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【社労士過去問】短期訓練受講費(令和5年問5-オ、令和元年問5-E) _ pr
社労士試験対策

【社労士過去問】短期訓練受講費(令和5年問5-オ、令和元年問5-E)

社会保険労務士試験・雇用保険法の過去問の解説です。テーマは「短期訓練受講費」です。

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1.社労士過去問分析

当サイト内の解説記事

重要論点チェックテスト

短期訓練受講費」については、次の論点を押さえておくとよいでしょう。それぞれの質問をクリック(タップ)すると回答を見ることができます。

Q
短期訓練受講費の支給を受けるにはいつまでに申請すればよいですか?
A

短期訓練受講費の支給を申請するには、教育訓練を修了した日の翌日から起算して1か月以内に、受給資格者証等と所定の書類を添えて「求職活動支援費(短期訓練受講費)支給申請書」を提出します。

Q
教育訓練給付金と短期訓練受講費を両方受給することはできますか?
A

いいえ。短期訓練受講費は、教育訓練給付金の支給を受けていないときに支給を受けることができます。教育訓練給付金の支給要件を満たす場合は教育訓練給付金だけを受給することができ、短期訓練受講費を受給することはできません。

Q
短期訓練受講費の支給を受けるのに支給要件照会は必須ですか?
A

はい。短期訓練の場合、受講前にハローワークで受講指導を受けます。その受講指導の前提として支給要件照会が必須です。「短期訓練受講費支給要件照会票」に、受講しようとする短期訓練の教育訓練実施者から証明を得た上で、ハローワークに提出しなければなりません。

Q
短期訓練受講費の場合、基本手当の待期の期間中に短期訓練を開始してもよいですか?
A

いいえ。短期訓練受講費は、基本手当の待期(失業通算7日間)の期間中に教育訓練を開始した場合は支給されません。支給要件照会や受講指導は待期期間中でも良いです。

Q
短期訓練受講費の額は教育訓練経費の何%ですか?
A

短期訓練受講費の額は、教育訓練の受講のために支払った費用(教育訓練経費)の20%です。上限は10万円、下限はありません。

社労士試験について

社会保険労務士試験について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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2.令和5年択一問5選択肢オ

令和5年(2023年実施、第55回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問5の選択肢オです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢オのみ抜粋)  〔問 5〕就職促進給付に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。   受給資格者が公共職業安定所の職業指導に従って行う再就職の促進を図るための職業に関する教育訓練を修了した場合、当該教育訓練の受講のために支払った費用につき、教育訓練給付金の支給を受けていないときに、その費用の額の100分の30(その額が10万円を超えるときは、10万円)が短期訓練受講費として支給される。

正解

選択肢オの記述は誤りです。

解説

短期訓練受講費

短期訓練受講費は、教育訓練給付ではなく、就職促進給付の求職活動支援費の一つです。

短期訓練受講費は、受給資格者等(基本手当、高年齢求職者給付金、特例一時金、日雇労働求職者給付金の受給資格者などの離職者)が求職活動に伴い、雇用保険法第59条第1項第2号に規定する「公共職業安定所の職業指導に従つて行う職業に関する教育訓練の受講その他の活動」をする場合に支給される給付金です。

したがって、短期訓練受講費は教育訓練給付金とは異なり、在職者は支給対象外です。

参考法令
雇用保険法 第59条第1項  求職活動支援費は、受給資格者等が求職活動に伴い次の各号のいずれかに該当する行為をする場合において、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従つて必要があると認めたときに、支給する。 一 公共職業安定所の紹介による広範囲の地域にわたる求職活動 二 公共職業安定所の職業指導に従つて行う職業に関する教育訓練の受講その他の活動 三 求職活動を容易にするための役務の利用
雇用保険法施行規則 第95条の2  求職活動支援費は、次の各号に掲げる場合の区分に応じて、当該各号に定めるものを支給するものとする。 一 法第五十九条第一項第一号に掲げる行為をする場合 広域求職活動費 二 法第五十九条第一項第二号に掲げる行為をする場合 短期訓練受講費 三 法第五十九条第一項第三号に掲げる行為をする場合 求職活動関係役務利用費

短期訓練受講費は、受給資格者等が公共職業安定所の職業指導により再就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合に、教育訓練給付金の支給を受けていないときに支給されます(雇用保険法施行規則第100条の2)。

参考法令
雇用保険法施行規則 第100条の2  短期訓練受講費は、受給資格者等が公共職業安定所の職業指導により再就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(法第二十一条の規定による期間が経過した後に当該教育訓練を開始した場合に限る。)において、当該教育訓練の受講のために支払つた費用(入学料(受講の開始に際し納付する料金をいう。以下同じ。)及び受講料に限る。次条及び第百条の四において同じ。)について教育訓練給付金の支給を受けていないときに、厚生労働大臣の定める基準に従つて、支給するものとする。

短期訓練受講費の額

短期訓練受講費は、当該教育訓練の受講のために支払った費用(入学料と受講料の合計金額)の20%です。上限は10万円です。このことは雇用保険法施行規則第100条の3に規定されています。

したがって、選択肢オの「100分の30」とする記述は誤りです。

参考法令
雇用保険法施行規則 第100条の3  短期訓練受講費の額は、受給資格者等が前条に規定する教育訓練の受講のために支払つた費用の額に百分の二十を乗じて得た額(その額が十万円を超えるときは、十万円)とする。
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3.令和元年択一問5選択肢E

令和元年(2019年実施、第51回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問5の選択肢Eです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Eのみ抜粋)  〔問 5〕就職促進給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。   短期訓練受講費の額は、教育訓練の受講のために支払った費用に100分の40を乗じて得た額(その額が10万円を超えるときは、10万円)である。

正解

選択肢Eの記述は誤りです。

解説

短期訓練受講費は、受給資格者等が公共職業安定所の職業指導により再就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合において、当該教育訓練の受講のために支払った費用(入学料と受講料の合計金額)の20%です。上限は10万円です。

このことは雇用保険法施行規則第100条の3に規定されています。したがって、選択肢Eの「100分の40」とする記述は誤りです。

参考法令
雇用保険法施行規則 第100条の3  短期訓練受講費の額は、受給資格者等が前条に規定する教育訓練の受講のために支払つた費用の額に百分の二十を乗じて得た額(その額が十万円を超えるときは、十万円)とする。

4.補足説明

短期訓練受講費の教育訓練とは

短期訓練受講費の教育訓練は、訓練期間が1か月未満の「短期訓練」で公的資格を取得できるもので、希望の職種に役立つ講座です。

前述のとおり「公共職業安定所の職業指導により再就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練」であればよく、雇用保険法第60条の2に規定する「厚生労働大臣の指定する教育訓練」である必要はありません。つまり、教育訓練給付金対象講座でなくても良いです。

一般教育訓練給付金との違い

一般教育訓練給付金も教育訓練経費の20%ですが、4,000円を超えないときは支給されません。短期訓練受講費は下限はありません。

一般教育訓練給付金の支給が受けられるときは、短期訓練受講費は支給されないので(雇用保険法施行規則第100条の2)、1つの教育訓練で両方を受給することはできません。