電子申請、郵送、代理人による申請について改正がありました。当サイトの記述は順次改訂していきます。
個人事業主は雇用保険に加入できない、個人としての加入もできない _ pr
雇用保険の被保険者

個人事業主は雇用保険に加入できない、個人としての加入もできない

雇用されていない個人が希望しても雇用保険に加入することはできません。個人事業主本人は雇用保険に加入できないので教育訓練給付の支給対象外ですが、個人事業主に雇われている人は労働者なので雇用保険に加入できます。

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1.雇用保険の労働者

教育訓練給付金と雇用保険

教育訓練給付は雇用保険の保険料収入で運営しているので、雇用保険に加入しているかまたは加入したことがある人だけが対象です。

賃金を主たる収入源として生計を立てていた労働者は、本人の意図しない突然の失業により、生活の安定を維持することが困難となり、安心して求職活動を行うことができなくなってしまうリスクがあります。雇用保険はもともと、そのような場合の生活保障をするための保険(セーフティネット)です。そのため、雇用保険は原則として雇用されている労働者だけが加入できます。経営者側の人は加入できません。雇用されていない人は雇用保険の被保険者とはなりません。

労働者

雇用保険法の労働者とは、事業主に雇用され、事業主から支給される賃金等によって生活をしている者のことです。雇用保険は、事業主と労働者が折半して保険料を支払い、その保険料を元にして教育訓練給付が行われます。したがって、事業に雇用されていない人は雇用保険の被保険者にはなりません。

参考法令
雇用保険法 第4条第1項  この法律において「被保険者」とは、適用事業に雇用される労働者であつて、第六条各号に掲げる者以外のものをいう。
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2.個人事業主本人

開業している個人事業主

労働者を1人でも雇用する事業は、雇用保険が適用されます(雇用保険法第5条第1項)。したがって、労働者を雇用する事業であれば、業種のいかんを問わずすべて適用事業となります。

参考法令
雇用保険法 第5条第1項  この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする。

雇用するのは会社だけではありません。個人事業主と個人労働者が個人同士で雇用契約を結ぶことも可能です。雇用保険の「事業主」とは、当該事業についての雇用契約の雇い主となる当事者のことであり、個人か法人かを問いません。したがって、個人事業主も雇用保険の適用事業に含まれます。

個人事業主本人は事業主なので雇用保険の対象ではありません。したがって、教育訓練給付の対象にもなりません。

開業していない個人事業主

新たに不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき個人事業を開始する場合は、開業の1か月以内に税務署に開業届を提出しなければなりません(罰則はない)。

しかし、開業届を出さなくても雇用契約を結ぶのは自由です。したがって、雇用保険の事業主には、税務署に開業届を出していない(開業していない)個人も含まれます。開業していない個人も雇用保険の対象ではありません。

参考法令
所得税法 第229条  居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。
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3.副業、フリーター

他の事業主(会社など)に雇用されながら自ら個人事業もしている労働者は原則として、雇われている事業主において雇用保険が適用されるので、被保険者となります。雇用関係さえあれば、副業として個人事業をしていても無関係なので、それを会社に知らせる必要もありません。

ただし、雇用保険適用除外の人は加入することはできません。

フリーター(アルバイト・パートタイマー)は、正社員・正職員以外の非正規雇用の人のことです。非正規雇用であっても1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される見込みがあれば、雇用保険の被保険者となります。

4.個人の任意加入はできない

雇用保険は、労働者を雇用した時に事業主がハローワークに届け出ることによって加入することができます。労働者が加入の手続きをするわけではなく、また、労働者でない個人が加入できるものでもありません。

5.個人事業主に雇用される労働者

個人事業主も1人以上の労働者を雇った時点で雇用保険法上の事業主となるので、個人事業主に雇用されている労働者は被保険者となります。

ただし、個人事業主と同居し生計を一にする親族(同居の親族)は、労働者として雇ったとしても原則として雇用保険の対象とはなりません。

6.過去1年以内に労働者だった人

教育訓練給付は在職者だけでなく、過去1年以内に雇用保険に加入していた人も対象になります。したがって、現在は個人事業主などになっている人であっても、過去1年以内に労働者だった人は教育訓練給付の対象となる場合があります。