社労士試験対策

【社労士過去問】教育訓練給付の不正受給処分(令和3年問6-C、平成29年問1-C、平成27年問4-ウ、平成20年問7-C、平成19年問7-D)

社会保険労務士試験・雇用保険法の過去問の解説です。テーマは「教育訓練給付の不正受給処分」です。この分野からは過去に令和3年択一問6選択肢C、平成29年択一問1選択肢C、平成27年択一問4選択肢ウ、平成20年択一問7選択肢C、平成19年択一問7選択肢Dで出題されています。

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1.社労士過去問分析

「教育訓練給付の不正受給処分」の論点

「教育訓練給付の不正受給処分」については、次の論点を押さえておくとよいでしょう。

  • 不正行為で支給を受けた場合、支給を受けた額の返還命令、その額の2倍以下の納付命令、教育訓練施設が共犯の時は連帯返還命令・連帯納付命令が出され、保険料の徴収と同様の督促もある。雇用保険法上の罰則は無いが、悪質な場合は詐欺罪(刑法第246条)になる。
  • やむを得ない理由がある場合には全部または一部を支給することができる。
  • 不正行為で支給を受けた日または受けようとした日(支給されなかった場合も含まれる)以降の給付はすべて取り消しとなるが、その後、新たに支給要件を満たせば教育訓練給付金を受けることができる。
  • 不正行為で支給を受けようとしたが、支給されなかった場合も支給要件期間の計算上は支給を受けたものとみなす(基準となる受講開始日があるから)。しかし、3年間の給付制限については支給されなかったものとして扱う(基準となる支給決定日が無いから)。

社労士試験では過去に次のような問題が出題されています。

  • 令和3年択一問6選択肢C
    教育訓練給付の不正受給があった場合の再受給
  • 平成29年択一問1選択肢C、平成19年択一問7選択肢D
    失業等給付の不正受給の返還命令、納付命令
  • 平成27年択一問4選択肢ウ、平成20年択一問7選択肢C
    指定教育訓練実施者の連帯返還命令、連帯納付命令

当サイト解説記事

社労士試験について

社会保険労務士試験について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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2.令和3年択一問6選択肢C

令和3年(2021年実施、第53回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問6の選択肢Bです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Cのみ抜粋)

〔問 6〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、本問において、「教育訓練」とは、雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練のことをいう。

 偽りその他不正の行為により教育訓練給付金の支給を受けたことから教育訓練給付金を受けることができないとされた者であっても、その後新たに教育訓練給付金の支給を受けることができるものとなった場合には、教育訓練給付金を受けることができる。

正解

選択肢Cの記述は正しいです。

解説

不正受給処分

偽りその他不正の行為により教育訓練給付金または教育訓練支援給付金の支給を受け、または受けようとした場合は、不正受給処分を受けるとともにそれ以降、教育訓練給付金は支給されません。

ただし、やむを得ない理由がある場合は全部または一部が支給されることがあります。したがって、不正受給処分を受けた場合、教育訓練給付金が支給される場合もあれば支給されない場合もあります。

参考法令
雇用保険法 第60条の3第1項

偽りその他不正の行為により教育訓練給付金の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付金の支給を受け、又は受けようとした日以後、教育訓練給付金を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、教育訓練給付金の全部又は一部を支給することができる。

再受給

不正受給処分を受けた場合はそれ以降教育訓練給付が一切支給されないのが大原則です。不正受給にかかる教育訓練については一切支給されません。

しかし、その後さらに支給要件期間3年以上を満たすなどして、新たに、教育訓練給付金の支給要件を満たした場合は、例外的に教育訓練給付金を受けることができます。

教育訓練支援給付金の場合

上記の「教育訓練給付金」には、教育訓練支援給付金は含まれません。選択肢Cの正誤を判断するのに教育訓練支援給付金のことを考慮する必要はありません。ちなみに、一度でも教育訓練給付金または教育訓練支援給付金の不正受給があった場合、それ以降、教育訓練支援給付金は支給されません。

正解と法的根拠

以上のことは、雇用保険法第60条の3第2項に規定されています。したがって、選択肢Cの記述は正しいと言えます。

参考法令
雇用保険法 第60条の3第2項

前項の規定により教育訓練給付金の支給を受けることができない者とされたものが、同項に規定する日以後、新たに教育訓練給付金の支給を受けることができる者となつた場合には、同項の規定にかかわらず、教育訓練給付金を支給する
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3.平成29年択一問1選択肢C

平成29年(2017年実施、第49回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問1の選択肢Cです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Cのみ抜粋)

〔問 1〕失業等給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。

正解

選択肢Cの記述は正しいです。

解説

失業等給付(教育訓練給付も含まれる)を不正に受給したときは、その返還を命じられるだけでなく、不正受給した額の2倍以下の納付を命じられることがあります。特に悪質な場合は詐欺罪などにより処罰されることがあります。

選択肢Cの記述は雇用保険法第10条の4第1項と全く同じ文章です。したがって、選択肢Cの記述は正しいです。

参考法令
雇用保険法 第10条の4第1項

偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。

4.平成27年択一問4選択肢ウ

平成27年(2015年実施、第47回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問4の選択肢ウです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢ウのみ抜粋)

〔問 4〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
なお、本問において、「教育訓練」とは、雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練のことをいう。

 指定教育訓練実施者が偽りの届出をしたために、教育訓練給付が不当に支給された場合、政府は、当該教育訓練実施者に対し、当該教育訓練給付の支給を受けた者と連帯して同給付の返還をするよう命ずることができる。

正解

選択肢ウの記述は正しいです。

解説

不正受給処分

偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた場合、政府はその不正受給をした者に対して全部または一部の返還を命ずることができます(返還命令)。さらに、不正受給をした額の2倍以下の金額を納付するよう命ずることができます(納付命令)。

失業等給付には教育訓練給付も含まれます。教育訓練給付が不当に支給された場合(他人名義での支給申請、教育訓練の受講に関する虚偽の届出、教育訓練経費の水増し等)、政府は本人に対して返還命令と、さらに悪質な場合は納付命令をすることができます。

参考法令
雇用保険法 第10条の4第1項

偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。

連帯返還命令、連帯納付命令

指定教育訓練実施者とは、厚生労働大臣指定の教育訓練を実施する施設(法人)のことです。

指定教育訓練実施者が偽りの届け出、報告または証明をしたために不当に教育訓練給付が支給された場合、政府はその指定教育訓練実施者に対して、不当に支給を受けた本人と連帯して、返還または納付を命ずることができます。

正解と法的根拠

以上のことは雇用保険法第10条の4第2項に規定されており、選択肢ウの記述は正しいと言えます。

参考法令
雇用保険法 第10条の4第2項

前項の場合において、事業主、職業紹介事業者等(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第二条に規定する職業紹介機関又は業として職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第四条第四項に規定する職業指導(職業に就こうとする者の適性、職業経験その他の実情に応じて行うものに限る。)を行う者(公共職業安定所その他の職業安定機関を除く。)をいう。以下同じ。)、募集情報等提供事業を行う者(同条第六項に規定する募集情報等提供を業として行う者をいい、労働者となろうとする者の依頼を受け、当該者に関する情報を労働者の募集を行う者又は募集受託者(同法第三十九条に規定する募集受託者をいう。)に提供する者に限る。以下この項及び第七十六条第二項において同じ。)又は指定教育訓練実施者(第六十条の二第一項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練を行う者をいう。以下同じ。)が偽りの届出、報告又は証明をしたためその失業等給付が支給されたものであるときは、政府は、その事業主、職業紹介事業者等、募集情報等提供事業を行う者又は指定教育訓練実施者に対し、その失業等給付の支給を受けた者と連帯して、前項の規定による失業等給付の返還又は納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ずることができる。

5.平成20年択一問7選択肢C

平成20年(2008年実施、第40回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問7の選択肢Cです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Cのみ抜粋)

〔問 7〕雇用保険制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 教育訓練給付に関して厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練実施者が、偽りの証明をしたために教育訓練給付が不当に支給された場合、政府は、当該教育訓練実施者に対しても、教育訓練給付の支給を受けた者と連帯して、同給付の返還や納付を命ぜられた金額の納付をするよう命ずることができる。

正解

選択肢Cの記述は正しいです。

解説

返還命令も納付命令も、当該教育訓練実施者に対して本人と連帯して納付するよう命ずることができます。

6.平成19年択一問7選択肢D

平成19年(2007年実施、第39回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問7の選択肢Dです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Dのみ抜粋)

〔問 7〕失業等給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 政府は、偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者に対し、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずるとともに、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の3倍に相当する額の金額を納付することを命ずることができる。

正解

選択肢Dの記述は誤りです。

解説

「3倍に相当する額」ではなく「2倍に相当する額以下」です。

7.補足説明

指定の取り消し

指定教育訓練実施者が、教育訓練給付金制度に関して不正な行為を行ったときは、指定が取り消されることとなります。

参考法令
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)58081抜粋

58081(1)教育訓練給付制度の適正実施に係る協力等の必要性に係る指導
指定教育訓練実施者が、指定基準を満たさなくなったとき、受講者の支給申請に当たって必要な証明をせず又は偽りの証明をしたとき、その他教育訓練給付金制度に関して不正な行為を行ったときは、指定が取り消されることとなる。
安定所が、対象一般教育訓練又は指定教育訓練実施者に関し、指定取消に該当するような状況や、指定内容と異なる一般教育訓練が行われている状況を把握した場合は、各都道府県労働局雇用保険主管課(部)に通報し、各都道府県労働局雇用保険主管課(部)より本省雇用保険課に通報すること。
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教育訓練給付金.JP