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教育訓練支援給付金のアルバイトの例、就職の申告、一時的な就職の例 _ pr
失業認定教育訓練支援給付金

教育訓練支援給付金のアルバイトの例、就職の申告、一時的な就職の例

教育訓練支援給付金は失業している日(就職していない日)について支給されますから、就職した場合は受講証明書で正しく申告しなければなりません。ただし、週20時間未満のアルバイトなど一時的な就職は申告不要です。アルバイトをしても減額されることはありません。

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1.就職の申告とは

教育訓練支援給付金は失業している日について支給されます。教育訓練支援給付金の支給を受けるには「教育訓練支援給付金受講証明書」をハローワークに提出して失業認定を受けなければなりません。

支給単位期間中において就職した日があるときは、就職した日についての失業不認定となります。この場合の「就職」とは正社員として会社に採用されるという意味ではなく、収入を得るために何らかの「労働」をすることです(後述)。

就職した場合は、収入の有無にかかわらず「教育訓練支援給付金受講証明書」の6欄に記入して申告しなければなりません。

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2.申告しなければならない就職

申告しなければならない「就職」とは、雇用関係に入るもののほか、請負、委任により常時労務を提供する地位にある場合や、自営業に専念する場合等も含まれます。

次の場合は、実際に就労しているか否かにかかわらず就職しているものとみなされます。現実の収入の有無を問いません。雇用期間や就任期間が定められているのであればその期間すべて就職しているものとみなされます。

申告しなければならない就職

  • 雇用保険の一般被保険者となる場合
    • 1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用の見込みがある場合に一般被保険者になります。
  • 昼間学生であるという理由で雇用保険の対象外となっているが、昼間学生では無いと仮定した場合に被保険者資格を取得することとなる場合
  • 公務員など、国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用されている場合(被保険者でなくても申告は必要)
  • 契約期間が7日以上の雇用契約において、週所定労働時間が20時間以上であって、かつ、1週間の実際に就労する日が4日以上で、当該雇用契約に基づいて就労が継続している場合
  • 会社の役員等に就任した場合(株式会社または有限会社の取締役または監査役、合名会社の社員または合資会社の無限責任社員に就任している場合)
    • ただし、非常勤の取締役、監査役等であって、雇用保険法第19条第1項に規定する内職収入の控除額の範囲を超えて報酬を受けないことが確実と認められる場合を除く。
  • 地方公共団体の長への就任
  • 短期雇用特例被保険者または日雇労働者被保険者となった場合
  • 雇用保険の被保険者とならないような派遣就業を行った場合(登録型派遣労働者)
    • 通常、雇用契約期間が就職した日とみなされる。
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3.一時的な就職は原則として申告しなくてもよい

契約に基づいて就労している場合であっても、一時的な就職をした日については実際に就労した日ごとの契約とみなして「失業」と認定されます。

一時的な就職の場合や、週の所定労働時間が短い契約の場合は、教育訓練支援給付金の「就職」として申告する必要はありません

注:教育訓練支援給付金の失業認定(受講証明書)では申告しなくてもよいですが、基本手当の受給資格者は、基本手当の失業認定申告書に申告する必要がありますのでご注意ください。

一時的な就職とは

一時的な就職とは、自営業の準備、自営業を営むこと、農業・商業等の家業への従事、請負・委任による労務提供、ボランティア活動、在宅の内職等のことです。

一時的な就職は、原則として日ごとの契約により就労しているものとみなします。日ごとの契約により就労していると認められる場合は、就労が継続していない(失業中と認定される)ので申告しなくてもよいです

ただし、一時的な就職とみなした場合であっても、それに専念する場合や、常時労務を提供する場合は就職しているものとします。1日の労働時間が短時間であっても、それに専念するため専門実践教育訓練を受講できない場合は、労働の意思及び能力がないものとみなされます。

有償の請負、ボランティア

請負契約、ボランティア契約(無償である場合を除く)等の契約において継続的に就労することが明確である場合は、上記の「週所定労働時間が20時間以上」を「1週の平均的な労働時間が20時間以上」と読み替えて、就職にあたるかを判断します。

契約期間が7日以上で、1週の平均的な労働時間が20時間以上であって、かつ、1週間の実際に就労する日が4日以上で、継続的に就労することが明確であれば申告が必要です。この条件に該当しなければ申告不要です。

なお、契約に基づいて就労している場合であっても、日ごとまたは週ごとの労働時間が変動する場合は、実際に就労した日ごとの契約とみなしますので「失業」と認定されます。

無償のボランティア活動

無償のボランティア活動についてはその活動に専念しない限り、「就職」にも「自己の労働によって収入を得た場合」にも該当しません。

公認会計士、弁護士、司法書士等の資格を有する場合

公認会計士、弁護士、司法書士等の資格を有する者については、これらの資格制度を規定する法律等に基づき、名簿等に登録を受けている場合であっても、登録を受けていることのみをもって就職しているものとは認められません。失業している旨、事務所を設立して開業している事実がない旨等の申立てが行われた場合には「失業」と認定されます。

家業、自営業に従事した場合

商業、農業等の家業に従事した場合は、実際に就労した日ごとの契約とみなします。教育訓練支援給付金の失業の認定にあっては「失業」と認定されます。

自営業の準備、自営業を営むこと、商業・農業等の家業に従事、請負・委任による労務提供、在宅の内職、ボランティア活動(無償を除く)をした場合は「一時的な就職」であり、これらに専念しない場合は、申告すべき就職には該当しません。

しかし、役員等に就任すると申告すべき就職に該当します。

また、契約期間が7日以上の請負、委任、ボランティア契約等の契約であって、週の平均的な労働時間が20時間以上であって、かつ、1週間の実際に就労する日が4日以上で、当該契約に基づいて就労が継続することが明確な場合は申告すべき就職に該当します。

4.週20時間以上のアルバイトは「就職」

週所定労働時間が20時間以上のアルバイト(パートタイマー)は原則として、実際に就労しない日を含めて契約期間がすべて「就職」とみなされます。アルバイトが休みの日も含めてすべて「就職」です。ただし、「1週間の実際に就労する日が4日以上」に該当しなければ申告不要です。

週所定労働時間が20時間未満であれば、雇用契約に基づいて就労している場合であっても、実際に就労した日ごとの契約とみなされます。つまり、上記の「一時的な就職」に該当するため、申告する必要はありません(後述)。

例1:土日に8時間アルバイトをする場合

例えば、専門実践教育訓練の講座が開講されない土日の2日だけ1日8時間アルバイトをする場合、1週間の所定労働時間が16時間なので雇用保険の一般被保険者に該当しません。また、上記の「週所定労働時間が20時間以上、1週間の実際に就労する日が4日以上」にも該当しないので、申告すべき就職には該当しません。

したがって、このアルバイトは申告不要です。

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例2:週3日、1日8時間アルバイトをする場合

専門実践教育訓練の講座が開講されない土日月の3日に1日8時間アルバイトをする場合、1週間の所定労働時間が24時間となります。しかし、上記の「1週間の実際に就労する日が4日以上」に該当しないので、申告すべき就職に該当しません。

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ただし、週所定労働時間が20時間以上なので「31日以上の雇用の見込み」があれば原則として、雇用保険の一般被保険者に該当します。この場合は、申告が必要な就職に該当します(契約期間の定めがない場合も含む)。

例3:週4日、1日4時間アルバイトをする場合

専門実践教育訓練の講座が終わってから、週4日、1日4時間アルバイトをする場合、1週間の所定労働時間が16時間なので雇用保険の一般被保険者には該当しません。週4日であっても、「週所定労働時間が20時間以上」に該当しないので申告すべき就職には該当しません。

したがって、このアルバイトは申告不要です。

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例4:週5日、1日4時間アルバイトをする場合

専門実践教育訓練の講座が終わってから、週5日、1日4時間アルバイトをする場合、1週間の所定労働時間が20時間となります。

「31日以上の雇用の見込み」があれば原則として、雇用保険の一般被保険者に該当します。この場合は、申告が必要な就職に該当します(契約期間の定めがない場合も含む)。

また、「31日以上の雇用の見込み」が無ければ雇用保険の一般被保険者にはなりませんが、上記の「週所定労働時間が20時間以上、1週間の実際に就労する日が4日以上」には該当します。7日以上の雇用契約で、かつ、当該契約に基づいて就労が継続することが明確な場合であれば、申告が必要な就職に該当します。

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労働時間が変動する場合

1日の労働時間、1週間の労働時間が変動する場合は平均の労働時間を計算します。また、1日のうちに複数の異なる就労がある場合はそれらの労働時間を合算した時間で判断し、1回の就労が複数の日にまたがる場合は当該就労の最初の日に属する労働時間として扱います。

週所定労働時間の計算方法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

5.1日4時間以上であっても申告不要

上記のとおり、教育訓練支援給付金の場合、週の所定労働時間が20時間以上、かつ、週の就労日が4日以上の場合に限り申告します。

注:1日8時間のアルバイトをしても週20時間未満であれば申告しなくてもよいです。

この点について、雇用保険の基本手当の場合と混同している人がいるようです。

基本手当の場合、1日の労働時間が4時間以上のアルバイトは給付の対象外なのですべて就職として申告しなければなりませんが、教育訓練支援給付金の場合は「一時的な就職」とみなされ申告しなくてもよいことになっています。

1日4時間以上のアルバイト

  • 基本手当の場合:1日4時間以上のアルバイトはすべて申告する(一時的な就職も申告義務があり)
  • 教育訓練支援給付金の場合:「一時的な就職」に該当するため、週20時間以上、就労日が週4日以上に該当しなければ申告しなくてもよい(給付される)

基本手当の受給資格者は、基本手当の支給が優先ですが、基本手当が終了すれば教育訓練支援給付金を受給できます。この場合も、教育訓練支援給付金に切り替え後、週20時間未満であれば、1日4時間以上のアルバイトを申告する義務がなくなります(基本手当を受給している間は申告する必要がある)。

6.アルバイトをしても減額されない

教育訓練支援給付金についてはアルバイトをしても収入金額を申告する必要もありませんし、収入を得たからといって減額されることもありません

基本手当との違い

雇用保険の基本手当の場合、失業認定を受ける場合は就職の申告のほかに収入金額を申告しなければなりません。それは、失業認定に係る期間中に「自己の労働によって収入を得た場合」には、その収入額が一定金額を超えたときに基本手当の減額を行うことになっているからです(雇用保険法第19条)。

そのため、基本手当の失業認定申告書には「収入額」を申告する欄があります。

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これに対して、教育訓練支援給付金の教育訓練支援給付金受講証明書には収入額を申告する欄がありません。つまり、「自己の労働によって収入を得た場合」であっても収入の金額を申告する必要はないのです。

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減額されない理由

教育訓練支援給付金は、雇用保険法第17条、第18条の賃金日額を計算の基礎としていますが、基本手当の減額を定めた雇用保険法第19条の規定は適用(準用)されません。つまり、基本手当と教育訓練支援給付金では計算方法はほぼ同じですが、教育訓練支援給付金については「減額」の計算をしてはいけないことになっているのです。

参考法令
雇用保険法 附則第11条の2第3項  教育訓練支援給付金の額は、第十七条に規定する賃金日額(以下この項において単に「賃金日額」という。)に百分の五十(二千四百六十円以上四千九百二十円未満の賃金日額(その額が第十八条の規定により変更されたときは、その変更された額)については百分の八十、四千九百二十円以上一万二千九十円以下の賃金日額(その額が第十八条の規定により変更されたときは、その変更された額)については百分の八十から百分の五十までの範囲で、賃金日額の逓増に応じ、逓減するように厚生労働省令で定める率)を乗じて得た金額に百分の八十を乗じて得た額とする。

教育訓練支援給付金は基本手当とは異なり、それぞれの日について「支給される日」「支給されない日」の二択しかありません。

  • 支給される日:「就職」に該当しない日は、一時的な就職などにより収入があったとしても、それを申告する必要はなく教育訓練支援給付金は100%支給されます。
  • 支給されない日:就職をした日は収入の有無を問わず失業認定を受けることができないので、就職した旨を申告すれば失業不認定となり教育訓練支援給付金は支給されません。

「就職」とはいえない程度の一時的、短時間の労働(アルバイト)によって収入を得たとしても、教育訓練支援給付金が減額されることはありません。

7.補足説明

さかのぼって雇用契約を締結した場合

現実に雇用契約が締結された日より前の期間にさかのぼって雇用契約が締結された場合、そのさかのぼった期間のうち実際に就労していない日は、就職していた期間ではありません。仮に、さかのぼった期間について賃金相当額が支給された場合であっても、就労していない日は就職していた期間ではありません

不正受給の注意

就職に該当するか判断がつかない場合にはハローワークに確認して記入します。思い込み等により「就職」に該当しないと思って申告しなかったものが、実際は「就職」であった場合、その「就職」した日以降に受けた教育訓練支援給付金は返還しなければなりません。

就職したにもかかわらず申告しなかった場合は不正受給となります。