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【社労士過去問】訓練受講者のための融資事業(平成28年問6-C) _ pr
社労士試験対策

【社労士過去問】訓練受講者のための融資事業(平成28年問6-C)

社会保険労務士試験・雇用保険法の過去問の解説です。テーマは「訓練受講者のための融資事業」です。この分野からは過去に平成28年択一問6選択肢Cで出題されています。

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1.社労士過去問分析

当サイト内の解説記事

重要論点チェックテスト

訓練受講者のための融資事業」については、次の論点を押さえておくとよいでしょう。それぞれの質問をクリック(タップ)すると回答を見ることができます。

Q
政府が、資金融資制度の保証を行う一般社団法人に補助を行うことはありますか?
A

はい。経済的な理由により訓練を受けることが困難な訓練生に対して、訓練期間中の生活費などを支援する労働金庫(ろうきん)の融資制度があります。条文上は「資金の貸付けに係る保証を行う一般社団法人又は一般財団法人」ですが、労働金庫のことです。

Q
教育訓練受講者支援資金融資事業は雇用保険二事業ですか?
A

はい。訓練受講者のための融資事業は現在、教育訓練受講者支援資金融資制度、技能者育成資金融資制度、求職者支援資金融資制度の3つがあり、雇用保険二事業として実施されている。

Q
求職者支援資金融資制度は能力開発事業ですか?
A

はい。教育訓練受講者支援資金融資制度は雇用保険法第62条の雇用安定事業、技能者育成資金融資制度は雇用保険法第63条の能力開発事業、求職者支援資金融資制度は雇用保険法第64条の能力開発事業である。

Q
求職者支援資金融資は職業訓練を受講しないと利用できないのですか?
A

はい。求職者支援資金融資制度は、月10万円の職業訓練受講給付金を受給する人のうち、職業訓練受講給付金だけでは訓練受講中の生活費が不足する場合に融資を受けることができます。

社労士試験について

社会保険労務士試験について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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2.平成28年択一問6選択肢C

平成28年(2016年実施、第48回)社労士試験、択一式試験・雇用保険法問6の選択肢Cです。

問題

択一式試験・雇用保険法(選択肢Cのみ抜粋)  〔問 6〕専門実践教育訓練に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。   政府は、専門実践教育訓練を受けている者の当該専門実践教育訓練の受講を容易にするための資金の貸付けに係る保証を行う一般社団法人又は一般財団法人に対して、当該保証に要する経費の一部補助を行うことができる。

正解

選択肢Cの記述は正しいです。

解説

専門実践教育訓練

専門実践教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を受講し、修了したときに教育訓練経費の50%または70%を支給するものです。

雇用安定事業

雇用安定事業とは、政府が被保険者等に関して行う雇用保険二事業(雇用安定事業、能力開発事業)のうちの一つであり、失業予防や雇用の拡大に関する事業主に対する助成金、若年者や子育て女性に対する支援(ジョブカフェ、マザーズハローワーク)などの事業のことです(雇用保険法第62条)。

雇用安定事業は、雇用保険法第62条に定めるもののほか、厚生労働省令(雇用保険法施行規則第115条)で定められています。

参考法令
雇用保険法 第62条第1項第6号  政府は、被保険者、被保険者であつた者及び被保険者になろうとする者(以下この章において「被保険者等」という。)に関し、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るため、雇用安定事業として、次の事業を行うことができる。 六 前各号に掲げるもののほか、障害者その他就職が特に困難な者の雇入れの促進、雇用に関する状況が全国的に悪化した場合における労働者の雇入れの促進その他被保険者等の雇用の安定を図るために必要な事業であつて、厚生労働省令で定めるものを行うこと。

教育訓練受講者支援資金融資事業

教育訓練受講者支援資金融資事業とは、雇用安定事業の一つであり、専門実践教育訓練の受講を容易にするための資金の貸付けに係る保証を行う一般社団法人または一般財団法人に対して、当該保証に要する経費の一部補助を行う事業です。

専門実践教育訓練を受講する者のうち、一定の要件を満たす場合は専門実践教育訓練給付金の支給を受けることができますが、さらにこの給付金だけでは訓練受講中の生活費等が不足する場合には、労働金庫からの融資を受けることができます。

参考法令
雇用保険法施行規則 第115条第18号  法第六十二条第一項第六号の厚生労働省令で定める事業は、第百九条、第百四十条及び第百四十条の二に定めるもののほか、次のとおりとする。 十八 専門実践教育訓練を受けている者の当該専門実践教育訓練の受講を容易にするための資金の貸付けに係る保証を行う一般社団法人又は一般財団法人に対して、当該保証に要する経費の一部補助を行うこと。

融資事業の趣旨

教育訓練受講者支援資金融資事業は、専門実践教育訓練給付金の受給者へのさらなる支援として受給者に対する貸付制度を整備することにより、専門実践教育訓練を受けることを容易にすることを目的としています。

政府は、専門実践教育訓練の受講を容易にするための資金の貸付けに係る保証を行う一般社団法人又は一般財団法人に対して、当該保証に要する経費の一部補助を行います。実際には、全国の労働金庫(ろうきん)が受給者に対して貸し付けを行います。受給者に対する貸し付けが返済不能となった場合に、信用保証機関(一般社団法人日本労働者信用基金協会)が各労働金庫に対して行う欠損補填金相当額について政府が補助を行います。

なお、この制度は出題当時(平成28年)は実施されていましたが、2018年度末(平成30年度末)で新規受付を終了しており、2019年(平成31年)4月以降は実施されていません。

正解と法的根拠

選択肢Cの記述は、雇用保険法施行規則第115条第18号の文章と同じであり、正しいです。

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3.補足説明

技能者育成資金融資制度

技能者育成資金融資制度は、経済的な理由により職業能力開発総合大学校または公共職業能力開発施設の行う職業訓練を受けることが困難な訓練生を対象とした融資制度です。

技能者育成資金融資制度は雇用保険法第63条の能力開発事業として実施されています。技能者育成資金融資制度の法的根拠は雇用保険法施行規則第138条第4号です。

参考法令
雇用保険法 第63条第1項第2号、第9号  政府は、被保険者等に関し、職業生活の全期間を通じて、これらの者の能力を開発し、及び向上させることを促進するため、能力開発事業として、次の事業を行うことができる。  二 公共職業能力開発施設(公共職業能力開発施設の行う職業訓練を受ける者のための宿泊施設を含む。以下この号において同じ。)又は職業能力開発総合大学校(職業能力開発総合大学校の行う指導員訓練又は職業訓練を受ける者のための宿泊施設を含む。)を設置し、又は運営すること、職業能力開発促進法第十五条の七第一項ただし書に規定する職業訓練を行うこと及び公共職業能力開発施設を設置し、又は運営する都道府県に対して、これらに要する経費の全部又は一部の補助を行うこと。 九 前各号に掲げるもののほか、労働者の能力の開発及び向上のために必要な事業であつて、厚生労働省令で定めるものを行うこと。
雇用保険法施行規則 第138条第4号  法第六十三条第一項第九号の厚生労働省令で定める事業は、第百二十四条、第百二十五条の二、第百三十四条、第百四十条及び第百四十条の二に定めるもののほか、次のとおりとする。  四 公共職業能力開発施設又は職業能力開発総合大学校が行う職業訓練又は指導員訓練(以下この号において「職業訓練等」という。)を受けることが困難な者が当該職業訓練等を受けるために必要な資金の貸付けに係る保証を行う一般社団法人又は一般財団法人に対して、当該保証に要する経費の一部補助を行うこと。

求職者支援資金融資制度

求職者支援資金融資制度は、月10万円の職業訓練受講給付金を受給する人のうち、職業訓練受講給付金だけでは生活資金が足りない人向けの融資制度です。

求職者支援資金融資制度(特定求職者支援事業)は雇用保険法第64条の能力開発事業として実施されています。求職者支援資金融資制度の法的根拠は、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則第16条です。

参考法令
雇用保険法 第64条  政府は、被保険者であつた者及び被保険者になろうとする者の就職に必要な能力を開発し、及び向上させるため、能力開発事業として、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律第四条第二項に規定する認定職業訓練を行う者に対して、同法第五条の規定による助成を行うこと及び同法第二条に規定する特定求職者に対して、同法第七条第一項の職業訓練受講給付金を支給することができる。
職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則 第16条  第十条に規定するもののほか、職業訓練受講給付金の支給を受ける特定求職者の認定職業訓練等の受講を容易にするための資金の貸付けに係る保証を行う一般社団法人又は一般財団法人に対して、当該保証に要する経費の一部補助を行うものとする。