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【Myじんけん宣言、人権方針】教育訓練給付制度と労働者の人権、個人の尊厳

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【Myじんけん宣言、人権方針】教育訓練給付制度と労働者の人権、個人の尊厳 10860

「学ぶこと」は、自分らしく自由に生きるための新しい「人権」です。世界人権宣言や政府の行動計画でも、キャリアアップの機会を持つことは大切な権利だとされています。本記事では、雇用保険の「失業を防ぐ」という温かい目的や、給付金制度がどう人権を守る武器になるのかを分かりやすく解説します。

【Myじんけん宣言、人権方針】教育訓練給付制度と労働者の人権、個人の尊厳 jinken logo A
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1.Myじんけん宣言

当サイトを運営する教育訓練制度研究会は、世界人権宣言が定める「教育を受ける権利」と「職業選択の自由」を尊重し、「ビジネスと人権」に関する行動計画に賛同します。私たちは、教育訓練制度の専門家集団として、雇用保険法第1条に定める労働者の権利保護・尊重と福祉の増進の考え方に基づき、ここに「Myじんけん宣言」として以下の取り組みを強化することを宣言します。

  • 国際基準に基づく権利の周知:世界人権宣言第23条および26条の精神を反映し、誰もが経済的障壁なくリスキリングの権利を行使できるよう支援します。
  • ビジネスと人権の推進:「ビジネスと人権」に関する行動計画の指針を遵守し、企業が従業員の能力開発を通じた人権尊重(雇用の安定)を推進できるよう情報発信を行います。
  • 情報の非対称性の解消:教育訓練制度を知っている人だけが得をし、知らない人が不利益を被る情報格差は、機会均等の観点から是正されなければなりません。中立の立場で正確で分かりやすい情報を全ての労働者に発信します。
【Myじんけん宣言、人権方針】教育訓練給付制度と労働者の人権、個人の尊厳 myjinken
参考リンク

Myじんけん宣言(公益財団法人人権教育啓発推進センター)
https://www.jinken-library.jp/my-jinken/

2.世界人権宣言の定める労働権

世界人権宣言は、1948年に国連総会で採択された、「すべての人間が生まれながらに持つべき基本的人権」を初めて公式に定義した文書です。

第二次世界大戦の惨禍を繰り返さないという決意から誕生し、「自由、正義、平和」の基盤として、人種、性別、言語、宗教を問わず全人類が享受すべき権利を30の条文で示しています。法的拘束力はありませんが、多くの国際条約や各国の憲法の指針となり、現代の人権保障の原点となっています。

参考リンク

第23条:労働と職業選択の自由

世界人権宣言第23条は、「すべての人は、労働し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な労働条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する。」と定めています。ここで注目すべきは、単なる「失業後の救済」ではなく、「失業に対する保護」という表現です。

日本の雇用保険法第1条が掲げる「失業の防止」は、この第23条の精神を国内法において具体化したものです。教育訓練給付金は、労働者が時代の要請に応じたスキルを習得することを支援することで、構造的失業を未然に防ぎます。これは、国家が国際的な人権義務を果たすための「積極的措置」なのです。

第26条:人格の発展と教育

世界人権宣言第26条は、「すべての人は、教育を受ける権利を有する。 教育は、少なくとも初等の及び基礎的の段階においては、無償でなければならない。初等教育は、義務的でなければならない。技術教育及び職業教育は、一般に利用できるものでなければならず、また、高等教育は、能力に応じ、すべての者に等しく開放されていなければならない。」と定めています。

教育は、個人が社会において自立し、自らの意思で人生を設計するための基盤です。「ビジネスと人権」に関する行動計画においても、能力開発の機会提供は労働者の人権尊重に資するとされています。教育訓練給付金を通じて、経済的困窮にかかわらず高度な教育にアクセスできる環境を整えることは、個人の人格の発展を国家が支えることを意味します。

3.「ビジネスと人権」国内行動計画と教育訓練

2020年10月に「ビジネスと人権」に関する行動計画が策定されました。同計画では、今後政府が取り組む各種施策や企業活動における人権デュー・ディリジェンスの導入・促進への期待が表明されました。

参考リンク

「ビジネスと人権」に関する行動計画(法務省)
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00105.html

企業の「人権尊重」の責務

「ビジネスと人権」に関する行動計画では、企業に対して「人権デュー・ディリジェンス(人権DD: Human Rights Due Diligence)」の実施を求めています。これには、技術革新や事業転換によって従業員が職を失うリスクを「人権への負の影響」と捉え、その軽減策を講じることが含まれます。

企業が教育訓練給付金制度を積極的に活用し、従業員のリスキリングを支援することは、「ビジネスと人権」に関する行動計画が求める「雇用の安定」への寄与であり、企業の社会的責任(CSR)を果たす具体的な行動となります。

公正な移行の実現

脱炭素社会やデジタル社会への移行において、特定の職種が消失する可能性があります。「ビジネスと人権」に関する行動計画の精神に則れば、この「移行」は公正でなければなりません(Just Transition)。教育訓練給付金は、労働者が新しい産業へスムーズに移動できるよう、経済的・技術的な架け橋となります。これこそが、国際社会が求める「公正な移行」を支える実務的な人権保障です。

4.職場における尊厳とハラスメント防止

依存関係からの脱却

職場におけるハラスメントが深刻化するのは、労働者が「辞めたら生活できない」「この会社を辞めたら次がない」という経済的・技術的な依存関係にある場合です。労働者が市場価値の高いスキルを持たない場合、企業側が優越的地位を濫用しやすくなり、結果としてパワハラやセクハラが潜在化・継続する土壌が生まれます。

「ビジネスと人権」に関する行動計画においても、ハラスメントの防止は重要課題ですが、その根本的な解決策の一つは、労働者のエンパワーメントにあります。

知識という防壁

教育訓練給付金を利用して獲得した専門知識や資格は、労働者にとっての「ポータブルな資産」となります。この資産を持つ労働者は、企業に対して対等な立場で意見を述べることができ、最悪の場合には「立ち去る権利Right to Leave)」を行使できます。「いつでも別の場所で働ける」「自分には他でも通用する力がある」という自信は、労働者の精神的な自律性を高め、精神的な余裕を生み、ハラスメントに対して毅然とした態度を取ることを可能にします。

これは、職場における個人の尊厳を守るための、最も根源的な人権擁護策です。教育は、職場における人権侵害に対する、最も効果的な「非物理的抑止力」となるのです。

5.雇用保険法による「失業の防止」の実効性

憲法27条と能力開発

日本国憲法第27条第1項で「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」と規定されています。この「勤労の権利」はいわゆる社会権の一つとされており、人間が人間らしい生活を送るために、国家に対して「国民が働ける環境を整備すること」を求めることができる権利です。

現代において「働ける環境」とは、単に求人があることだけではありません。産業が求めるスキルと、労働者が持つスキルの「ミスマッチ」を解消するための公的な教育支援があって初めて、労働権は実質化されます。

教育訓練給付金制度は、労働者が自らの意思で、自身の市場価値を更新し続ける権利を担保するものです。これは、「国から与えられる仕事」を待つ受動的な立場から、「自らの能力によって職業を自由に選択する」能動的な主体へと労働者を昇華させる、人権擁護のインフラと言えるでしょう。

雇用保険法第1条の多角的アプローチ

雇用保険法は、失業手当という「事後救済」と、教育訓練給付という「事前予防」の二段構えで構成されています。

多くの人は、雇用保険を「失業した時にもらえるお金」と認識していますが、法の真の精神は「失業させないこと」にあります。失業は、単に経済的な困窮を招くだけでなく、社会的な繋がりの喪失、自尊心の低下、そして幸福追求権の著しい制限を伴います。教育訓練給付金は、この「失業」という人権侵害の危機を未然に防ぐための、国家による強力な予防的介入なのです。

自律的キャリア形成と個人の尊厳

「失業の防止」とは、労働者が「代わりの効かない存在」から「どこでも活躍できる存在」へと変容することを支援することです。自らのスキルによって雇用の継続を勝ち取るプロセスは、労働者としての自尊心(Self-esteem)を高めます。これは、世界人権宣言が第1条で謳う「すべての人間は、尊厳と権利について自由であり、かつ、平等である」という理想を、労働の場において具現化する行為です。

申請プロセスとハローワークの役割

申請の第一歩は、ハローワークでの「訓練前キャリアコンサルティング」です。これは単なる事務手続きではなく、将来の「職業の安定」と「労働権」を最大化するための重要な対話の場です。

6.職業安定法と「職業選択の自由」の実質的な保障

職業安定法第1条の理想と現実

職業安定法第1条は、「何人も、公共の福祉に反しない限り、職業を自由に選択することができる」と定めています。しかし、現実にはどうでしょうか。高度なデジタルスキルや専門知識が要求される求人が増える一方で、その教育を受ける資金や時間を持たない労働者は、事実上、低賃金の単純労働以外の選択肢を奪われています。

選択肢のない自由は、真の自由ではありません。教育訓練給付金によって受講費用の一部が補助されることは、経済的な格差によって「職業選択の自由」が制限されることを防ぐ、直接的な人権救済措置なのです。

職業安定の基盤としてのリスキリング

「職業の安定」とは、単に今の職を失わないことだけではありません。万が一、所属する企業や業界が衰退しても、別の場所で速やかに職を得られる「エンプロイアビリティ(雇用され得る能力)」を持つことこそが、真の職業安定です。

雇用保険法に基づく教育訓練は、労働者にこの「移動する力」を与えます。特定の企業に人生を預けるのではなく、自分のスキルを社会に預ける。この転換が、個人の尊厳を守り、結果として社会全体の失業率を抑制し、職業の安定に寄与します。

7.学ぶ権利と自己責任論

現代社会における「学ぶ権利」の再定義

日本国憲法第26条が定める「教育を受ける権利」。かつてこの権利は、義務教育や高等教育といった「社会に出る前」の準備段階に焦点が当てられてきました。しかし、第四次産業革命、AIの実装、そして人生100年時代の到来により、この権利の概念は劇的な変容を遂げています。

今、私たちが直面しているのは、「一度身につけたスキルで一生を終えることが不可能な社会」です。このような環境下で、教育を「過去のもの」として切り捨てることは、労働者が時代の変化に取り残され、職業の選択肢を奪われることを意味します。つまり、社会人に対する「リスキリング(学び直し)」の機会保障は、現代における生存権や労働権の根幹を成す「新しい人権」として再定義されるべきなのです。

社会的連帯としての雇用保険制度

「スキルを磨かないのは本人の努力不足だ」という自己責任論が、しばしば議論の俎上に載ります。しかし、産業構造の激変は個人の努力の範疇を超えています。昨日まで正義だったスキルが、明日にはテクノロジーによって代替される社会において、全ての責任を個人に負わせることは、基本的人権の尊重という観点から適切ではありません。

雇用保険制度は、労働者と事業主が保険料を出し合い、社会全体でリスクを分担する「社会的連帯」の仕組みです。教育訓練給付金はこの原資を活用し、個人の困難を社会の力で解決しようとする試みです。

機会の平等を担保する国家の責務

特に非正規雇用労働者や、育児・介護等でキャリアに空白がある人々にとって、数十万円の受講費用を自費で賄うことは極めて困難です。ここで国が「専門実践教育訓練」等を通じて大胆な財政的支援を行うことは、単なる労働政策ではなく、格差の固定化を防ぐ「機会の平等」の実現に他なりません。

8.学びは人権のインフラである

世界人権宣言が採択されてから長い年月が経ちましたが、その理念は今なおリスキリングという新しい形で輝き続けています。教育訓練給付金は、労働者が時代の荒波の中で漂流することを防ぎ、自らの力で未来の舵を握るための羅針盤です。

「学ぶこと」は、人が人らしく、自由に、そして自らの人生の主権者として生きるための源泉です。教育訓練給付金制度は、単なる経済政策の一端ではなく、日本国憲法が掲げる「個人の尊重」「幸福追求」「職業の選択」を、現代の荒波の中で守り抜くための、血の通った人権インフラなのです。

私たちが学ぶことを諦めない限り、失業は「終わりの予兆」ではなく、「新たな可能性への扉」となります。雇用保険法の精神に立ち返り、教育訓練という武器を手にすることで、誰もが何度でも人生を再定義できる社会。そのような、人権が真に息づく労働市場の実現に向けて、私たちは歩みを止めてはなりません。