1.印鑑廃止の趣旨
2020年(令和2年)7月17日閣議決定「規制改革実施計画」により、書面に押印を求めている手続きの見直しが行われ、法令、告示、通達等が改正されることになりました。その後、厚生労働省令等において押印を求めている手続について、申請者の押印を不要とする改正が行われ、2020年(令和2年)12月25日より公布・施行されました。
これにより、2020年(令和2年)12月25日より、教育訓練給付金支給申請書など、教育訓練給付関連の手続きで使用する書類は原則押印不要となりました。各種様式の(印)のマークも削除されました。
改正された厚生労働省令等のうち、雇用保険、教育訓練給付金関連のものは次の通りです。
- 雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)
- 職業能力開発促進法第十五条の四第一項の規定に基づく職務経歴等記録書の様式(平成30年厚生労働省告示第127号)
- 社会保険労務士法施行規則(昭和43年厚生省・労働省令第1号)
2.押印廃止の内容
教育訓練給付金関連(雇用保険法施行規則)の帳票について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
申請者の押印廃止
教育訓練給付金関連(雇用保険法施行規則)で、申請者の押印が不要となった様式は次の通りです。
改正された様式
- 様式第10号の2 個人番号登録・変更届
- 様式第10号の4 未支給失業等給付請求書
- 様式第16号 受給期間・教育訓練給付適用対象期間延長申請書
- 様式第18号 払渡希望金融機関指定・変更届
- 様式第32号の3 求職活動支援費(短期訓練受講費)支給申請書
- 様式第33号の2 教育訓練給付金支給申請書
- 様式第33号の2の2 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票
- 様式第33号の2の4 教育訓練給付金(第101条の2の7第2号関係)支給申請書
- 様式第33号の2の5 教育訓練給付金(第101条の2の7第3号関係)支給申請書
- 様式第33号の2の6 教育訓練給付金(第101条の2の7第2号関係)受給者氏名・住所・電話番号変更届
- 様式第33号の2の7 教育訓練支援給付金受講証明書
金融機関の確認印の廃止
教育訓練給付金の支給は口座振り込みで行いますので、申請書等の提出と同時に申請者本人の名義の通帳、キャッシュカードその他の払渡希望金融機関の口座情報を確認できるものを提示します。
改正前は、ハローワークで通帳またはキャッシュカードの提示ができないときには、金融機関の窓口に行って申請書に確認印を押してもらうことによって口座の存在を確認していました。
口座の存在証明(改正前のルール)
- 原則としてハローワークで通帳またはキャッシュカードを提示する。
- 通帳またはキャッシュカードの提示ができないときは、金融機関に行って、金融機関の「確認印」を申請書類等に押印してもらい、それをハローワークに提出する。:廃止された
改正後はこの「確認印」の制度も廃止されました。このため、ハローワークで必ず通帳またはキャッシュカードを提示しなければならなくなりました。
ジョブ・カードの押印の廃止
特定一般教育訓練または専門実践教育訓練を受講する前に、訓練前キャリアコンサルティングを受け、その際にジョブ・カード(職務経歴等記録書)を作成します。
ジョブ・カード(職務経歴等記録書)の様式を定める告示も全部改正され、押印が廃止されました。
社会保険労務士の押印廃止
社会保険労務士法施行規則の改正前は、社会保険労務士が提出書類の提出の代行または事務代理をする場合には、当該提出書類に「提出代行者」「事務代理者」と表示したうえで、社会保険労務士の名称を冠して記名押印をしなければならないとされていました。
改正後は、記名押印ではなく「その氏名を記載しなければならない」となりました(社会保険労務士法施行規則第16条、第16条の3)。なお、規則に定める氏名の記載の代わりに、社会保険労務士が使用する定型印を押印することは差し支えないこととなりました。
3.引き続き押印が必要となるもの
教育訓練施設が発行する修了証明書または受講証明書に訂正がある場合、教育訓練施設の訂正印が必要です。教育訓練施設が発行する領収書(クレジット契約書)の金額以外の記載内容に訂正がある場合も、教育訓練施設の訂正印が必要です。短期訓練受講費の場合も同様です。
また、代理人により手続きを行う場合の「委任状」にも押印が必要です。