社会保険労務士試験・雇用保険法の過去問の解説です。テーマは「教育訓練給付金の支給申請期限」です。
1.社労士過去問分析
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重要論点チェックテスト
「教育訓練給付金の支給申請期限」については、次の論点を押さえておくとよいでしょう。それぞれの質問をクリック(タップ)すると回答を見ることができます。
- Q一般教育訓練給付金の支給申請書の提出期限は?
- A
一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金は、教育訓練を修了した日の翌日から起算して1か月以内に支給申請をします。やむを得ない理由があってもなくても申請期限は1か月以内。ただし時効は2年まで。
- Q専門実践教育訓練給付金の支給申請書の提出期限は?
- A
専門実践教育訓練給付金は、各支給単位期間の末日の翌日から起算して1か月以内に支給申請をします。やむを得ない理由があってもなくても申請期限は1か月以内。ただし時効は2年まで。
社労士試験について
社会保険労務士試験について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2.令和5年択一問7選択肢D
令和5年(2023年実施、第55回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問7の選択肢Dです。
問題
択一式試験・雇用保険法(選択肢Dのみ抜粋) 〔問 7〕教育訓練給付金の支給申請手続に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 D 一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとする者は、当該教育訓練給付金の支給に係る一般教育訓練の修了予定日の1か月前までに教育訓練給付金支給申請書を管轄公共職業安定所長に提出しなければならない。
正解
選択肢Dの記述は誤りです。
解説
一般教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を受講し、修了した場合に、教育訓練経費の20%が支給される給付金です。
一般教育訓練給付金を申請するには、当該一般教育訓練を修了した日の翌日から起算して1か月以内に、教育訓練給付金支給申請書に所定の添付書類を添えて、管轄公共職業安定所長に提出しなければなりません。
このことは、雇用保険法施行規則第101条の2の11第1項に規定されており、選択肢Dの「修了予定日の1か月前まで」とする記述は誤りです。
3.平成27年択一問4選択肢ア
平成27年(2015年実施、第47回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問4の選択肢アです。
問題
択一式試験・雇用保険法(選択肢アのみ抜粋) 〔問 4〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。 なお、本問において、「教育訓練」とは、雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練のことをいう。 ア 一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとする者は、やむを得ない理由がある場合を除いて、当該教育訓練給付金の支給に係る一般教育訓練を修了した日の翌日から起算して3か月以内に申請しなければならない。
正解
選択肢アの記述は誤りです。
解説
一般教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を受講し、修了した場合に、教育訓練経費の20%が支給される給付金です。
一般教育訓練給付金を申請するには、当該一般教育訓練を修了した日の翌日から起算して1か月以内に、教育訓練給付金支給申請書に所定の添付書類を添えて、管轄公共職業安定所長に提出しなければなりません。やむを得ない理由があってもなくても申請期限は1か月以内です。
このことは、雇用保険法施行規則第101条の2の11第1項に規定されており、選択肢アの「3か月以内」の記述は誤りです。
なお、選択肢アの「やむを得ない理由がある場合を除いて」の文言は、2015年(平成27年)4月1日の改正により削除されています。この問題は2015年(平成27年)の試験問題であり、出題の対象となるのは2015年(平成27年)4月15日現在施行法令なので、この文言も出題当時から誤りです。
4.平成25年択一問4選択肢ウ
平成25年(2013年実施、第45回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問4の選択肢ウです。
問題
択一式試験・雇用保険法(選択肢ウのみ抜粋) 〔問 4〕教育訓練給付に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 なお、本問において、「教育訓練」とは「雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練」のことである。 ウ 教育訓練給付金の支給を受けようとする者は、やむを得ない理由がある場合を除いて、当該教育訓練給付金の支給に係る教育訓練を修了した日の翌日から起算して1か月以内に、教育訓練給付金支給申請書に所定の書類を添えて、管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。
解説
選択肢ウの「やむを得ない理由がある場合を除いて」の文言は2015年(平成27年)4月1日の改正により削除されました。現在ではやむを得ない理由があってもなくても申請期限は1か月以内です。
したがって、選択肢ウの記述は出題当時(平成25年)は正しいものでしたが、現在では削除されたので誤りです。
5.平成19年択一問5選択肢E
平成19年(2007年実施、第39回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問5の選択肢Eです。
問題
択一式試験・雇用保険法(選択肢Eのみ抜粋) 〔問 5〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 なお、本問において「教育訓練」とは、雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練とし、「教育訓練の受講のために支払った費用」とは、雇用保険法第60条の2第4項に規定する厚生労働省令で定める範囲内のものし、教育訓練の開始日は平成15年5月1日以降とする。 E 教育訓練給付金の支給を受けるためには、原則として、対象となる教育訓練の受講が修了した日の翌日から起算して3か月以内に、管轄の公共職業安定所長に教育訓練給付金支給申請書を提出しなければならない。
解説
教育訓練(現在の一般教育訓練)を修了した日の翌日から起算して1か月以内に申請しなければならないので、選択肢Eの記述は誤りです。
6.平成11年択一問4選択肢B
平成11年(1999年実施、第31回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問4の選択肢Bです。
問題
択一式試験・雇用保険法(選択肢Bのみ抜粋) 〔問 4〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 B 教育訓練給付金の支給を受けようとする者は、教育訓練給付金支給申請書に必要な書類を添えて、当該教育訓練給付金の支給に係る教育訓練を修了した日の翌日から起算して、原則として1か月以内に管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。
解説
教育訓練(現在の一般教育訓練)を修了した日の翌日から起算して1か月以内に申請しなければならないので、選択肢Bの記述は正しいと言えます。
7.補足説明
時効は2年
給付金の申請期限は雇用保険法施行規則により1か月以内と定められており、社労士試験の正誤問題としてはそれで良いのですが、この1か月以内とは迅速な給付を行うための規定です。
給付金の請求権は、雇用保険法第74条の規定により行使できるときから2年を経過したときに時効が完成して消滅します。時効が完成するまでであれば請求することが可能です。
一般教育訓練給付金の支給申請は、一般教育訓練の修了の翌日から起算して2年以内であれば有効です。「やむを得ない理由」があってもなくても2年以内であれば申請できます。
ただし、給付金は支給の決定から7日以内に支給されるのが原則ですが、申請が遅れるとすでに支給された給付金の再計算が生じるなど給付が遅れるおそれがあるため、ハローワークとしては1か月以内の申請期限を守るよう呼びかけています。