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教育訓練給付金対象講座は基本手当の求職活動実績の代わりとして認められる _ pr
法令解説・雑記

教育訓練給付金対象講座は基本手当の求職活動実績の代わりとして認められる

公共職業訓練や求職者支援訓練だけでなく、教育訓練給付の対象訓練や短期訓練受講費対象訓練を受講している場合も、基本手当の求職活動実績が不要となります。「受給資格者のしおり」に記載されていないので知らない人が多いようです。

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1.基本手当の求職活動実績とは

求職者給付と教育訓練給付は基本的に無関係なので、教育訓練給付金を受給しながら基本手当を受給することは可能です。

ただし、基本手当の支給を受けるには原則として28日ごとにハローワークに出頭して失業の認定を受ける必要があります。

この場合の失業とは、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいいます。労働の意思及び能力があると確認されるためには、単にハローワークに出頭して求職の申込みをしているだけではなく、真に就職への意欲をもち、かつ、精神的、肉体的、環境的に労働の能力を有していることが必要です。

そのため、受講者本人が就職への意欲をもって求職活動をしている場合に失業が認定されるので、28日間の認定対象期間の間に求職活動を行った実績(求職活動実績)を申告しなければなりません。
このことは、教育訓練給付金を受給しながら基本手当を受給する場合も同じです。

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2.教育訓練受講中であれば求職活動実績は不要です

失業の認定の対象となる求職活動実績の基準

基本手当の支給を受けるためには、前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間(認定対象期間)に、求職活動実績として認められる活動を原則2回以上行うことが必要です(1回以上や3回以上の場合もある)。

ハローワークでは、この求職活動実績の申告によって労働の意思及び能力があることを確認します。求職活動実績の例は、受給資格者に配布される資料「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」に記載されています。

このなかには教育訓練の受講についての記述がありません。

教育訓練給付金対象講座は基本手当の求職活動実績の代わりとして認められる _ 3519-1

求職活動実績が不要となる場合に該当する

「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」には記載されていませんが、「雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)51254ロ(ハ)」には、求職活動実績の基準を適用しない場合について定められています。

求職活動実績の基準を適用しない場合

  • 公共職業訓練等、求職者支援訓練、各種養成施設、教育訓練給付対象訓練、短期訓練受講費対象訓練、委託訓練・講習等を受講している場合
  • 上記訓練等を受け終わった後の認定対象期間が14日未満の場合
  • 求人への応募の採否結果を得るまでに認定対象期間の全期間を超える場合
  • 求人への応募の採否結果通知を受けた後の認定対象期間が14日未満の場合
  • 最終の認定対象期間が7日未満の場合
  • 職業に就くため認定日を変更した場合
  • 失業認定の特殊な場合(激甚災害、処分取り消し、本人死亡など)

教育訓練給付の対象訓練等を受講している場合は、求職活動実績の基準を適用せず、他に不認定となる事由がある場合を除き、労働の意思及び能力があるものとして取り扱うと定められています。つまり、教育訓練給付の対象訓練等を受講している期間中は、求職活動実績は不要であり、ハローワークに対して「教育訓練給付の対象訓練等を受講している」ことを申告するだけで良いです。

公共職業訓練や求職者支援訓練、委託訓練はもちろんのこと、教育訓練給付の対象訓練であっても求職活動実績は不要なのです。また、短期訓練受講費対象訓練の受講も求職活動実績が不要となります。訓練を修了したかどうかは無関係です。また、修了した後で教育訓練給付金の支給申請を行うかどうかも無関係です。

ただし、訓練を受け終わった日を含む認定対象期間で、認定対象期間から当該訓練等を受け終わる日を除いた期間が14日以上の場合は、当該訓練等を受け終わったことを1回の求職活動実績として、求職活動実績の基準を適用します。

参考法令
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)51254ロ(ハ)a(a)  (ハ) 求職活動実績の基準を適用しない場合 a 次の場合は、(イ)の基準を適用せず、他に不認定となる事由がある場合を除き、労働の意思及び能力があるものとして取り扱う。 (a) 安定所長の指示・推薦により公共職業訓練等を受講する場合、就職支援計画に基づき求職者支援訓練を受講する場合、安定所の指導により各種養成施設に入校する場合、公共職業訓練等や教育訓練給付の対象訓練等を受講している場合、安定所の職業指導により短期訓練受講費の対象訓練を受講している場合及び則第115条第4号に基づく出向・移籍支援業務として実施される委託訓練・講習等を受講する場合であって、下記ニに照らし、労働の意思及び能力があると認められる場合。 ただし、当該訓練等を受け終わる日(中途で取りやめる日を含む。)が含まれる認定対象期間を除く。 なお、当該訓練等を受け終わったことを1回の求職活動実績とし、一の認定対象期間から当該訓練等を受け終わる日を除いた期間が14日未満の場合は、当該1回の求職活動実績で上記(イ)の基準を満たしたものとする。 また、ここでいう「安定所長の指示・推薦により公共職業訓練等を受講している場合」には、受講のために待期している期間(52353(3)参照)及び変更指示により前後の訓練等の間に生じる訓練等を受けない日(52354(4)参照)を含む。

さらに、「雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)51254ニ(ニ)」には、厚生労働大臣が指定した教育訓練の受講は「原則として労働の意思及び能力があるものと取り扱うことができる。」と定められています。

これは、厚生労働大臣指定教育訓練の受講によって労働の意思及び能力があることの証明となり、求職活動実績の代わりとして認められることを表しています。

参考法令
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)51254ニ(ニ)  (ニ) 雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定した教育訓練の受講は、就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を受講するものであるので、原則として労働の意思及び能力があるものと取り扱うことができる。

教育訓練を修了しなくてもよい

あくまで「受講中であること」が、求職活動実績の代わりとなります(申告自体が免除される)。

教育訓練を完了することが条件ではありません。教育訓練を修了していない間(=受講中)は求職活動をすることができないのは当たり前なので、求職活動実績の申告が免除となるのです。就業のための訓練に自らすすんで出席しているのですから、「労働の意思及び能力」があるのは明らかです。

また、この取り扱いは、中途で取りやめる場合も含まれます。つまり、修了を証明する必要もないのです。

受講中であることを申告すれば良く、教育訓練を修了している必要はありません。

残りが14日未満の場合

教育訓練を受け終わった場合は、次回の失業認定において、それを「1回」の求職活動実績とすることができます。

ただし、教育訓練を受け終わった後の認定対象期間の残り日数が14日未満の場合は、当該1回の求職活動実績をもって基準を満たしたものとされます。つまり、訓練修了後の残り日数が14日未満であることを申告すれば、「求職活動実績の申告が免除」となります。

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3.しおりに載っていないことに注意!!!

求職活動実績の基準を適用しない場合については「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」やパンフレットには記載されていないため、ハローワークでは「必ず求職活動実績の申告をしなければならない」かのような説明を受けます。この説明は誤りです。

ハローワークの職員が「求職活動実績の基準を適用しない場合」の規定を知らない可能性があります。ハローワークの職員から誤った説明を受けた事例があるようです。ご注意ください!!!

次のような説明はすべて誤りです。

  • 「教育訓練の受講は求職活動実績ではない」
  • 「受講中の場合は求職活動実績1回にカウントされる」
  • 「教育訓練を完了しなければ、求職活動実績としてカウントされない」
  • 「教育訓練の受講を完了すれば、求職活動実績1回にカウントされる」
    (補足)完了した場合は1回としてカウントしますが、受講中の場合は求職活動実績の申告自体が「免除」となります。

ハローワークの職員から「求職活動実績の基準を適用しない場合」の規定に反する説明を受けた場合は、上記の雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)の規定があることを主張して、再度審査を求めてください(不服申し立てをすることも検討しましょう)。

4.求職活動をする意思があることを申告する

もちろん教育訓練給付の対象訓練を受講するだけで自動的に失業認定されるわけではなく、本人がハローワークに出頭し、常にハローワークの職業紹介に応じられる状態であり、また自らも積極的に求職活動をする意思があることを申告しなければなりません。

特に、昼間の通学制の場合等の対象教育訓練を受講する受講者が、離職者として、ハローワークに対して基本手当の受給資格の決定のための手続を行う場合、教育訓練施設への通学が、就職活動の一環として職業能力開発を目的とした対象教育訓練を受けることを目的としたものであり、学業の達成や単なる教養・趣味を目的としたものではないことを証明することが必要となります。

5.受講証明書の提出をおすすめします

基本手当の受給資格者が教育訓練給付金対象講座を受講中であることを証明するための「教育訓練受講証明書」という様式があります。わざわざ、このような様式を用意しているということは、教育訓練の受講が求職活動実績の代わりとして取り扱われることは明らかと言えます。

教育訓練受講証明書について

昼間の通学制の場合等の対象教育訓練を受講する受講者(基本手当の受給資格者)は、教育訓練施設に対して「教育訓練受講証明書」の発行を請求することができます。教育訓練施設は、請求があったときは教育訓練受講証明書を発行しなければなりません。

この「教育訓練受講証明書」は、修了証明書や教育訓練給付(第101条の2の7第2号関係)受講証明書とは異なる様式です。この様式は教育訓練施設用の教育訓練給付制度関係手引の別紙として載っていて、教育訓練施設で適宜コピーして使用することになっています。

教育訓練給付金対象講座は基本手当の求職活動実績の代わりとして認められる _ 3519-2

ハローワークから教育訓練受講証明書の提出を求められた場合は、教育訓練施設に対して発行を請求し、提出しなければなりません。

なお、教育訓練受講証明書を提出するだけで自動的に失業認定されるわけではなく、失業認定申告書の提出は当然必要であり、常に職業紹介に応じられる状態であり、積極的に求職活動をする意思があることを申告しなければなりません。

一般教育訓練の場合

一般教育訓練の場合、事前の受給資格確認の手続きが無いため「受講中であること」を証明する物がありません。

求職活動実績の申告は原則として自己申告なので、失業認定申告書に教育訓練受講証明書を添付する義務はありませんが、失業認定を円滑に行うため(ハローワークの職員との面倒なやり取りを減らすため)に、ハローワークに教育訓練受講証明書を提出しておいたほうが良いと思われます。

参考法令
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)58042  58042(2)基本手当受給中に対象一般教育訓練を受講する者に係る取扱い  対象一般教育訓練の受講は、就職の促進を図るために必要な職業に関する一般教育訓練を受講するものであるので、原則として労働の意思及び能力があるものとして取り扱うことができるが、昼間通学制の場合等の対象一般教育訓練を受講する離職者に対する基本手当の受給資格決定及び失業の認定に当たっては、本人が常に安定所の職業紹介に応じられる状態であり、また自らも積極的に求職活動をする意思があることを確認することが必要である。 本人が、就職の促進を図るために必要な職業に関する一般教育訓練を受講し、労働の意思及び能力があることの確認に当たっては、必要に応じて、本人より、教育訓練施設の発行する「一般教育訓練受講証明書」の提出を求め、これを判断材料として活用することができる。なお、「一般教育訓練受講証明書」は、基本手当の受給資格決定又は失業の認定を円滑に行うために必要に応じて徴するものであって、昼間通学制の場合等の対象一般教育訓練を受講する離職者から必ず徴すべきというものではなく、また逆に、その提出があったことをもって必ず基本手当の受給資格決定又は失業の認定をしなければならないものでもない。

特定一般教育訓練の場合

特定一般教育訓練を受講中の場合はすでに訓練前キャリアコンサルティングを受け、さらに受講開始前に受給資格確認決定の手続きを行っていることから、教育訓練施設への通学が、就職活動の一環として職業能力開発を目的とした対象教育訓練を受けることを目的としたものであることがハローワークによって確認されています。

そのため、受給資格確認通知書を提示することで証明することは可能です。なお、ハローワークから教育訓練受講証明書の提出を求められた場合は教育訓練受講証明書を提出します。

参考法令
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)58152  58152(2)基本手当受給中に対象特定一般教育訓練を受講する者に係る取扱い  対象特定一般教育訓練の受講は、就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を受講するものであるので、原則として労働の意思及び能力があるものとして取り扱うことができるが、昼間通学制の場合等の対象特定一般教育訓練を受講する離職者に対する基本手当の受給資格決定及び失業の認定に当たっては、本人が常に安定所の職業紹介に応じられる状態であり、また自らも積極的に求職活動をする意思があることを確認することが必要である。 本人が、就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を受講し、労働の意思及び能力があることの確認に当たっては、必要に応じて、本人より、教育訓練施設の発行する「教育訓練受講証明書」の提出を求め、これを判断材料として活用することができる。なお、「教育訓練受講証明書」は、基本手当の受給資格決定又は失業の認定を円滑に行うために必要に応じて徴するものであって、昼間通学制の場合等の対象特定一般教育訓練を受講する離職者から必ず徴すべきというものではなく、また逆に、その提出があったことをもって必ず基本手当の受給資格決定又は失業の認定をしなければならないものでもない。

専門実践教育訓練の場合

専門実践教育訓練を受講中の場合も、受講開始前に受給資格確認決定の手続きを行っています。

そのため、教育訓練給付金受給資格者証または教育訓練給付(第101条の2の7第2号関係)受講証明書を提示することで、原則として労働の意思及び能力があるものと推定されます。なお、ハローワークから教育訓練受講証明書の提出を求められた場合は教育訓練受講証明書を提出します。

参考法令
雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)58262イ  58262 (2) 基本手当受給中に専門実践教育訓練を受講する者に係る取扱い  イ 専門実践教育訓練の受講は、就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を受講するものであるので、原則として労働の意思及び能力があるものとして取り扱うことができるが、昼間通学制の場合等の専門実践教育訓練を受講する離職者に対する基本手当の受給資格決定及び失業の認定に当たっては、(本人が常に安定所の職業紹介に応じられる状態であり、)積極的に求職活動をする意思があることを確認することが必要である。 本人が、就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を受講し、労働の意思及び能力があることの確認に当たっては、必要に応じて、本人より、教育訓練施設の発行する58042(2)の「教育訓練受講証明書」の提出を求め、これを判断材料として活用することができる。なお、「教育訓練受講証明書」は、基本手当の受給資格決定又は失業の認定を円滑に行うために必要に応じて徴するものであって、昼間通学制の場合等の専門実践教育を受講する離職者から必ず徴すべきというものではなく、また逆に、その提出があったことをもって必ず基本手当の受給資格決定又は失業の認定をしなければならないものでもない。

6.補足

訓練の受講相談も求職活動実績になる

公共職業訓練や求職者支援訓練を応募する前の相談または応募でも求職活動実績1回にカウントされます。教育訓練給付金対象講座を受講していることを職業相談窓口に申告することも求職活動実績1回にカウントされるようです。

しかし、教育訓練給付金対象講座を受講する前の相談もカウントされるかどうかは明確な規定がないためハローワークでの確認が必要となります。

失業認定日の変更

昼間の通学制の場合等において、失業認定日と受講日が重なった場合であっても、受講日の変更が困難である場合以外は失業認定日の変更は認められないので注意が必要です。

教育訓練支援給付金の場合

教育訓練支援給付金の失業認定においても求職活動実績は不要です。原則として専門実践教育訓練を修了の見込みをもって適切に受講することで労働の意思及び能力があるものと推定されます。