社会保険労務士試験・雇用保険法の過去問の解説です。テーマは「雇用保険の基本手当と教育訓練給付の関係」です。この分野からは過去に令和7年択一問3選択肢Eで出題されています。
1.当サイト内の解説記事
2.重要論点チェックテスト
「雇用保険の基本手当と教育訓練給付の関係」については、次の論点を押さえておくとよいでしょう。それぞれの質問をクリック(タップ)すると回答を見ることができます。
- Q基本手当を受給しながら教育訓練給付金を受給することはできますか?
- A
はい。雇用保険の基本手当を受給することと、教育訓練給付金(一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金または専門実践教育訓練給付金)を受給することは無関係です。
- Q基本手当を受給しながら教育訓練給付金を受給すると減額されますか?
- A
いいえ。基本手当は自己の労働によって収入を得た場合には減額されますが、教育訓練給付金は労働によって得た収入ではありません。したがって、いずれの給付金も減額されることもありません。
- Q基本手当を受給しながら教育訓練支援給付金を受給することはできますか?
- A
いいえ。雇用保険の基本手当が支給されている期間は教育訓練支援給付金が支給されません。それは、基本手当が支給される期間については、基本手当で諸経費をまかなうことができるため、教育訓練支援給付金を支給する必要が無いからです。
- Q基本手当を受給中に教育訓練支援給付金の受給資格確認を受けることはできますか?
- A
はい。基本手当を受給中に教育訓練支援給付金が支給されないというだけであって、受給資格そのものが否定されるという意味ではありません。受給資格は認められるけど、支給額が0円になるという意味です。したがって、支給されない期間であっても受給資格確認の手続だけを行うことは可能です。
- Q教育訓練支援給付金と基本手当の受給資格確認票を同時に提出できますか?
- A
はい。教育訓練支援給付金と基本手当は同時に支給されませんが、受給資格確認の手続きを同時にすることは可能です。基本手当の受給資格者については基本手当を優先して支給し、基本手当の受給終了後に教育訓練支援給付金が支給されます。
3.過去問解説
令和7年択一問3選択肢E
令和7年(2025年実施、第57回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問3の選択肢Eです。
問題
択一式試験・雇用保険法(選択肢Eのみ抜粋)
〔問 3〕教育訓練給付金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
E 基本手当を受給している期間であっても、他の要件を満たす限り教育訓練支援給付金を受給することができる。
正解
選択肢Eの記述は誤りです。
解説
教育訓練給付金(一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金または専門実践教育訓練給付金)は、教育訓練にかかる経費の支払いの一部を補助するものであって、雇用保険の基本手当(一般に失業保険と呼ばれるもの)とは目的が異なります。そのため、基本手当を受給していたとしても、教育訓練給付金の受給資格を失うことはありません。基本手当の受給期間中に教育訓練給付金の支給を受けることは可能です。
しかし、教育訓練支援給付金は、教育訓練期間中の生活費の支援であり、雇用保険の基本手当と目的が同じです。そのため、「基本手当が支給される期間」に教育訓練支援給付金が支給されることはありません。このことは、雇用保険法附則第11条の2第4項に定められています。
雇用保険法 附則第11条の2第4項
基本手当が支給される期間及び第二十一条、第二十九条第一項(附則第五条第四項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)、第三十二条第一項若しくは第二項又は第三十三条第一項の規定により基本手当を支給しないこととされる期間については、教育訓練支援給付金は、支給しない。
したがって、基本手当を受給している期間に「教育訓練支援給付金を受給することができる」とする選択肢Eの記述は誤りと言えます。
補足(受給資格確認の手続き)
雇用保険法附則第11条の2第4項の「教育訓練支援給付金は、支給しない」とは、受給資格があっても支給額が0円になるという意味であって、受給資格そのものを否定する意味ではありません。
教育訓練支援給付金と基本手当の受給資格がある場合は、両方の受給資格確認票を提出することが可能です。この場合、両方の受給資格確認の手続きが行われ、両方の受給資格が認められます。実際の支給は一方だけですが資格だけは認められます。
教育訓練支援給付金と基本手当は同時に支給されませんが、基本手当の受給資格者については基本手当を優先して支給し、基本手当の受給終了後に教育訓練支援給付金が支給されます。この切り替えを自動的に行うためにあらかじめ両方の受給資格を確認しておきます。
4.補足説明
教育訓練支援給付金の過去問
教育訓練支援給付金の過去問はこちらの記事をご覧ください。
社労士試験について
社会保険労務士試験について詳しくはこちらの記事をご覧ください。