支給限度期間とは、専門実践教育訓練の受講開始日から10年を経過する日までの期間をいいます。ただし、その期間内に別の専門実践教育訓練を開始した場合は、その専門実践教育訓練に関しては支給限度期間を設定しません。
1.専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金の上限
教育訓練給付対象者が厚生労働大臣指定の専門実践教育訓練を、修了の見込みをもって受講している間、専門実践教育訓練給付金を受給することができます。
専門実践教育訓練給付金(50%分)の上限額は年間40万円、3年間で120万円です。また、追加給付の要件を満たした場合は給付率が70%となり、上限額は年間56万円、3年間で168万円となります。
3年間の給付制限
過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合は、最後に受給した日(支給決定日)から3年経過してから新たに教育訓練を開始しないと専門実践教育訓練給付金の支給を受けることができません。
2.支給限度期間
支給限度期間とは何か
専門実践教育訓練は支給金額が高額であり、中長期的なキャリア形成を支援するために給付されるものであり、短期間に繰り返し支給されるのは好ましくありません。そこで、専門実践教育訓練給付金については、10年間に受給できる給付金の額を制限するため、10年間の「支給限度期間」を設定しています。
支給限度期間は、はじめて専門実践教育訓練の受講を開始した日から起算します。
最初の専門実践教育訓練から10年間
支給限度期間は、最初に専門実践教育訓練給付金を受給した専門実践教育訓練の受講開始日から起算します。前述のように最後に給付金を受給してから3年を経過し、支給要件等を満たせば専門実践教育訓練を受講することができますから、受講開始日から10年を経過するまでに別の専門実践教育訓練を受講することは可能です。
最初の受講開始日から10年を経過するまでに別の専門実践教育訓練の受講を開始した場合は、その修了や給付金の支給が10年を経過した後であっても支給限度期間の対象となります。追加給付の要件を満たした場合はその追加給付も含みます。その意味では、「支給限度期間」と言うよりも「支給限度対象講座」と言ったほうが分かりやすいかもしれません。
10年の間に複数回専門実践教育訓練を受講する場合は、最初の専門実践教育訓練の受講開始日を起点として10年を経過するまでの間で開始した専門実践教育訓練の給付金の合計額は168万円を限度とし、上限に達した場合は支給要件を満たしたとしても支給されません(教育訓練を受講することは可能ですが給付額がゼロになります)。
この「合計額」には追加給付を含みます。追加給付があった場合は追加給付の額を含めて上限168万円です。
なお、最初に受講した専門実践教育訓練の受講開始日から10年を経過するまでに別の専門実践教育訓練の受講を開始した場合(支給限度期間内に受講開始した場合)、2つ目以降の専門実践教育訓練に関しては支給限度期間(10年)を設定しません。
3.最初の専門実践教育訓練から10年を経過した場合
最初に受講した専門実践教育訓練の受講開始日から10年を経過した後で、新たに専門実践教育訓練を受講した場合は、その受講開始日を起点として10年を経過するまでの期間を新たな「支給限度期間」(2回目の支給限度期間)を設定します。
この場合も「支給限度期間」内に受講を開始した専門実践教育訓練給付金の合計額の上限が168万円となります。
さらに、その受講開始日から10年を経過した後で、新たに専門実践教育訓練を受講した場合は、その受講開始日を起点として10年を経過するまでの期間を新たな「支給限度期間」(3回目の支給限度期間)とします。この場合も専門実践教育訓練給付金の合計額の上限が168万円となります。
以下、4回目以降も同様となります。
4.長期専門実践教育訓練の場合
4年目の上乗せ
専門実践教育訓練のうち、法令上最短4年の修業年限が規定されている教育訓練(長期専門実践教育訓練)を受講する場合で4年目の上乗せ要件を満たす場合は給付金が4年分となり、4年間の上限は160万円、追加給付がある場合は上限224万円となります。
支給限度期間の初日であること
長期専門実践教育訓練として4年課程の4年目が上乗せされる場合、支給限度期間(10年間)の上限は224万円となります。この224万円には追加給付も含まれます。
ただし、長期専門実践教育訓練とされる条件として「支給限度期間の初日であること」があるので、支給限度期間10年間の中で最初の専門実践教育訓練だけが対象となります。
5.補足説明
専門実践教育訓練のみ
支給限度期間として10年間の給付金の上限があるのは専門実践教育訓練給付金だけです。教育訓練支援給付金は対象外です。
また、一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金は支給限度期間による上限はありません。過去に一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金を受給したことがあっても支給限度期間による上限の対象外です。
支給単位期間、支給要件期間とは違う
支給単位期間は給付金を計算し実際に支給するときの区切りの期間のことであり、専門実践教育訓練の支給単位期間は6か月です(6か月ごとに給付金を支給する)。
また、支給要件期間は教育訓練の受講開始日までに雇用保険に加入している期間のことであり、専門実践教育訓練の支給要件期間は3年以上(初回の場合は2年以上)です。