クレーンや玉掛けのような工事現場で使用する建設機械の作業は、免許、技能講習または特別教育を受けた資格者でなければ就業することができません。免許または技能講習は教育訓練給付制度の対象ですが、特別教育は対象外です。
1.建設機械と就業制限
建設機械と労働安全衛生法
建設機械は工事現場の作業で使われる大型機械であり、工事現場や土木関係だけでなく災害時にも役に立つことがあります。
しかし、安全ではない状況のもとで危険な操作・運転をすると重大な事故につながる場合があります。労働災害の危険性のある業務は「労働安全衛生法」により規制されています。事業者は、クレーンの運転その他の業務は免許または技能講習修了者でなければ当該業務に就かせてはならないこととされています。
実際に発生した労働災害の例
- クレーンの転倒
- ショベルカーにひかれる
- 解体作業での飛来・落下
- つり荷に挟まれる
フォークリフトについて
フォークリフトについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2.特別教育、技能講習、免許の違い
建設機械の運転業務はすべて「特別教育」が必要であり、そのなかで特に危険な業務は「技能講習」の受講が必要です。さらに、危険な業務は「免許」の取得が必要です。
特別教育 < 技能講習 < 運転士免許
特別教育は事業主の義務
もともと、事業主は雇用するすべての労働者に対して一般的な「安全衛生教育」を行う義務があります。労働安全衛生法上の教育を行うのは事業主の義務です(労働安全衛生法第59条第1項)。
さらに、建設機械の運転など危険な業務については、事業主が「安全衛生特別教育」を行う義務があります。事業者は、特別教育を行ったときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、3年間保存する義務があります。
この特別教育は、本来、その事業所内で十分な知識、経験を有する社員が行うべきですが、外部の研修施設のほうが機材や教材が豊富にあることから、外部機関や外部講師に委託(事業主の代わりに代行)しても良いことになっています。この場合、外部の研修機関に受講料を支払い、受講を証明する修了証を交付します。
技能講習は個人の資格
さらに、クレーンの運転その他の危険な業務は、事業主が行う教育ではなく、第三者機関である登録教習機関が行う「技能講習」を修了した者でなければなりません。技能講習は、労働安全衛生法で定められた厚生労働省管轄の国家資格です。無資格で業務をした場合、事業主と作業者の両方が処罰されます。
技能講習は18歳以上であれば、運転免許を持っていなくても受講することができます。都道府県労働局長登録教習機関により学科教習と実技教習が行われ、学科試験及び実技試験に合格して修了すると「技能講習修了証」が交付されます。実際に、業務に従事するときは修了証を携帯する義務があります。
技能講習のうち、建設機械に関連するものには次のようなものがあります。
技能講習(建設機械関係)
- フォークリフト運転技能講習
- 玉掛け技能講習
- 小型移動式クレーン運転技能講習
- 床上操作式クレーン運転技能講習
- ショベルローダー等運転技能講習
- 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習
- 車両系建設機械(解体用)運転技能講習
- 車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習
- 不整地運搬車運転技能講習
- 高所作業車運転技能講習
運転士免許
さらに、制限荷重5トン以上の揚貨装置、つり上げ荷重5トン以上の移動式クレーン、クレーン、デリックは運転士免許(国家資格)が必要です。なお、2006年(平成18年)4月1日からクレーンとデリックの運転士免許が統合され「クレーン・デリック運転士免許」となりました。
運転士免許(建設機械関係)
- 揚貨装置運転士免許
- 移動式クレーン運転士免許
- クレーン・デリック運転士免許
3.技能講習と教育訓練給付制度
特別教育は対象外
特別教育は、事業主が労働者に対する教育(いわゆる法定研修)にすぎません。教育にかかる費用は当然、事業主が全額負担すべきものです。外部の機関に特別教育を委託したとしてもその費用は事業主が負担しなければなりません。
そして、事業主が従業員に社内研修をしただけで修了証を発行する義務はなく、合否も無いので免許でも資格でもありません。転職した場合も、転職先の事業主が必要だと思えば、前職で特別教育修了済みであっても独自の特別教育をしても良いです。
このように、事業主が従業員に対して行う社員教育の特別版である「特別教育」は、教育訓練給付制度の対象外です。もし、教育訓練給付制度の対象としてしまうと、本来、事業主の義務である社員教育を雇用保険の予算で肩代わりすることになり、「労働者が自発的に教育訓練を受けた場合に支給される」という目的に反するからです。
技能講習と免許は一般教育訓練給付金の対象
技能講習と免許は、国家資格のうち業務独占資格(法令の規定により当該資格を有しない者による当該資格に係る業務への従事が禁止されている資格)に該当します。業務独占資格の取得を訓練目標とする講座は、一般教育訓練の指定を受けることができます。
一般教育訓練給付金は、労働者が一定期間雇用保険に加入し、雇用保険料を支払っている場合に給付される雇用保険給付です。一定期間、被保険者として雇用保険に加入していた人は、技能講習にかかる費用の20%が給付されます。
教育訓練給付金の受給資格と支給申請手続き
教育訓練給付金の受給資格と支給される条件、具体的な給付金の支給申請手続きについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
なお、特定一般教育訓練の対象でもありますが、通常は、特定ではない「一般教育訓練」の指定を受けます(後述)。
技能講習修了証と教育訓練修了証明書の違い
技能講習修了証や運転士免許証は、本人が作業中に携帯する書類(カード)です。
これに対して、教育訓練給付対象講座の指定を受けている教習を受講し、修了すると技能講習修了証と同時に「教育訓練修了証明書」が交付されます。教育訓練修了証明書をハローワークに提出すれば教育訓練給付金の支給を受けることができます。
4.すべての技能講習に共通すること
厚生労働大臣の指定を受けたものに限られる
雇用保険法第60条の2の規定により「厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合」に教育訓練給付金が支給されます。具体的には、厚生労働大臣が教習所に対して「講座指定通知書」を交付することによって指定を受けた講座に限られます。
現在保有している資格や業務経験によって教習の一部が免除されますが、それによって訓練時間や教習費用が異なります。訓練時間や教習費用が異なるコースはそれぞれ厚生労働大臣の教育訓練給付対象講座の指定が必要なため、免除の対象者であったとしても、指定を受けていないコースは対象外となります。
一般教育訓練の指定を受けている教習は、厚生労働省の「厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」で検索することができます。
教習料金の割引ではない
教育訓練給付金は「当該教育訓練を修了した場合」に支給されるもので、受講の申し込みをしただけで返金されるものではありません。規定時間の講習を受けなかった場合(遅刻、早退等)、学科試験または実技試験が不合格だった場合など、修了しなかった場合の教習費用は全額自己負担となります。
道路を走行するための免許は異なる
労働安全衛生法に基づく技能講習は作業のための講習であり、私有地か公道かを問わず作業を行う時に必要となる「作業免許」です。公道上の走行をするには道路交通法に基づく運転免許が必要です。建設機械をトラックやトレーラーに乗せて運ぶ場合は大型自動車免許、一般道路の走行が可能な機械の場合は大型特殊自動車免許が必要です。
- 労働安全衛生法:場所を問わず作業を行う時に必要
- 道路交通法:道路を走行するときに必要
そのため、技能講習と同時に、自動車学校で大型免許、大型特殊免許を取得する人もいるようです。運転免許も一般教育訓練給付金の対象です。
5.技能教習の種類と訓練時間
フォークリフト運転技能講習
フォークリフト運転技能講習について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
玉掛け技能講習
玉掛け業務は、クレーンなどで荷をつり上げるためのワイヤーロープやチェーンなどの吊り具の準備、フックに掛ける作業、クレーン運転者への合図、フックから取り外す作業、用具を片付けるまでの作業全般をいいます。重量物の玉掛け作業は用具の破損や荷の落下など危険を伴う作業であり、玉掛けが正しく行われていないと大事故になります。そのため、玉掛け作業を行うには資格が必要です。
なお、クレーン等の運転の資格と玉掛けの資格は別の資格です。クレーンの運転免許があっても玉掛けの資格が無ければ玉掛け業務を行うことはできません。
制限荷重が1トン以上の揚貨装置またはつり上げ荷重が1トン以上のクレーン、移動式クレーンまたはデリックの玉掛けの業務を行うには、「玉掛け技能講習修了証」が必要です。荷の重さではなく、クレーン等のつり上げ荷重(クレーンがつり上げることのできる最大の荷重)が1トン以上です。1トン未満の場合は特別教育で良いですが、教育訓練給付制度の対象となるのは技能講習だけです。
- 玉掛け技能講習:つり上げ荷重1t以上(教育訓練給付制度の対象)
- 玉掛け特別教育:つり上げ荷重1t未満(対象外)
技能講習の訓練時間は学科と実技を合わせて19時間(3日)で、現在保有している資格や業務経験によってその一部が免除されます。免除された教習の分だけ教習費用も少なくなります。
小型移動式クレーン運転技能講習
小型移動式クレーンは、つり上げ荷重5トン未満の移動式クレーン(原動機を内蔵し、車輪や船で不特定の場所へ移動させることができる構造のクレーン)をいいます。クレーンの転倒事故や激突の危険性があり、小型であっても無資格で運転してはいけません。
つり上げ荷重5トン以上の移動式クレーンの運転は移動式クレーン運転士免許、つり上げ荷重1トン以上5トン未満の移動式クレーンの運転は「小型移動式クレーン運転技能講習修了証」が必要です。実際の荷の重さではなく、クレーン等の能力(つり上げ最大荷重)が1トン以上です。1トン未満の場合は特別教育で良いですが、教育訓練給付制度の対象となるのは技能講習だけです。
なお、1990年(平成2年)10月1日の労働安全衛生法施行令の改正により、移動式クレーン運転士免許または小型移動式クレーン運転技能講習修了証を受けた者でなければ小型移動式クレーンの運転の業務を行うことができなくなりました。
- 移動式クレーン運転士免許:荷重5t以上(教育訓練給付制度の対象)
- 小型移動式クレーン運転技能講習:つり上げ荷重1t以上5t未満(教育訓練給付制度の対象)
- 小型移動式クレーン運転特別教育:つり上げ荷重0.5t以上1t未満(対象外)
移動式クレーンの資格で、移動しないクレーンや揚貨装置を運転することはできません。また、移動式クレーンの技能講習を修了した者であっても、玉掛けの資格が無ければ玉掛け業務を行うことはできません。
技能講習の訓練時間は学科と実技を合わせて20時間(3日)で、現在保有している資格や業務経験によってその一部が免除されます。免除された教習の分だけ教習費用も少なくなります。例えば、玉掛け技能講習または床上操作式クレーン運転技能講習修了者は16時間(2日または3日)で終わります。
床上操作式クレーン運転技能講習
床上操作式クレーンは、天井からつり下げられたクレーンで、地上にいる運転者がスイッチによって天井にあるクレーンを動かします。荷が移動するのと同時に、運転者も移動するクレーンです。荷と一緒に移動しなければならないので、運転者が荷に挟まれたり衝突したりする危険があります。
つり上げ荷重5トン以上の床上操作式クレーンの運転は、クレーン・デリック運転士免許または「床上操作式クレーン運転技能講習修了証」が必要です。実際の荷の重さではなく、クレーン等の能力(つり上げ最大荷重)が5トン以上です。5トン未満の場合は特別教育で良いですが、教育訓練給付制度の対象となるのは技能講習だけです。
床上操作式クレーンの技能講習を修了した者であっても、玉掛けの資格が無ければ玉掛け業務を行うことはできません。
- 床上操作式クレーン運転技能講習:荷重5t以上(教育訓練給付制度の対象)
- 床上操作式クレーン運転特別教育:荷重5t未満(対象外)
技能講習の訓練時間は学科と実技を合わせて20時間(3日)で、現在保有している資格や業務経験によってその一部が免除されます。免除された教習の分だけ教習費用も少なくなります。例えば、小型移動式クレーン技能講習または玉掛け技能講習修了者は16時間(2日または3日)で終わります。
なお、無線操作式クレーンや床上運転式クレーンのように離れた場所で操作するクレーンは、運転席で操縦する通常のクレーンと同じなので、クレーン・デリック運転士免許が必要です。
- 無線操作式クレーン:無線で遠隔操作する方式
- 床上運転式クレーン:運転者が荷から離れて、クレーンの走行にあわせて移動する
ショベルローダー等運転技能講習
ショベルローダー、フォークローダーは車体前方のショベル、フォークで荷役を行う車両です。
- ショベルローダー:車体前方のショベルで砂利や砂の荷役を行う二輪駆動の車両
- フォークローダー:車体前方のフォーク(爪)で材木等の荷役を行う二輪駆動の車両
最大荷重1トン以上のショベルローダー、フォークローダーの運転は、ショベルローダー等運転技能講習修了証が必要です。1トン未満の場合は特別教育で良いですが、教育訓練給付制度の対象となるのは技能講習だけです。
- ショベルローダー等運転技能講習:最大荷重1t以上(教育訓練給付制度の対象)
- ショベルローダー等運転特別教育:最大荷重1t未満(対象外)
技能講習の訓練時間は学科と実技を合わせて35時間(5日)で、現在保有している資格や業務経験によってその一部が免除されます。免除された教習の分だけ教習費用も少なくなります。例えば、大型特殊自動車免許(カタピラ限定を除く)を持っている場合は11時間(2日)で終わります。
車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習
車両系建設機械は動力を用い、不特定の場所に移動できる建設機械であり、整地・運搬・積込み用、掘削用、解体用、基礎工事用、コンクリート打設用、締固め用に分類されます。このうち、「整地・運搬・積込み用」または「掘削用」に該当するものは、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の資格が必要です。
- 整地・運搬・積込み用:ブルドーザー、モーターグレーダー、トラクターショベル、ずり積機、スクレーパー、スクレープ・ドーザー等
- 掘削用:パワーショベル、ドラグショベル、ドラグライン、クラムシェル、バケット掘削機、トレンチャー等
整地・運搬・積込み用または掘削用の車両系建設機械のうち機体質量3トン以上の運転は、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用または掘削用)運転技能講習修了証が必要です。機体質量とは、ブーム、アーム、バケット等の作業装置を取り除いた本体の乾燥質量(燃料、油類、水等の入ってない質量)です。3トン未満の場合は特別教育で良いですが、教育訓練給付制度の対象となるのは技能講習だけです。
なお、「整地・運搬・積込み用または掘削用」を「整地等」と略すことがあります。
- 車両系建設機械(整地等)運転技能講習:機体質量3t以上(教育訓練給付制度の対象)
- 車両系建設機械(整地等)運転特別教育:機体質量3t未満(対象外)
技能講習の訓練時間は学科と実技を合わせて38時間(5日)で、現在保有している資格や業務経験によってその一部が免除されます。免除された教習の分だけ教習費用も少なくなります。例えば、車両系建設機械(解体用)運転技能講習修了者は6時間(1日)で終わります。
車両系建設機械(解体用)運転技能講習
ブレーカー(打撃式破砕機)、コンクリート圧砕機、鉄骨切断機その他解体用建設機械のうち機体質量3トン以上の運転は、車両系建設機械(解体用)運転技能講習修了証が必要です。3トン未満の場合は特別教育で良いですが、教育訓練給付制度の対象となるのは技能講習だけです。
- 車両系建設機械(解体用)運転技能講習:機体質量3t以上(教育訓練給付制度の対象)
- 車両系建設機械(解体用)運転特別教育:機体質量3t未満(対象外)
技能講習の訓練時間は学科と実技を合わせて38時間(5日)で、現在保有している資格や業務経験によってその一部が免除されます。免除された教習の分だけ教習費用も少なくなります。例えば、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習修了者は5時間(1日)で終わります。
車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習
くい打機、くい抜機、アースドリル、せん孔機その他基礎工事用建設機械のうち機体質量3トン以上の運転は、車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習修了証が必要です。3トン未満の場合は特別教育で良いですが、教育訓練給付制度の対象となるのは技能講習だけです。
- 車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習:機体質量3t以上(教育訓練給付制度の対象)
- 車両系建設機械(基礎工事用)運転特別教育:機体質量3t未満(対象外)
技能講習の訓練時間は学科と実技を合わせて39時間(5日)で、現在保有している資格や業務経験によってその一部が免除されます。免除された教習の分だけ教習費用も少なくなります。例えば、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)または車両系建設機械(解体用)運転技能講習修了者は25時間(4日)で終わります。
不整地運搬車運転技能講習
不整地運搬車は、地盤の悪い不整地を走行するために設計された車両で、もっぱら荷を運搬する構造でクローラ式またはホイール式のものをいいます。ただし、林内作業車(林業の現場における集材を目的として製造された自走用機械)や農用運搬機は含まれません。
最大積載量1トン以上の不整地運搬車の運転は、不整地運搬車運転技能講習修了証が必要です。1トン未満の場合は特別教育で良いですが、教育訓練給付制度の対象となるのは技能講習だけです。
- 不整地運搬車運転技能講習:最大積載量1t以上(教育訓練給付制度の対象)
- 不整地運搬車運転特別教育:最大積載量1t未満(対象外)
訓練時間は学科と実技を合わせて35時間(5日)で、現在保有している資格や業務経験によってその一部が免除されます。免除された教習の分だけ教習費用も少なくなります。例えば、大型特殊自動車免許を持っている場合は11時間(2日)で終わります。
高所作業車運転技能講習
高所作業車は、高さが2m以上になる作業床(作業用バスケット)に作業員を乗せて上昇する車両です。高所における工事、点検、補修等の作業に使用されますが、風による逸走事故や転倒の危険があります。ただし、消防機関が消防活動に使用するはしご自動車、屈折はしご自動車等の消防車は高所作業車に含まれません。
作業床の高さ10m以上の高所作業車の運転は、高所作業車運転技能講習修了証が必要です。作業床の高さとは、最大に上昇したときの、車体の接地面から作業床の床面までを垂直に測った高さです。
作業床の高さ10m未満の場合は特別教育で良いですが、教育訓練給付制度の対象となるのは技能講習だけです。
- 高所作業車運転技能講習:作業床の高さ10m以上(教育訓練給付制度の対象)
- 高所作業車運転特別教育:作業床の高さ2m以上10m未満(対象外)
訓練時間は学科と実技を合わせて17時間(3日)で、現在保有している資格や業務経験によってその一部が免除されます。免除された教習の分だけ教習費用も少なくなります。例えば、車両系建設機械、不整地運搬車、フォークリフト、ショベルローダ等のいずれかの運転技能講習修了の場合は14時間(2日)で終わります。
6.補足説明
給付金の支給申請手続きについて
教育訓練給付金の受給資格と支給される条件、具体的な給付金の支給申請手続きについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
特定一般教育訓練について
特定一般教育訓練は、一般教育訓練のなかで特に「速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する」として厚生労働大臣が指定したもので、技能講習も対象となっています。
特定一般教育訓練給付金は給付金が40%ですが、受給するには訓練前キャリアコンサルティングを受ける必要があります。5日以内で終わる教習のために、その1か月前にわざわざハローワークに行ってコンサルティングの予約を取るのは面倒なことです。そのため、ほとんどの教習所が特定ではない一般教育訓練の指定を受けています。
コンクリート打設用、締固め用について
車両系建設機械のうち、コンクリートポンプ車を操作するには、「車両系建設機械(コンクリート打設用)特別教育」が必要です。また、ロードローラーなど締固めを行う機械を操作するには、「車両系建設機械(締固め用)特別教育」が必要です。これらの特別教育は重量無制限であるため、技能講習はありません。
ホイールローダーとショベルローダーの違い
ホイールローダーとショベルローダーでは形が似ていますが運転する資格が違います。
ホイールローダーは4輪駆動、中折れ式で「建設機械」に分類されるため、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習修了証が必要となります。ショベルローダーは前輪駆動(2輪駆動)で、後輪は小さくブレーキも付いておらずフォークリフトと同じ「荷役機械」に分類されるため、ショベルローダー等運転技能講習修了証が必要となります。
- ホイールローダー(建設):車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)
- ショベルローダー(荷役):ショベルローダー等
なお、ホイールローダーのバケットを取り外し、丸太を掴む装置を付けたログローダーは「荷役機械」に分類されるため、「ショベルローダー等運転技能講習修了証」が必要となります。4輪駆動のトラクターショベル、タイヤショベルのバケットでの作業の際には、「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習修了証」が必要となります。
- ログローダー(荷役):ショベルローダー等
- トラクターショベル、タイヤショベル(建設):車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)