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【社労士過去問】支給要件期間の要件と初回の場合の支給要件期間(平成29年問5-C、平成21年問6-A) _ pr
社労士試験対策

【社労士過去問】支給要件期間の要件と初回の場合の支給要件期間(平成29年問5-C、平成21年問6-A)

社会保険労務士試験・雇用保険法の過去問の解説です。テーマは「支給要件期間の要件と初回の場合の支給要件期間」です。この分野からは過去に平成29年択一問5選択肢C、平成21年択一問6選択肢Aで出題されています。

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1.社労士過去問分析

当サイト内の解説記事

重要論点チェックテスト

支給要件期間の要件と初回の場合の支給要件期間」については、次の論点を押さえておくとよいでしょう。それぞれの質問をクリック(タップ)すると回答を見ることができます。

Q
教育訓練給付対象者が受給するのに必要な支給要件期間は何年以上ですか?
A

教育訓練給付対象者が支給要件期間3年以上を満たしたときに教育訓練給付金が支給されます。初回の場合は異なりますが、それは「当分の間」の暫定措置です。暫定措置ですが、その期限は定められていません。

Q
初回の場合、一般教育訓練給付金を受給するのに必要な支給要件期間は何年以上ですか?
A

教育訓練給付対象者であって、受講開始日より前に教育訓練給付金の支給を受けたことがない場合、一般教育訓練と特定一般教育訓練の場合は当分の間、支給要件期間1年以上でよいとされています。

Q
初回の場合、専門実践教育訓練給付金を受給するのに必要な支給要件期間は何年以上ですか?
A

教育訓練給付対象者であって、受講開始日より前に教育訓練給付金の支給を受けたことがない場合、専門実践教育訓練の場合は当分の間、支給要件期間2年以上でよいとされています。

Q
過去に専門実践教育訓練給付金を受給したことがある場合、支給要件期間が1年以上であれば一般教育訓練給付金を受給できますか?
A

いいえ。過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合、一般教育訓練給付金を受給するのに必要な支給要件期間は3年以上です。過去に受給した給付金の種類を問いません。

支給要件期間の計算の過去問

支給要件期間の計算についてはこちらの記事をご覧ください。

社労士試験について

社会保険労務士試験について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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2.平成29年択一問5選択肢C

平成29年(2017年実施、第49回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問5の選択肢Cです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Cのみ抜粋)  〔問 5〕高年齢被保険者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。   雇用保険法第60条の2に規定する支給要件期間が2年である高年齢被保険者は、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合、他の要件を満たしても教育訓練給付金を受給することができない。

正解

選択肢Cの記述は誤りです。

解説

高年齢被保険者

高年齢被保険者とは、65歳以上で雇用保険の対象となる事業に雇用されている労働者(雇用保険の被保険者)のことです。教育訓練の受講を開始する日において高年齢被保険者である在職者は、教育訓練給付金の給付対象者です。

支給要件期間3年以上

教育訓練給付対象者が、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合、原則として支給要件期間が3年以上であるときに教育訓練給付金の支給を受けることができます。

支給要件期間とは、教育訓練給付対象者が受講開始日までの間に同一の事業主の適用事業に引き続いて被保険者(日雇を除く)として雇用された期間です。高年齢被保険者であった期間も支給要件期間に加算することができます。

参考法令
雇用保険法 第60条の2第1項  教育訓練給付金は、次の各号のいずれかに該当する者(以下「教育訓練給付対象者」という。)が、厚生労働省令で定めるところにより、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(当該教育訓練を受けている場合であつて厚生労働省令で定める場合を含み、当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により厚生労働省令で定める証明がされた場合に限る。)において、支給要件期間が三年以上であるときに、支給する。 一 当該教育訓練を開始した日(以下この条において「基準日」という。)に一般被保険者(被保険者のうち、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の者をいう。次号において同じ。)又は高年齢被保険者である者 二 前号に掲げる者以外の者であつて、基準日が当該基準日の直前の一般被保険者又は高年齢被保険者でなくなつた日から厚生労働省令で定める期間内にあるもの

初回に限り1年以上または2年以上

原則として支給要件期間は3年以上ですが、雇用保険法附則(暫定措置)の規定により、初めて教育訓練給付金の支給を受ける場合(=当該教育訓練の受講を開始する日より前に教育訓練給付金を受給したことがない場合)は条件が緩和されています。

一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金の場合は初回に限り支給要件期間1年以上でよいです。また、専門実践教育訓練給付金の場合は、2014年(平成26年)10月1日以降に教育訓練給付金の支給を受けたことがなければ支給要件期間2年以上でよいです。

このことは、雇用保険法附則第11条、雇用保険法施行規則附則第24条に規定されています。

参考法令
雇用保険法 附則第11条  教育訓練給付対象者であつて、第六十条の二第一項第一号に規定する基準日前に教育訓練給付金の支給を受けたことがないものに対する同項の規定の適用については、当分の間、同項中「三年」とあるのは、「一年」とする。
雇用保険法施行規則 附則第24条  法附則第十一条の適用を受ける者(雇用保険法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第十三号)附則第四条第二項の規定により法附則第十一条に規定する者とみなされた者を含む。)については、第百一条の二の七第一号及び第一号の二並びに第百一条の二の十一の二第二項中「三年」とあるのは「一年」とし、第百一条の二の七第二号及び第三号中「三年」とあるのは「二年」とする。

選択肢Cの記述について

選択肢Cの記述について、支給要件期間が2年である高年齢被保険者が、教育訓練給付金の支給を受けたことが無い場合には支給要件期間の要件を満たしているため、教育訓練給付金を受給することが可能です。したがって、「他の要件を満たしても教育訓練給付金を受給することができない」とする記述は誤りです。

ちなみに、選択肢Cの「他の要件」に、支給要件期間に関する条件が含まれるかどうかは明確ではありませんが、いずれにしても、問題文で与えられた支給要件期間で受給できる可能性があるにもかかわらず「受給することができない」などと断定するのは明らかに誤りです。

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3.平成21年択一問6選択肢A

平成21年(2009年実施、第41回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問6の選択肢Aです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Aのみ抜粋)  〔問 6〕教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 なお、この問において「教育訓練」とは雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練とし、「教育訓練の受講のために支払った費用」とは雇用保険法第60条の2第4項に規定する厚生労働省令で定める範囲内のものとする。   教育訓練給付対象者が初めて教育訓練給付金の支給を受ける場合については、当分の間、支給要件期間が1年以上あれば、受給が可能とされている。

注:出題当時(平成21年)は専門実践教育訓練、特定一般教育訓練の制度はなかったので、この問題は現在の一般教育訓練給付金に関する記述として解答してください。

正解

選択肢Aの記述は正しいです。

解説

教育訓練給付対象者が教育訓練給付金の支給を受けるには、原則として支給要件期間が3年以上必要です。

ただし、上記の雇用保険法附則第11条のとおり、一般教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金の場合、受講しようとしている教育訓練の受講開始日より前に教育訓練給付金の支給を受けたことが無い場合は、当分の間、支給要件期間が1年以上であれば支給されます。

選択肢Aの記述は、一般教育訓練給付金の記述としては正しいです。

4.補足説明

給付金の種類を問わない

雇用保険法附則第11条の「教育訓練給付金の支給を受けたことがない」の教育訓練給付金は、一般、特定一般、専門実践教育訓練給付金のいずれもまったく支給を受けたことが無いという意味です。例えば、今回、一般教育訓練給付金の支給を受けようとしている場合、過去に「一般教育訓練給付金の支給を受けたことがない」という意味ではありません。

一般、特定一般、専門実践の教育訓練給付金をいずれも受給したことが無いという意味です。どれか一つでも受給したことがあれば支給要件期間3年以上となります。