失業認定教育訓練支援給付金

教育訓練支援給付金の失業認定において「労働の意思及び能力を有する」とはどういう状態か?

教育訓練支援給付金は専門実践教育訓練を適切に受講し、かつ失業の認定を受けた日について支給されます。就業していないだけでなく「労働の意思及び能力を有する」状態でなければ失業は認定されません。

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1.失業の条件

教育訓練支援給付金の支給を受けるには、受給資格者本人が支給単位期間(約2か月)ごとに住居所管轄ハローワークに出頭し、失業の認定を受けなければなりません。失業が認定されなかった日については教育訓練支援給付金が支給されません。

失業とは、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいいます(雇用保険法第4条第3項)。労働の意思及び能力が無ければ失業不認定です。

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2.労働の意思及び能力とは

「労働の意思及び能力」があると確認されるためには、単にハローワークに出頭しているだけではなく、真に就職への意欲をもち、かつ、精神的、肉体的、環境的に労働の能力を有していることが必要です。

  • 労働の意思
    就職しようとする積極的な意思をいう。
    ハローワークに出頭して求職の申込みを行うのはもちろんのこと、本人が積極的に求職活動を行っている場合に労働の意思ありとする。
  • 労働の能力
    労働(雇用労働)に従事し、その対価を得て自己の生活に資し得る精神的・肉体的及び環境上の能力をいう。労働能力は、ハローワークにおいて本人の体力、知力、技能、経歴、生活環境等を総合してその有無を判断する。
  • 職業に就くことができない状態
    ハローワークが最大の努力をしたが就職させることができず、また、本人の努力によっても就職できない状態をいう。この場合、ハローワークは、その者の職歴、技能、希望等を配慮した上で、職業紹介を行う。

教育訓練支援給付金の受給資格者は、専門実践教育訓練を修了する意思をもって受講していれば「就職への意欲をもっている」と判断されます。原則として、専門実践教育訓練を受講した日が開講日数の8割以上(当該支給単位期間の出席率が8割以上)の場合に「労働の意思及び能力」があるものと推定されます。

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3.継続して教育訓練に出席できない場合

ハローワークに出頭することができない場合または教育訓練に出席できない状態が継続する場合、その理由によって「労働の意思及び能力」を判断します。

就職の場合

就職によりハローワークに出頭することができない(訓練に出席できない)場合、失業しているとは言えないので、就職している期間のすべての日について失業不認定とします。出席率を満たさなくなった場合は、その支給単位期間以降不支給となります。

避けることができない事故の場合

病気その他の自己の都合による場合を除いて、天災その他避けることができない事故、すなわち、水害、火災、地震、暴風雨雪、暴動、交通事故等のため、ハローワークに出頭することができない(訓練に出席できない)場合、その期間のすべての日について失業認定を行うことができます。

14日以下の短期間の傷病の場合

疾病または負傷のためにハローワークに出頭することができない(訓練に出席できない)場合で、その期間が継続して14日以下であるときは、ハローワークに出頭できなかった(訓練に出席できなかった)日について失業不認定とします。

出頭または出席できなかった日だけが失業不認定となるのであって、出頭または出席する義務が無い日(授業の無い休日など)については失業認定を行うことができます。

ただし、出席率を満たさなくなった場合は、その支給単位期間以降不支給となります。

その他の理由で15日以上継続する場合

就職や事故以外の理由により、ハローワークに出頭することができない(訓練に出席できない)場合で、その期間が継続して15日以上であるときは、その期間のすべての日について、労働の能力がないものと判断されます。

したがって、出頭または出席の義務があるか否かにかかわらず、その期間のすべての日について失業不認定となります。疾病、負傷などのほか、感染症に感染して14日以内に治癒しなかった場合も不認定です。さらに、出席率を満たさなくなった場合は、その支給単位期間以降、教育訓練給付金は不支給となります。

感染症の場合の失業認定日数の計算例はこちらの記事をご覧ください。

4.求職条件と労働の意思

教育訓練支援給付金の受給資格者は、専門実践教育訓練を受講しながら本人が希望する中長期的なキャリアを形成しようとしているので、自己都合により職業に就くことができなくても「労働の意思及び能力」があると認められます。

自己都合で職業に就くことができない場合

前職を妊娠、出産、育児、老病者の看護その他家事、家業手伝いのために退職した場合、一応労働の意思を失った状態または環境上職業に就くことができない状態と推定されます。

しかし、教育訓練支援給付金の受給資格者は、労働の意思をもって、訓練前キャリア・コンサルティングを受けて中長期的なキャリア形成のために専門実践教育訓練を受講していますので、これに該当しないことが推定されます。したがって「労働の意思及び能力」があると認められます。

また、現在、家事、家業または学業等の都合により他の職業に就くことができない状態にある場合も専門実践教育訓練を受講していれば「労働の意思及び能力」があると認められます。

他の職業に就くことができない状態にある例

  • 乳幼児の保育、老病者の看護等のため、本人が家庭から離れられない事情にある
    • ただし、乳幼児保育中の者については、その者の住所若しくは希望する求職条件の職場の近隣または通勤経路上の適当な場所に保育所等保育のための施設または親族等があり、その施設を利用しまたは親族等に保育を依頼することができ、通勤も可能であると認められる場合を除く。
  • 結婚準備のため、または結婚生活のため他に就職し得ない事情にある
  • 農業、商業等家業の繁忙期に手伝いをする必要があるため、他に就職し得ない事情にある
    • 常時この状態にある者は、職業を有する者と判断する

短時間就労や非雇用労働へ就くことのみを希望している場合

教育訓練支援給付金が雇用保険法上の給付であることから、原則として、雇用保険の被保険者となり得る求職条件(雇用保険法第6条)を希望する場合に限り、労働の意思を有する者と推定されます。短時間就労は雇用保険の対象とはなりません。

しかし、教育訓練支援給付金の受給資格者は、中長期的なキャリア形成のために専門実践教育訓練を受講していますので、これに該当しないことが推定されます。それは、現時点で何らかの事情により短時間就労を希望していたとしても、中長期的に見て雇用保険の被保険者となり得る求職を行う可能性があるからです。したがって「労働の意思及び能力」があると認められます。

また、内職、自営、任意的な就労などの非雇用労働へ就くことのみを希望している場合も同様に、「労働の意思」があると推定されます。

不適当な求職条件を希望している場合

ハローワークが職業指導を行ったにもかかわらず、特別な理由がないのに、ハローワークが不適当と認める職業または不当と認める労働条件による就職を希望して、それに固執する場合は、一応労働の意思がないものと推定されます。

しかし、上記の理由と同様に、教育訓練支援給付金の受給資格者は専門実践教育訓練を受講していますので、これに該当しないことが推定されます。したがって「労働の意思」があると認められます。

また、求職の申込みも必須ではありません。

5.労働の意思及び能力が慎重に判断される例

労働の意思または能力があるかどうかが疑わしい場合は、それぞれ慎重に判断されます。

就職も教育訓練も困難な場合

疾病、負傷または産前産後のように、本人に固有の精神的、肉体的諸原因により通常のいかなる職業にも就くことができず(適職なし)、しかも、教育訓練施設に通うことができない状態の場合は「労働の能力」がないものと推定されます。

専門実践教育訓練の受講中に次のような事情があったときは失業不認定となります。なお、判定の困難な場合は、当該労働市場または近隣の労働市場において、雇用されることの可能性の有無を考慮して、雇用の可能性がないと認められる場合は、労働の能力がないものと推定します。

労働の能力が無いと推定される例

  • 高度または悪質伝染性の疾病、負傷
  • 高度の身体障害により常に介護を要する、労務に服することができない、または特殊の技能がなければ、就職も教育訓練も困難な状態である
  • 産前6週間以内の女子、産後8週間以内の女子
    • 産前6週間に至らない妊娠女子であっても、本人の身体の状況、当該労働市場または近隣の労働市場の通常の求人状況その他の事情を総合的に判断して、雇用の可能性がないと認められる場合は、労働の能力がないものと推定する
    • 産後の場合は、医師の証明のあるときは6週間以内

休業補償給付、傷病手当金などの支給を受けている場合

労働者災害補償保険法(労災保険)の規定による休業(補償)給付や、健康保険の傷病手当金等その他これに相当する給付の支給を受けている場合は、一般に労働の能力がないものと判断されます。

しかし、一日のうち一部の時間労働不能であることにより、労働基準法第76条の規定による休業補償、労働者災害補償保険法の規定による休業補償給付または休業給付の支給を受けている場合であって、医師の証明等により雇用保険の被保険者となりうる条件での労働の能力のあることが立証できるのであれば、これに該当しないことが推定されます。

なお、療養の状態が継続した期間が14日以内の場合には、出席率を満たせば失業認定を行うことができます。

専門実践教育訓練を欠席した日

専門実践教育訓練を欠席した日については原則として失業の状態にない(労働の意思または能力がない)ものであり、失業不認定となります。

ただし、次の場合は労働の意思及び能力があるものとして失業認定されます。

失業認定される例

  • 大規模な災害が起こった等により訓練実施施設への通所が困難となっている場合
  • 裁判員等に選任された場合等
  • 教育訓練支援給付金の受給資格者本人が基本手当の認定日、教育訓練給付金の支給申請または教育訓練支援給付金の失業の認定日にハローワークに出頭する必要がある場合
  • 受給資格者がハローワーク指導により求職活動を行う場合若しくは紹介に応じて求人者に面接する場合または職業紹介事業者である教育訓練施設の指導により求職活動を行う場合若しくは紹介に応じて求人者に面接する場合

なお、1/2出席したと取り扱われた日は、失業の認定を受けた日数としては1日とします。

基本手当の受給期間の延長事由が生じた場合

基本手当の受給資格者であって、妊娠、出産、育児等の理由により、基本手当の受給期間の延長を行った場合、以後基本手当は支給されません。そして、教育訓練支援給付金においても失業の認定を行うことができません。

続けて専門実践教育訓練を受講している場合であっても、その場合は労働の能力があるものと考えられ、基本手当を受給することができるので、教育訓練支援給付金は支給されません。

基本手当の受給期間の延長終了後の期間については、当該事由のため休学等し、当該専門実践教育訓練開始当初の修了予定日に修了することが見込まれなくなった場合、その見込まれなくなった日以降不支給となります。

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教育訓練給付金.JP