キャリアコンサルタントは国家資格であり名称独占資格です。そのうち、訓練対応研修を修了した「訓練対応キャリアコンサルタント」の資格をもつ人が行うのが「訓練前キャリアコンサルティング」です。
1.「キャリア」コンサルティング
キャリアコンサルティングとは、職業能力開発促進法に基づいて厚生労働省に登録されているキャリアコンサルタントが行う職業相談のことであり、労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。
一般のコンサルティングは無資格で行っても問題はありませんが、教育訓練給付の「キャリアコンサルティング」は、職業能力開発促進法に基づいて実施されるキャリアコンサルタント試験に合格し、厚生労働省のキャリアコンサルタント名簿に登録をしたキャリアコンサルタント(国家資格)が実施しなければなりません。
登録を受けていないコンサルタントは「キャリアコンサルタント」の名称を用いてはいけません(名称独占資格)。
2.訓練前キャリアコンサルティング
訓練前キャリアコンサルティング
キャリアコンサルティングには、一般の職業相談であるキャリアコンサルティングのほかに、特定一般教育訓練や専門実践教育訓練に対応した「訓練前キャリアコンサルティング」があります。
訓練前キャリアコンサルティングは、「訓練対応キャリアコンサルタント」の資格を有するキャリアコンサルタントが実施します。
訓練対応キャリアコンサルタント
訓練対応キャリアコンサルタントとは、キャリアコンサルタント国家資格を取得しているキャリアコンサルタントのうち、厚生労働省人材開発統括官が委託して実施する訓練対応研修(中長期的なキャリア形成を支援するため、職業訓練や職業・資格等の必要な知識を付与する研修)を受講し、修了証を交付された者をいいます。
3.一般教育訓練とキャリアコンサルティング
キャリアコンサルティングは任意
一般教育訓練給付金を受けるのに事前にキャリアコンサルティングを受ける必要はありません。キャリアコンサルティングを受けなくても給付金の申請は可能です。
教育訓練経費に加えることができる
キャリアコンサルティングを受けたほうが職業の安定につながることから、当該教育訓練の受講開始日前1年以内にキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用を給付金の算定基礎である「教育訓練経費」に加えることができます。ただし、上限は2万円までとなります。
この場合のキャリアコンサルティングとは、職業能力開発促進法上のキャリアコンサルティングのことであり、国家資格を持つキャリアコンサルタントが実施するものでなければなりません。無資格者が行うコンサルは対象外です。
ただし、一般教育訓練給付金の場合、「訓練前」キャリアコンサルティングである必要はありません。通常のキャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングで良いです。
4.特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の場合
訓練前キャリアコンサルティング必須
特定一般教育訓練給付金または専門実践教育訓練給付金を受けようとする人は、当該教育訓練を受講する前に、「訓練前キャリアコンサルティング」を受けなければなりません。「訓練前」なので、「訓練対応」の資格を持つキャリアコンサルタントが実施しなければなりません。
訓練前キャリアコンサルティングでは、特定一般教育訓練または専門実践教育訓練の受講を前提として、ジョブ・カード(職務経歴等記録書)の書き方の指導が行われるとともに、受講を予定している教育訓練を受けることが適切かどうかの判断が行われます。
訓練対応キャリアコンサルタントが当該教育訓練の受講が適切であると判断し、ジョブ・カードにその旨の記載をした場合は、教育訓練給付金の申請をすることができます。不適切と判断した場合は給付金を受けられません。
受給資格確認
さらに、当該教育訓練の受講開始日の1か月前までに、ハローワークに受給資格確認票を提出し、受給資格の確認を受けなければなりません。その際、受給資格確認票には、訓練前キャリアコンサルティングで作成したジョブ・カードを添付しなければなりません。
ジョブ・カードは受講開始日前1年以内に訓練前キャリアコンサルティングを受けたものである必要があります。