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TOEFLスコアと教育訓練給付制度、TOEFL iBTテストとTOEICの違い _ pr
資格・講座

TOEFLスコアと教育訓練給付制度、TOEFL iBTテストとTOEICの違い

TOEFL(トーフル)は英語圏の高等教育機関へ留学し、その後、外国で就職しまたは日本に帰国して英語を使用する職業に就くことを目標とする人のための資格です。TOEFL対策講座も教育訓練給付制度の対象ですが、TOEFL iBTテストの受験を目標とする講座が対象となります。

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1.TOEFL試験の概要

TOEFLの主催者

TOEFL(トーフル)は、Test of English as a Foreign Language(外国語としての英語能力テスト)の略称であり、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの英語圏の大学や大学院へ留学を希望する者の英語運用能力を判定するための検定試験です。留学生を受け入れる際の入学基準として用いられるため、社会科学、自然科学、芸術などの学術的な内容が中心となっており、受験者が希望すれば志望する大学等に成績票(Official Score Reports)が直接送付されます。

TOEFLは英語を母国語としない人を対象とした国際基準の英語運用能力テストであり、世界各国で実施されています。TOEFL試験の主催者は、アメリカの非営利団体であるエデュケイショナル・テスティング・サービス(ETS)です。「TOEFL」はETSの登録商標です。ETSは、TOEFLテスト日本事務局として子会社「ETS Japan合同会社」を設立して、TOEFL試験を実施、運営しています。

民間団体によって実施、運営されていることから、TOEFLは公的資格ではなく「民間」の能力評価試験に分類されています。

参考リンク

TOEFLテスト日本事務局(ETS Japan合同会社)
https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/

BulletinとETSアカウント

ETSは、TOEFL試験の受験者に向けて「TOEFL iBTテスト受験案内日本語版(TOEFL Test Taker GUIDE)」と、世界共通の受験案内である「TOEFL iBT Information Bulletin」を公開しています。TOEFLを受験するにはこれらをすべて読み、内容を確認する必要があります。

また、TOEFL試験はすべてパソコンで行いますから、受験の申し込みをするにはETSアカウントを作成する必要があります。

参考リンク

受験申込(TOEFLテスト日本事務局)
https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/toefl_ibt/register.html

TOEFLスコア

TOEFLには合格・不合格の判定はなく、TOEFLスコア(得点)を認定することで能力を評価する制度を採用しています。スコアは試験日から約6日後にオンラインで確認できます。何回受験しても英語能力に変化がなければ、TOEFLスコアも一定に保たれるように設計されています。

参考リンク

スコア(TOEFLテスト日本事務局)
https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/toefl_ibt/scores.html

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2.一般教育訓練給付金について

一般教育訓練の指定

教育訓練給付金は、厚生労働省の指定基準に従って、「厚生労働大臣が教育訓練給付対象講座として指定した講座」を修了した場合に支給されます(雇用保険法第60条の2)。

厚生労働大臣が指定する教育訓練には、一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の3種類があり、民間機関等の第三者が実施する能力評価試験(検定試験)の準備または対策のための教育訓練は「一般教育訓練」の指定を受けます。

そして、一般教育訓練の指定を受けたTOEFL試験対策講座を受講して、修了すると「一般教育訓練給付金」が支給されます。一般教育訓練給付金の金額は、教育訓練施設に支払った経費の20%です。

職業に役立つ講座に限られる

雇用保険給付の一つである教育訓練給付は、労働者の能力の開発、労働者の生活と雇用の安定を図る目的で給付され、「労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合」に支給されます。そのため、一般教育訓練は職業に関する教育訓練であって、訓練目標が真に職業に役立つものとして明確であるものに限って指定されます。職業との関連が希薄なもの、職業に生かすことが困難なものは指定の対象とはなりません。

そのため、TOEFL試験対策講座についてはそのすべてが対象ではなく、明確に職業につながると考えられるスコア以上を目標とする講座のみが対象となります。

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3.TOEFLの種類と教育訓練給付制度の対象

Junior、Primaryは教育訓練給付制度の対象外

日本国内におけるTOEFL試験は、現在5種類が実施されています。このうちTOEFL iBTテストは教育訓練給付制度の対象です(後述)。

TOEFL試験の種類

  • TOEFL iBTテスト
  • TOEFL Juniorテスト(中高生向け)
  • TOEFL Primaryテスト(小中学生向け)
  • TOEFL Essentialsテスト
  • TOEFL ITPテスト

TOEFL Junior(トーフル・ジュニア)は、英語を母国語としない中高生向けの試験であり、海外の中学・高校の授業や、友達との会話などを題材にした内容となっています。また、TOEFL Primary(トーフル・プライマリー)は、英語を母国語としない小中学生向けの試験であり、小中学生の日常生活、学校生活に沿った内容となっています。TOEFL Junior、TOEFL Primaryはいずれも英語初級学習者が学習するには適した試験です。

しかし、前述のように、教育訓練給付対象講座は訓練目標が真に職業に役立つものとして明確であるものに限って指定されるため、TOEFL Junior、TOEFL Primaryは教育訓練給付制度の対象外です。

Essentialsテストは今のところ対象外

TOEFL Essentials(トーフル・エッセンシャルズ)は、アカデミック英語と一般英語がそれぞれ50%程度で構成され、様々な場面での英語の習熟度を測定する試験です。2021年(令和3年)8月21日から開始されました。試験時間が短く、自宅で受験できることから利便性の高い試験となっています。

TOEFL Essentialsテストは最近開始された試験の形式であり、今のところ教育訓練給付制度の対象とはなっていません。今後、TOEFL Essentialsのスコアを採用する大学等が増え、職業能力を評価するものとして社会一般に認知された場合、教育訓練給付制度の対象となる可能性があります。

ITPテストは教育訓練給付制度の対象外

TOEFL ITP(トーフル・アイテイピイ)は、TOEFL Institutional Test Programの略です。大学や法人などの団体向けの試験であり、団体内で能力別クラス編成や履修登録の条件、留学の選考などのために英語能力を測定するために用いられています。個人で申し込むことはできません。スコアは310~677点の数値で評価されます。現在廃止されている紙を使ったペーパーテスト(TOEFL PBTテスト)に出題された過去問で構成されています。

TOEFL ITPテストは、英語の4技能(読む、聞く、話す、書く)ではなくリーディング、文法、リスニングの3つで測定するマークシート形式の試験です。

TOEFL試験の主催者であるエデュケイショナル・テスティング・サービス(ETS)は、公式サイトにおいて「TOEFL ITPテストスコアは公式のTOEFLテストスコアとして認められませんのでご注意ください」としています。特定の団体内における英語力の測定には役立ちますがスコアは公式のものではなく、また、教育訓練給付制度は、特定の団体所属者のみを対象として実施する能力評価試験を対象としないので(訓練効果の客観的な測定ができないものは対象外)、ITPテストを訓練目標とする講座は対象外となります。

参考リンク

TOEFL ITPテストスコア(TOEFLテスト日本事務局)
https://www.toefl-ibt.jp/toefl-itp/score.html

4.TOEFL iBTテスト(公開テスト)

TOEFL iBT

いっぱんに、単に「TOEFL」と言えば、TOEFL iBTテストのことです。iBTとは、Internet Based Testingの略で、インターネットを経由して実施する試験方式です。

TOEFL iBT(トーフル・アイビイテイ)は、パソコンを用いてReading、Listening、Speaking、Writingの4つの技能の試験を行い、それぞれ0点から30点までのスコアで評価され、合計で0点から120点までのスコアとなります。設問ごとの配点は非公開であり、複雑な計算プログラムによってスコアが算出されています。前述のEssentialsテストやITPテストとは異なる試験です。

  • Readingスコア:0点~30点
  • Listeningスコア:0点~30点
  • Speakingスコア:0点~30点
  • Writingスコア:0点~30点
  • Totalスコア:0点~120点

日本語を母国語とする受験者の平均スコアはReading、Listening、Speaking、Writingそれぞれ18点前後で、トータルスコアの平均は72点程度となっています。

教育訓練給付制度の対象となるTOEFL iBTスコア

留学生がアメリカの大学に出願するときに求められるTOEFL iBTスコアが「79点以上」が多いと言われています。また、青年海外協力隊ではTOEFL iBT79点以上は英検準1級相当で「十分なコミュニケーションが可能」としています。

参考リンク

語学力審査について(JICA海外協力隊)
https://www.jica.go.jp/volunteer/application/long/language/index.html

厚生労働省は「TOEFL受験を目的とする講座は、訓練目標レベルがiBT79点以上の講座」を指定対象としています。トータルスコア79点以上を目標とするTOEFL講座は教育訓練給付制度の対象であり、78点以下の講座は対象外となります。もちろん、90点以上、100点以上のコースも対象となります。

ところで、厚生労働省は「TOEIC」の受験を目的とする講座について、「訓練目標レベルがリスニング、リーディングテストについてはトータル645点以上」としています。

以前、TOEFLの主催者であるエデュケイショナル・テスティング・サービス(ETS)が、TOEICからTOEFLへスコアを換算する式を公表していました(現在は公表していない)。これによると、TOEICスコア645点は、TOEFLの旧PBTテストのスコア520点に相当し、現在のiBTテストのスコア68点に相当する計算となります。TOEFL iBT79点以上はかなりレベルが高いということになります。

5.TOEFL iBT Home Edition

TOEFL iBTには、会場受験の「TOEFL iBTテスト」と自宅受験の「TOEFL iBT Home Edition」があります。

  • TOEFL iBT:全国の試験会場(テストセンター)
  • TOEFL iBT Home Edition:自宅のパソコンで受験する

TOEFL iBT Home Editionは、新型コロナウイルス感染防止の対応策として開発され、2020年(令和2年)4月に開始されました。Home Editionのテスト時間・内容・受験料は、会場受験のTOEFL iBTテストと同じで、スコアリング基準、プロセス、スコアスケールも同じです。そのため、Home Editionのスコアは、会場受験のTOEFL iBTテストと同等の取り扱いとなり、公式スコアとして認められます。

したがって、教育訓練給付制度の対象となる講座の訓練目標はHome Editionのスコアでもかまいません。ただし、志望する大学等がHome Editionのスコアを採用していない場合が有りますのでご注意ください。

参考リンク

自宅受験型TOEFL iBTテスト(TOEFLテスト日本事務局)
https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/at-home/

6.教育訓練給付対象のコースに限られる

厚生労働大臣の指定を受けたものに限られる

前述のとおり、教育訓練給付金は「厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合」に支給されます。具体的には、厚生労働大臣が教育訓練施設に対して「講座指定通知書」を交付することによって指定を受けた講座に限られます。

教育訓練施設が厚生労働大臣に教育訓練給付対象講座の指定を申請しなければ、給付金の対象とはなりません。申請するかどうかは各教育訓練施設の自由です。

そして、受給できるのは「最初に教育訓練給付制度を利用することを申し出て、講座を申し込んだ人」だけです。それ以外の人はすべて給付の対象外です。授業内容が同じであっても対象外です。

禁止されていること

  • 授業期間の途中に教育訓練給付制度の適用を申し込むこと
  • 対象外の講座を受講中に教育訓練給付対象講座にコース変更すること
  • コースの変更、追加、途中退校
  • 修了した後で教育訓練給付制度の適用を申し込むこと

教育訓練を探す方法

一般教育訓練の指定を受けている講座は、厚生労働省の「厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」で検索することができます。

7.TOEICとの違い

TOEICとTOEFLでは実施目的が異なります。

TOEICは就職や転職活動で有利

TOEIC(トーイック)は、国際コミュニケーション英語能力テスト(Test of English for International Communication)の略称であり、ビジネスシーンや日常生活で使用される英語のコミュニケーション能力を990点満点で評価します。ビジネス英会話のスキルの証明となり、就職や転職活動で有利となります。

TOEFLは海外留学で有利

TOEFLは、海外に留学して留学先の大学や大学院で使用される英語のコミュニケーション能力を120点満点で評価します。大学での講義や会話、ディスカッションなど、専門的でアカデミックな内容が多く、留学先の大学や大学院にスコアを提出することを前提としています。海外留学、海外移住で有利となります。

8.補足説明

特定一般教育訓練、専門実践教育訓練について

特定一般教育訓練、専門実践教育訓練は、公的職業資格(法令の規定に基づいて実施する資格または試験等)または修士、博士の学位等の取得などを訓練目標とする講座が対象となります。

TOEFL試験は公的職業資格ではなく、民間機関が実施する検定試験なので、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金の対象外です。


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