キャリアコンサルタント養成講習は専門実践教育訓練給付金の対象であり、専門実践教育訓練の受講者のうち一定の要件を満たす場合は教育訓練支援給付金を受給することができます。ただし、通信制は教育訓練支援給付金の対象外であることに注意します。
1.キャリアコンサルタント資格と専門実践教育訓練
国家資格キャリアコンサルタント試験において実務経験のない人が受給資格を得るためには150時間以上の「キャリアコンサルタント養成講習」を受講する必要があります。キャリアコンサルタント養成講習は専門実践教育訓練給付金の対象であり、受給資格がある人が養成講習を修了すると専門実践教育訓練給付金を受給することができます。
通学制だけでなくオンライン講習やe-ラーニング形式の講座も対象です。
2.教育訓練支援給付金
教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練を受講すると支給される給付金です。
教育訓練支援給付金の受給資格
雇用保険の一般被保険者が離職し、失業している状態で専門実践教育訓練を45歳に達する前に受講を開始し、適切な受講のもとその修了が見込まれる場合に教育訓練支援給付金の支給を受けることができます(ただし、2025年(令和7年)3月31日まで)。教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練の受講中に失業状態と認定された日(労働の意思及び能力を有するにもかかわらず職業に就くことのできない状態にある日)について、基本手当日額の8割が支給されます。
ただし、2014年(平成26年)10月1日以降、受講開始日以前に教育訓練給付金または教育訓練支援給付金を受給したことがある場合を除きます。
夜間、通信制を除く
受講する専門実践教育訓練が夜間や通信制などの場合、就業を継続して教育訓練を受けることが可能であるため、「職業に就くことのできない状態」とは言えません。そのため、夜間や通信制などの専門実践教育訓練は教育訓練支援給付金の対象外となります。この場合は、専門実践教育訓練給付金だけ受給することができます。
現在、専門実践教育訓練の指定を受けているキャリアコンサルタント養成講習のほとんどが通信制またはe-ラーニング形式であるため、専門実践教育訓練給付金の対象ではありますが、教育訓練支援給付金の対象外です。
3.教育訓練支援給付金の申請手続
通学制のキャリアコンサルタント養成講習は教育訓練支援給付金の支給を受けることができる場合があります。
受給資格確認
教育訓練支援給付金の支給を受けるには原則として受講開始日の1か月前までに、住居所管轄のハローワークで受給資格確認の手続きを行う必要があります。受給資格確認票の用紙は専門実践教育訓練給付金と共通です。
専門実践教育訓練給付金の受給資格確認を受けたときに失業状態であれば、その時に教育訓練支援給付金の受給資格確認も受けることができます。専門実践教育訓練給付金の受給資格確認を受けたときに在職中であれば、離職した後に、離職の翌日から1か月以内に受給資格確認を受けます。
失業認定
教育訓練支援給付金は、基本手当の8割に相当する額を2か月分まとめて支給します。教育訓練支援給付金を受けるには2か月ごとにハローワークに出頭して失業認定を受ける必要があります。失業の認定を受けた日から7日以内に給付金が振り込まれます。
キャリアコンサルタント養成講習を受講している人は養成講習の受講に専念しているため、事実上求職活動を行うことができません(求職活動が禁止されているわけではない)。そのため、求職活動を行う代わりに、「適切な受講のもとその修了が見込まれる」場合に失業認定ができることになっています。
教育訓練施設は教育訓練支援給付金の対象者に対して「教育訓練支援給付金受講証明書」を発行して適切に受講して修了が見込まれることを証明します。受講証明書は教育訓練施設が証明するもので、受講者が勝手に作成してはいけません。失業認定日にはこの受講証明書を提出します。
4.失業認定の基準
失業認定の基準となる出席率
キャリアコンサルタント養成講習は修了時に「習得度確認試験」を実施し、修了の判定を行います。習得度確認試験に合格しなければ専門実践教育訓練給付金の支給を受けることはできません。
しかし、2か月に1回必ず習熟度確認試験が行われるとは限らないため、教育訓練支援給付金については、「適切な受講」を修了認定基準に照らして判定することができません。そのため、教育訓練施設が定める修了認定基準にかかわらず、出席率8割以上をもって適切に受講をしていることの判定を行います。
例えば、教育訓練施設が修了認定基準で「出席率70%以上」と定めていたとしても、教育訓練支援給付金については出席率80%以上でなければ支給されません。出席率80%未満となった時点で支給停止となります。
失業認定の基準となる修了見込
教育訓練支援給付金については「修了が見込まれる」ことが支給の条件となっています。そのため、課題の提出をせず、または欠席したことによって修了認定基準を満たさないことが明らかとなった場合はその時点で支給停止となります。
また、最終回の支給単位期間(専門実践教育訓練修了後に失業認定を受ける最後の支給)については、習得度確認試験に合格し修了認定基準に照らして修了の認定を受けなければなりません。
5.補足説明
基本手当との関係
雇用保険の基本手当を受給できるときは基本手当のほうが優先となりますので、離職票を提出して基本手当の受給手続きを行います。