1.短期訓練受講費と一般教育訓練給付金の概要
短期訓練受講費は、ハローワークの職業指導により再就職のために必要な職業に関する1か月未満の短期訓練を受講して修了した場合に、その短期訓練の受講のために支払った費用の20%がハローワークから支給される制度です。
短期訓練受講費について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
これに対して、一般教育訓練給付金とは、原則として1か月以上1年以内の厚生労働大臣指定の一般教育訓練を受講して修了した場合に、その教育訓練の受講のために支払った費用の20%がハローワークから支給されます。
一般教育訓練給付金について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2.雇用保険法上の違い
一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金は、国(ハローワーク)が雇用保険の失業等給付として実施する教育訓練給付(教育訓練給付金)の一つです。
教育訓練給付金は、自ら進んで教育を受け、現在の仕事に役立てたり、新しい知識を習得して転職したり、キャリアアップをするための制度なので、失業者だけでなく、在職中でもこの制度を利用することができます。
短期訓練受講費
短期訓練受講費も雇用保険の失業等給付ですが、教育訓練給付ではありません。就職促進給付のなかの求職活動支援費の一つです。
就職促進給付(求職活動支援費)は求職活動を支援するための給付金なので、支給を受けられるのは職を求めている失業者だけです。
3.受講前の手続きの違い
教育訓練を受講する前に給付金の支給要件を満たしているかどうかをハローワークで確認することができます。支給要件照会は、一般教育訓練給付金の場合は任意ですが、事前に確認することをおすすめします。
一般教育訓練給付金は、在職者も支給を受けることができるため、ハローワークによる受講指導も不要です。
これに対して、短期訓練受講費の場合は、受講指導の前に教育訓練施設の事前の確認印が必要であり、支給要件照会が必須の手続きです。再就職のための受講なので、事前の受講指導が必須です。
4.短期訓練受講費と一般教育訓練給付金の優先関係
短期訓練受講費は、教育訓練給付金の支給を受けることができないときに支給を受けることができます。つまり、一般教育訓練給付金の支給要件を満たす場合は一般教育訓練給付金だけを受給することができ、短期訓練受講費の支給を受けることができません。
一般教育訓練給付金の支給要件を満たす人が一般教育訓練指定講座を受講した場合は、一般教育訓練給付金だけを受給することができ、短期訓練受講費の支給を受けることができません。
雇用保険の被保険期間等がない等の理由で、一般教育訓練給付金の受給ができない人が一般教育訓練指定講座を受講した場合は、短期訓練受講費の支給を受けることができます。
5.支給額の下限
一般教育訓練給付金は上限10万円、下限4,001円です。
短期訓練受講費は上限10万円、下限はありません。
6.教育訓練の内容の違い
一般教育訓練は、原則として1か月以上1年以内の講座を想定したもので、厚生労働大臣が指定したものに限られます。雇用の安定及び就職の促進を図るために必要と認められる教育訓練で、真に職業に役立つものが指定されます。
短期訓練は、公的職業資格の取得を訓練目標とする教育訓練であって、原則として教育訓練の期間が1か月未満の講座です。厚生労働大臣の指定は不要ですが、ハローワークによる事前の受講指導が必要です。
7.共通点
修了後に給付される
いずれの給付金も、講座を申し込んだだけでは支給されません。申し込みの時点では全額を支払い、各講座で定められた修了条件をクリアすれば、教育訓練経費の20%が支給されます。
未支給の給付金の手続き
一般教育訓練給付金の支給を受ける資格のある人が死亡した場合において、死亡者本人に支給されていない給付があるときは、死亡した受給資格者の遺族がその未支給の教育訓練給付を請求することができます。ハローワークに、未支給の「教育訓練給付金」として未支給失業等給付請求書を提出します。
この手続きは短期訓練受講費も同じです。ハローワークに、未支給の「求職活動支援費」として未支給失業等給付請求書を提出すればよいです。