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【社労士過去問】高年齢被保険者の定義 _ pr
社労士試験対策

【社労士過去問】高年齢被保険者の定義

社会保険労務士試験・雇用保険法(択一式試験)の過去問の解説です。テーマは「高年齢被保険者の定義」です。

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1.重要論点チェックテスト

高年齢被保険者の定義」については、次の論点を押さえておくとよいでしょう。それぞれの質問をクリック(タップ)すると回答を見ることができます。

Q
短期雇用特例被保険者は65歳になると高年齢被保険者に切り替わりますか?
A

いいえ。高年齢被保険者は、65歳以上の被保険者で、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除きます。短期雇用特例被保険者は65歳になっても短期雇用特例被保険者です。

Q
平成28年に65歳以上の年齢で雇用された者は雇用開始から被保険者とみなしますか?
A

いいえ。65歳に達した日以後に雇用された者のうち、平成29年1月1日より前に雇用され、平成29年1月1日以降も引き続いて雇用されている者については、平成29年1月1日に当該事業主の適用事業に雇用されたものとみなします。

Q
一般被保険者が高年齢被保険者となる場合、事業主が届け出る必要がありますか?
A

いいえ。65歳に達した日前からの一般被保険者が、65歳に達した日以後においても引き続いて雇用され、高年齢被保険者に該当するに至った場合は自動的に切り替わるので事務手続きは不要です。

Q
特例高年齢被保険者となるための要件は何ですか?
A

特例高年齢被保険者(マルチジョブホルダー高年齢被保険者)となる者は、65歳以上で、2以上の事業主の適用事業に雇用され、いずれの事業主においても週の所定労働時間が5時間以上20時間未満で、2の事業主における週の所定労働時間の合計が20時間以上となる労働者です。

Q
特例高年齢被保険者の申出をするのは事業所管轄のハローワークですか?
A

いいえ。特例高年齢被保険者(マルチジョブホルダー高年齢被保険者)の要件を満たす場合、本人が、自分の住居所管轄ハローワークに出頭して申出をします。

Q
ハローワークに特例高年齢被保険者の申出をした日から被保険者となりますか?
A

はい。特例高年齢被保険者(マルチジョブホルダー高年齢被保険者)の要件を満たす場合、住居所管轄ハローワークに申し出ることにより、当該申出を行った日から特例高年齢被保険者となることができます。

Q
特例高年齢被保険者がその要件を満たさなくなったときも申し出る必要がありますか?
A

はい。特例高年齢被保険者はその要件を満たさなくなったときも、本人が、住居所管轄ハローワークに申し出る義務があります。

Q
特例高年齢被保険者の申出があったときは事業主に通知されますか?
A

はい。厚生労働大臣は、特例高年齢被保険者の申出(または特例高年齢被保険者でなくなったことの申出)があったときは、2の事業主に対し、当該労働者が被保険者となったこと(または被保険者でなくなったこと)を通知しなければなりません。

Q
事業主が特例高年齢被保険者の申出を理由として解雇すると処罰されますか?
A

はい。事業主は、特例高年齢被保険者の申出を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとされています。違反すると6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることがあります。

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2.関連記事

当サイト解説記事

社労士試験について

社会保険労務士試験について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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3.過去問解説

令和4年択一問1選択肢C

令和4年(2022年実施、第54回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問1の選択肢Cです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Cのみ抜粋)  〔問 1〕特例高年齢被保険者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。   特例高年齢被保険者が1の適用事業を離職したことにより、1週間の所定労働時間の合計が20時間未満となったときは、特例高年齢被保険者であった者がその旨申し出なければならない。

解答

選択肢Cの記述は正しいです。

解説

特例高年齢被保険者(マルチジョブホルダー高年齢被保険者)とは、雇用保険法第37条の5第1項の申出をして高年齢被保険者となった者です。

65歳以上で、2以上の事業主の適用事業に雇用され、いずれの事業主においても1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満であるが、そのうち2の事業主における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上である労働者は、厚生労働大臣に申し出ることにより、当該申出を行った日から特例高年齢被保険者となることができます。

特例高年齢被保険者は、要件を満たさなくなったときは厚生労働大臣に申し出なければなりません。このことは、雇用保険法第37条の5第2項に規定されており、選択肢Cの記述は正しいといえます。

参考法令
雇用保険法 第37条の5第1項、第2項  次に掲げる要件のいずれにも該当する者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に申し出て、当該申出を行つた日から高年齢被保険者となることができる。  一 二以上の事業主の適用事業に雇用される六十五歳以上の者であること。  二 一の事業主の適用事業における一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。  三 二の事業主の適用事業(申出を行う労働者の一の事業主の適用事業における一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間数以上であるものに限る。)における一週間の所定労働時間の合計が二十時間以上であること。 2 前項の規定により高年齢被保険者となつた者は、同項各号の要件を満たさなくなつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に申し出なければならない
マルチジョブホルダー業務取扱要領(行政手引)1160(抜粋)  マルチ高年齢被保険者は、二の事業主に雇用されなくなった場合や二の事業主における合計した1週間の所定労働時間が20時間未満になる等、法第37条の5第1項各号の要件を満たさなくなったときは、被保険者資格を喪失し、その旨を自身の住居所を管轄する安定所長に申し出なければならない(法第37条の5第2項)。

令和4年択一問1選択肢E

令和4年(2022年実施、第54回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問1の選択肢Eです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Eのみ抜粋)  〔問 1〕特例高年齢被保険者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。   2の事業所に雇用される65歳以上の者は、各々の事業における1週間の所定労働時間が20時間未満であり、かつ、1週間の所定労働時間の合計が20時間以上である場合、事業所が別であっても同一の事業主であるときは、特例高年齢被保険者となることができない。

解答

選択肢Eの記述は正しいです。

解説

特例高年齢被保険者(マルチジョブホルダー高年齢被保険者)とは、雇用保険法第37条の5第1項の申出をして高年齢被保険者となった者です。

雇用保険法第6条第1号では、「1週間の所定労働時間が20時間未満である者」を適用除外としています。この週所定労働時間20時間未満の要件は「一の事業主での雇用関係」を前提として判断すると解されています。つまり、同一の事業主の下で、週所定労働時間20時間未満であれば適用除外となります。

そのため、特例高年齢被保険者は、1の事業主における1週間の所定労働時間が20時間未満で、「2の事業主」における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上あることが適用要件であるとされています。この「2の事業主」は異なる事業主である必要があるため、事業所が別であっても同一の事業主である場合は適用要件を満たしません。

事業所が別であっても同一の事業主の下で、1週間の所定労働時間の合計が20時間以上である場合は、特例ではない通常の高年齢被保険者となります。このことは、マルチジョブホルダー業務取扱要領(行政手引)1070に記載されており、選択肢Eの記述は正しいといえます。

参考法令
雇用保険法 第6条第1号  第六条 次に掲げる者については、この法律は、適用しない。 一 一週間の所定労働時間が二十時間未満である者(第三十七条の五第一項の規定による申出をして高年齢被保険者となる者及びこの法律を適用することとした場合において第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。)
マルチジョブホルダー業務取扱要領(行政手引)1020(抜粋)  1020 65歳以上のマルチジョブホルダーを被保険者とすることの意義 これまで、雇用保険制度は、一の事業主での雇用関係を基に適用関係を判断してきたが、近年、働き方が柔軟化する中で、マルチジョブホルダーの適用についても検討課題とされてきた。特に、被保険者資格の得喪の手続は事業主の義務としているところ、所定労働時間について一の事業主ですべてを把握してこれを履行させることは困難であるところ、本人からの申出により、特例的に被保険者とすることが考えられた。
雇用保険法 第37条の5第1項  次に掲げる要件のいずれにも該当する者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に申し出て、当該申出を行つた日から高年齢被保険者となることができる。  一 二以上の事業主の適用事業に雇用される六十五歳以上の者であること。  二 一の事業主の適用事業における一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。  三 二の事業主の適用事業(申出を行う労働者の一の事業主の適用事業における一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間数以上であるものに限る。)における一週間の所定労働時間の合計が二十時間以上であること。
マルチジョブホルダー業務取扱要領(行政手引)1070(抜粋)  マルチ高年齢被保険者に係る適用事業については、二の事業主は異なる事業主である必要があるため、事業所が別であっても同一の事業主である場合は、適用要件を満たさないことに留意すること。

平成24年択一問5選択肢D

平成24年(2012年実施、第44回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問5の選択肢Dです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Dのみ抜粋)  〔問 5〕高年齢継続被保険者の求職者給付等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 なお、本問において、「算定基礎期間」とは「雇用保険法第37条の4第3項に規定する算定基礎期間」のこと、「基本手当の日額」とは「高年齢受給資格者を雇用保険法第15条第1項に規定する受給資格者とみなした場合に支給されることとなる基本手当の日額」のこと、「失業の認定」とは「雇用保険法第37条の4第4項に規定する失業していることについての認定」のことである。   日雇労働被保険者は、高年齢受給資格者となることはない。

注:高年齢継続被保険者は高年齢被保険者に改正されました。

解答

選択肢Dの記述は正しいです。

解説

高年齢被保険者は65歳以上の雇用保険の被保険者であり、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除きます。一般被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者は、高年齢受給資格者となることはありません。

このことは、雇用保険法第37条の2第1項、雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)54101に規定されており、選択肢Dの記述は正しいといえます。

参考法令
雇用保険法 第37条の2第1項  六十五歳以上の被保険者(第三十八条第一項に規定する短期雇用特例被保険者及び第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者を除く。以下「高年齢被保険者」という。)が失業した場合には、この節の定めるところにより、高年齢求職者給付金を支給する。
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)54101(抜粋)  一般被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者は、高年齢受給資格者となることはない。

平成23年択一問1選択肢A

平成23年(2011年実施、第43回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問1の選択肢Aです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Aのみ抜粋)  〔問 1〕 雇用保険の被保険者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。  A 65歳に達した日以後に雇用される者は、高年齢継続被保険者に該当する場合を除き、被保険者となることはない。

注:高年齢継続被保険者は高年齢被保険者に改正されました。

解答

選択肢Aの記述は誤りです。

解説

短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者に年齢制限はありませんから、65歳に達した日以後に雇用された者も高年齢被保険者に該当しなくても、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者となることは可能です。

したがって、選択肢Aの「被保険者となることはない」とする記述は誤りです。