専門実践教育訓練の多くが3年以内の課程であり、専門実践教育訓練給付金は通常最大3年分が支給されます。しかし、平成31年の法改正により4年課程の場合、4年目の分も支給されることになりました。
1.専門実践教育訓練給付金の改正
専門実践教育訓練給付金の支給額は教育訓練経費の50%、訓練開始後12か月ごと(連続した2支給単位期間ごと)の給付金の上限は40万円です。3年課程の場合は全部で120万円が上限となります。
また、追加給付を含めた支給額は、教育訓練経費の70%、訓練開始後12か月ごとの給付金の上限は40万円です。3年課程の場合は全部で168万円が上限となります。
専門実践教育訓練の訓練期間が3年を超える場合であっても、原則として3年分の支給となります。
しかし、2019年(平成31年)4月1日に雇用保険法施行規則が改正され、栄養士法その他の法令の規定により4年間の訓練を要すると定められている教育訓練の場合、通常3年分に加えて、4年目受講相当分が上乗せされることになりました(例外があります)。
2.4年課程の場合の上限
4年課程とは
4年課程とは、厚生労働大臣が指定した専門実践教育訓練のうち、法令上訓練期間が最短4年の訓練です。これを「長期専門実践教育訓練」といいます。業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする養成施設の課程及び専門職⼤学・専門職学科の課程です。
年間上限40万円
訓練開始後12か月ごと(連続した2支給単位期間ごと)の給付金は、40万円が上限です。3年間の場合は合計で120万円となりますが、4年目受講相当分としてさらに40万円上乗せされて、4年間合計で160万円となります。
年間上限を超えた場合は年間上限を超えないように減額され、次の支給単位期間に繰り越しされません。
追加給付
追加給付を含めた給付金は、12か月ごとに56万円が上限です。3年間の場合は合計で168万円となりますが、4年目受講相当分としてさらに56万円上乗せされて、4年間合計で224万円となります。
年間上限を超えた場合は他の支給単位期間に支給されます。
3.計算例
例として、次の支給対象者の計算方法を紹介します。
4年課程の専門実践教育訓練で、入学料10万円、半年ごとの受講料50万円の場合
通常の場合
教育訓練経費とは、受講者が教育訓練施設に対して支払った入学料と受講料の合計となります。
専門実践教育訓練給付金は受講開始日から6か月ごとに区切って計算します。最初の支給単位期間の教育訓練経費は入学料と受講料で60万円、1年目の後期以降は50万円です。
専門実践教育訓練給付金は教育訓練経費の50%なので、最初の支給単位期間は30万円、1年目の後期以降は25万円となります。しかし、訓練開始後12か月ごとの上限は40万円なので、それぞれの後期については上限を超えないように支給されます。4年間の総支給金額は160万円となります。
追加給付の要件を満たす場合
資格取得等し、追加給付の要件を満たした場合は教育訓練経費の70%として各期間の計算をしなおします。追加給付は教育訓練経費の70%なので、最初の支給単位期間は42万円、1年目の後期以降は35万円となります。総額が287万円となりますが、4年間の上限224万円を超えているので、支給額は224万円となります。
すでに、通常の給付金として合計160万円が支給されていますので、224万円との差額である64万円が一括で支給されます。
224万円-160万円=64万円
4.上乗せ対象外に注意
次の場合は4年目の上乗せの対象外となります。この場合、専門実践教育訓練給付金が支給されるのは最大3年分です。
長期専門実践教育訓練で4年目が上乗せにならない場合
- 過去10年以内に専門実践教育訓練を受講したことがある
- 高収入の在職者
- 法令改正前に受講を開始した場合
過去10年以内に専門実践教育訓練を受講したことがある
長期専門実践教育訓練が4年目の上乗せの対象となるのは、支給限度期間(10年)のなかで最初の専門実践教育訓練である場合に限られます。つまり、受講開始日前10年以内に、別の専門実践教育訓練を受講したことがある場合は、4年目の上乗せの対象外となります。
高収入の在職者
長期専門実践教育訓練の3年目の受講が終了した際に、3年目の後期の賃金に基づき算出する賃金の日額が、基本手当の賃金日額の50%屈折点(3年目の後期の支給単位期間の末日において60~64歳の者については45%屈折点)における額以上の場合は、4年目の上乗せの対象外となります。
法令改正前に受講を開始した場合
2019年(平成31年)3月31日までに長期専門実践教育訓練の受講を開始した場合は、改正前の規定が適用されるので、4年目の上乗せはありません。専門実践教育訓練給付金が支給されるのは最大3年分となります。