内職のバイトで生計を立てている人は事業主に雇用されているとは言えない業務委託なので雇用保険の対象外です。副業として内職をしている場合は本業で判断します。
1.雇用保険の被保険者
教育訓練給付を受けられるのは雇用保険に加入している労働者(被保険者)もしくは加入したことがある人だけです。雇用保険に加入できるのは雇用されている労働者だけです。
雇用保険法 第4条第1項
この法律において「被保険者」とは、適用事業に雇用される労働者であつて、第六条各号に掲げる者以外のものをいう。
ただし、1年以内に労働者だった人は雇用保険に加入した可能性があるので教育訓練給付を受けられることがあります。
2.家内労働者(内職者)と雇用保険法
家内労働者(内職者)とは
家内労働者(内職者)は、自宅で内職をして工賃を得る人のことです。例えば、シール貼り、データ入力、商品の検査のような仕事で、成果物を納入して報酬を受け取る仕事です。
家内労働者は雇用保険の被保険者にはなりません。
また、内職の雇用契約を臨時的に締結した場合であっても、31日以上引き続き雇用される見込みのない場合は、被保険者になりません。
雇用保険法が適用されない理由
雇用契約ではない
1970年(昭和45年)に制定された家内労働法によると、家内労働者とは、主として労働の対償を得るために、その業務の目的物たる物品について委託を受けて、物品の製造または加工等に従事する者をいいます。
家内労働法(昭和45年法律第60号)第2条第2項
この法律で「家内労働者」とは、物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他これらの行為に類似する行為を業とする者であつて厚生労働省令で定めるものから、主として労働の対償を得るために、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者であつて、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするものをいう。
家庭内労働(=内職)は、確かに他人の依頼を受けて労働をしているのですが、仕事の完成品を提出することによってその報酬を得る委託契約をしているだけです。個人事業として仕事を請け負っているようなものです。
内職には、原材料を渡して加工してもらう契約のほかに、原材料を販売して加工後の物品を販売価格より高く買い取る契約がありますが、いずれも委託契約とみなされます。一定の期間についての労務を提供することを前提とする雇用契約ではありません。したがって、雇用関係のない家内労働者は、雇用保険の適用対象とはなりません。
複数の委託者と契約できる
雇用保険は、被保険者が失業した場合に生活の安定を図るものですが、家内労働者は、複数の委託者と契約を結ぶことができるので保護をする必要が無いのです。
3.副業としての内職の場合
副業として家内労働をしている場合、本業が被保険者となるべき要件(週所定労働時間20時間以上など)を満たす場合は、本業で雇用保険に加入し被保険者となります。
4.補足説明
家事使用人(家庭内労働者)について
家内労働者(内職者)と、家事使用人(家庭内労働者)とは全く違いますし、関係ありません。
労災について
特に危険度が高いとされる作業に従事する家内労働者については労災保険の特別加入制度があります(労働者災害補償保険法)。