特定の学生に奨学金を支給した場合の教育訓練給付金

特定の学生に奨学金を支給した場合の教育訓練給付金 12182

奨学金には、返還義務のない給付型奨学金と原則として返還義務のある貸与型奨学金があります。返済義務の有無にかかわらず、教育訓練施設から入学金や授業料の免除・減額と認められる奨学金の支給を受けた場合、教育訓練給付金の計算の基礎となる教育訓練経費が減額されますので注意が必要です。

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1.教育訓練経費

教育訓練給付金は、教育訓練経費(入学金と授業料)に一定の給付率をかけて計算します。

教育訓練給付金=教育訓練経費(入学金と授業料)×給付率

教育訓練給付金は受講者本人が負担した経費に対して給付を行うものであり、教育訓練経費は受講者本人が自ら負担した金額のみが対象となります。

奨励金、推奨金、合格祝金、スキルアップ費など名称のいかんを問わず、金銭等の還元的な給付又はパソコン等の器材、教材、景品その他の物品等の無償供与若しくは割引販売等により、教育訓練経費の実質的な還元等を行う場合、こうした還元等に係る費用は、教育訓練給付金の支給の基礎となる教育訓練経費に含まれず、こうした還元等に係る費用を含めて教育訓練給付金を申請・受給した場合には不正受給に該当します。

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2.奨学金の種類と教育訓練経費

奨学金の種類にかからわず、奨学金と教育訓練給付金の併用は可能ですが、教育訓練経費の計算は注意が必要です。

教育訓練経費から差し引く奨学金とは

ここでいう「奨学金」は、名称のいかんを問わず、在学者の学業の奨励等を目的とし、受講者本人が負担すべき教育訓練経費(入学金または授業料)の負担を軽減するための制度のことです。

受講する教育訓練とは関係なく、もっぱら受講者の生活を支援する性質の奨学金の場合は、教育訓練経費から差し引く必要はありません。例えば、生活費の支援として月々支給されるものやスポーツ文化活動に対する奨励金の場合、学費とは無関係なので教育訓練給付金の申請に何ら影響はありません(申告の必要もない)。

給付型奨学金

給付型奨学金(支給型奨学金)は、奨学金制度で返済義務のないものをいいます。原則として教育訓練給付金の対象とはなりません。

教育訓練施設の給付型奨学金

教育訓練施設が給付型の奨学金を支給した場合、事実上、入学金または授業料の一部免除(割引)をしているのと同じです。給付型奨学金が給付された場合については、受講者が自らの名で支払った費用とは認められないので、教育訓練経費から差し引く必要があります。特待生制度など特定の学生の学費を減免する場合も同じです。

教育訓練施設以外の給付型奨学金

教育訓練施設以外の会社その他の団体(第三者)が支給した場合は、事実上、その第三者が本人の代わりに入学金または授業料を負担したのと同じです。この場合も、受講者本人が負担していないので教育訓練経費から差し引く必要があります。

単なる借り入れの場合

受講者本人がクレジット払いによって教育訓練経費を支払った場合は、本人が実際にクレジット会社に返済したか否かに関わらず、クレジット決済が成立した時点で教育訓練経費とすることが可能です(減額にはならない)。また、事前にローン契約(教育ローンなど)によって教育訓練経費の融資を受けていた場合、ローン会社、金融機関に返済する前であっても教育訓練経費とすることが可能です。

それは、クレジット明細書や書面による契約によって本人が全額負担することを証明することができるからです。

このように返済義務のある借入金は原則として教育訓練経費として認められます。つまり、教育訓練給付金の対象となります。

貸与型奨学金

学業の奨励等を目的とした、返済義務のある貸与型奨学金(貸付型奨学金)の場合、「教育訓練給付金の支給申請の時点で」実際に受講者本人が支払うことが契約上明らかであれば、教育訓練経費とすることが可能です。

教育訓練施設の貸与型奨学金

教育訓練実施者、教育訓練施設若しくは教育訓練実施者の関係団体が実施している奨学金制度を利用して貸与型奨学金を受けた場合、奨学金の流れが不透明になるおそれがあります。返済が猶予されたら事実上支払っていないのと同じになります。そのため、返済義務があるからといって、教育訓練経費が支払われたものとみなすのは適当ではありません。

教育訓練施設の貸与型奨学金については、当該奨学金が「教育訓練給付金の支給申請の時点で」返済された金額についてのみ教育訓練経費とすることができます。教育訓練給付金の支給申請の後で返済した額については対象外です。ちなみに、教育訓練給付金の時効は2年なので、2年以内に返済した金額については給付金を申請することが可能です(返済終了後に申請する)。

注:このことは、教育訓練施設に配布される「教育訓練給付制度関係手引」に記載されていますが、教育訓練施設用の文書なので、受講者の皆さんは念のためハローワークでご確認ください。

条件付き免除の貸与型奨学金

条件付き免除の貸与型奨学金(貸付型奨学金)とは、教育訓練施設と関連のある施設で一定期間の勤務等で返済が免除される奨学金です。

例えば、病院と関連のある教育機関が教育訓練施設の場合、教育訓練修了後にその病院に就職し、何年か勤務した場合に免除される、またはその病院で勤務した月数分だけ免除することがあります。勤務しなかったり、途中で退職すると返還する義務が発生します。

この場合、返済義務があっても条件を満たすまでの間、その分の学費の支払いを猶予されていますから事実上支払っていないのと同じであり、給付金を請求するのは不適切です。

返還義務が発生した場合、当該奨学金が「教育訓練給付金の支給申請の時点で」返済された金額についてのみ教育訓練経費とすることができます。教育訓練給付金の支給申請の後で返済した額については対象外です。ちなみに、教育訓練給付金の時効は2年なので、2年以内に返還した金額については給付金を申請することが可能です(2年を超えた場合は請求できない)。

注:このことは、教育訓練施設に配布される「教育訓練給付制度関係手引」に記載されていますが、教育訓練施設用の文書なので、受講者の皆さんは念のためハローワークでご確認ください。

教育訓練施設以外の貸与型奨学金

日本学生支援機構やあしなが育英会など、教育訓練施設とは関係のない団体の奨学金制度を利用して貸与型奨学金を受けた場合は、利息の有無や返済条件の有無にかかわらず教育訓練経費から差し引く必要はありません(減額されない)。

ただし、奨学金の制度によっては教育訓練給付と併用できない場合があるので注意が必要です(後述)。

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3.給付型奨学金と専門実践教育訓練給付金

専門実践教育訓練の場合、奨学金制度が適用される支給単位期間に応じて支給される専門実践教育訓練給付金の額が変動することがあります。

計算例

例:専門実践教育訓練で、訓練期間2年、入学金10万円、半年ごとの受講料50万円で、奨学金が給付型の場合
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奨学金が支給されない場合

奨学金が支給されない場合、各支給単位期間(6か月ごと)の教育訓練経費は60万円、50万円、50万円、50万円であり、合計210万円となります。

専門実践教育訓練給付金は6か月ごとに計算します。給付率は通常50%、年間上限40万円なので、それぞれ30万円、10万円、25万円、15万円となります。第2期と第4期は年間上限40万円を超えないように支給されます。給付額の合計は80万円となります。

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1年目に奨学金100万円

入学時に一括で100万円の奨学金を支給して1年目の学費に充当する場合、1年目の教育訓練経費は10万円となり、1年目の専門実践教育訓練給付金は5万円となります。教育訓練経費の合計は110万円、給付額の合計は45万円となります。

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半年ごとに奨学金25万円

半年ごとに25万円ずつ、計100万円の奨学金を支給する場合は、各支給単位期間(6か月ごと)の教育訓練経費は35万円、25万円、25万円、25万円となり、合計は110万円となります。

専門実践教育訓練給付金はそれぞれ17.5万円、12.5万円、12.5万円、12.5万円となります(1年目合計が30万円、2年目合計が25万円で上限を超えない)。給付額の合計は55万円となり、半年ごとの奨学金のほうが給付額が多くなります。

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4.教育訓練給付金の支給申請における注意点

支給申請書

名称のいかんを問わず、奨学金、現金、有価証券等の給付やパソコン等の物品の付与又は割引販売その他何らかの利益を得ることにより、教育訓練経費について実質的な還元又は割引等の適用を受けた場合等には、その還元的な給付額や割引額を教育訓練経費から差し引く必要があります。

このため、このような還元的な給付等を受けた場合には、当該入学料及び受講料の額から当該還元等に係る額を控除した額で教育訓練給付金の支給を申請しなければなりません。控除せずに申請したばあは不正受給となります。

奨学金が支給されている場合(返済義務がない場合等)には、給付されている奨学金の額を備考欄に記載するとともに、返済義務のない奨学金及び返済義務のある奨学金であって、支給申請までに返済していない金額については、教育訓練経費から差し引きます。

教育訓練経費等確認書

支給申請の際に、「教育訓練経費等確認書」を添付します。

教育訓練経費等確認書は、支給申請者本人が、当該教育訓練の入学料及び受講料に係る実際の自己負担及び支払いの猶予・免除の有無及び額、パソコン等の無償提供や報奨金の支給等の有無及び具体的内容等を記載し、提出します。

5.教育訓練施設の義務

修了証明書への記載

事前事後を問わず、受講者に対して、奨学金、現金、有価証券等を給付することや、パソコン等の物品の付与又は割引販売その他何らかの利益を与えることにより、教育訓練経費について実質的な還元等を行った場合、こうした還元等に係る費用は、教育訓練給付金の支給の基礎となる教育訓練経費に含まれません。

奨学金受講者の受講証明書及び教育訓練修了証明書を発行する際には、備考欄に当該奨学金の額を明記するとともに、当該奨学金が給付されている場合(返済義務がない場合等)は教育訓練経費から差し引いて記載する必要があります。

返還金明細書の発行

教育訓練経費に係る領収書又はクレジット契約証明書の発行後、教育訓練経費の実質的な還元等が行われた場合には、教育訓練施設は受講者本人に対し「返還金明細書」を発行し、その金額を証明する義務があります。教育訓練給付金の支給申請に際しては、教育訓練実施者が受講者に発行する、当該還元額が記載された「返還金明細書」の提出が必要です。

また、当該還付等を証明する「返還金明細書」の発行を怠り、当該還元等に係る費用を含めて教育訓練給付金の支給を申請・受給した場合には不正受給に該当します。受講者本人と連帯して不正受給処分の責任を負い、さらに指定の取消し等となることがあります。

不適切な宣伝の禁止

教育訓練給付金は本人が実際に支払った費用の一部を支給するものであって、奨学金等の支給によって「自己負担が生じない」「自己負担が少なくなる」等の宣伝をすることは明らかに制度の趣旨に適合しません。

×「奨励金等を支給しますので、最終的には本人の自己負担は生じません(又は自己負担は少なくなります)」

講座指定申請時の注意点

教育訓練実施者、教育訓練施設若しくは教育訓練実施者の関係団体において、奨学金制度を設け、教育訓練給付金の受給資格者(受講者)が当該奨学金制度を利用することが可能な場合には、講座指定申請若しくは更新申請の際に、当該奨学金制度の内容(返還義務等)についてあらかじめ登録しなければなりません。

6.補足

他の教育訓練給付について

教育訓練給付のうち、専門実践教育訓練制度における教育訓練支援給付金については、教育訓練期間中の生活費の支援であり、奨学金制度の条件として教育訓練給付との併給が禁止されている場合を除いて、奨学金との併用が可能です。奨学金の支給を受けたとしても教育訓練支援給付金が減額されることはありません。

また教育訓練休暇給付金も休暇中の生活費の支援であり、奨学金制度の条件として教育訓練給付との併給が禁止されている場合を除いて、奨学金との併用が可能です。奨学金の支給を受けたとしても教育訓練休暇給付金が減額されることはありません。

日本学生支援機構の奨学金について

独立行政法人日本学生支援機構の給付奨学金は、教育訓練給付金との併用は可能であり減額されることもありません。ただし、教育訓練支援給付金や職業訓練受講給付金については、それを受けている間、給付奨学金の支給を受けることができません。

参考リンク

JASSO: 独立行政法人日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/