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自宅で労働する在宅勤務者(テレワーク)の雇用保険、教育訓練給付 _ pr
雇用保険の被保険者

自宅で労働する在宅勤務者(テレワーク)の雇用保険、教育訓練給付

会社から業務を請け負って自宅で労働するだけであれば在宅勤務者ではなく家内労働者です。会社からの指揮命令と勤務時間の拘束があって他の労働者と同等以上の就業規則が適用されたら雇用と言えます。

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1.在宅勤務者と雇用保険

在宅勤務者

在宅勤務者(テレワーク)とは、特定の事業所に所属しているものの、労働日の全部またはその大部分について事業所への出勤を免除され、かつ、自己の住所または居所において勤務することを常とする者をいいます。テレワークはICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。

在宅勤務者も通常の会社員と同じ「労働者」とみなすことができれば雇用保険の被保険者となります。

「在宅勤務者」に該当しない人

単に自宅で個人事業主として事業をしている人は雇用保険の被保険者とはなりません。ただし、副業として事業をしている人は、主たる収入がいずれかによって判断します。原則として会社に雇用されていれば被保険者となります。

また、委託を受けて労働をし、報酬や工賃を労働の対価として受け取っている人(いわゆる内職をしている人)は「家内労働者」といいます。家内労働者は雇用保険の被保険者とはなりません。

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2.労働者性と雇用保険

労働者性の判断

雇用保険に加入できるのは雇用されている労働者だけです。個人事業主のように、他人から業務を請け負って独立して仕事をしている場合は「雇用」ではないので、労働者ではありません。

実態として労働者として勤務していると認められる場合は労働者として扱われます。これを「労働者性がある」といいます。雇用されていることが明確でない人については、個別に労働者性を判断します。

参考法令
雇用保険法 第4条第1項  この法律において「被保険者」とは、適用事業に雇用される労働者であつて、第六条各号に掲げる者以外のものをいう。

在宅勤務者の労働者性

在宅勤務者は、所属事業所に出勤している他の労働者との同一性が確認できれば原則として被保険者となります。

「同一性」とは、在宅勤務者が業務を請け負って独立して仕事をしているのではなく、会社の従業員として会社と連絡を取りながら働いていることをいいます。会社から独立しているとみなされる場合は被保険者とはなりません。

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3.在宅勤務者の労働者性を判断する基準

在宅勤務者が事業主に雇用されている労働者とみなされるためには、他の事業所勤務労働者と同一の就業規則等の諸規定が適用されることが条件となります。また、労働条件や福利厚生が他の事業所勤務労働者とおおむね同等以上であるものに限られます。

なお、この「同一」「同等以上」を判断するにあたっては、次の5つの点に留意した上で総合的に判断します。

在宅勤務者の労働者性を判断する基準

  • 指揮監督系統の明確性
  • 拘束時間等の明確性
  • 勤務管理の明確性
  • 報酬の労働対償性の明確性
  • 請負・委任的色彩の不存在

指揮監督系統の明確性

事業所勤務労働者は、通常、特定の事業所に所属し、会社の指揮監督を受けています。

それと同様に、在宅勤務者の業務遂行状況を直接的に管理することが可能な特定の事業所が、当該在宅勤務者の所属事業所として指定されていることが必要です。つまり、在宅勤務者も事業所勤務労働者と同じように所属事業所が指定されている必要があります。

拘束時間等の明確性

事業所勤務労働者は、通常、就業規則等により所定労働日、労働時間、休日が定められています。それと同様に、在宅勤務者も定められている必要があります。

  • 所定労働日及び休日が就業規則、勤務計画表等により予め特定されていること
  • 各労働日の始業及び終業時刻、休憩時間等が就業規則等に明示されていること

勤務管理の明確性

各日の始業、終業時刻等の勤務実績が、事業主により把握されていることが必要です。具体的には、出勤簿やタイムカード等により所定労働日に自宅で勤務していることを把握する手段があることです。

報酬の労働対償性の明確性

報酬中に月給、日給、時間給等勤務した期間または時間を基礎として算定される部分があることが必要です。

請負・委任的色彩の不存在

事業所勤務労働者は、通常、業務で発生した費用や損失について本人が負担することはありません。ただし、労働者の故意・過失によるものを除きます。

  • 機械、器具、原材料等の購入、賃借、保守整備、損傷、事業主や顧客等との通信費用等について本人の金銭的負担がないこと、または事業主の全額負担であることが、雇用契約書、就業規則等に明示されていること

請負や委任など事業主と独立して従事する場合と異なり、所定の拘束時間中は他の事業主の業務を行ってはいけません。

  • 他の事業主の業務への従事禁止について、雇用契約書、就業規則等に明示されていること

4.性質上適用できない場合

在宅勤務者は、他の事業所勤務労働者と同一の就業規則等の諸規定が適用されることが条件となりますが、会社に出勤するときの交通費など、その性質上在宅勤務者に適用できない条項が規定のなかにあってもかまいません。そのために事業所勤務労働者との間に差が生じてもかまいません。性質上適用できないのですから仕方がありません。

逆に、在宅勤務者だけに適用される規定や特別の就業規則等があってもかまいません。ただし、その場合も労働条件や福利厚生が他の事業所勤務労働者とおおむね同等以上であるものに限られます。

5.在宅勤務雇用実態証明書

在宅勤務者が雇用保険に加入するには、「雇用保険被保険者資格取得届」と当該適用事業に係る被保険者となったことの事実及びその事実を証明することができる書類に加えて、事業主が「在宅勤務雇用実態証明書」を作成して事業所の所在地を管轄するハローワークに提出しなければなりません。

在宅勤務雇用実態証明書は、在宅勤務者が事業所の労働者と同等の扱いを受けていること(上記の項目)を事業主が証明するものです。なお、この書類は事業主が作成して提出する義務があります。在宅勤務者本人が記入・提出することはありません。

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6.教育訓練給付について

教育訓練給付を受けられるのは雇用保険に加入している労働者(被保険者)もしくは加入したことがある人だけです。在宅勤務者も労働者性が認められれば教育訓練給付対象者となります。

ただし、現在労働者でない場合であっても過去1年以内に労働者だった人は雇用保険に加入した可能性があるので教育訓練給付を受けられることがあります。