電子申請、郵送、代理人による申請について改正がありました。当サイトの記述は順次改訂していきます。
事業主が本人の代わりに教育訓練経費を支払うことや立替払いは許されるか _ pr
給付金額の計算方法

事業主が本人の代わりに教育訓練経費を支払うことや立替払いは許されるか

事業主等が教育訓練経費を支払った場合は教育訓練給付金は支給されません。事業主等が本人の代わりに立替払いをしただけであることが証明できる場合は教育訓練経費とすることができます。

スポンサーリンク

1.教育訓練経費について

一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金は、教育訓練経費(入学料と受講料の合計)に給付率をかけることによって支給金額を求めます。

教育訓練経費は、受講者が自らの名において教育訓練施設に対して支払った費用ですから、受講者以外の他人が費用を支払った場合は教育訓練給付金の対象外です。

スポンサーリンク

2.事業主が費用を負担する場合

事業主等が直接費用を支払った場合

教育訓練給付金の支給申請には、受講者本人が教育訓練経費を支払ったことを証明するため、教育訓練施設の発行した受講者本人あての領収書等の提出が必要です。

受講者を雇用している事業主等が教育訓練の費用を負担するのはかまいませんが、事業主等が費用を負担した場合は教育訓練経費に含めてはならず、事業主等あての領収書等によっては支給申請をすることはできません。

受講者本人と事業主等がそれぞれの名義で分担・区分してそれぞれが直接費用を支払った場合、そのうち、受講者本人が支払った額だけが教育訓練経費となります。

手当等を支給する場合

対象教育訓練の受講に際して、事業主等が受講者に対して対象教育訓練の受講に伴い手当等を支給する場合であっても、当該手当等のうち明らかに入学料または受講料以外に充てられる額を除き、教育訓練経費から差し引いて支給申請しなければなりません。差し引いて教育訓練経費を申告しなければ不正受給となります。

委任または代理による場合

受講者との委任契約または代理契約に基づいて事業主等が支払う場合は、領収書により受講者本人が教育訓練経費を支払ったことが証明されないことから、教育訓練経費として認められません。事業主等が本人の代わりに教育訓練経費を支払った場合は教育訓練給付金は支給されません。

スポンサーリンク

3.事業主の立替払いは好ましくない

教育訓練給付金は企業の研修とは異なり、受講者が職務と関係なく自発的に教育訓練を受けた場合に支給されるものです。事業主の事業のために教育訓練給付金を利用してはいけません。

本来、労働者が教育訓練を受けることについて事業主等が関わったり介入したりしてはいけません。

事業主の事業のために教育訓練給付金を使ってはいけない

  • 受講者が自由意思に基づき教育訓練を選択し、自発的に教育訓練を受けたものでなければなりません。
  • 受講者が教育訓練経費の全額を支払わなければなりません。
  • 領収書も受講者本人あてのものでなければなりません。
  • 事業主の責任で負担すべき研修の一環として受講させてはいけません。

受講者を雇用している事業主等が受講者と立て替えの合意をしたうえで、いったん事業主等が教育訓練施設に対して教育訓練経費を支払い、あとで受講者が事業主等に対して立て替え額を支払う(全額返済する)のであれば、最終的には受講者本人が教育訓練経費を全額負担したことになります。

しかし、事業主等が教育訓練経費を立て替えるのはあまり好ましくないものです。

立替払いは好ましくない

  • 事業主等が費用を支払うと、講座の選択が労働者の自由意思に基づくものであることが担保できません。
  • 労働者が事業主等に対して立て替え額の全額を支払わなければなりませんが、そのことを教育訓練施設が確認することができません。
  • 事業主等が立替払いをすると、教育訓練施設は領収書を当該事業主等に対して発行することはできても、受講者に対しては発行することができません。
  • 事業主等が費用の一部を負担すると、本来事業主の責任と負担で行うべき企業内職業訓練との線引きがあいまいになります。

4.立替払いが教育訓練経費に該当するための条件

立替払いによって事業主等から教育訓練施設に対して支払われた費用が教育訓練経費に該当するためには、次の3つの条件のすべてを満たすことが必要です。

教育訓練経費の入金者が事業主等である場合、教育訓練施設は事業主等及び受講者に対し、支給申請を行うためにはこれらの条件を満たす必要があることを伝え、条件を満たしたことを確認できた場合に限って受講者本人名義の領収書等を発行しなければなりません。

立替払いが教育訓練経費に該当するための条件

  1. 教育訓練施設に受講者が直接申し込むこと
  2. 事業主等が受講者の使者として教育訓練経費を支払うこと
  3. 受講者と事業主等との間の契約と返済等の事実を証明できる書類を受講者本人が提出すること

教育訓練施設に受講者が直接申し込むこと

事業主等の担当者が委任または代理によって申し込んではいけません。本人が自由意思に基づいて講座を選択し、教育訓練施設に直接申し込みをします。

事業主等が本人の使者として教育訓練経費を支払うこと

使者(ししゃ)とは、本人が既に決定している意思を相手方に伝達する人のことで、代理とは異なります。

受講者の代理人としてではなく、受講者本人の名において本人の代わりに教育訓練経費を支払います。
なお、使者が支払う場合は、受講者と使者との間で当該行為について書面にて契約が結ばれていることが必要です。

受講者と事業主等との間の契約と返済

教育訓練実施者は受講者以外から入金があった場合、教育訓練修了証明書または受講証明書の備考欄にその旨の記載をすることになっています。支給申請の際には、受講者本人が、事業主等との間の契約と返済等の事実を証明できる書類を添付しなければなりません。

事前に全額を預けていた場合

事業主等が教育訓練施設に支払いを行う前に、本人が事業主等に教育訓練経費相当額の全額を預けていた場合は、立替払いではなく、本人のお金をそのまま教育訓練施設に届けただけです。

この場合、教育訓練実施者は教育訓練経費の契約書面(寄託など)を確認したうえで、本人あての領収書等を発行します。

後日返済する場合

事業主等による立替払いの場合、受講者から事業主への返済は給与天引き等が考えられます。

事業主等が教育訓練実施者に支払う教育訓練経費相当額について、事業主等と本人との間で、貸付契約書面での契約に限る。)が結ばれていなければなりません。ただし、教育訓練経費と認められるのは、本人が支給申請をする前までに事業主に返済した額を上限とします。