職業訓練受講給付金はまず収入、資産等の支給条件を満たしているかの事前審査を受けます。そして、求職者支援訓練の受講中に月に1回ハローワークに出頭して職業相談を受けたうえで支給申請をします。
1.職業訓練受講給付金
職業訓練受講給付金は、雇用保険の教育訓練給付、基本手当等の給付を受けることができない人(特定求職者)のうち一定額以下の収入の人が求職者支援訓練を受講した場合に、月10万円の職業訓練受講手当のほか通所手当、寄宿手当を支給する給付金です。
2.職業訓練受講給付金の事前審査
まず、ハローワークで職業相談をし、受講するコースを選択します。事前審査は、職業訓練受講給付金の支給要件を満たしていることを確認します。給付金を受給せずに無料の職業訓練だけを受講する場合は不要です。
事前審査と受講申し込みを同時にすることも可能です。
事前審査書等の記入する用紙はハローワークで配布されます。
事前審査の提出書類
- 受講申込・事前審査書(安定所提出用)
- 職業訓練受講給付金要件申告書
- 職業訓練受講給付金通所届
- 個人番号の情報連携による地方税関係情報の情報照会に係る同意書
- 職業訓練受講給付金の振込先となる金融機関の通帳の写し(氏名および口座番号の記載ページ)
- 個人番号確認書類(後述)
- 本人・住居所確認書類(後述)
- 支給要件に関する確認書類(後述)
個人番号確認書類
個人番号(マイナンバー)が本人のものであることを証明する書類(発行日6か月以内のもの)が必要です。
個人番号確認書類
- マイナンバーカード
- マイナンバー通知カード
- マイナンバーが記載された住民票の写し(住民票記載事項証明書)
本人・住居所確認書類
本人であること及び住居所を確認することができる書類を添えて提出しなければなりません。原則として写真が貼付され、偽造が困難な証明書を提示します。
本人・住居所確認書類
- 個人番号カード(マイナンバーカード)
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- 旅券(パスポート)
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳
- 在留カード
- 特別永住者証明書
- 官公署から発行・発給された身分証明書又は資格証明書(本人の写真付き)
写真が貼付されている証明書を所持していない場合は、次の書類のうち本人の氏名と住居所を確認できるものを提示します。なお、写真が貼付されていない書類は2種類以上提示します。
本人・住居所確認書類(2種類以上)
- 国民健康保険被保険者証
- 健康保険被保険者証
- 住民票記載事項証明書(住民票の写し、住民基本台帳カードのうち本人の写真のないもの、印鑑証明書)
- 年金手帳
- 児童扶養手当証書
- 特別児童扶養手当証書
- 官公署から発行・発給された身分証明書又は資格証明書(本人の写真のないもの)
支給要件に関する確認書類
事前審査では、世帯、収入、資産など支給要件に関する確認資料を提出する必要があります。
支給要件に関する確認書類
- 住民票の写しまたは住民票記載事項証明書
- 申請者本人の収入を証明する書類
- 世帯員の収入を証明する書類
- 残高が50万円以上であるすべての預貯金通帳
- 20歳未満かつ就学中の子がいる場合は、その子が就学中であることを証明する書類
住民票
住民票は世帯全員分であり、直近3か月以内に交付を受けた住民票の写し(世帯全員の記載があるもの)、または住民票記載事項証明書(世帯の構成および続柄の記載のあるもの)です。
原則として、マイナンバーを利用した情報照会により提出を省略することができます。
申請者本人の収入を証明する書類
申請者本人の、事前審査申請日の前月に得た収入を証明する書類です。
例えば、賃金明細書、もしくは源泉徴収票、確定申告書の控、市区町村が交付する所得証明書で額面が記載されたものなどです。無収入の場合は、預貯金通帳、もしくは市区町村が発行する無収入証明書または非課税証明書で額面が記載されたものなどです。
本人が公的年金・特別障害給付金・年金生活者支援給付金の受給者である場合は、マイナンバーを利用した情報照会により提出を省略することができます。
世帯員の収入を証明する書類
すべての世帯員(同居または生計を一つにする配偶者・子・父母)の事前審査申請日の前月に得た収入を証明する書類です。ただし、20歳未満かつ就学中の子は収入0円として扱いますので提出不要です。
例えば、賃金明細書、もしくは源泉徴収票、確定申告書の控、市区町村が交付する所得証明書で額面が記載されたものなどです。無収入の場合は、預貯金通帳、もしくは市区町村が発行する無収入証明書または非課税証明書で額面が記載されたものなどです。
世帯員が公的年金・特別障害給付金・年金生活者支援給付金の受給者である場合は、マイナンバーを利用した情報照会により提出を省略することができます。
残高が50万円以上であるすべての預貯金通帳
本人およびすべての世帯員(同居または生計を一つにする配偶者・子・父母)が保有する、事前審査申請日の残高が50万円以上であるすべての預貯金通帳または残高証明で、いずれも事前審査申請日1か月以内に発行されたものです。ただし、本人以外の分はコピーでもよいです。
子が就学中であることを証明する書類
20歳未満かつ就学中の子がいる場合は、その子が就学中であることを証明する書類(コピー)を提出します。例えば、在校証明書、生徒手帳、学生証などです。
ただし、義務教育以下の場合は提出不要です。
3.訓練の受講申込みと選考
訓練の受講申込み
ハローワークの窓口で、訓練コースを選択し、受講申込みの手続きを行います。訓練の受講申込みを行う場合は、顔写真(縦4cm×横3cm)を貼付した受講申込書を記入して提出します。
なお、再就職のために訓練が必要ではないとハローワークが判断した場合は、希望した訓練の受講申込みができないことがあります。
受講申し込みが認められた場合は、ハローワークで受付印を押印した受講申込書を訓練実施機関に提出します(提出した受講申込書は返却されません)。
選考
訓練実施機関で選考(面接、筆記など)を受けます。
訓練実施機関から合否通知が自宅宛てに届きます。「合格」の通知が届いたら、訓練開始日の前日までにハローワークで「就職支援計画書」の交付を受けます。
この就職支援計画書がなければ訓練を受講することはできません。また、職業訓練受講給付金を受給することもできません。訓練初日に、就職支援計画書のコピーを訓練実施施設に提出する必要があります。あらかじめコピーを取っておいてください。
事前審査の結果通知
給付金の事前審査の申請をして選考に合格した人にはハローワークから事前審査の結果(該当または非該当)が郵送または手交により通知されます(選考に不合格の場合には事前審査の結果は通知されません)。ハローワークで訓練受講中の支給申請に関する説明を受け、支給申請の必要書類を受け取ってください。
なお、事前審査の結果、支給要件を満たさない場合でも、後日の支給申請の時点において支給要件を満たす場合には、支給可能となる場合があります。
4.訓練受講中
訓練受講
訓練期間中のカリキュラムはすべて受講してください。
あらかじめハローワークから職業訓練受講給付金支給申請書が配布されます。支給申請書の裏面には、訓練実施機関が訓練の受講状況を証明する欄がありますから、訓練実施施設による受講証明(出欠証明)を受けてください。
欠席がやむを得ない理由による場合でも、支給を受けようとする支給単位期間ごとに8割以上の出席率がなければ職業訓練受講給付金を受給することはできません。なお、感染症に感染した場合などやむを得ない欠席の場合は証明書を提出することによって、出席率の計算から除外されます(教育訓練支援給付金の場合とほぼ同じ)。
求職活動
就職支援計画書に、次回の指定来所日までに行うべき求職活動が記載されますので、適切に実施してください。どこのハローワークでも求人情報検索や職業相談を行うことができます。ハローワークで求人情報検索や職業相談を行った時は、必ず就職支援計画書にハローワークの確認印を受けてください。
訓練期間中に就職した場合は、ハローワークと訓練実施施設に就職状況報告書を提出します。
支給単位期間
職業訓練受講給付金の支給単位期間は1か月です。1か月を単位として職業訓練受講給付金が計算され、支給されます。
例えば、受講開始日が8月1日の場合、第1回支給単位期間は8月1日~8月31日で、その期間が終わった後の指定来所日に給付金の支給申請をします。その後、1か月ごとに指定される来所日に支給申請をします。
職業訓練受講給付金の受給手続き
月に1回、あらかじめ指定された「指定来所日」にハローワークで職業相談を受けます。職業相談を終えてから、職業訓練受講給付金の受給手続きを行います。
指定来所日には、就職支援計画書と職業訓練受講給付金支給申請書を必ず持参します。
支給申請の提出書類
- 職業訓練受講給付金支給申請書(訓練実施施設の受講証明があるもの)
- 就職支援計画書
- 職業訓練受講給付金支給状況(支給記録)
- やむを得ない理由により訓練を欠席した場合、その理由を証明する書類
- 寄宿を開始したことまたは寄宿を終了したことを証明する書類(寄宿を開始した後最初の申請時または寄宿を終了した後最初の支給申請時のみ)
支給決定、振込
支給申請の内容に基づき、ハローワークが支給決定または不支給決定を行います。支給決定または不支給決定は、支給申請の内容などにより、即日行われる場合と申請預かりになる場合とがあります。預かりの場合は、支給決定通知または不支給決定通知をご自宅へ郵送します。
支給決定の1週間程度後に、あらかじめ届け出た金融機関の口座に職業訓練受講給付金(職業訓練受講手当、通所手当、寄宿手当の合計額)が振り込まれます。
5.訓練修了後
訓練修了後3か月を経過する前に就職が決まった場合はその時点で「就職状況報告書」を提出します。
就職先が決まっていない場合、訓練修了後3か月間は求職者支援制度による支援が継続しますので、引き続き、月に1回ハローワークに出頭して就職に向けた職業相談を受けてください。
6.補足
時効は2年
職業訓練受講給付金の時効は2年間です。
職業訓練受講給付金は支給単位期間が終了した日の翌日から2年を経過するまでの間は支給を受ける権利がありますが、支給申請は支給単位期間終了後にハローワークが指定する月に1回の「指定来所日」に行っていただく必要があります。指定来所日に支給申請を行うことができない場合は事前にハローワークに相談してください。