雇用保険では誕生日の「前日」に年齢が増える取り扱いをします。満65歳に達するのは65回目の誕生日の「前日」です。また、4月1日入社の人は、翌年3月31日に出勤した時点で満1年勤務したことになります。
1.年齢計算の原則
明治35年に制定された「年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)」によると、年齢は出生の日を起算日として、民法143条の規定によって計算すると定めています。
民法は原則として起算日に応当する日の前日が満了することをもってちょうど1年とします(民法第143条第2項)。つまり、生まれた日から誕生日の前日までをちょうど1年とし、誕生日の前日の24時に年齢が1つ増えるということです。
一般的には、誕生日の当日に誕生日のお祝いをしますが、実際には誕生日の前日の24時に年齢が増えています。
2.2月29日生まれの場合
うるう年の2月29日生まれの人は、4年ごとのうるう年であれば誕生日である2月29日(応当日)があるので、その前日である2月28日の24時に年齢が増えます。
うるう年以外は2月29日(応当日)がありませんが、民法第143条第2項但書によると、応当日が無ければその月の末日に満了することになっています。つまり、2月が28日しかなければ2月28日の24時をもって年齢が増えるということになります。
したがって、うるう年かどうかにかかわらず2月28日24時をもって年齢が増えるということになります。
3.雇用保険の場合の年齢計算
雇用保険をはじめ、社会保険・労働保険関係の年齢は誕生日の前日で満年齢を迎える取り扱いをすることになっています。24時になっていなくても前日に満年齢を迎えたものとして扱います。2月29日生まれの場合は2月28日に満年齢を迎えたものとして扱います。
65歳以上
例えば、1960年10月20日生まれの人は65年後の誕生日である2025年10月20日ではなく、その前日の10月19日で満65歳となります。さらにその前日である10月18日までが64歳です。
65歳以上の被保険者は高年齢被保険者となりますが(雇用保険法第37条の2第1項)、65歳以上とは、法律上満65歳になった日以降のことです。
したがって、65回目の誕生日の前々日までが一般被保険者で、65回目の誕生日の前日から高年齢被保険者となります。
45歳未満
例えば、1980年10月20日生まれの人は45年後の誕生日である2025年10月20日ではなく、その前日の10月19日で満45歳となります。さらにその前日である10月18日までが44歳です。
教育訓練支援給付金は、教育訓練給付対象者が専門実践教育訓練の受講を開始した日における年齢が45歳未満である場合に限り支給されますが(雇用保険法附則第11条の2第1項)、45歳未満とは、法律上満45歳に達する前の日までのことです。
したがって、45回目の誕生日の前々日までに受講を開始すれば教育訓練支援給付金の支給対象となります。45回目の誕生日の前日以降は支給対象外です。
4.雇用保険の場合の期間計算
起算日から1年間とは、起算日の1年後の前日までのことです。2月29日が起算日である場合は翌年2月28日までとなります。
離職から1年以内
教育訓練給付対象者は、一般被保険者または高年齢被保険者の在職者と、「一般被保険者または高年齢被保険者でなくなった日から1年以内」の離職者です。一般的に、退職日まで被保険者資格があり、退職の翌日に被保険者資格を喪失します。
例えば、3月31日に退職した場合は4月1日が「一般被保険者または高年齢被保険者でなくなった日」です。そして、翌年3月31日までが「一般被保険者または高年齢被保険者でなくなった日から1年以内」です。
退職後までの1年後までに教育訓練を開始すれば支給対象となります。
1年以上雇用されるに至った日
「1年以上雇用されるに至った日」とは、雇用開始日から起算して1年間雇用された日のことであり、入社日の1年後の前日のことです。
4月1日に入社した場合、翌年3月31日まで働けばちょうど1年となります。3月31日に退職してもちょうど1年間(4月1日~翌年3月31日)働いたことになります。退職日に年次有給休暇などを取得してその日に出勤していなくても会社に在籍していて被保険者としての資格があれば1年間働いたことになります。
短期雇用特例被保険者が1年間働いたら短期雇用特例被保険者ではなくなりますが、その1年間とは入社した日の1年後の前日のことです。4月1日に入社した場合、翌年3月30日までが短期雇用特例被保険者であり、3月31日に出勤した時点で一般被保険者に切り替わります。