教育訓練給付金制度の対象となる教育訓練を開始するには、厚生労働大臣に対して指定の申請を行います。実際には手続きの委託を受けている中央職業能力開発協会に申請します。3年ごとの更新が必要であり、再指定(更新)の手続きをしなければ教育訓練給付金が支給されなくなります。
1.教育訓練の指定
厚生労働大臣の指定
教育訓練給付金の給付対象となる教育訓練は、厚生労働大臣が指定した講座が対象であり、指定を受けていない講座は対象外です。厚生労働大臣の指定を受けるには、あらかじめ教育訓練実施者が厚生労働大臣に対して指定の申請を行う手続きが必要です。指定の有効期間は、4月1日または10月1日から原則3年間です。
雇用保険法 第60条の2
教育訓練給付金は、次の各号のいずれかに該当する者(以下「教育訓練給付金支給対象者」という。)が、厚生労働省令で定めるところにより、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(当該教育訓練を受けている場合であつて厚生労働省令で定める場合を含み、当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により厚生労働省令で定める証明がされた場合に限る。)において、支給要件期間が三年以上であるときに、支給する。
受講開始日
教育訓練給付金は「受講開始日」が基準日であり、受講開始日の時点で教育訓練が厚生労働大臣の指定を受けている場合に支給の対象となります。指定有効期間内に受講を開始した受講者は教育訓練給付金の支給対象となります。
有効期間内にあっても、教育訓練実施者又は対象教育訓練が指定基準に適合しなくなった場合には、指定の取消し等を行うことがありますが、「受講開始日」において指定が有効であれば支給対象となります。
受講開始日が指定期間内にない場合には、その後指定を受けたとしても教育訓練給付金の支給の対象となりません。
2.指定の単位と上限
指定を受ける単位
指定は講座ごとに行うものであって、教育訓練実施者や教育訓練施設全体に対して指定を行うものではありません。
講座の指定に当たっては、その講座が本校又は教室のいずれかで実施するかを問わず、講座名、訓練内容、実施方法、訓練期間、訓練時間(通信制は除く)、入学料及び受講料、使用する教材等が全て同一のものであれば、教育訓練の開始日や時間帯が異なる講座であっても、原則として、これらを一つの講座として指定します。
訓練期間が異なる場合は、別の講座として申請する必要があります。
- (例)同じ訓練内容で「3か月コース(週2回)」、「6か月コース(週1回)」の2コースがある場合
同じ訓練内容、訓練期間で、実施曜日・開講月のみが異なるコースについては、一つの講座として取り扱います(別々に指定手続を行う必要はありません)。
- (例)「毎週月・水・金の6か月コース」と「毎週火・木・土の6か月コース」
- (例)「4月開講の6か月コース」と「10月開講の6か月コース」
新規指定講座数の上限
新たに指定を申請する講座の数は、次の例外の場合を除き3講座までです。再指定の場合は自由です。
- 法令の改正により1講座を複数の講座に分割せざるを得ない場合
- 法人の変更を契機として、旧教育訓練実施者の教育訓練施設責任者から廃止届を提出した上で、合併等後の新たな教育訓練実施者の教育訓練施設責任者が改めて新規の講座指定に必要な手続を行う場合であり、かつ、旧教育訓練実施者が指定期間の残存する既指定講座を新規指定として希望する時点で4講座以上有している場合
- 同一目標資格であり、かつ、教育訓練給付金の申請に際しての「指定を受ける単位」の考え方に従って分割せざるを得ない場合
- その他外的な要因により1講座を4講座以上の講座に分割せざるを得ない場合等やむを得ない場合
- (例)介護福祉士実務者研修は、無資格者は450時間、初任者研修修了者は320時間と資格所持状況によって訓練時間が異なる。
- (例)喀痰吸引等研修は、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則附則第4条第1号研修から第3号研修のいずれかにより訓練内容、訓練時間が異なる。
なお、上記の例外に当たらない場合でも、3を超えた講座数と同数の既指定講座を廃止すれば、新規指定希望講座について3を超える講座数を指定希望することも可能です。「廃止候補講座一覧表」により提出された講座については、新規指定希望講座の審査結果により、3を超える新規指定講座数と同数の既指定講座が廃止候補講座一覧表の上位順により廃止となります。
3.新規指定の手続
厚生労働大臣による教育訓練の指定は、例年、4月と10月に行われます。なお、講座の開始日は4月または10月でなくてもよいですが、講座を開始する前に指定を受ける必要があります。
申請期間
申請の要領や書類については毎年、指定のおよそ半年前に厚生労働省ホームページに掲載されます。
教育訓練の指定を希望する教育訓練実施者は、指定のおよそ半年前に、厚生労働省ホームページを確認し、受付期間内に調査票等をダウンロードにより入手の上、提出します。なお、法令が毎年改正されるので最新の要領を入手しなければなりません。申請期間は約1か月間です。
- 4月1日に指定を受ける場合の申請の要領は半年前の前年9月末頃に公開されます。申請期間は前年の10月上旬~11月上旬で1か月間です。
- 10月1日に指定を受ける場合の申請の要領は半年前の3月末頃に公開されます。申請期間は同年の4月上旬~5月上旬で1か月間です。
申請手続き
申請書類
申請書類は次の通りで、この他に調査票等の記載内容を証明することのできる添付書類(法人登記事項証明書、不動産登記事項証明書など)が必要となる場合があります。
- 教育訓練実施状況調査票(総括票・個票・訓練経費内訳票)
- 教育訓練実施状況調査票(販売活動等調査票)
- 教育訓練運営管理状況調査票
- 教室別教育訓練講座票
- 廃止候補講座一覧表
必要書類の提出者
必要書類(調査票等)は、法人格を有する教育訓練実施者が選任した教育訓練施設責任者が提出します。
教育訓練実施者が選任する教育訓練施設責任者は、教育訓練施設の運営に関する権限を委任された者であることが必要であり、教育訓練施設責任者の教育訓練施設の運営に係る全ての行為は、教育訓練実施者が責任を負うものとされます。
- フランチャイズ・チェーン方式による施設は、実際の講座運営を行う教育訓練実施者が指定に必要な手続を行うことが必要です。
- 教育訓練施設が複数の教育訓練実施場所(教室)を有する場合であって、当該教室において実施する通学制の講座について、教育訓練給付金の指定講座と同じ取扱いを希望するときには、教室ごとの責任者ではなく、当該教育訓練施設責任者が、必要書類を一括して提出します。
- 専修学校及び各種学校については、地方公共団体の設置認可を受けた学校を単位とし、それぞれ独立した別の教育訓練施設として必要書類を提出します。
必要書類等の提出先
必要書類等の提出先は厚生労働省ではなく「中央職業能力開発協会」です。中央職業能力開発協会は職業能力開発促進法第52条に基づいて設立された法人であり、厚生労働省の委託を受け、各種必要な書類の受付等と調査の一部を行っています。
調査票等の提出書類は、中央職業能力開発協会が開封後、順次、確認を行い、受付順に調査を行います。また、講座指定の申請手続に関すること(申請書類の記入方法等)に関する一般的な問合せに応じています。
中央職業能力開発協会 能力開発支援部 教育訓練支援課
〒171-0033 東京都豊島区高田3-19-10 ヒューリック高田馬場ビル4階
03-5843-3794(受付時間:9:15~17:15)
中央職業能力開発協会
https://www.javada.or.jp/
必要書類等の提出方法
電子申請
教育訓練指定講座の新規、再指定、変更、随時変更申請にあたって、「e-Gov電子申請」または「教育訓練給付講座指定申請データ受付サイト」で電子申請を行うことができます。サイトを利用し、申請様式、添付資料に係る電子データを提出します。
e-Govを利用するには、アカウントの取得や電子証明書を準備いただく必要がありますが、過去の講座指定申請の状況が確認できること、指定通知が電子データにより発行されること等のメリットがあります。
e-Gov電子申請
https://shinsei.e-gov.go.jp/
教育訓練給付講座指定申請データ受付サイト(中央職業能力開発協会)
https://javadasinsei.jp/
郵送
郵送による提出の場合、申請書類は「信書」となりますので、書留で郵送するか民間信書便事業者を通して、中央職業能力開発協会あてに送付します(宅配便での送付はできません)。
講座指定の通知
指定希望の申請手続を行った講座について、審査の結果、厚生労働大臣の指定がなされることが決定した場合、厚生労働大臣名の「教育訓練講座指定等通知書」により、教育訓練実施者あてに通知されます。e-Gov電子申請の場合は、e-Govを通じて電子データ(PDF形式)により通知され、それ以外の場合は郵送により通知されます。
指定されなかった場合も書面により通知されます。不明な点がある場合には厚生労働省へ照会することができます。
4.再指定(更新)の手続
指定の有効期間は、4月1日または10月1日から原則3年間です。自動的に指定が更新されるものではありませんので、指定有効期間満了後も引き続き教育訓練の指定を希望する場合は、指定教育訓練実施者において、新規指定と同じ受付期間内(更新日の半年前)に再指定の申請手続を行う必要があります。厚生労働省から更新の案内等は無いので、更新を忘れないように手続をする必要があります。
実際には、更新ではなく「再指定」です。つまり、単なる自動的な有効期間の延長ではなく、新規希望講座と同様の審査を行います。それは、3年間の間に、雇用保険法をはじめとする関連の法令や厚生労働省の指定基準が改定される場合があり、同じ内容の講座であっても、新しい基準で審査する必要があるからです。
そのため、指定と再指定はほぼ同じ手続きとなります。
- 指定期間が3月31日までの場合(4月1日からの再指定を受ける場合)の申請の要領は半年前の前年9月末頃に公開されます。申請期間は前年の10月上旬~11月上旬で1か月間です。
- 指定期間が9月30日までの場合(10月1日からの再指定を受ける場合)の申請の要領は半年前の3月末頃に公開されます。申請期間は同年の4月上旬~5月上旬で1か月間です。



