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建設機械の運転技能講習と一般教育訓練給付金の受給条件、ハローワークの手続き _ pr
資格・講座

建設機械の運転技能講習と一般教育訓練給付金の受給条件、ハローワークの手続き

一般教育訓練給付金は雇用保険給付としてハローワークから支給される給付金であり、受給資格を満たした人は技能講習にかかった費用の20%がハローワークから給付されます。

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1.建設機械の技能講習と教育訓練給付

建設機械の技能講習

建設機械の運転業務は労働安全衛生法による就業制限があり、一定の条件以上の建設機械については「技能講習」の受講が義務づけられています。技能講習は、雇用保険の教育訓練給付制度の対象です。

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技能講習は、都道府県労働局長に登録が認められた教習所(都道府県労働局長登録教習機関)が実施します。学科教習と実技教習の後、学科試験と実技試験に合格すると「技能講習修了証」が交付されます。この修了証は個人に与えられる許可証であり、転職しても使えます。

一般教育訓練給付金

雇用保険の教育訓練給付金には一般、特定一般、専門実践の3種類がありますが、このうち、建設機械の技能講習で支給可能な給付金は一般教育訓練給付金です。一般教育訓練給付金は教育訓練経費の20%が給付されます。

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2.教育訓練給付制度の対象とハローワーク

教育訓練給付対象講座の指定

技能講習は一般教育訓練給付金の対象ですが、すべての教習所で給付金が支給されるのではなく、厚生労働大臣の「教育訓練給付対象講座」の指定を受けた教習(コース)のみが対象となります。指定を受けるには各教習所が厚生労働省に対して事前に申請をしなければなりませんが、すべての講座がその申請を行っているとは限りません。

そのため、希望する技能講習(コース)が厚生労働大臣指定の教育訓練に指定されているかを、申し込みをする前に確認しておく必要があります。

また、教習内容や費用が異なるコースは、そのコースごとに厚生労働大臣の「教育訓練給付対象講座」の指定が必要です。技能講習の場合、すでに所持している免許や業務経験によって、教習内容が一部免除され、受講費用が減免される場合がありますが、一部免除されるコースもそれぞれ厚生労働大臣の指定が必要です。指定を受けていないコースは教習の免除が認められないか、または全額自己負担(支給対象外)で受講することになります。

教習所の指定講座を探す

厚生労働大臣の指定を受けた教習(コース)を検索するには、厚生労働省の指定教育訓練講座検索システムを使います。支給申請には各講座の「指定番号」が必要です。

ハローワークで申請すること

一般教育訓練給付金は教習所の割引特典ではありません。また、教習所が返金するものではありません。

まず、教習所で受講申し込みをする際にはその教習料金を全額(100%)支払います。このとき、一般教育訓練給付金に相当する額を差し引いて支払ってはいけません。全額支払わなければ教習を受けることができません。

そして、教習所で学科試験と実技試験に合格した後で、ハローワークに行って支給申請すると給付金が支給されます(ハローワークで給付金の振込先口座を届け出る)。

注:教習料金は教習所に全額支払いますが、教育訓練給付金はハローワークから振り込まれます。

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3.同時教習コースについて

大型免許、大型特殊免許と同時に取得する

建設機械を操作するには技能講習(労働安全衛生法)を修了すれば良く、技能講習のことを「作業免許」と呼ぶこともあります。自動車運転免許を持っていなくても良いです。ただし、作業ができるだけで道路の走行はできません。

公道を走行するにはナンバープレートの交付を受けるとともに、運転者は大型特殊自動車免許(道路交通法)が必要です。また、カタピラ車など公道を走ってはいけない車両は大型自動車に積載して運ばなければなりません。そのため、建設機械の技能講習と同時に、大型自動車免許(第一種)や大型特殊自動車免許、けん引免許などの運転免許とセットの教習を行っている教習所もあります。

複数の技能講習を受講する

1つの技能講習を修了すると、その後に行う技能講習の教習内容が一部免除され、教習費用が減免される場合があります。例えば、小型移動式クレーン運転技能講習は通常20時間ですが、玉掛け技能講習を修了した後に受講すれば16時間となります。セットで受講することによって4時間分の教習費用が減額されます。

これは、教習内容が共通しているからであり、教習所が「玉掛け+小型移動式クレーン」といったセットのコース(同時教習コース)を設置している場合は、セットで教育訓練給付制度の対象となる場合があります。

同時教習コースの例

  • 玉掛け+小型移動式クレーン
  • 玉掛け+床上操作式クレーン
  • 車両系建設機械(整地等)+車両系建設機械(解体用)
  • 玉掛け+小型移動式クレーン+車両系建設機械(整地等)
  • 玉掛け+小型移動式クレーン+高所作業車

また、「玉掛け+小型移動式クレーン+フォークリフト」のように、フォークリフト運転技能講習とセットの講座を実施している場合もあります。受講する順番によって、免除される教習内容や教習費用が異なることがありますのでご注意ください。

同時教習と教育訓練給付制度

原則として、教育訓練給付対象講座を同時に複数利用することはできず、複数の教育訓練給付対象講座を同時に申し込んだ場合はそのうちの1つしか利用することができません(教育訓練給付金が支給されるのは1つの講座だけです)。

しかし、教習所が同時教習コースを「1つの講座」として設置し、厚生労働省の教育訓練給付対象の指定を受けた場合は、そのコースを1つの教育訓練給付対象講座として申し込むことができます。この場合はセットで取得することが可能です。

教習所が同時教習について教育訓練給付対象の指定を受けていない場合や、教育訓練給付対象講座ではないコース(オプションコース)とのセットは教育訓練給付制度の対象外です。

教育訓練給付制度を利用して一度、教育訓練給付金を受給すると、支給された日から最低3年は再び教育訓練給付金を受給することができません。そのため、時間的、経済的、精神的余裕があれば、まとめて複数の免許を取得したほうが良いです。

4.一般教育訓練給付金の上限と下限

20,005円以上の講座のみ

一般教育訓練給付金は、教育訓練経費の20%として計算した金額が4,000円に満たない場合は支給されません。4,001円以上になったら支給されます。

そのため、受講料金は各教習所、各コースによって異なりますが、一般教育訓練給付金の対象となるのは教育訓練経費が20,005円以上の講座のみとなります。教習内容が一部免除されて20,004円以下となった場合は対象外となります(20,004円以下のコースの場合、厚生労働省の指定基準を満たさない)。

給付金額の計算例

一般教育訓練給付金の対象となる教育訓練経費は、入学金と受講料(テキスト代を含む)の合計金額であり、それ以外の宿泊費や検定料金などの費用は対象外です。

一般教育訓練給付金の実際の給付金額は、申し込みの際に支払う合計金額から対象外の費用を除いた金額(教育訓練経費)の20%となります。

例えば、入学金7万円、講習費用11万円、教材費等1万円、給付金対象外費用15,000円の場合、申し込みの際に合計額の205,000円を支払いますが、そのうち給付対象である教育訓練経費は19万円なので、一般教育訓練給付金は38,000円となります。

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なお、キャンペーン等の特典を利用して割引を受けた場合は割引後の価格が教育訓練経費となります。また、修了試験に合格できなかった場合に受ける補講の費用や、勤務先の会社が負担した費用は対象外です。

50万円以上の講座は一律10万円

一般教育訓練給付金の上限は10万円までです。そのため、一般教育訓練給付金の対象となる教育訓練経費が50万円を超える場合、支給される給付金は10万円(50万円×20%=10万円)となります。

例えば、大型一種+大型特殊+けん引+車両系建設機械+フォークリフトのセットで教育訓練経費が50万円を超えますが、支給される一般教育訓練給付金は上限の10万円となります。

5.教育訓練給付金の受給条件

一般教育訓練給付金は、労働者が雇用保険に加入し、雇用保険料を支払っている場合に給付される雇用保険給付です。雇用保険に一定期間加入していた被保険者または離職者だけが受給することができます。まったく働いたことが無く雇用保険に加入したことが無ければ対象外です。

教育訓練給付対象者

教育訓練給付対象者とは、受講開始日の時点で、職場で勤務していて雇用保険に加入している人(在職者)または会社を1年以内に離職した離職者のことをいいます(雇用保険法第60条の2第1項)。離職後、1年超経過している場合は対象外です。

教育訓練給付対象者

  • 在職者:雇用保険に加入している一般被保険者または高年齢被保険者
  • 離職者:一般被保険者または高年齢被保険者でなくなってから1年以内

この場合の「在職」「離職」は、雇用契約の有無ではなく、雇用保険の加入で判断します。アルバイト、パート、契約社員等であっても雇用保険の被保険者であれば受給することができます。逆に、正社員であっても雇用保険に加入していなければ対象外です。

なお、離職後1年以内の「1年」は延長することができます(適用対象期間の延長)。適用対象期間の延長について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

支給要件期間と受給制限

前述の教育訓練給付対象者が支給要件期間1年以上を満たしたときに教育訓練給付金が支給されます。この「支給要件期間」とは受講開始日までに雇用保険に加入していた期間のことです。要するに雇用保険に1年間加入していればよいです。転職した場合は転職前の期間も通算することができます。

なお、過去に教育訓練給付金の支給を受けたことがある場合は、その教育訓練の受講開始日以降の支給要件期間が3年以上で、かつ支給決定日から3年経過している必要があります。なお、雇用保険の基本手当や傷病手当の支給を受けていても無関係です。

教習所には分からない

教育訓練給付対象者で支給要件期間を満たしている人でなければ、教育訓練を申し込んではいけません。

ところで、雇用保険の加入手続きは事業主がハローワークで行うため、雇用保険の加入実績はハローワークしか把握していません。教習所側では申し込みをしようとしている人が本当に受給資格者かどうかを判断することができません。また、個人情報であるため教習所からハローワークに問い合わせすることもできません。

そのため、実際には、受給資格が無いにもかかわらず、教育訓練給付対象コースを申し込むことは可能です。しかし、それを受講しても教育訓練給付金の支給を受けることができません。この場合、教習料金は全額自己負担になります。

注:教育訓練の受講申し込みができたとしても、教習所が教育訓練給付の受給を保証したことにはなりません(保証するのは不可能)。

6.受講から給付金申請までの流れ

支給要件照会

教育訓練給付金が支給されるかどうかはハローワークにしか分からないのですから、念のためハローワークに行ってその確認(支給要件照会)をしておきましょう。

ハローワークに「教育訓練給付金支給要件照会票」を提出すると、すぐに調べて回答してくれます。このとき、受講する予定のコースが厚生労働大臣の有効な指定を受けた講座かどうかも調べてくれますから、検索システムでそのコースの「指定番号」も調べておくとよいでしょう。

支給要件照会で回答してくれること

  • 自分が受講開始日の時点で受給資格者かどうか
  • 申し込み予定の教習が厚生労働大臣指定講座かどうか

支給要件照会をするとハローワークから「教育訓練給付金支給要件回答書」が交付されます。支給要件があるとの回答があった場合は、教習所に事前の予約をします。事前の予約をしないと申し込みができない場合があります。

申し込み、教習費用の支払い

技能講習を行う登録教習機関に一般教育訓練給付金の制度を利用することを伝えて、支給要件回答書を添えて「技能講習受講申込書」を提出します。教育訓練給付対象の講座を申し込まなければ給付金は支給されません。

なお、支給要件回答書を添付しなくても教育訓練給付の対象となりますので、申し込みの際に支給要件回答書の提出を求められていない場合は、支給要件回答書を添付しなくても良いです(後述)。

申し込み時には教習費用を全額(100%)支払います。

教育訓練給付金は修了を認定された場合に、ハローワークから支給されるものですから、入校時に給付金相当額を差し引いて申し込んではいけません。

入校申し込みは本人名義で申し込みをし、教習費用のうち少なくとも教育訓練経費については全額本人名義で支払いをしなければなりません。本人名義でない入校申し込みや、本人名義でない支払いは不可です。家族や勤務先の名義は不可です。クレジットカード払いの場合は本人名義のカード、銀行振り込みの場合は本人名義の振り込み、ローンを組む場合も本人がローン契約をしなければなりません。

受講、卒業

教習は朝から夕方までありますが、1日でも欠席、遅刻、早退があると時間不足で不合格になります。終了できなかった場合は給付金が支給されません。また、支払った教習費用は返還されません。

学科試験と実技試験に合格すれば「技能講習修了証」が交付されます。この修了証は作業をする際に携帯しなければなりません。さらに、教育訓練給付金対象コースを申し込んだ受講者には「教育訓練修了証明書」「領収書」が交付されます。

  • 技能講習修了証:本人が保管、携帯義務
  • 教育訓練修了証明書:ハローワークに提出

修了後に「教育訓練給付指定講座修了者アンケート」へ回答します。このアンケートは集計して教習所が厚生労働省へ報告することが義務付けられています。

給付金の支給申請

教育訓練給付金の支給申請手続きは、修了後1か月以内に本人の住所を管轄するハローワークに「支給申請書」を提出することによって行います。支給申請書には教習所が発行した「教育訓練修了証明書」「領収書」を添付します。

支給申請の際、給付金の振込先口座を届け出ます。支給決定後7日以内に指定口座に振り込まれます。

7.短期訓練受講費

短期訓練受講費とは、雇用保険の受給資格者等(基本手当の受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者、日雇受給資格者)で、1か月未満の短期訓練を修了した場合に支払った教育訓練経費の20%(上限10万円、下限なし)が支給される制度です。

一般教育訓練指定講座を受講した場合で、一般教育訓練給付金の受給資格がある場合は「一般教育訓練給付金」を受給すればよいですが、一般教育訓練給付金の受給資格が無い場合または教育訓練給付制度対象外の講座の場合はハローワークの職業指導を受けたうえで「短期訓練受講費」の支給を受けることができます。

短期訓練受講費について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

8.補足説明

事業主が負担した場合の助成金

建設機械の技能講習の費用を勤務先の会社が負担した場合は教育訓練給付制度の対象外となりますが、中小建設事業主等が雇用する建設労働者に受講させた場合、「人材開発支援助成金」などの助成金を受けられる場合があります。

また、ハローワーク以外に、地方自治体(市区町村)が独自に資格取得助成金または教育訓練助成金などの各種助成を行っている場合もあります。この場合の窓口は市区町村役場です。

支給要件回答書は参考資料にすぎない

前述のとおり、一般教育訓練の場合、申し込みの際に「教育訓練給付金支給要件回答書」の提出を求められることがあります(提出を求められた場合は提出しなければ申し込みできません)。しかし、法律上は支給要件照会をしなくても自己責任で教育訓練給付対象講座を受講し、給付金の支給を申請することは可能です。つまり、支給要件照会を行う法的義務はありません。

また、「支給要件回答書」は、ハローワークが受給資格があることを認めた証明書ではありません。支給要件回答書の提出によって申し込みができたとしても、給付が約束されたわけではないのでご注意ください。

支給要件照会は、基準日である受講開始日より前に行うため、支給要件照会をしてから受講を開始するまでの間に、離職等によって被保険者資格に変動があったり、適用対象期間の延長措置に変更があった場合は支給要件回答書のとおりにならない場合があります(支給要件照会票や回答書の裏面にも同様の注意書きがあります)。

注:支給要件回答書はハローワークや教習所が受給資格を保証した文書ではありません。

仕事の紹介はない

教育訓練給付金はハローワークの制度ですが、仕事の紹介や就職のあっせん等はありません。また、在職者も受給できるため求職申し込みも不要です。単に給付金の支給を受けるだけです。