教育訓練給付金の支給を受ける権利は雇用保険に加入した本人だけに認められた権利であり、家族や他人に譲渡してはいけません。他人が受講・受給した場合は不正受給となります。
1.教育訓練の受講、教育訓練給付は本人に限る
雇用保険は本人に限る
教育訓練給付は、雇用保険法の保険給付であり、雇用保険に加入していた被保険者(在職中)または被保険者だった人(離職者)に対して行うものです。家族、扶養、親族といった概念はありません。
したがって、教育訓練給付は本人限定であり、家族や親族、その他の第三者が本人の代わりに受給することはできません。
権利の譲渡禁止
雇用保険の失業等給付を受ける権利は、他人に譲渡することができません。「失業等給付」には教育訓練給付も含まれます。家族への譲渡ももちろん禁止です。
必ず本人名義で教育訓練を受け、本人名義で給付申請をしなければなりません。家族等が申請することはできません。
2.本人名義について
修了証明書と領収書
教育訓練給付金は、受給資格者である本人が、対象となる教育訓練を実際に受講し、自らの名において直接、教育訓練実施者に対して実際に受講料等を支払った場合に給付されます。本人以外の人が教育訓練を受けてはいけませんし、支払いも本人名義以外は不可です。
教育訓練実施者が本人確認を行い、間違いなく本人が受講していることを確認します。通信講座の場合は身分証明書のコピーを提出します。修了した時には本人名義の修了証明書を交付します。
また、受講料をクレジット払いにする場合であっても、使用するクレジットカードは本人名義でなければなりません。
本人名義の修了証明書と本人名義の領収書が無ければ、教育訓練給付金の申請をすることはできません。
給付金の振込口座
教育訓練給付金は、教育訓練給付金支給申請書(払渡希望金融機関指定届)で受給者本人が指定する預貯金口座に振り込まれます。この口座は本人名義でなければなりません。
支給決定された教育訓練給付金は受講者本人名義の預貯金口座に振り込まれます。この権利を譲渡したり、担保としたり、差し押さえたりすることはできません。
もちろん、振り込まれた後はどのように使おうが自由です。
3.他人名義の申請は不正受給になる
偽りその他の不正行為によって、教育訓練給付金の支給を受け、または受けようとした場合は不正受給となります。
「偽りその他の不正行為」には、他人名義での支給申請や本人が受講していないのに受講したかのような申請を行うこと、教育訓練の受講に関する虚偽の届出などが含まれます。
不正受給が発覚した場合、教育訓練給付金を受けることができなくなるばかりでなく、不正に受給した金額の返還を求められます。さらにそれに加えて返還額の2倍の金額の納付を命ぜられ、また、詐欺罪として刑罰に処せられることがあります。
4.広報の禁止
教育訓練を行う実施者は、「家族等他人名義での支給申請であっても教育訓練給付の受給が可能」などといった虚偽の広報や説明をしてはいけません。
不正受給を促す説明を行ったことが発覚した場合は、厚生労働大臣の教育訓練給対象講座の指定を取り消されます。また、刑罰に処せられることがあります。
5.家族が受け取れるのは本人が死亡した時だけ
教育訓練を修了した本人が死亡した場合は、権利者である本人が権利を行使することができないのですから、教育訓練給付の申請をすることができません。したがって、教育訓練給付の支給を受けることができません。
この場合は、遺族が「未受給教育訓練給付金」または「未支給教育訓練支援給付金」の申請を別途行うことができます。