教育訓練給付金の計算の基礎となる教育訓練経費を証明する領収書を発行した後で、還付された場合は返還金明細書を発行することで還付額を証明します。
1.領収書、クレジット契約証明書の発行
教育訓練支援給付金を除く教育訓練給付金は、申請者本人が教育訓練施設に直接支払った教育訓練経費を基礎として計算します。
教育訓練給付金=教育訓練経費×給付率(20~70%)
この教育訓練経費は教育訓練施設が証明したものに限られ、実際には本人に対して「領収書」を発行することによって証明します。ハローワークに教育訓練給付金の支給を申請する際には領収書を添付します。ただし、クレジット払いの場合はクレジット決済を行えばよく、本人がクレジット会社に対して実際に支払ったことを要しないため、領収書や利用明細の代わりに「クレジット契約証明書」を発行します。
教育訓練施設が発行した領収書またはクレジット契約証明書に不備があり、申請者本人より修正・再交付・付記等の要求があった場合、教育訓練施設は速やかに対応する義務があります。
2.返還金明細書とは
領収書またはクレジット契約証明書の項目のうち、教育訓練経費の金額を修正することは禁止されています。そのため、領収書またはクレジット契約証明書を発行した日までに変更があった場合(誤りがあった場合)は発行済みのものを回収、破棄して発行しなおします。それは、発行日の時点で誤った金額を証明してしまっているため、誤った書類を回収して発行(証明)しなおす義務があるからです。
しかし、発行した後に教育訓練経費の変更があった場合は修正してはいけません(発行日の時点では正しい)。
増額する変更
例えば、教育訓練経費の一部について支払いがあり、その金額について領収書またはクレジット契約証明書を発行した後で、残りの支払いがあった場合、発行済みのものは修正せず、追加で支払いがあった分についての領収書またはクレジット契約証明書を発行します。分割払いの場合は分割した回数分発行します。
教育訓練給付金の支給を申請する際、領収書またはクレジット契約証明書が複数枚ある場合はすべて提出します。
減額する変更
領収書またはクレジット契約証明書を発行した後で、受講料の値引き等により、教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に還付された(される)場合、当該教育訓練施設は本人に対して返還金額とその理由等を明記した「返還金明細書」を発行します。教育訓練給付金の支給を申請する際には領収書またはクレジット契約証明書と同時に、返還金明細書も添付します。
返還金明細書は、教育訓練施設が返還金額を証明する書類(証明書の一種)であり、申請者本人が勝手に作成してはいけません。
教育訓練施設は、発行した返還金明細書に不備があり、申請者本人より修正・再交付・付記等の要求があった場合、速やかに対応する義務があります。ただし、返還金額の修正は禁止されているため、誤りがあった場合は発行済みのものを回収、破棄して発行しなおします。
3.教育訓練経費に該当しない費用
教育訓練経費は、申請者本人自らが教育訓練施設に対して直接支払った入学料と受講料の合計金額であり、それ以外の費用は含まれません。受講料の値引きのほか、奨学金、現金、有価証券等の給付やパソコン等の物品の付与または割引販売その他何らかの利益を得ることにより、教育訓練経費の実質的な還元または割引等が行われた場合はその還元的な給付額や割引額を差し引きます。
領収書またはクレジット契約証明書を発行する日までに、受講者に対して費用の一部を返還した場合は、その額を「返還額」と明記して備考欄に記入するとともに、教育訓練経費の額から控除します。
発行済みの領収書またはクレジット契約証明書に教育訓練経費に該当しない費用が含まれている場合は、返還金明細書を発行することによって差し引きます。
4.返還金明細書がある場合の支給申請書の記入
教育訓練支援給付金を除く教育訓練給付金の支給を申請するには、ハローワークに教育訓練給付金支給申請書を提出します。このとき、支給申請書に記入する教育訓練経費は、教育訓練施設が発行した領収書、クレジット契約証明書に記載された教育訓練経費(複数枚の場合は合計金額)と同一額とします。
上記のとおり、返還金明細書が発行されるのは、領収書またはクレジット契約証明書の発行後、教育訓練経費の一部が本人に還付された(される)場合です。支給申請書に記入する教育訓練経費は、領収書、クレジット契約証明書に記載された教育訓練経費(複数枚の場合は合計金額)から返還金明細書に記載された返還額を差し引いたものとします。
支給申請書の金額=領収書の金額-返還金明細書の金額
5.キャリアコンサルティングの返還金明細書
一般教育訓練給付金の場合、受講開始日前1年以内にキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用を上限2万円まで教育訓練経費に加えることができます。この場合、キャリアコンサルティング実施者の発行するキャリアコンサルティングの費用にかかる領収書またはクレジット契約証明書を提出します。
領収書またはクレジット契約証明書が発行された後で、キャリアコンサルティングの費用の値引き等により、費用の一部がキャリアコンサルティング実施者から本人に対して還付された(される)場合は、キャリアコンサルティング実施者が「返還金明細書」を発行します。
教育訓練給付金支給申請書の12欄(キャリアコンサルティングの費用)は、キャリアコンサルティング実施者の発行する領収書またはクレジット契約証明書に記載された金額から返還金明細書に記載された額を差し引いた額を記入します。
一般教育訓練の入学料と受講料についての返還金明細書は教育訓練施設が発行するので、返還金明細書が2枚になることもあります。
返還金明細書の発行
- 一般教育訓練の入学料と受講料:教育訓練実施者
- キャリアコンサルティングの費用:キャリアコンサルティング実施者
6.専門実践教育訓練給付金の返還金明細書
専門実践教育訓練給付金は支給単位期間ごとに支給申請し、給付金額を計算します。
そのため、原則として支給単位期間ごとに領収書またはクレジット契約証明書を発行します。また、領収書またはクレジット契約証明書の発行後、受講料の値引き等により、教育訓練経費の一部を指定教育訓練実施者が還付した(する)場合は、支給単位期間ごとの返還金額を記載した返還金明細書を発行しなければなりません。
一支給単位期間分(6か月)の教育訓練経費について分割して支払いがあった場合、原則としてその支払いのたびに領収書またはクレジット契約証明書を発行します。その場合、各領収書に、支払いがあった支給単位期間及び領収した額、その領収額の内訳を記載します。返還金明細書を発行する場合も同じです。
複数支給単位期間分の教育訓練経費について一度に支払いがあった場合、1枚の領収書またはクレジット契約証明書に複数支給単位期間分の教育訓練経費について証明しても差し支えありません。その場合、支払いがあった支給単位期間及び領収した額、その領収額の内訳を、各支給単位期間ごとに記載します。返還金明細書を発行する場合も同じです。