社労士試験対策

【社労士過去問】教育訓練給付対象者と適用対象期間(令和3年問6-E、平成21年問6-D、平成16年問6-E、平成13年問6-A)

社会保険労務士試験・雇用保険法の過去問の解説です。テーマは「教育訓練給付対象者と適用対象期間」です。この分野からは過去に令和3年択一問6選択肢E、平成21年択一問6選択肢D、平成16年択一問6選択肢E、平成13年択一問6選択肢Aで出題されています。

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1.社労士過去問分析

「教育訓練給付対象者と適用対象期間」の論点

「教育訓練給付対象者と適用対象期間」については、次の論点を押さえておくとよいでしょう。

  • 教育訓練給付対象者は、教育訓練の受講開始日における在職者と、離職後1年以内(適用対象期間)に受講を開始する離職者である。離職後1年超で対象外。
  • 離職後1年以内にやむを得ない事由により、連続して30日以上教育訓練を開始することができない期間がある場合は、適用対象期間の延長が最大20年まで認められる。ただし、教育訓練支援給付金については4年以内に受講を開始しなければならない。
  • 基本手当や傷病手当を受けていても適用対象期間の延長が認められる。
  • 適用対象期間の延長はやむを得ない事由が止んだ後、延長が認められた場合の延長期間内であればいつでも申請できる。教育訓練の受講申し込みをしている必要はなく、どの教育訓練を受けるかを決める必要もない。

社労士試験では過去に次のような問題が出題されています。

  • 令和3年択一問6選択肢E
    教育訓練給付適用対象期間延長と傷病手当
  • 平成21年択一問6選択肢D、平成13年択一問6選択肢A
    教育訓練給付対象者
  • 平成16年択一問6選択肢E
    適用対象期間延長の条件

当サイト解説記事

社労士試験について

社会保険労務士試験について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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2.令和3年択一問6選択肢E

令和3年(2021年実施、第53回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問6の選択肢Eです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Eのみ抜粋)

〔問 6〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、本問において、「教育訓練」とは、雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練のことをいう。

 一般被保険者でなくなって1年を経過しない者が負傷により30日以上教育訓練を開始することができない場合であって、傷病手当の支給を受けているときは、教育訓練給付適用対象期間延長の対象とならない。

正解

選択肢Eの記述は誤りです。

解説

適用対象期間とは

教育訓練給付金の対象者は、教育訓練の受講開始日において一般被保険者または高年齢被保険者である者(在職者)と、受講開始日が一般被保険者または高年齢被保険者でなくなった日から1年以内にある者(1年以内の離職者)です。

直前に一般被保険者または高年齢被保険者でなくなった日から受講開始日までの教育訓練給付の対象となりうる期間、つまり、離職してから受講を開始するまでの期間(通常は1年以内)のことを「適用対象期間」といいます。

参考法令
雇用保険法 第60条の2第1項

教育訓練給付金は、次の各号のいずれかに該当する者(以下「教育訓練給付対象者」という。)が、厚生労働省令で定めるところにより、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(当該教育訓練を受けている場合であつて厚生労働省令で定める場合を含み、当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により厚生労働省令で定める証明がされた場合に限る。)において、支給要件期間が三年以上であるときに、支給する。
一 当該教育訓練を開始した日(以下この条において「基準日」という。)に一般被保険者(被保険者のうち、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の者をいう。次号において同じ。)又は高年齢被保険者である者
二 前号に掲げる者以外の者であつて、基準日が当該基準日の直前の一般被保険者又は高年齢被保険者でなくなつた日から厚生労働省令で定める期間内にあるもの

適用対象期間の延長とは

離職して1年以内に教育訓練を開始しなければなりませんが、その1年以内に教育訓練を開始できない事情がある場合にその期間を最大20年まで延長することができます。離職して1年以内に特別な事由が生じたために「1年以内」の期間を延長することを「適用対象期間の延長」といいます。

参考法令
雇用保険法施行規則 第101条の2の5第1項

法第六十条の二第一項第二号の厚生労働省令で定める期間は、一年(当該期間内に妊娠、出産、育児、疾病、負傷その他管轄公共職業安定所の長がやむを得ないと認める理由により引き続き三十日以上法第六十条の二第一項に規定する教育訓練を開始することができない者が、当該者に該当するに至つた日の翌日から、当該者に該当するに至つた日の直前の一般被保険者(被保険者のうち、法第三十七条の二第一項に規定する高年齢被保険者(以下「高年齢被保険者」という。)、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外のものをいう。以下同じ。)又は高年齢被保険者でなくなつた日から起算して二十年を経過する日までの間(この項の規定により加算された期間が二十年に満たない場合は、当該期間の最後の日までの間)に管轄公共職業安定所の長にその旨を申し出た場合には、当該理由により当該教育訓練を開始することができない日数を加算するものとし、その加算された期間が二十年を超えるときは、二十年とする。)とする。

適用対象期間を延長するには、延長する事由がやんだ日の翌日から、延長後の適用対象期間の最後の日までの間に、教育訓練給付適用対象期間延長申請書と証明書類をハローワークに提出して申請します。

延長が認められた場合は、教育訓練給付適用対象期間延長通知書が交付されます。この延長通知書は、給付金の支給申請時や受給資格確認時に添付書類として提出します。

延長が認められる事由

適用対象期間の延長が認められるのは、離職して1年以内に妊娠、出産、育児、疾病、負傷その他管轄公共職業安定所の長がやむを得ないと認める事由があって、連続して30日以上教育訓練を開始することができない場合です。連続29日以内の場合は認められません。

傷病手当は無関係

雇用保険(基本手当)の受給資格者が、離職後求職申し込みをしたあと疾病や負傷のため引き続き15日以上職業に就くことができなくなった場合には、基本手当の支給を受けることはできません。

雇用保険の傷病手当は、基本手当の支給を受けることができない間の生活を支援するために基本手当に代えて支給される手当です。原則として基本手当と同額の傷病手当が支給されます。なお、14日以内の疾病や負傷の場合は、基本手当の支給を受けることができます。

基本手当も傷病手当も、教育訓練給付金とは支給目的が異なるので、支給を受けても教育訓練給付金の支給に影響はありません。したがって、傷病手当の支給を受けるか受けないかにかかわらず、適用対象期間の延長は認められます。

正解と法的根拠

以上のことは、雇用保険に関する業務取扱要領58022ニ(58121、58221準用)に規定されています。したがって、選択肢Eの記述は誤りです。

参考法令
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)58022ニ

58022 (2) 適用対象期間の延長が認められる理由
ニ 疾病又は負傷
疾病又は負傷を理由として傷病手当の支給を受ける場合であっても、当該疾病又は負傷に係る期間を適用対象期間の延長の対象に含めるものとする。
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)58121、58221

58121 (1) 概要
一般教育訓練に係る教育訓練給付金の適用対象期間の延長と同様である。
このため、一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の各教育訓練給付金のためにそれぞれ適用対象期間の延長を行う必要はない。
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3.平成21年択一問6選択肢D

平成21年(2009年実施、第41回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問6の選択肢Dです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Dのみ抜粋)

〔問 6〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、この問において「教育訓練」とは雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練とし、「教育訓練の受講のために支払った費用」とは雇用保険法第60条の2第4項に規定する厚生労働省令で定める範囲内のものとする。

 一般被保険者であった者が教育訓練給付金を受給する場合、当該教育訓練の開始日は、原則として、その直前の一般被保険者でなくなった日から1年以内でなければならない。

正解

選択肢Dの記述は正しいです。

解説

教育訓練給付金(一般、特定一般、専門実践)は、支給要件期間3年以上の「教育訓練給付対象者」が教育訓練を修了した場合に支給されます。

教育訓練給付対象者とは、教育訓練の受講を開始した日に一般被保険者または高年齢被保険者である場合(在職者)または、一般被保険者または高年齢被保険者でなくなった日から1年以内に受講を開始した場合(離職後1年以内)です。

一般被保険者であった者は教育訓練の受講開始日が原則として、その直前の一般被保険者でなくなった日から1年以内でなければなりません。このことは雇用保険法第60条の2第1項、雇用保険法施行規則第101条の2の5第1項に規定されており、選択肢Dの記述は正しいです。

参考法令
雇用保険法 第60条の2第1項

教育訓練給付金は、次の各号のいずれかに該当する者(以下「教育訓練給付対象者」という。)が、厚生労働省令で定めるところにより、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(当該教育訓練を受けている場合であつて厚生労働省令で定める場合を含み、当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により厚生労働省令で定める証明がされた場合に限る。)において、支給要件期間が三年以上であるときに、支給する。
一 当該教育訓練を開始した日(以下この条において「基準日」という。)に一般被保険者(被保険者のうち、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の者をいう。次号において同じ。)又は高年齢被保険者である者
二 前号に掲げる者以外の者であつて、基準日が当該基準日の直前の一般被保険者又は高年齢被保険者でなくなつた日から厚生労働省令で定める期間内にあるもの

4.平成16年択一問6選択肢E

平成16年(2004年実施、第36回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問6の選択肢Eです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Eのみ抜粋)

〔問 6〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、本問において一般被保険者とは、高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除いた被保険者をいう。

 離職により一般被保険者資格を喪失した者が、離職日から1か月後に病気になり、対象教育訓練の受講を開始できない状態にあった場合でも、そのような期間が引き続き30日以上にならなければ、教育訓練給付金を受給するための受講開始日を、離職の翌日から1年より後に延ばすことはできない。

正解

選択肢Eの記述は正しいです。

解説

上記の、雇用保険法施行規則第101条の2の5第1項に定められているとおり、適用対象期間の延長が認められるのは、離職して1年以内に妊娠、出産、育児、疾病、負傷その他管轄公共職業安定所の長がやむを得ないと認める事由により、連続して30日以上教育訓練を開始することができない場合です。

離職1か月後に病気になり、教育訓練を開始することができない期間が連続して30日以上でなければ、適用対象期間の延長(受講開始日を離職後1年以内より延長すること)が認められません。したがって、選択肢Eの記述は正しいと言えます。

5.平成13年択一問6選択肢A

平成13年(2001年実施、第33回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問6の選択肢Aです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Aのみ抜粋)

〔問 6〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 被保険者であった者が教育訓練給付金を受給する場合、教育訓練の開始日は、一般被保険者資格を喪失した日から180日以内でなければならない。

正解

選択肢Aの記述は誤りです。

解説

上記の、雇用保険法施行規則第101条の2の5第1項に規定されているとおり、受講開始日が、一般被保険者資格を喪失した日から1年以内でなければならないので、選択肢Aの記述は誤りです。

6.補足説明

併給可能

基本手当の支給を受けながら教育訓練給付金(教育訓練支援給付金を除く)の支給を受けることは可能です。また、傷病手当の支給を受けながら教育訓練給付金の支給を受けることも可能です。

教育訓練支援給付金は4年以内

専門実践教育訓練給付金について適用対象期間の延長が認められて支給対象となる場合、教育訓練支援給付金についても支給対象となります。

しかし、教育訓練支援給付金は適用対象期間が4年を超える場合は支給されません。専門実践教育訓練給付金について適用対象期間の延長(最大20年)が認められたとしても、離職して4年以内に受講を開始しないと教育訓練支援給付金は支給されません。

参考法令
雇用保険法施行規則 附則第25条

法附則第十一条の二第一項の厚生労働省令で定める者は、前条の規定により読み替えられた第百一条の二の七第二号に掲げる者(第百一条の二の五第一項の規定により加算された期間が四年を超える者及び夜間において教育訓練を行う教育訓練講座その他の就業を継続して教育訓練を受けることができる教育訓練講座の教育訓練を受け、修了した者(当該教育訓練を受けている者を含む。)を除く。)であつて、法第六十条の二第一項第一号に規定する基準日前に法附則第十一条の二第一項に規定する教育訓練支援給付金(以下「教育訓練支援給付金」という。)の支給を受けたことがない者(専門実践教育訓練の修了が見込まれない者その他厚生労働大臣が定める者を除く。)とする。
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