教育訓練支援給付金の支給を受けるには2か月ごとの失業認定日にハローワークに出頭しますが、「やむを得ない理由」により出頭できない場合は、その事由が終わってから出頭すればよいです。
1.失業認定日
教育訓練支援給付金の支給を受けるには、原則として2か月に1回、本人の住居所管轄のハローワークに行って失業認定を受けます。ハローワークに出頭する日(失業認定日)は毎回、教育訓練支援給付金の支給単位期間の末日の翌日から起算して1か月を超えない範囲でハローワークが指定します。指定された日に出頭しなければなりません。
失業の認定は、ハローワークが本人に会って労働の意思と能力があることを確認する手続きなので、本人が所定の認定日にハローワークに出頭して認定を受けるのが原則です。
ただし、病気や介護、冠婚葬祭などやむを得ない理由(後述)のため、所定の認定日にハローワークに出頭できない場合には、受給資格者の申出により変更することができます。
2.失業認定日に出頭しなかった場合のペナルティ
失業と認められるためには「労働の意思または能力」が必要ですが、失業認定日にハローワークに出頭しなかった場合は、一応「労働の意思または能力」がないものと推定されます。
不出頭の分は不支給
支給単位期間が8月1日から9月30日までの2か月間で、教育訓練支援給付金の失業認定日である10月15日に出頭しなかった場合
指定された失業認定日に出頭しなかった場合、その認定日に失業を認定する予定だった支給単位期間(2か月)の全部が支給されません。失業認定日に出頭しないことは、給付金を支給申請しないのと同じだからです。
8月1日~9月30日の2か月間について、失業認定日である10月15日に出頭しなかった場合、8月1日~9月30日の全部について教育訓練支援給付金は支給されません。出席率が8割以上であっても支給されません。後日、出頭したとしても支給されることはありません。
出席率が8割以上あれば受給資格を失わない
失業認定日である10月15日に出頭せず、次の失業認定日である12月15日に出頭して、8月1日から9月30日までの支給単位期間と、10月1日から11月30日までの支給単位期間の2つの期間について受講証明書を提出して、出席率がそれぞれ8割以上であることを証明した場合
教育訓練を適切に受講し、出席率が8割以上であることが証明されれば、その期間については労働の意思または能力があるものと推定されます。
前述のとおり8月1日~9月30日は不出頭だったので支給されません(失業不認定)が、この期間について出席率8割以上であることから労働の意思または能力があるものと推定されるので、次の10月1日~11月30日については教育訓練支援給付金が支給されます。
この場合、10月1日~11月30日だけでなく、8月1日~9月30日も出席率が8割以上である必要があります。出席率が8割未満だとその時点で受給資格を失うので(後述)、12月15日に出頭したときに8月1日~9月30日と10月1日~11月30日についての受講証明書を提出して出席率が8割以上であることを証明しなければなりません。その後の支給単位期間についても認定日に出頭すれば支給されます。
出席率が8割未満なら支給停止
失業認定日である10月15日に出頭せず、次の失業認定日である12月15日に出頭したが、8月1日から9月30日までの支給単位期間の出席率が8割未満であった場合
出席率8割未満であることから労働の意思または能力がないものと推定されます。不出頭であった支給単位期間について出席率が8割未満であった場合(または受講証明書を提出しなかった場合)、適切な受講がなされていないことから以後不支給となります。
一度でも出席率が8割未満になった時点で受給資格を失います。8月1日~9月30日の全部について失業不認定となるだけでなく、さらに、その後のすべての期間においても出席率にかかわらず失業不認定となります。
3.やむを得ない理由により出頭できない場合
指定された認定日にやむを得ない理由が発生したことによって教育訓練支援給付金受講証明書を提出できなかった場合は、当該理由がやんだ日の翌日以降7日以内に提出しなければなりません。
やむを得ない理由
次の事情があれば「やむを得ない理由」があると認められます。
やむを得ない理由
- 天災
- 疾病または負傷(ただし、疾病または負傷の期間が継続して14日以内である場合に限る)
- 求人者に面接する場合または採用試験を受験する場合(ハローワークの紹介の有無を問わない)
- 本人が受講している専門実践教育訓練に関連した各種国家試験、検定等の資格試験を受験する場合
- 親族の傷病について本人の看護を必要とする場合
- 親族の危篤または死亡及び葬儀
- 配偶者、3親等以内の血族または姻族の命日の法事
- 本人の婚姻の場合または親族の婚姻のために儀式に出席する場合
- 本人の婚姻の場合で、社会通念上妥当と認められる日数の新婚旅行等
- 子弟の入園式・入学式または卒園式・卒業式に出席する場合
- 本人が受講している専門実践教育訓練の卒業式に出席する場合
- 選挙権その他公民としての権利を行使する場合
さらに、これらの場合のほか、これらに準ずるものであって社会通念上やむを得ないと認められるものは「やむを得ない理由」があると認められます。
社会通念上やむを得ないと認められる例
- 暴風雨等により災害発生の恐れがある場合
- 親族の配偶者の傷病について受給資格者の看護を必要とする場合
- 親族の配偶者の危篤または死亡及び葬儀
- 死亡した父母、配偶者または子が生前所属していた団体等が主催する合同慰霊祭等への出席
- 仲人としての婚姻の儀式への出席
- 地方公共団体が主催する成人式への出席
- 永年勤続表彰式への出席、勲章の授与式への出席(配偶者随伴の式典の場合には、配偶者としての出席を含む)
- 裁判員として司法の場への出頭
- 消防団員として出勤義務のある火災消火活動、訓練、出初め式等への参加
- 本人が受講している専門実践教育訓練のカリキュラム上必須とされる定期試験、実習等
- 融資の手続きのため労働金庫に赴く場合
認定日に出頭できない場合の具体例
例えば、8月1日から9月30日までの支給単位期間に係る失業認定日が10月15日と指定されている場合、10月15日にハローワークに出頭しなければなりません。しかし、専門実践教育訓練のカリキュラム上必須とされる定期試験(10月14日~18日)のため10月15日の認定日に出頭することができない場合、定期試験終了の翌日から7日以内(10月19日~25日)に出頭すればよいです。
定期試験が実施されたことを証明する書類を持って10月21日に出頭した場合、出頭日である10月21日に、8月1日から9月30日までの支給単位期間の失業認定を受けることができます。
4.やむを得ない理由の証明
やむをえない理由により認定日に出頭できなかったことについては、教育訓練支援給付金受講証明書の添付書類として、次の証明書類を提出します。
本人の疾病または負傷の場合
本人の疾病または負傷の場合は、傷病の治ゆした後7日以内にハローワークに出頭して、診療を担当した者(医師、歯科医師、柔道整復師に限る)の証明書を提出します。証明書には傷病の期間が記載されていなければなりません。
有効な証明書の条件
- 傷病の期間が、証明書に記載された期間の最初の日から起算して14日以内であること
- 傷病が14日以内に治ゆしたことを証明したものであること
- ハローワークに出頭した日が、その傷病の治ゆ後の7日以内であること
14日以内に治ゆした傷病であれば、傷病の期間中も失業の認定を受けることができます。また、14日以内に治ゆした傷病であれば、同一傷病名であっても、何回も失業の認定を受けることができます。
なお、傷病が治ゆするまでに15日以上を要する場合は、疾病または負傷のあった全期間について教育訓練支援給付金の失業の認定が行われません。
親族の看護の場合
上記本人の疾病または負傷の場合と同様の証明書を提出します。
なお、小学校就学前の子の予防接種等の場合はその案内でかまいません。また、子の看護については、当該子が学校等を欠席したことを証明できる書類でもかまいません。
ハローワークの紹介に応じて求人者に面接する場合
ハローワークの紹介に応じて求人者に面接する場合またはハローワークの紹介により求人者の行う採用試験を受験するために、ハローワークに出頭することができない場合はその証明書を提出します(紹介状のコピーなど)。
証明書があれば、当該期間についての失業の認定を受けることができます。
その他
その他の理由については、官公署その他ハローワークが適当と認める者(例えば市町村長、鉄道の駅長、面接事業主等)が発行する証明書を提出します。
被災証明書、罹災証明書、労働金庫の店舗における手続書類、呼出状、案内状等
5.証明書による認定
上記のやむを得ない理由のうち、次の場合はその理由を証明した証明書によって、次回の認定日(やむを得ない事情が終わった後の最初の失業認定日)にまとめて認定を受けることもできます。
この場合、必ずハローワークに連絡したうえで、指示を受けるようにしてください。
証明書による認定(雇用保険法施行規則附則第32条)
- 本人が疾病または負傷のため出頭することができない場合であって、14日以内に治癒した場合(傷病証明書による認定)
- ハローワーク等の紹介により求人者との面接または採用試験を受験したとき(面接証明書による認定)
6.就職した場合
就職で失業認定日に出頭できない場合
やむを得ない理由は、一時的に出頭できない場合を想定しています。そのため、教育訓練支援給付金が不認定とされる就職期間中であるため認定日に出頭できない場合は、やむを得ない理由には該当しません。
この場合は所定の認定日に出頭しなければなりませんが、出頭できない場合は、当初の認定日の前日までにハローワークに申し出をします。申し出があればハローワークは、支給単位期間の末日の翌日から起算して1か月を超えない範囲で認定日を指定しなおします。
なお、就職が当初の認定日の直前に決まり、かつ、新たに認定日を指定しなおせる期間が短い場合は、支給単位期間の末日の翌日から起算して2か月を超えない範囲で認定日を指定しなおします。
教育訓練期間中に就職した場合
専門実践教育訓練の受講中に就職した場合は失業不認定となり、就労した日については教育訓練支援給付金が支給されません。
7.補足説明
失業認定日が年末年始や祝日にあたる場合
失業認定日が年末年始や祝日にあたる場合は、ハローワークが事前に失業認定日を変更して、掲示によって知らせます。
親族とは
同居の親族の「親族」とは、事業主と生計を一にする民法第725条に規定する親族、すなわち6親等以内の血族、配偶者及び3親等以内の姻族をいいます。