教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練給付金と同時に受給資格確認を行います。また、専門実践教育訓練給付金の受給資格確認の後に失業した場合は、教育訓練支援給付金だけ単独で受給資格確認を行うこともできます。
1.教育訓練支援給付金
事前の受給資格確認が必要
教育訓練支援給付金の受給資格は、専門実践教育訓練給付金の受給資格者であって、45歳未満の年齢で受講を開始し、適切な受講のもとその修了が見込まれることと、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず職業に就くことのできない状態にあることです。
教育訓練支援給付金を受けるには、専門実践教育訓練給付金とは別にハローワークで事前に受給資格確認を行い、受給資格があることについての決定を受けなければなりません。
専門実践教育訓練給付金との関係
専門実践教育訓練給付金の受給資格確認を受けていない人は、まず専門実践教育訓練給付金の手続を行います。専門実践教育訓練給付金の支給を受けるには、受講開始1か月前までに訓練前キャリア・コンサルティングを受けて受給資格確認の手続を行う必要があります。
専門実践教育訓練給付金の受給資格確認を行おうとしている人については、それと同時に教育訓練支援給付金の受給資格確認も行うことができます。
基本手当との関係
失業状態であれば雇用保険の基本手当を受けられる可能性がありますが、逆に、失業状態であっても基本手当の受給要件を満たさないこともあります。基本手当が支給される期間は教育訓練支援給付金は支給されないことから、まず、基本手当の受給資格決定を行います。
受講申し込みは不要です
受給資格確認の手続きは専門実践教育訓練が始まる前にハローワークで行いますが、この段階では、専門実践教育訓練の受講申し込みをする必要はありません(申し込みをしてはいけません)。また、教育訓練施設に知らせる必要もありません。
講座の申し込みをする「予定」であることをハローワークの職員に伝えるだけでよいです。提出する書類にも受講する予定の講座を記入すればよいです。受給資格決定を受けてから申し込みをしましょう。講座の申し込みの期限がある場合は、必ず、その1か月前までに(もっと早くても良いです)ハローワークに行って受給資格確認の手続きを終わらせましょう。
受給資格決定を受けたとしても、特定一般教育訓練の受講申し込みをする義務はありません。受講申し込みをしなくても何らペナルティはありませんし、ハローワークや教育訓練施設への連絡も不要です。
2.教育訓練支援給付金の受給資格確認の手続き
原則として離職した被保険者の住居所を管轄するハローワークに、「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」を提出します。この受給資格確認にかかる手数料はありません。無料です。
提出する書類は次の通りです。なお、この受給資格確認は失業者だけが行うことができるので離職票が必要です。基本手当の受給資格決定を受け、離職票を既にハローワークに提出している場合は、離職票に代えて雇用保険受給資格者証を提出します。
なお、すでに専門実践教育訓練給付金の受給資格決定を済ませている場合は、当該専門実践教育訓練給付金の受給資格者証も添付します。
受給資格確認の添付書類
- 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票
- 本人住居所確認書類
- 離職票または雇用保険受給資格者証
- 口座情報を確認できる書類(提示するだけでよい)
- 個人番号を証明する書類
- 専門実践教育訓練給付金の受給資格者証
本人住居所確認書類について
受給確認を受けるには、本人であること及び住居所を確認することができる書類を添えて提出しなければなりません(雇用保険法施行規則附則第27条第1項)。原則として写真が貼付され、偽造が困難な証明書を提示します。ただし、書類提出の時点で有効なもの、または発行・発給された日から6か月以内のものに限ります。
なお、本人確認を個人番号カード(マイナンバーカード)の提示によることを希望する場合は、個人番号カード(マイナンバーカード)を提示します。
写真が貼付されている証明書を所持していない場合は、次の書類のうち本人の氏名と住居所を確認できるものを提示します。なお、写真が貼付されていない書類は2種類以上提示し、書類提出の時点で有効なもの、または発行・発給された日から6か月以内のものに限ります。
本人住居所確認書類
- 本人確認を個人番号カード(マイナンバーカード)の提示によることを希望する場合は、個人番号カード(マイナンバーカード)の提示が必須
- 写真付き1つ:個人番号カード(マイナンバーカード)、運転免許証、住民基本台帳カード、旅券(パスポート)、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳、在留カード、特別永住者証明書、官公署から発行・発給された身分証明書又は資格証明書(本人の写真付き)
- 写真なし2つ以上:国民健康保険被保険者証、健康保険被保険者証、住民票記載事項証明書(住民票の写し、住民基本台帳カードのうち本人の写真のないもの、印鑑証明書)、年金証書、児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書、官公署から発行・発給された身分証明書又は資格証明書、民生委員の証明、公共料金の領収書その他の居所の確認のために適切と認められる書類
口座情報を確認できる書類
教育訓練給付金は、支給決定を受けた本人名義の普通預(貯)金口座への口座振込みによって支給します。このため受給確認の際に本人名義の普通預(貯)金口座を届け出なければなりません。本人がハローワークに出頭する場合、申請者本人の通帳、キャッシュカードその他の払渡金融機関の口座情報を確認できる書類の原本を提示します。
ただし、次の場合は不要です。
- 雇用保険の基本手当受給資格者等であって既に払渡希望金融機関指定届を行っている場合
- 専門実践教育訓練給付金の受給資格決定を済ませている場合
- 払渡希望金融機関指定届で公金受取口座への振り込みを希望する場合
個人番号を証明する書類
受給資格確認票に個人番号を記載する場合、個人番号が本人のものであることを証明する書類(発行日6か月以内のもの)が必要です。なお、本人がハローワークに出頭する場合は個人番号等の確認書類は職員に提示するだけでよくコピーを提出する必要はありません。
また、基本手当の受給資格者の場合は雇用保険受給資格者証(本人の写真付き)でよいです。
個人番号を証明する書類
- マイナンバーカード
- 個人番号通知カード
- 個人番号が記載された住民票の写し(住民票記載事項証明書)
- 雇用保険受給資格者証(本人の写真付き)
なお、次回以降、本人住居所確認と個人番号の確認をマイナンバーカード(個人カード)によって行うことを希望する場合はその旨を申し出て、マイナンバーカード(個人カード)を提示します。
3.一般被保険者ではないが働いている人
雇用保険の被保険者でない人
教育訓練支援給付金の受給資格確認における失業状態とは、受講開始日において雇用保険の一般被保険者でない場合を言います。雇用保険の一般被保険者でないが就業状態にある場合は、働いているので本来は失業ではありませんが、一般被保険者でないという意味で失業状態ということができます。したがって、教育訓練支援給付金の受給資格決定は可能です。
しかし、雇用保険への加入の有無にかかわらず就業している場合は失業認定を受けられないので、失業認定において就職状態にある日については不認定になります。
短期雇用特例被保険者または日雇労働被保険者
教育訓練支援給付金は一般被保険者としての就職を目的とするものであることから、教育訓練支援給付金の受給資格を決定した日から受講開始日までに短期雇用特例被保険者または日雇労働被保険者となっていることが明らかになった場合、教育訓練支援給付金の受給資格決定は取り消されます。
4.受給資格の仮決定
やむを得ない理由(例えば離職票の交付遅延)により離職票を提出することができない場合であっても受給資格確認の手続きをすることは可能です。ハローワークでその事情を説明し、受給資格があるものと認められたときは、教育訓練支援給付金の受給資格の仮決定を行います。
この場合、後日離職票の提出をまって正規に受給資格を決定するまでの間は、失業の認定のみを行い、教育訓練支援給付金が支給されません。
5.受給資格確認の結果通知
受給資格認定の場合
受給資格確認票の提出を受けたハローワークで受給資格の確認が行われ、受給資格が認定された場合は「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者証」が作成され、本人に渡されます。専門実践教育訓練受講予定者がその専門実践教育訓練について教育訓練支援給付金の受給資格の決定も受けた場合、両給付金の受給資格者証は同一の用紙により作成されます。
なお、本人住居所確認と個人番号の確認をマイナンバーカード(個人カード)によって行うことを希望するマイナンバーカード利用者の場合は、受給資格者証の代わりに「教育訓練受給資格通知」が作成され、本人に渡されます。
受給資格否認の場合
受給資格が否認された場合は「受給資格否認通知書」によって通知されます。受給資格が否認された場合は教育訓練支援給付金を受けることができません。
受給資格の確認は何度でも行うことができます。受給資格を満たさずに一度否認されたとしても、その後、受給資格を満たした場合は、再度ハローワークに出頭して受給資格の決定を受けることができます。
6.補足説明
社労士過去問
受給資格確認に関する社労士試験の過去問について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。