社労士試験対策

【社労士過去問】教育訓練経費(平成27年問4-エ、平成25年問4-ア、平成21年問6-E、平成16年問6-B、平成13年問6-C)

社会保険労務士試験・雇用保険法の過去問の解説です。テーマは「教育訓練経費」です。この分野からは過去に平成27年択一問4選択肢エ、平成25年択一問4選択肢ア、平成21年択一問6選択肢E、平成16年択一問6選択肢B、平成13年択一問6選択肢Cで出題されています。

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1.社労士過去問分析

「教育訓練経費」の論点

「教育訓練経費」については、次の論点を押さえておくとよいでしょう。

  • 教育訓練給付金の計算の基礎となる教育訓練経費は、入学料と受講料の合計額である。
  • 一般教育訓練給付金については、受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用を上限2万円まで含めることができる。また、一般教育訓練の受講料は最大1年分のみで1年を超える分は対象外。
  • 検定試験の受験料、受講にあたって必ずしも必要とされない補助教材費、追加的な補講費、教育訓練施設が実施する各種行事の参加にかかる費用、受講のための交通費、宿泊費、パソコン等の機材の費用、クレジット会社に支払う金利手数料は対象外。
  • 入学料や受講料の全部または一部を事業主等が本人の代わりに支払った場合は対象外。
  • 教育訓練給付金の支給申請の時点で、教育訓練施設に対して未納としている入学料または受講料は、クレジット契約が成立している場合を除き対象外。

当サイト解説記事

社労士試験について

社会保険労務士試験について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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2.平成27年択一問4選択肢エ

平成27年(2015年実施、第47回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問4の選択肢エです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢エのみ抜粋)

〔問 4〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
なお、本問において、「教育訓練」とは、雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練のことをいう。

 教育訓練給付金の支給の対象となる費用の範囲は、入学料、受講料及び交通費である。

正解

選択肢エの記述は誤りです。

解説

教育訓練給付金の計算方法

教育訓練給付金の額は、教育訓練の受講のために支払った費用で、教育訓練実施者が証明した額(教育訓練経費)に20%~70%の給付率をかけて求めます。

教育訓練給付金=教育訓練経費×給付率(20%~70%)

ただし、教育訓練経費の範囲は、厚生労働省令(雇用保険法施行規則)で定める範囲内のものに限られます。このことは、雇用保険法第60条の2第4項で定められており、一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金に共通する計算方法です。

参考法令
雇用保険法 第60条の2第4項

教育訓練給付金の額は、教育訓練給付対象者が第一項に規定する教育訓練の受講のために支払つた費用(厚生労働省令で定める範囲内のものに限る。)の額(当該教育訓練の受講のために支払つた費用の額であることについて当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により証明がされたものに限る。)に百分の二十以上百分の七十以下の範囲内において厚生労働省令で定める率を乗じて得た額(その額が厚生労働省令で定める額を超えるときは、その定める額)とする。

教育訓練経費の範囲

原則として教育訓練経費は、受講の開始の際に支払う入学料と、受講に際して支払う受講料の合計金額です。消費税も含まれます。

ただし、一般教育訓練給付金についてはキャリアコンサルティングを受けることは必須ではありませんが、一般教育訓練の受講開始日前1年以内にキャリアコンサルティングを受けた場合(任意)は、その費用を教育訓練経費に含めることができます(上限2万円まで)。

参考法令
雇用保険法施行規則 第101条の2の6

法第六十条の二第四項の厚生労働省令で定める費用の範囲は、次の各号に掲げるものとする。
一 入学料及び受講料(短期訓練受講費の支給を受けているものを除く。)
二 次条第一号に規定する一般教育訓練の受講開始日前一年以内にキャリアコンサルタント(職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第三十条の三に規定するキャリアコンサルタントをいう。以下同じ。)が行うキャリアコンサルティング(同法第二条第五項に規定するキャリアコンサルティングをいう。以下同じ。)を受けた場合は、その費用(その額が二万円を超えるときは、二万円)

教育訓練経費に含まれない費用

教育訓練経費とされるのは入学料と受講料だけであり、それ以外に教育訓練を受講するのに要した費用は対象外です。例えば、受講のための交通費は教育訓練経費とはなりません

このことは、雇用保険法施行規則第101条の2の6、雇用保険に関する業務取扱要領58014ハなどに定められており、一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金に共通の規定です。したがって、選択肢エの記述は誤りです。

参考法令
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)58014ハ(抜粋)

58014 (4) 支給額等
ハ 教育訓練経費とされるのは、指定教育訓練実施者に対して支払われた入学料(対象一般教育訓練の受講の開始に際し当該指定教育訓練実施者に納付する入学金又は登録料)及び受講料(受講に際して支払った受講費、教科書代及び教材費であって最大1年分)として、指定教育訓練実施者が証明する額であり(消費税込み。短期訓練受講費の支給を受けているものを除く)、その他の検定試験の受験料、受講に当たって必ずしも必要とされない補助教材費、教育訓練の補講費、教育訓練施設が実施する各種行事参加に係る費用、学債等将来受講者に対して現金還付が予定されている費用、受講のための交通費及びパソコン、ワープロ等の器材等については教育訓練経費とはならない。また、クレジットカードの利用等、クレジット会社を介して支払う契約を行う場合の、クレジット会社に対する分割払い手数料(金利)は教育訓練経費に該当しない。
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3.平成25年択一問4選択肢ア

平成25年(2013年実施、第45回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問4の選択肢アです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢アのみ抜粋)

〔問 4〕教育訓練給付に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
なお、本問において、「教育訓練」とは「雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練」のことである。

 教育訓練給付金の算定の基礎となる、教育訓練の受講のために支払った費用として認められるのは、入学料及び受講料(当該教育訓練の期間が1年を超えるときは、当該1年を超える部分に係る受講料を除く。)である。

注:なお、出題当時(平成25年)は専門実践教育訓練、特定一般教育訓練の制度はなかったので、この問題は現在の一般教育訓練給付金に関する記述として解答してください。

正解

選択肢アの記述は出題当時は正しいものでしたが、現在は誤りです。

解説

一般教育訓練給付金の算定基礎となる教育訓練経費

一般教育訓練給付金は、厚生労働大臣指定の一般教育訓練を受講して、修了した場合に教育訓練の受講のために支払った費用(教育訓練経費)の20%が支給される給付金です。一般教育訓練は1年以内の講座が想定されています。

教育訓練給付金の算定基礎となる教育訓練経費の範囲は入学料と受講料です(短期訓練受講費の支給を受けているものを除く)。

ただし、一般教育訓練給付金の場合は一般教育訓練の期間が1年を超えるときは1年間の受講料のみであり、1年を超える部分の受講料は除きます。

参考法令
雇用保険法施行規則 第101条の2の2第1項

厚生労働大臣は、法第六十条の二第一項の規定による指定をしたときは、次に掲げる事項を記載した講座指定通知書を、当該教育訓練を行う指定教育訓練実施者(法第十条の四第二項に規定する指定教育訓練実施者をいう。以下同じ。)に通知するものとする。
一 教育訓練施設の名称
二 教育訓練講座名
三 第百一条の二の七第一号に規定する一般教育訓練、同条第一号の二に規定する特定一般教育訓練又は同条第二号に規定する専門実践教育訓練のいずれであるかの別
四 訓練の実施方法
五 訓練期間
六 入学料及び受講料(第百一条の二の七第一号に規定する一般教育訓練の期間が一年を超えるときは、当該一年を超える部分に係る受講料を除く。第百一条の二の六において同じ。)の額
七 指定番号
八 その他必要と認められる事項
雇用保険法施行規則 第101条の2の6

法第六十条の二第四項の厚生労働省令で定める費用の範囲は、次の各号に掲げるものとする。
一 入学料及び受講料(短期訓練受講費の支給を受けているものを除く。)
二 次条第一号に規定する一般教育訓練の受講開始日前一年以内にキャリアコンサルタント(職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第三十条の三に規定するキャリアコンサルタントをいう。以下同じ。)が行うキャリアコンサルティング(同法第二条第五項に規定するキャリアコンサルティングをいう。以下同じ。)を受けた場合は、その費用(その額が二万円を超えるときは、二万円)

キャリアコンサルティング

一般教育訓練給付金の場合、事前にキャリアコンサルティングを受けることは必須ではありません。

しかし、受講開始日前1年以内にキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用を教育訓練経費に含めることができます(上限2万円)。このことは、雇用保険法施行規則第101条の2の6、雇用保険に関する業務取扱要領58014ハに定められています。

教育訓練経費に「加えることができる」ので、キャリアコンサルティングの費用を含めて申請するのは義務ではありません。しかし、本人が申請すれば教育訓練経費として認められますので、「費用として認められるのは入学料及び受講料である」とする選択肢アの記述は誤りであると言えます。

参考法令
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)58014ハ(抜粋)

58014 (4) 支給額等
ハ 当該受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタント(職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第30条の3に規定するキャリアコンサルタントをいう。以下同じ。)が行うキャリアコンサルティング(同法第2条第5項に規定するキャリアコンサルティングをいう。以下同じ。)を受けた場合は、その費用を、教育訓練経費に加えることができる。ただし、その額が2万円を超える場合の教育訓練経費とできる額は2万円までとする(平成29年1月1日以降にキャリアコンサルティングを受けた場合に限る。)。

4.平成21年択一問6選択肢E

平成21年(2009年実施、第41回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問6の選択肢Eです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Eのみ抜粋)

〔問 6〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、この問において「教育訓練」とは雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練とし、「教育訓練の受講のために支払った費用」とは雇用保険法第60条の2第4項に規定する厚生労働省令で定める範囲内のものとする。

 教育訓練給付金の算定の基礎となる、教育訓練の受講のために支払った費用として認められるのは、入学料及び最大1年分の受講料のみである。

注:なお、出題当時(平成21年)は専門実践教育訓練、特定一般教育訓練の制度はなかったので、この問題は現在の一般教育訓練給付金に関する記述として解答してください。

正解

選択肢Eの記述は出題当時は正しいものでしたが、現在は誤りです。

解説

出題当時(平成21年4月15日現在施行の法令)では選択肢Eは正しい記述でしたが、現在ではキャリアコンサルティングの費用も認められるので誤りです。

5.平成16年択一問6選択肢B

平成16年(2004年実施、第36回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問6の選択肢Bです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Bのみ抜粋)

〔問 6〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、本問において一般被保険者とは、高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除いた被保険者をいう。

 教育訓練を受講するための交通費、パソコン等の器材の費用、支給申請時点で未納分の受講料、検定試験の受験料は、いずれも教育訓練給付金の支給対象となる費用に含まれない。

正解

選択肢Bの記述は正しいです。

解説

上記の、雇用保険に関する業務取扱要領58014ハなどに定められているとおり、教育訓練を受講するための交通費、パソコン等の器材の費用、検定試験の受験料は教育訓練経費とはなりません。

教育訓練経費とはならない費用

  • 検定試験の受験料
  • 受講に当たって必ずしも必要とされない補助教材費
  • 教育訓練の補講費
  • 教育訓練施設が実施する各種行事参加に係る費用
  • 学債等将来受講者に対して現金還付が予定されている費用
  • 受講のための交通費
  • パソコン、ワープロ等の器材
  • クレジットカードの利用等、クレジット会社を介して支払う契約を行う場合の、クレジット会社に対する分割払い手数料(金利)

また、教育訓練経費は、実際に支払われた額(またはクレジット決済された額)をいい、支給申請の時点で指定教育訓練実施者に対して未納としている入学料または受講料は、教育訓練経費とはなりません。未納の費用を教育訓練経費に含めたいのであれば、申請期限までに追納をしてから支給申請をしなければなりません。

このことは、雇用保険に関する業務取扱要領58014ヘ などに定められており、選択肢Bの記述は正しいと言えます。

参考法令
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)58014ヘ

58014 (4) 支給額等
ヘ 教育訓練経費は、受講修了日までに教育訓練施設に対する支払義務が確定した費用であって、かつ実際に支払われた額(クレジット払いの場合にあってはクレジット契約額)をいい、一般教育訓練給付金の支給を受けようとする支給対象者が、支給申請の時点で指定教育訓練実施者に対して未納としている入学料又は受講料は、教育訓練経費とされない

6.平成13年択一問6選択肢C

平成13年(2001年実施、第33回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問6の選択肢Cです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Cのみ抜粋)[

〔問 6〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 教育訓練施設に支払った受講料は、原則として最大1年分までが教育訓練給付金の支給の対象となるが、当該教育訓練の期間が1年を超えるものであり、かつ当該教育訓練施設が厚生労働大臣の特別指定を受けた場合には、最大で2年分の受講料が支給の対象となる。

注:なお、出題当時(平成13年)は専門実践教育訓練、特定一般教育訓練の制度はなかったので、この問題は現在の一般教育訓練給付金に関する記述として解答してください。

正解

選択肢Cの記述は誤りです。

解説

上記の、雇用保険法施行規則第101条の2の2第1項に定められているとおり、一般教育訓練の期間が1年を超えるときは、当該1年を超える部分に係る受講料を除きます。

教育訓練給付金に関する厚生労働大臣の指定は必ず講座単位で行い、教育訓練施設に対して特別の指定を行うことはありません。

ちなみに、特定一般教育訓練は受講料の期間の上限はありません。専門実践教育訓練は原則3年分までの受講料であり、条件を満たせば4年目の受講料を上乗せすることができます。したがって、選択肢Cの記述は誤りです。

7.補足説明

キャリアコンサルティングの費用について

一般教育訓練給付金の場合にキャリアコンサルティングの費用を含めることができるようになったのは、2017年(平成29年)1月1日以降です(雇用保険法施行規則の改正による)。

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