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求職者支援制度

【新型コロナ対策】求職者支援制度と職業訓練受講給付金の特例措置

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で雇用情勢の悪化するなかで、求職者支援制度を利用しやすくなる特例措置が設けられました。特例措置は2023年(令和5年)4月1日に改正されました。

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1.特例措置について

求職者支援制度と職業訓練受講給付金の概要についてはこちらの記事をご覧ください。

職業訓練受講給付金については、コロナ禍で非正規雇用労働者の離職やシフト減等の雇用への影響が深刻化していることから、本人収入要件と訓練基準は2021年(令和3年)2月25日、その他の要件は2021年(令和3年)12月21日から支給要件が緩和されました。

しかし、緊急事態宣言が2021年(令和3年)9月に終了し、まん延防止等重点措置が2022年(令和4年)3月に終了するなどコロナ禍からの経済の回復の途上にあることから、特例措置の廃止または見直しが行われました。

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注:特例措置が適用されて受講を開始した場合は、その訓練の途中で特例措置が終わるのではなく訓練終了まで適用されます。この場合は2023年(令和5年)4月1日以降も継続して特例措置が適用されます。

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2.本人収入要件

職業訓練受講給付金の本人収入要件について本来は月8万円以下ですが、2021年(令和3年)2月25日からシフト制で働く人については月12万円以下に緩和されました。

しかし、この特例措置の適用状況や雇用情勢の持ち直しの動きを踏まえ、本人収入要件の特例措置は2023年(令和5年)3月31日で廃止されました。2023年(令和5年)4月1日以降に受講を開始する場合は「月8万円以下」となります。

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3.世帯収入要件

職業訓練受講給付金の世帯収入要件について本来は上限が月25万円ですが、2021年(令和3年)12月21日から月40万円以下に緩和されました。この世帯収入要件の特例措置は月収25万円~30万円の世帯の非消費支出の上昇を踏まえ、2023年(令和5年)4月1日以降に受講を開始する場合については月30万円以下に変更となりました。

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配偶者や父母と同居している非正規雇用労働者などが給付金を受給しながら訓練を受講しやすくするための緩和措置です。「世帯」とは、本人のほか、同居または生計を一つにする配偶者、子、父母をいいます。配偶者には婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者も含まれます。

4.出席要件

本来の職業訓練受講給付金の出席要件は、「全ての訓練実施日の訓練を受講していること」です。ただし、やむを得ない理由により欠席がある場合は8割以上出席することです。

やむを得ない理由による欠席

訓練の「欠席」は次の3種類に分けられます。

欠席理由による分類

  • やむを得ない理由による欠席(証明できる欠席)
  • やむを得ない理由以外の理由による欠席
  • 出席すべき日数から除外すべき欠席(出席停止など)

本来は、病気などのやむを得ない理由による欠席については後日証明すれば認められますが、それ以外の理由による欠席が1回でもあると職業訓練受講給付金は支給停止となります。

しかし、子供のぐずりなどの証明できない理由で訓練を欠席せざるを得ない育児中の女性などが、訓練を受講しやすくするため、2021年(令和3年)12月21日からは、理由によらず欠席を訓練実施日の2割まで認め、出席率が8割以上であれば、職業訓練受講給付金が支給されるようになりました。急な自己都合で欠席しても給付金を受給できるようになります。

仕事を理由とする欠席

特例措置により、仕事で訓練を欠席せざるを得ない日についても、「やむを得ない理由による欠席」と認められるようになりました。

しかし、仕事を理由とした欠席の特例措置の利用状況は0.2%にとどまっていること、働きながら訓練を受講している者が15%程度であることや特例措置の利用状況からも、仕事を理由に訓練を欠席するケースは多くないことから、特例措置は2023年(令和5年)3月31日で廃止されました。

2023年(令和5年)4月1日以降

2023年(令和5年)4月1日以降に受講を開始する場合、仕事を理由とした欠席は認められなくなります。

なお、訓練受講に配慮が必要な者(就労経験が少ない者や育児・介護中の者)の受講促進を図るため、「求職者支援訓練(基礎コース)の受講者」、「育児・介護中の者」は引き続き、欠席の理由を証明しなくても、訓練実施日の2割までは「やむを得ない理由による欠席」と認められます。

この制度は期間限定の特例措置ではなく、無期限の制度となります。

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出席すべき日数から除外すべき欠席

感染症、大規模災害など「出席すべき日数から除外すべき欠席」に該当する場合は出席率の計算から除外されるので、職業訓練受講手当は支給されます(教育訓練支援給付金と同じ)。

5.訓練対象者

現在の訓練対象者は、再就職や転職を目指して訓練を受講する人だけで、就職活動をしない人は対象外でした。

特例措置により、転職に向けた就職活動をせず、現在の職場で働きながら訓練を受けて社内での正社員転換などを目指す人や、今の仕事に役立つ能力を身に付けようとする人も訓練の対象となります。今の仕事を続けながらスキルアップを目指す在職者が、訓練を受講できるようになります。ただし、雇用保険被保険者の在職者は対象となりません。

この特例措置は、2023年(令和5年)3月31日までの期間限定の予定でしたが、4月1日以降も継続となりました。

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6.訓練期間の下限

求職者支援訓練は、訓練期間2か月から6か月、1か月あたりの訓練時間100時間以上の訓練が実施されていました。

新型コロナウイルス感染症の影響により、休業を余儀なくされる方や、シフトが減少したシフト制で働く方が、仕事と訓練受講を両立しやすい環境整備を図ることで、自らの職業能力を向上させ、今後のステップアップに結び付けられるよう、特例措置により、働きながら受講しやすい短い時間・期間の訓練コース(訓練期間2週間から6か月、1か月あたりの訓練時間60時間以上)が設定されました。

この特例措置は2024年(令和6年)3月31日まで延長となりました。

訓練期間の特例措置

  • 訓練期間2か月から6か月→2週間から6か月
  • 訓練時間月100時間以上→月60時間以上

7.職業訓練受講手当の計算例

特例措置により、特例期間の間、職業訓練受講手当は出席率が8割以上であれば支給されます。やむを得ない理由の欠席であれば減額されず10万円の満額支給となりますが、やむを得ない理由以外で欠席した場合はその日数分の減額となります。

職業訓練受講手当の計算式は次の通りです。

職業訓練受講手当の計算

  • 出席率=出席日数÷訓練実施日
  • 減額する金額=10万円×やむを得ない理由以外の欠席日数÷支給単位期間の日数
支給単位期間の日数30日、訓練実施日20日の場合、やむを得ない欠席4日の場合

訓練実施日20日のうち16日出席なので、16日÷20日=80%です。
出席率が8割以上で、やむを得ない理由以外の欠席が無いので、10万円満額支給となります。

支給単位期間の日数30日、訓練実施日20日の場合、やむを得ない理由以外の欠席4日の場合

訓練実施日20日のうち16日出席なので、16日÷20日=80%です。
出席率が8割以上なので職業訓練受講手当は支給されます。ただし、やむを得ない理由以外の欠席4日なので、10万円×4日÷30日=13,333.333円減額となり、86,666円(小数点以下切り捨て)の支給となります。

支給単位期間の日数30日、訓練実施日20日の場合、やむを得ない欠席2日、やむを得ない理由以外の欠席2日の場合

訓練実施日20日のうち16日出席なので、16日÷20日=80%です。
出席率が8割以上なので職業訓練受講手当は支給されます。ただし、やむを得ない理由以外の欠席2日なので、10万円×2日÷30日=6,666.666円減額となり、93,333円(小数点以下切り捨て)の支給となります。

支給単位期間の日数30日、訓練実施日20日の場合、やむを得ない欠席2日、やむを得ない理由以外の欠席4日の場合

訓練実施日20日のうち14日出席なので、14日÷20日=70%となり、職業訓練受講手当は支給されません。

8.廃止された特例措置の適用期間

新型コロナ対策の特例措置のうち、特例措置の適用状況や効果が少ないものについては、2023年(令和5年)3月31日で廃止となりました。ただし、受講開始日または支給単位期間の初日が特例期間内にある場合は、訓練の終了が2023年(令和5年)4月1日以降になっても、訓練終了まで適用されます。

本人収入要件の特例措置

本人収入要件の特例措置のうち、「月40万円以下」については、2021年(令和3年)2月25日から2023年(令和5年)3月31日までの間に訓練を開始した場合、または支給単位期間の初日が特例期間内にある場合に適用されます。

2021年(令和3年)2月25日より前に訓練を開始した場合であっても、支給単位期間の初日が2021年(令和3年)2月25日以降であればその支給単位期間以降は特例措置の対象となります。

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2023年(令和5年)4月1日以降に受講を開始した場合は適用対象外となります。

世帯収入要件の特例措置

世帯収入要件の特例措置は、2021年(令和3年)12月21日から2023年(令和5年)3月31日までの間訓練を開始した場合、または支給単位期間の初日が特例期間内にある場合に適用されます。

2021年(令和3年)12月21日より前に訓練を開始した場合であっても、支給単位期間の初日が2021年(令和3年)12月21日以降であればその支給単位期間以降は特例措置の対象となります。

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また、訓練の終了が2023年(令和5年)4月1日以降になっても、訓練終了まで適用されます。

出席要件の特例措置

出席要件の特例措置は、2023年(令和5年)3月31日までに訓練を開始した場合に、訓練終了日まで適用となります。

このうち、仕事で訓練を欠席する場合にやむを得ない欠席とみなされる特例については2021年(令和3年)2月25日の訓練の欠席から適用となります。また、訓練の8割以上の出席で給付金を支給する特例とやむを得ない理由以外の欠席日の給付金を日割りで減額する特例については2021年(令和3年)12月21日の訓練の欠席から適用となります。

訓練対象者の特例措置

訓練対象者の特例措置は、2021年(令和3年)12月21日から2023年(令和5年)3月31日までの間に訓練受講申込みをした場合に適用されます。