全額自己負担で同時に複数の教育訓練を受講することは自由ですが、複数の教育訓練給付金を受給することはできません。教育訓練給付金は3年間に1種類だけです。
1.1つの講座で複数の給付金を併用することは可能か
まず、原則として1つの教育訓練を受講するだけで、複数の教育訓練給付金を併用して受給することはできません。
教育訓練給付金の併用は不可
教育訓練給付金の対象となる講座は、あらかじめ厚生労働大臣に対して教育訓練給付金対象講座の指定を申請し、指定を受けます。このとき、指定基準にしたがって、訓練内容や訓練時間等によって、一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練のいずれかの指定を受けます。1つの講座が複数の指定を受けることはありません。
そのため、1つの教育訓練を受講すると、一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金のいずれかの給付金を申請することになります。1つの教育訓練を受講しただけで複数の給付金を併用して受給することは不可能です。
専門実践教育訓練給付金と教育訓練支援給付金の併用
専門実践教育訓練給付金の受給資格者のうち、45歳未満で失業中の場合、その生活を支援するため、教育訓練支援給付金の支給申請をすることが可能です。教育訓練支援給付金が受給できるのは専門実践教育訓練給付金の受給資格者に限られます。
この場合、1つの専門実践教育訓練を受講して6か月ごとに専門実践教育訓練給付金の支給を受けながら、同時に、2か月ごとに教育訓練支援給付金の支給を受けることになります。
なお、教育訓練支援給付金だけを単独で受給することはできません。専門実践教育訓練給付金の受給資格を失うと、教育訓練支援給付金の受給資格も失います。
2.複数の講座で複数の給付金を併用することは可能か
支給要件期間と給付制限
教育訓練給付金の支給を受けるには、受講開始日までに雇用保険に加入していた実績(支給要件期間)が必要です。
過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合は3年以上の支給要件期間が必要です。また、過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合、その教育訓練の受講開始日より前は支給要件期間の対象とはなりません。
また、過去3年以内に教育訓練給付金を受給したことがある場合(最後の支給決定日から3年経過していない場合)は教育訓練給付金を受給することができません。
この「教育訓練給付金」とは、一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金または専門実践教育訓練給付金のことであり、給付金の種類を問いません。
複数の支給申請は不可
同時に、2つ以上の教育訓練給付金対象講座を受講した場合、そのうちの1つの教育訓練について給付金の支給を申請すると、前述のとおり、その支給決定日から3年を経過しなければ別の教育訓練給付金を申請することができません。
したがって、いずれか1つの教育訓練のみが教育訓練給付金の支給対象となります。同時に複数の教育訓練にかかる支給申請書を提出しようとしても受理されません。必ずいずれか1つを選択しなければなりません。なお、どの教育訓練について支給申請するかは申請者が自由に決めることができます。
そして、1つの教育訓練について給付金を受給した場合、その受講開始日より前の期間は支給要件期間に含めることはできません。
種類が異なる場合も不可
上記のことは給付金の種類を問いません。
同時に一般教育訓練、特定一般教育訓練または専門実践教育訓練を複数受講する場合も、いずれか1つの教育訓練のみが教育訓練給付金の支給対象となります。
このため、一度でも専門実践教育訓練給付金を受給した場合、一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金を受給することはできません。
逆に、専門実践教育訓練給付金の受給資格確認票を提出した後、専門実践教育訓練給付金より先に一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金を受給した場合は、専門実践教育訓練給付金の受給資格決定を受けた場合であっても、専門実践教育訓練給付金を受給することはできません。
3.複数の講座を申し込むのは自由
講座を申し込むのは自由なので、同時に複数の教育訓練給付金対象講座を受講してもかまいません。自己負担で受講料を全額支払えばよいです。ハローワークに給付金の支給申請をすることができないだけです。
4.基本手当、傷病手当との関係
基本手当や傷病手当を受給していることと、教育訓練給付金は無関係です。基本手当や傷病手当を受給しながら、教育訓練給付金も受給することができます。
ただし、教育訓練支援給付金を除きます。