれも雇用保険に加入しており、離職期間がそれぞれ1年以内であればすべて通算することができます。
例えば、初めて教育訓練給付金を受ける場合で、被保険者だった期間がそれぞれ3か月以上、4か月、5か月の場合、離職期間がそれぞれ1年以内(離職期間は合算しない)であればすべて合算することができて、合計で12か月以上となるので一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金の対象となります。
空白期間が1年超の場合は通算できない
途中に離職期間1年超の期間がある場合はそれ以前の期間は通算することができません。
例えば、受講開始日の時点で一般被保険者として7か月勤務している場合、支給要件期間は7か月となりますが、前職との間の離職期間が1年を超えている場合は、その離職期間より過去のすべての期間が合算の対象外となります。したがって、仮に前職で一般被保険者として5か月勤務していたとしても支給要件期間は1年とはならず、7か月のままなので、教育訓練給付の対象となりません。
5.補足説明
専門実践教育訓練は2年
初めて専門実践教育訓練給付金の支給を受けようとする場合は、支給要件期間が3年ではなく2年以上あればよいことになっています(雇用保険法施行規則附則第24条)。