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資格・講座

フォークリフト運転技能講習と一般教育訓練給付金の受給条件、ハローワークの手続き

一般教育訓練給付金は雇用保険給付としてハローワークから支給される給付金であり、受給資格を満たした人はフォークリフト免許の運転技能講習にかかった費用の20%がハローワークから給付されます。

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1.フォークリフト運転技能講習

フォークリフトは自動車の免許だけでは運転することができず、道路上か私有地かにかかわらずフォークリフトの講習を受ける必要があります。逆に、フォークリフトの講習を受けると、自動車の免許が無くても道路以外であれば運転することができます。

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フォークリフトのうち、最大荷重が1トン以上のフォークリフトを運転するには「フォークリフト運転技能講習」、最大荷重が1トン未満の小型フォークリフトの運転をするには「フォークリフト運転特別教育」を修了しなければなりません。一般に、フォークリフトの免許と言えば運転技能講習のことを言います。

  • フォークリフト運転技能講習:最大荷重1t以上(教育訓練給付制度の対象)
  • フォークリフト運転特別教育:最大荷重1t未満(対象外)

一般教育訓練給付金

雇用保険の教育訓練給付金の対象となるのは「フォークリフト運転技能講習」だけです。

教育訓練給付金には一般、特定一般、専門実践の3種類がありますが、このうち、フォークリフト運転技能講習で支給可能な給付金は一般教育訓練給付金です。一般教育訓練給付金は教育訓練経費の20%が給付されます。

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2.フォークリフトと教育訓練給付金

登録教習機関と指定教育訓練

フォークリフト運転技能講習は、都道府県労働局長に登録が認められた教習所(都道府県労働局長登録教習機関)が厚生労働省告示「フオークリフト運転技能講習規程」にしたがって実施します。学科教習と実技教習を受け、学科試験と実技試験に合格すると「フォークリフト運転技能講習修了証」が交付されます。

ただし、すべての教習所で給付金が支給されるのではなく、厚生労働大臣の「教育訓練給付対象講座」の指定を受けた教習のみが対象となります。指定を受けるには各教習所が厚生労働省に対して事前に申請をしなければなりませんが、すべての講座がその申請を行っているとは限りません。

そのため、希望する技能講習が厚生労働大臣指定の教育訓練に指定されているかを、申し込みをする前に確認しておく必要があります。

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注:申し込みの時に「教育訓練給付対象講座」であることを確認しましょう。

ハローワークで申請すること

教育訓練給付金は教習所の割引特典ではありません。また、教習所が支払うものではありません。

まず、教習所で受講申し込みをする際にはその教習料金を全額(100%)支払います。このとき教育訓練給付金に相当する額を差し引いて支払ってはいけません。全額支払わなければ教習を受けることができません。そして、教習所で学科試験と実技試験に合格した後で、ハローワークに行って支給申請するとその20%が給付されます。

注:教習料金は教習所に全額支払いますが、教育訓練給付金はハローワークから振り込まれます。

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3.フォークリフトを単独で取得する場合

フォークリフト運転技能講習は毎年約22万人の人が受講し、修了しています。フォークリフトの合格率は95%以上だそうです。合格できるように徹底的に教えてくれます。

参考リンク

技能講習等の登録教習機関数及び修了者数(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/

訓練期間と訓練時間

フォークリフト運転技能講習のみを単独で受講する場合、朝から夕方まで7時間教習を受けて5日以内に修了することができます。訓練時間は、現在自動車免許を保有していない人(または二輪しか保有していない人)の場合、学科11時間、実技24時間の計35時間です。自動車免許を保有している人は持っている免許や業務経験によって一部の教習が免除となり、31時間、15時間、11時間のコースのいずれかとなります。

フォークリフト運転技能講習の訓練時間

  • 35時間:免許なし
  • 31時間:普通、準中型、中型、大型、大型特殊カタピラ限定
  • 15時間:小型フォークリフト特別教育修了+フォークリフト業務経験6か月以上
  • 11時間:普通、準中型、中型、大型、大型特殊カタピラ限定+小型フォークリフト特別教育修了+フォークリフト業務経験3か月以上
  • 11時間:大型特殊免許(カタピラ限定を除く)

受講料金と給付対象

受講料金は各教習所、各コースによって異なりますが、学科、実技、教材費を合わせて15,000~45,000円となります。ただし、一般教育訓練給付金の対象となるのは教育訓練経費が20,005円以上の講座のみとなります。11時間コースは2万円以下なので対象外となります(20,004円以下のコースの場合、厚生労働省の指定基準を満たさない)。

なお、キャンペーン等の特典を利用して割引を受けた場合は割引後の価格が教育訓練経費となります。また、原則として支払った教育訓練経費の20%が給付されますが、修了試験に合格できなかった場合に受ける補講の費用は対象外です。

4.同時教習で他の免許も取得する場合

大型特殊免許と同時に取得する

フォークリフトで荷物の積み下ろしをするだけであればフォークリフト運転技能講習(労働安全衛生法)を修了すれば良く、技能講習のことを「作業免許」と呼ぶこともあります。作業ができるだけで道路の走行はできません。

公道を走行するにはナンバープレートの交付を受けるとともに、運転者は小型特殊自動車免許または大型特殊自動車免許(道路交通法)が必要です。普通自動車免許を持っていれば小型特殊自動車は運転できますが、大型特殊自動車は運転できませんので大型特殊自動車免許を取得する必要があります。

  • 小型特殊自動車:15km/h以下を超える速度を出すことができない構造の特殊自動車で、長さ4.70m以下、幅1.70m以下、高さ2.00m以下(ヘッドガード、安全キャブ、フレームその他これらに類する装置が備えられている自動車で、当該装置を除いた部分の高さが2.00m以下のものにあっては、2.80m)
  • 大型特殊自動車:小型特殊以外の特殊自動車

例えば、大型のフォークリフトで倉庫と工場を行き来するのに道路を通行する必要がある場合、フォークリフト運転技能講習と大型特殊免許の両方が必要です。

そのため、公安委員会指定自動車教習所を併設する登録教習機関では、大型特殊免許+フォークリフト運転技能講習の同時教習コースを実施している場合があります。この場合、前述のように大型特殊免許の取得者はフォークリフト運転技能講習が最短の11時間コースとなるため、先に大型特殊免許を取得してからフォークリフト運転技能講習を受けることになります。11時間コースであっても大型特殊免許の取得費用を加えると教育訓練経費が20,005円以上となるため、一般教育訓練給付金の対象となります。

大型特殊免許のほか、大型自動車免許、けん引免許などの運転免許とセットの教習を行っている教習所もあります。

複数の技能講習を同時に受講する

フォークリフト運転技能講習と同じ労働安全衛生法上の技能講習を同時に取得できる教習所もあります。技能講習のことを「作業免許」と呼ぶこともあります。「車両系作業免許」は車両系建設機械運転技能講習のことです。

フォークリフトと同時に受講できる技能講習の例

  • 玉掛け技能講習
  • 小型移動式クレーン運転技能講習
  • 車両系建設機械(整地、運搬、積込み用及び掘削用)運転技能講習
  • 車両系建設機械(解体用)運転技能講習
  • 高所作業車運転技能講習

フォークリフト以外の作業免許について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

同時教習と教育訓練給付制度

原則として教育訓練給付対象講座を同時に複数利用することはできず、複数の教育訓練給付対象講座を同時に申し込んだ場合はそのうちの1つしか利用することができません(教育訓練給付金が支給されるのは1つの講座だけです)。原則として1回の利用で取得できる免許は1車種のみです。

しかし、教習所が同時教習コースを「1つの講座」として設置し、厚生労働省の教育訓練給付対象の指定を受けた場合は、そのコースを1つの教育訓練給付対象講座として申し込むことができます。この場合はセットで取得することが可能です。

教習所が同時教習について教育訓練給付対象の指定を受けていない場合や、教育訓練給付対象講座ではないコース(オプションコース)とのセットは教育訓練給付制度の対象外です。

教育訓練給付制度を利用して一度、教育訓練給付金を受給すると、支給された日から最低3年は再び教育訓練給付金を受給することができません。そのため、時間的、経済的、精神的余裕があれば、まとめて複数の免許を取得したほうが良いです。

5.教育訓練給付金の受給条件

教育訓練給付金は、労働者が一定期間雇用保険に加入し、雇用保険料を支払っている場合に給付される雇用保険給付です。一定期間、被保険者として雇用保険に加入していた人は、教習所に支払った教習費用の20%が給付されます。まったく働いたことが無く雇用保険に加入したことが無ければ対象外です。

教育訓練給付対象者

教育訓練給付対象者とは、受講開始日の時点で、職場で勤務していて雇用保険に加入している人(在職者)または会社を1年以内に離職した離職者のことをいいます(雇用保険法第60条の2第1項)。離職後、1年超経過している場合は対象外です。

教育訓練給付対象者

  • 在職者:雇用保険に加入している一般被保険者または高年齢被保険者
  • 離職者:一般被保険者または高年齢被保険者でなくなってから1年以内

この場合の「在職」「離職」は、雇用契約の有無ではなく、雇用保険の加入で判断します。アルバイト、パート、契約社員等であっても雇用保険の被保険者であれば受給することができます。逆に、正社員であっても雇用保険に加入していなければ対象外です。

なお、離職後1年以内の「1年」は延長することができます(適用対象期間の延長)。適用対象期間の延長について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

支給要件期間と受給制限

前述の教育訓練給付対象者が支給要件期間1年以上を満たしたときに教育訓練給付金が支給されます。この「支給要件期間」とは受講開始日までに雇用保険に加入していた期間のことです。要するに雇用保険に1年間加入していればよいです。転職した場合は転職前の期間も通算することができます。

なお、過去に教育訓練給付金の支給を受けたことがある場合は、その教育訓練の受講開始日以降の支給要件期間が3年以上で、かつ支給決定日から3年経過している必要があります。なお、雇用保険の基本手当や傷病手当の支給を受けていても無関係です。

教習所には分からない

教育訓練給付対象者で支給要件期間を満たしている人でなければ、教育訓練を申し込んではいけません。

ところで、雇用保険の加入手続きは事業主がハローワークで行うため、雇用保険の加入実績はハローワークしか把握していません。教習所側では申し込みをしようとしている人が本当に受給資格者かどうかを判断することができません。また、個人情報であるため教習所からハローワークに問い合わせすることもできません。

そのため、実際には、受給資格が無いにもかかわらず、教育訓練給付対象コースを申し込むことは可能です。しかし、それを受講しても教育訓練給付金の支給を受けることができません。この場合、教習料金は全額自己負担になります。

注:教育訓練の受講申し込みができたとしても、教習所が教育訓練給付の受給を保証したことにはなりません(保証するのは不可能)。

このように教育訓練給付対象コースを申し込んだのに、1円も給付されないトラブルが多発しているようです。

6.受講から給付金申請までの流れ

教習所の指定講座を探す

厚生労働大臣の指定を受けた教習(コース)を検索するには、厚生労働省の指定教育訓練講座検索システムを使います。支給申請には各講座の「指定番号」が必要です。

2023年(令和5年)4月1日現在で、フォークリフト運転技能講習を含む一般教育訓練(特定一般を除く)を1つ以上実施している教習所は次のとおりです。奈良県、高知県、佐賀県、大分県を除く43都道府県で実施されています。なお、この一覧表は当サイトが研究および分析のために独自に取得したデータであり、内容は一切保証しません。

支給要件照会

教育訓練給付金が支給されるかどうかはハローワークにしか分からないのですから、念のためハローワークに行ってその確認(支給要件照会)をしておきましょう。

ハローワークに「教育訓練給付金支給要件照会票」を提出すると、すぐに調べて回答してくれます。このとき、受講する予定のコースが厚生労働大臣の有効な指定を受けた講座かどうかも調べてくれますから、検索システムでそのコースの「指定番号」も調べておくとよいでしょう。

支給要件照会で回答してくれること

  • 自分が受講開始日の時点で受給資格者かどうか
  • 申し込み予定の教習が厚生労働大臣指定講座かどうか

なお、支給要件照会をした日から受講開始日までの期間が長すぎる場合、その間に受給資格が無くなることがあるため(後述)、できるだけ受講開始日に近い日に支給要件照会をしたほうが良いです。

申し込み、教習費用の支払い

支給要件照会をするとハローワークから「教育訓練給付金支給要件回答書」が交付されます。支給要件があるとの回答があった場合は、事前の予約をします。人気が高いため事前の予約をしないと申し込みができない場合があります。

技能講習を行う登録教習機関に教育訓練給付金の制度を利用することを伝えて、支給要件回答書を添えて「技能講習受講申込書」を提出します。

申し込み時には教習費用を全額(100%)支払います。教育訓練給付金は修了を認定された場合に、ハローワークから支給されるものですから、給付金相当額を差し引いて申し込んではいけません。

受講申し込みは本人名義で申し込みをし、教習費用のうち少なくとも教育訓練経費については全額本人名義で支払いをしなければなりません。本人名義でない受講申し込みや、本人名義でない支払いは不可です。家族や勤務先の名義は不可です。クレジットカード払いの場合は本人名義のカード、銀行振り込みの場合は本人名義の振り込み、ローンを組む場合も本人がローン契約をしなければなりません。

受講と修了

フォークリフトの教習は朝から夕方までありますが、1日でも欠席、遅刻、早退があると時間不足で不合格になります。

学科試験と実技試験に合格すれば「フォークリフト運転技能講習修了証」が交付されます。修了証はフォークリフト作業の際に携帯しなければなりません。さらに、教育訓練給付金対象コースの受講者には「教育訓練修了証明書」「領収書」が交付されます。

  • 運転技能講習修了証:本人が保管、携帯義務
  • 教育訓練修了証明書:ハローワークに提出
フォークリフト運転技能講習と一般教育訓練給付金の受給条件、ハローワークの手続き _ 6525-7

修了後に「教育訓練給付指定講座修了者アンケート」へ回答します。このアンケートは集計して教習所が厚生労働省へ報告することが義務付けられています。

給付金の支給申請

教育訓練給付金の支給申請手続きは、修了後1か月以内に本人の住所を管轄するハローワークに「支給申請書」を提出することによって行います。支給申請書には教習所が発行した「教育訓練修了証明書」「領収書」を添付します。

支給申請の際、給付金の振込先口座を届け出ます。支給決定後7日以内に指定口座に振り込まれます。

7.補足説明

仕事の紹介はない

教育訓練給付金はハローワークの制度ですが、仕事の紹介や就職のあっせん等はありません。また、在職者も受給できるため求職申し込みも不要です。単に給付金の支給を受けるだけです。

支給要件回答書は参考資料にすぎない

前述のとおり、一般教育訓練の場合、申し込みの際に「教育訓練給付金支給要件回答書」の提出を求められることがあります。

しかし、この「支給要件回答書」は、ハローワークが受給資格があることを認めた証明書ではありません。支給要件回答書の提出によって受講申し込みができたとしても、給付が保証されたわけではないのでご注意ください。

支給要件照会は、基準日である受講開始日より前に行うため、支給要件照会をしてから受講を開始するまでの間に、離職等によって被保険者資格に変動があったり、適用対象期間の延長措置に変更があった場合は支給要件回答書のとおりにならない場合があります(支給要件照会票や回答書の裏面にも同様の注意書きがあります)。

注:支給要件回答書はハローワークや教習所が受給資格を保証した文書ではありません。