社会保険労務士試験・雇用保険法(択一式試験)の過去問の解説です。テーマは「短期雇用特例被保険者の定義」です。
1.重要論点チェックテスト
「短期雇用特例被保険者の定義」については、次の論点を押さえておくとよいでしょう。それぞれの質問をクリック(タップ)すると回答を見ることができます。
- Q季節的に雇用される者で雇用期間がちょうど4か月の場合、被保険者となりますか?
- A
いいえ。季節的に雇用される者で、雇用期間が4か月以内なら適用除外(被保険者にならない)、4か月を超えたら短期雇用特例被保険者になります。
- Q週の所定労働時間が25時間の労働者は短期雇用特例被保険者となりますか?
- A
いいえ。短期雇用特例被保険者は、雇用期間4か月超、週の所定労働時間が30時間以上で季節的に雇用される労働者です。ただし、日雇労働被保険者を除きます。
- Q季節的に雇用される者で雇用期間が4か月を超える場合、4か月を超えた日に被保険者になりますか?
- A
いいえ。季節的に雇用される者が4か月を超える期間を定めて雇用された場合は最初から短期雇用特例被保険者となります。また、当初4か月以内であった雇用契約を更新した結果、通算して4か月を超える場合は、更新する前の当初の雇用期間を超えた日から被保険者となります。
- Q短期雇用特例被保険者が同一事業主に1年以上雇用されたら一般被保険者に切り替わりますか?
- A
はい。短期雇用特例被保険者が同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上となるに至ったときは、その1年以上雇用されるに至った日に、一般被保険者(65歳以上であれば高年齢被保険者)に切り替わります。
2.関連記事
当サイト解説記事
社労士試験について
社会保険労務士試験について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
3.過去問解説
平成26年択一問5選択肢A
平成26年(2014年実施、第46回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問5の選択肢Aです。
問題
択一式試験・雇用保険法(選択肢Aのみ抜粋) 〔問 5〕短期雇用特例被保険者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 A 100日の期間を定めて週あたり労働時間が35時間で季節的に雇用されていた者が、引き続き30日間雇用されるに至った場合は、その30日間の初日から短期雇用特例被保険者となる。
解答
選択肢Aの記述は正しいです。
解説
短期雇用特例被保険者とは、季節的に雇用される者のうち次のいずれにも該当しないものをいいます。雇用された時の年齢を問いません。
- 4か月以内の期間を定めて雇用される者
- 1週間の所定労働時間が30時間未満である者
- 日雇労働被保険者
季節的に雇用される者が、当初4か月以内の期間を定めて雇用されていたが、その定められた期間を超えて引き続き同一の事業主に雇用され、通算して4か月を超えた場合は、その定められた期間を超えた日から被保険者資格を取得します。
つまり、4か月以内の契約で雇用されていた(X)が、引き続き同一の事業主に雇用され(Y)、XとYを合算して4か月を超えた場合、Xを超えた日(=Yの初日)から被保険者資格を取得します。4か月を超えた日ではないことに注意します。
選択肢Aの記述のように、100日の雇用期間(X)の契約で雇用された者が引き続き雇用され、30日間(Y)雇用されるに至った場合、XとYを合算して4か月を超えているので、Xの終了の翌日である101日目、つまり、延長された30日間(Y)の初日から被保険者となります。週の所定労働時間が35時間で季節的に雇用されていた者であれば短期雇用特例被保険者となります。
なお、XとYを合算して4か月以内であれば被保険者となりません。さらに延長され4か月を超えた場合は被保険者となる可能性はありますが、その場合は延長期間の初日から被保険者となります。
このことは、雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)20555に記載されており、選択肢Aの記述は正しいといえます。
平成21年択一問1選択肢D
平成21年(2009年実施、第41回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問1の選択肢Dです。
問題
択一式試験・雇用保険法(選択肢Dのみ抜粋) 〔問 1〕雇用保険の被保険者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 D 満30歳の短期雇用特例被保険者が同一の事業主に引き続き6か月以上雇用されるに至った場合、その6か月以上雇用されるに至った日以後は、短期雇用特例被保険者ではなく一般被保険者となる。
解答
選択肢Dの記述は誤りです。
解説
短期雇用特例被保険者とは、季節的に雇用される者のうち次のいずれにも該当しないものをいいます。
- 4か月以内の期間を定めて雇用される者
- 1週間の所定労働時間が30時間未満である者
- 日雇労働被保険者
「季節的に雇用される者」とは、季節的業務に期間を定めて雇用される者又は季節的に入離職する者をいい、具体的には、季節の影響を強く受けることにより、雇用された日から1年未満で離職することが明らかである者のことです。1年以上雇用された場合は「季節的」とは言えません。
短期雇用特例被保険者が同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上となるに至ったときは、その1年以上雇用されるに至った日以後は、短期雇用特例被保険者でなくなり、一般被保険者(65歳未満)または高年齢被保険者(65歳以上)となります。
このことは、雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)20451に記載されており、選択肢Dの「6か月以上雇用されるに至った場合」とする記述は誤りです。
平成18年択一問1選択肢A
平成18年(2006年実施、第38回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問1の選択肢Aです。
問題
択一式試験・雇用保険法(選択肢Aのみ抜粋) 〔問 1〕雇用保険の被保険者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 A 短期雇用特例被保険者であって、同一の事業主の適用事業に65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている者は、高年齢継続被保険者となる。
解答
選択肢Aの記述は誤りです。
解説
短期雇用特例被保険者とは、季節的に雇用される者のうち次のいずれにも該当しないものをいいます。
- 4か月以内の期間を定めて雇用される者
- 1週間の所定労働時間が30時間未満である者
- 日雇労働被保険者
雇用された時の年齢を問いません。短期雇用特例被保険者が65歳になっても短期雇用特例被保険者のままです。
短期雇用特例被保険者が同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上となるに至ったときは、その1年以上雇用されるに至った日以後は一般被保険者(65歳未満)または高年齢被保険者(65歳以上)となります。
このことは、雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)20451に記載されており、選択肢Aの記述は誤りです。
平成17年択一問1選択肢C
平成17年(2005年実施、第37回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問1の選択肢Cです。
問題
択一式試験・雇用保険法(選択肢Cのみ抜粋) 〔問 1〕雇用保険の被保険者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 C 4か月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される者は、原則として被保険者とならないが、その期間の満了後も同一の事業主に引き続き雇用された場合には、当初の季節的事業における雇用開始の日に被保険者になったものとみなされる。
解答
選択肢Cの記述は誤りです。
解説
短期雇用特例被保険者とは、季節的に雇用される者のうち次のいずれにも該当しないものをいいます。
- 4か月以内の期間を定めて雇用される者
- 1週間の所定労働時間が30時間未満である者
- 日雇労働被保険者
季節的に雇用される者が、当初4か月以内の期間を定めて雇用されていたが、その定められた期間を超えて引き続き同一の事業主に雇用され、通算して4か月を超えた場合は、その定められた期間を超えた日から被保険者資格を取得します。
つまり、4か月以内の契約で雇用されていた(X)が、引き続き同一の事業主に雇用され(Y)、XとYを合算して4か月を超えた場合、Xを超えた日(=Yの初日)から被保険者資格を取得します。Xの初日ではなく、Yの初日です。なお、XとYを合算して4か月以内であれば被保険者となりません。
このことは、雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)20555に記載されており、選択肢Cの「当初の季節的事業における雇用開始の日」とする記述は誤りです。
平成16年択一問4選択肢A
平成16年(2004年実施、第36回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問4の選択肢Aです。
問題
択一式試験・雇用保険法(選択肢Aのみ抜粋) 〔問 4〕 短期雇用特例被保険者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 A 65歳に達する日より前から雇用されている短期雇用特例被保険者が同一の事業主の下で引き続き1年以上雇用されるに至った場合、その1年以上雇用されるに至った日において65歳を超えているときには、65歳に達した日に遡って高年齢継続被保険者となる。
解答
選択肢Aの記述は誤りです。
解説
短期雇用特例被保険者とは、季節的に雇用される者のうち次のいずれにも該当しないものをいいます。
- 4か月以内の期間を定めて雇用される者
- 1週間の所定労働時間が30時間未満である者
- 日雇労働被保険者
短期雇用特例被保険者が同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上となるに至ったときは、その1年以上雇用されるに至った日(雇用開始からちょうど1年経過した日)以後は、一般被保険者(65歳未満)または高年齢被保険者(65歳以上)となります。
このことは、雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)20451に記載されており、選択肢Aの「65歳に達した日に遡って」とする記述は誤りです。